「経営に透明性が必要な理由とは?」
「経営の透明性を大切にしている企業の事例を知りたい!」
透明性のある経営を行う重要性が、現代では高まっています。
これまでは、経営の内情はすべてを透明にするのではなく、ある程度不透明な部分があることが大事にされていました。
しかしこれからは、企業は顧客にさまざまな情報を開示し、信頼を勝ち取ることが求められています。
今回は、経営に透明性が重要である理由として、何をすればよいのか、どう向き合えばいいのかなどに加え、企業事例についてもご紹介します。
この記事を読んでいただくと、以下のことが分かります。
- 経営の透明性が注目される背景
- 経営で透明性が必要な理由
- 透明性をめざすために何をすればよいか
- 経営で透明性を重視している企業事例
経営の透明性が注目される理由
これまでは、経営にはある程度の不透明性を持たせることで、企業は顧客や社会を引き付けていました。
しかし、現代では情報があふれかえっています。
検索すればある程度の情報が見えてしまうこともあり、企業にとってのみ都合のよい情報を流すことに嫌悪感をいだく人が多くなりました。
そのため、企業に安心感を求める人が増加しています。
企業は、製品や経営状況、従業員の働き方など、さまざまな面を誠実に開示する声が強まっています。
顧客と真摯に向き合うことが重要だということです。
経営の透明性は、「風の時代」の考え方と似ている面があります。風の時代の経営の仕方やライフスタイルについて知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
経営に透明性が必要な理由
具体的に経営の透明性を確保することによって、何に影響を与えるのか詳しく理解しておくことも大切です。
経営に透明性が必要である理由について解説します。
顧客の安心感につながるから
経営で透明性を保つことによって顧客である企業に信頼感を与えることにつながります。
日本では人口の減少に伴い、新規顧客の獲得が難しくなっています。
企業は、どれだけ長期的な既存顧客を取り込めるかが重要になってきています。
既存顧客に長期的に商品を購入してもらうためには、企業は顧客にさまざまな情報を明示、開示することで信用を獲得できます。
従業員の安心安全につながるから
経営で透明性に重きを置くことで、従業員の企業満足度向上にもつながります。
例えば、売上の内訳や、給料体系の明示、従業員の疑問など、できる限り答えるなどがそれに当たります。
従業員の企業への信頼感や企業満足度が増加すると、従業員は企業に恩を返そうと、主体的に働いてくれやすくなります。
さらに、働くことへの満足度が増して、離職率が下がるという、よいサイクルが生まれやすくもなります。
また、最近は転職が一般的となっています。企業が働き方についての情報を提示することで、本当にその働き方に共感した人材が残っていくでしょう。
従業員の企業への大きな信頼感につながり、本当の意味で自社に適した人材の確保につながります。
従業員の企業満足度の上げ方について知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
健全な経営状況を社会にむけて意思表示
顧客や取引先、社員含め、現代では経営の不透明な部分があることは、不信感をいだかせることにもなるかもしれません。
具体的には、抱えている企業の課題に積極的に取り組むのもよいでしょう。
また、企業の現状の課題や、どんな取り組みをして何に気を付けているかなどを共有するのもよいです。
企業が顧客に対して誠実にあり続けることは健全な経営の意思表示となります。
経営に透明性をもたすためにすべきこと
経営に透明性をもたらすために、企業は具体的に何ができるのでしょうか。
取り入れやすい事柄をご紹介します。
三方よしを意識する
三方よしとは、顧客、従業員、顧客の三方向によいことをするという概念です。
江戸時代の近江商人が実践したことによって、現代まで語りつがれています。
経営の透明性を持たせるために何をするべきか分からない場合には、三方よしの社内浸透を意識するとよいでしょう。
例えば以下のものです。
従業員に対して…就業規則の明示、疑問や質問をすぐに投げかけ、それに応えられる組織体制を作る
社会に対して…企業が取り入れた社会貢献の明示、また学んだことを社会に還元する
三方よしについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
≫売り手や買い手はもちろん、国家も喜ぶ三方よしの経営理論を社内浸透させる方法
≫清水康一朗がたどり着いた令和の経営哲学「絆徳経営」とは?
≫絆徳経営のすゝめ| 100年続く一流企業は、なぜ徳と絆を大切にするのか?
≫持続化を実現する絆徳経営の考え方|リーダーが陥る7つの罠とは
積極的な情報発信
SNSや公式サイト、オウンドメディアなどで、自社の取り組みや、顧客への疑問の回答など、主体的に発信することもおすすめです。
企業理念やビジョンを積極的に発信したり、顧客から寄せられた質問に答えるなどが大切です。
SNSやオウンドメディアを活用することは企業にとってメリットが多くあります。
詳しくはこちらの記事もご覧ください。
≫企業のSNS活用事例を紹介!SNSの特徴と運用の注意点とは?
≫オウンドメディアとSNSの違いとは?期待できる効果やメリット
≫SNSマーケティングを事業戦略に使う。そのメリットと手法を解説!
経営に透明性を重視する企業事例
経営に透明性を重視する企業事例を5社ご紹介します。
- 湘南美容クリニック
- ラーニングエッジ株式会社
- イケア・ジャパン株式会社
- セールスフォース・ジャパン
- 日本航空株式会社
湘南美容クリニック│顧客への透明性
湘南美容外科クリニックは、顧客に金額の透明性を明示したことで、企業成長に成功した企業です。
従来の美容整形の業界では、金額を明示せず、お店に来てもらった人にのみ、実際の金額が分かるという方式でした。
しかし、湘南外科美容クリニックでは、顧客に、美容整形にかかる金額をすべて明示し、透明性のある経営をおこないました。
その結果、顧客からの信頼獲得につながったと言います。
顧客の満足度が大きく高まるとともに、口コミでの紹介が広がり、企業成長を遂げました。
ラーニングエッジ株式会社│社員への透明性
当社ラーニングエッジでは、顧客、社員、社会の3方向へよいことをする三方よしの概念をもとに、絆徳経営を推進している企業です。
ラーニングエッジでは経営の透明性に適切に取り組むことで、社員の企業満足度の上昇につながりました。
特に大切にすべきところとしては、社員へ給料体系の明示です。
代表取締役の清水 康一朗の著書『絆徳経営のすゝめ』の中で、以下のように語っています。
ラーニングエッジでは、会社7説明会の段階から人事関係のルールをオープンにしています。
絆徳経営のすゝめ 〜100年続く一流企業は、なぜ絆と徳を大切にするのか?(著者:清水 康一朗 )p118.119より引用
具体的には、「給与テーブル」を公開するのです。
当社の場合、新卒は一番下のアソシエイトというタイトル(役職)からスタートして、チーフ、マネージャー、ダイレクターとステップしていくわけですが、どうすればグレード(等級)が上がるのか、それぞれの月給・年収はどうなるかなど、すべて明確に定め公開しているのです。
三方よしの概念を基にした絆徳経営では、顧客、社員、社会それぞれと絆を結ぶことで、長期的で安定した利益が望めます。
三方よしを実践する企業事例を知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
イケア・ジャパン株式会社│社会への透明性を図る
IKEAは、社会にポジティブな変化を促すという意味で、アプローチや、学んだことを社会や顧客に共有していくことを伝えています。
IKEAは、大切にする情報提供の透明性について以下のように述べています。
報告と透明性
ピープル・アンド・プラネット・ポジティブ(https://www.ikea.com/jp/ja/files/pdf/eb/35/eb359bc9/ikea-sustainability-strategy-ja-202008.pdf)
オープンな姿勢と透明性を保ち、他者が私たちの成功や失敗、課題、働き方から学べるように努めます。SDGs の目標に沿ったイケアの進捗状況を報告することを約束します。ビジョンをアクションにつなげるには、イケアのビジネスの各部門が、明確な目標やターゲットを設定する必要があります。それにより、優先順位の決定や進捗状況の評価が可能になります。
またIKEAは、2030年に向けて独自のサステナビリティ戦略を掲げています。
具体的に以下の3つに取り組むと言います。
- 地球上のすべての人が、資源を享受して快適な生活ができるようサポートする
- 資源再生や気候変動などの環境問題に取り組む
- IKEAのバリューチェーンである、すべての人にとって社会的によい影響を与える
すべての人がポジティブで健康的、かつサステイナブルな暮らしをするという、社会や顧客に向けてさまざまな取り組みをおこなっています。
セールスフォース・ジャパン│従業員への情報の開示
世界の15万社以上に商品を提供しているセールスフォース・ジャパンは、従業員への情報の開示を特に大事にしています。
セールスフォース・ジャパンの人事本部は、Employee Successと呼ばれているそうで、従業員の成功を目的としています。
人事部に寄せられた意見には、一つ一つ対応して、すぐに対応できるものにはすぐに対応していると言います。
取り組みに時間を要するものに関しては、来年度以降に取り入れるなど、従業員に対して真摯に対応します。
このようなことを続けることで、企業との信頼感が深まり、社員が企業に本音の意見をくれるようになるということです。
全社員が一丸となって、企業をよくできるのは、企業と社員との間に大きな信頼感があるからでしょう。
参考情報:https://forbesjapan.com/articles/detail/40970
日本航空株式会社│積極的な情報開示をおこなう
日本航空株式会社は、財務情報と非財務情報を統合した「JAL REPORT」の報告書の発行を定期的におこなっています。
非財務情報では、以下のような開示をおこなっています。
- お客様にフライトを楽しんでもらうための、企業で行っている機内の安全管理の仕組み
- 提供している食の安全性の情報開示
飛行機の安全管理については、専門的であるため、どのような安全対策をおこなっているのか容易に想像できない人がほとんどでしょう。
しかし、企業が積極的に顧客に伝えることで、顧客が真に安心感を持ち、信頼してフライトを任せることにつながります。
このような積極的な情報開示は、顧客の利用の安心感につながり、継続的な利用を促すでしょう。
まとめ
現代社会は、さまざまな多様なサービス・商品があふれかえり、情報が錯綜しています。
その中で、消費者やその企業に勤める社員は、企業が信頼できるものかどうかに観点をおいています。
企業事例を参考にしながら、経営の透明性の確保にぜひ取り組んでいただければ幸いです。
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