- 効果の高い営業戦略を立案するには、どうすればよいのだろう?
- 心理学の知識を営業戦略に活かせないだろうか?
- 営業戦略に応用できる心理学の法則にはどのようなものがある?
上記のような疑問や悩みを抱えていませんか?
この記事では、心理学を営業戦略の立案に応用する方法を紹介します。
さまざまな心理学の法則を営業戦略に応用した例も挙げていますので、ぜひ参考にしてください。
心理学を営業戦略に応用するメリット
心理学と営業には深い関わりがあることが知られています。
営業を担当している方の中には、顧客の心をつかみ成約へとつなげるために心理学を学んだことがある方もいるでしょう。
実は、心理学は営業戦略を立案する際にも有効活用できます。
心理学を営業戦略に応用する具体的なメリットは次の3点です。
メリット1:営業戦略の「骨格」を示せる
営業戦略を立案する際には、3C分析やSWOT分析などさまざまなフレームワークが活用されます。
自社の立ち位置を客観的に分析し、利益目標を着実に達成していく上で「分析」のプロセスは欠かせません。
一方で、営業戦略は「自社はどのようにして市場で戦っていくべきか」といった大きな方向性を示す役割を果たします。
現場の営業担当者が「結局のところ、自分たちはどのような方針に沿って動けばいいのか」が理解できなければ意味がありません。
心理学を応用することで、人間の心理にもとづいて営業戦略を講じることができます。
営業戦略の「骨格」を示すことにより、自社の方針や部門としてのスタンスがより鮮明になるのです。
メリット2:顧客の視点に立った営業戦略を立案できる
心理学を駆使することで、顧客の視点に立った営業戦略を立案しやすくなります。
とくにビジネスで心理学を活用する場合、解決したい課題の先には「相手(対象者)との関係性」が必ず存在するからです。
営業戦略に関して言えば、商材を訴求する相手(見込み客)との関係構築こそが解決すべき課題といえるでしょう。
心理学を取り入れる以上、相手が不在では課題解決は成立し得ません。
自社の独りよがりで営業戦略を立案するのを避けるためにも、心理学を取り入れることは重要な視点の1つといえます。
メリット3:本質的で成果につながりやすい営業戦略を構築できる
心理学は「多くの人に共通する心の作用」を体系化した学問です。
見込み客が個人であれ法人であれ、「人」を相手に営業活動を進めていくことに変わりはありません。
人がなぜモノやサービスを求めるのか、どのような時に購買意欲が高まるのかを追究することは、営業活動の本質といえるでしょう。
心理学を取り入れることは、より本質的で成果につながりやすい営業戦略を立案する上で役立ちます。
結果として営業活動の成果が挙がりやすく、再現性の高い営業戦略を講じることができるのです。
決定回避の法則を応用した営業戦略
営業戦略に心理学を応用する具体的な方法を見ていきましょう。
1つめの応用例は「決定回避の法則」です。
決定回避の法則に関する基本的な知識を整理しつつ、営業戦略への取り入れ方について解説します。
決定回避の法則とは
決定回避の法則とは、選択肢が多すぎると人は選べなくなるという心理効果を表す法則です。
社会学者のシーナ・アイエンガー氏が行った「ジャム実験」が、決定回避の法則を実証した実験としてよく知られています。
・6種類のジャムと24種類のジャムを別の日に販売した
・24種類のジャムは6種類のジャムと比べて試食率が約6割高かった
・購入者数は24種類のジャムよりも6種類のジャムのほうが10倍も多かった
私たちは日頃から自分の意思で物事を選択しているようでいて、潜在意識下では「選ぶのは面倒だ」と感じています。
選択肢があまりにも多いと比較検討に多大なエネルギーを費やすことにあるため、肝心な意思決定ができなくなってしまうのです。
決定回避の法則を営業戦略に取り入れるには?
決定回避の法則から、「お客様を迷わせるのは得策でない」ことが分かります。
営業戦略を立案するにあたって、より幅広い顧客層に受け入れられるよう商品ラインナップの拡充を図ろうとしていませんか?
商品ラインナップが豊富になることで見込み客はかえって選択に迷い、購買意欲を失ってしまうかもしれません。
BtoB取引における営業活動に関しても同様のことが言えます。
商談で営業担当者が何パターンにもわたる提案をするようでは、見込み客はどの案を採用すべきか迷ってしまうでしょう。
ターゲットを明確に絞り込み、見込み客の選択肢を3種類程度、多くても5種類程度までに抑えることが大切です。
決定回避の法則の応用例
生命保険の提案営業を例に考えてみましょう。
営業担当者が見込み客に提示する提案書は、種類が多すぎると相手を迷わせてしまう原因になりかねません。
提案時には「松竹梅」の3パターンに絞ることを徹底してみてはいかがでしょうか。
たとえば、以下のようなパターンの組み合わせが想定されます。
- 松:保障内容が充実しており、貯蓄性もあるが保険料が高いプランA
- 竹:保障内容がやや絞られ、貯蓄性も少々ある保険料が割安なプランB
- 梅:保障内容は必要最小限・掛け捨てタイプで保険料を抑えたプランC
見込み客にさまざまなニーズがあるとしても、おおよそ上記の3パターンでニーズを満たせるケースが多いはずです。
営業担当者に「提案書は松竹梅」と徹底しておくことで、見込み客に決定回避の心理が芽生えるのを回避できるでしょう。
ドア・イン・ザ・フェイスを応用した営業戦略
次に「ドア・イン・ザ・フェイス」と呼ばれる心理効果を応用した営業戦略を紹介します。
幅広い商材に活用できる心理効果のため、基本を押さえた上で営業戦略に取り入れてみてください。
ドア・イン・ザ・フェイスとは
ドア・イン・ザ・フェイスとは、ハードルの高い要求をした後にはより小さな要求が受け入れられやすくなるという心理効果です。
相手からの提案を一度断ったことにより、「断り続けるのは申し訳ない」という意識が生まれます。
はじめから本命の提案をするよりも、あえて難易度の高い提案を一度断ってもらうほうが成約しやすくなるのです。
BtoB・BtoCを問わず応用できる心理効果のため、積極的に取り入れていくことをおすすめします。
ドア・イン・ザ・フェイスを営業戦略に取り入れるには?
ドア・イン・ザ・フェイスを活用するには、前提として「当て馬」にするための提案が必要になります。
見込み客が十中八九断ってくると分かった上で、あえて提案する段階を踏む必要があるからです。
営業戦略にドア・イン・ザ・フェイスを取り入れる際には、成約確度が低いと思われる提案をいくつか用意しておく必要があります。
一例として、以下のような提案が考えられるでしょう。
- 本命の提案と比べて価格が高いプラン
- 契約期間が長く即決するのは難しいと思われるプラン
- 機能面などがオーバースペックと考えられるプラン
上記のような提案を断られたのちに、次に挙げる提案をすることでより検討しやすくなるはずです。
- より割安でお得感のあるプラン
- 契約期間が短く、自社に合わない場合は利用を停止できるプラン
- 機能面がよりシンプルで手軽な印象を受けるプラン
ドア・イン・ザ・フェイスの応用例
クラウド会計ソフトを提案する場合の営業戦略を例に考えてみましょう。
全ての機能をフル活用できる最も高額な年払いプランをあえて最初に提案します。
見込み客は「料金が高い」「契約期間が長すぎる」「自社に必要のない機能が含まれている」などの理由を挙げて断るでしょう。
第二の提案として、機能をやや制限した月額課金のライトプランを案内した場合、見込み客の心理はどう変化するでしょうか。
- 1ヶ月単位で契約が更新されるなら、翌月すぐに解約することもできる
- 不要な機能が少なく、自社に合っているかもしれない
- 想定していたよりも月額料金が安い
最初に断った原因が解消されたことにより、今度は「断る理由がない」状態になるのです。
見込み客の気持ちを後押しするように「1ヶ月のトライアル期間付き」などの条件を提示することで、成約率を高めることができます。
単純接触効果を応用した営業戦略
営業テクニックとして広く知られている「単純接触効果」も、営業戦略に応用可能な心理効果の1つです。
営業戦略に組み込んでおくことで、見込み客との接触機会を自然な形で増やしていきましょう。
単純接触効果とは
単純接触効果とは、接触回数が増えるほど相手に好感を抱きやすくなるという心理効果のことです。
見込み客との接触回数や接触頻度を高めることにより、親近感や信頼感を得やすくなる傾向があります。
注意点として、次の2つを踏まえておく必要があるでしょう。
- 悪い印象を与え続けると逆効果にもなり得る
- 接触回数は10回までが効果を得られる限度
営業活動に駆使する場合、しつこい印象を与えるなど相手が不快に感じかねない行動は控える必要があります。
接触回数が多ければよいわけではない点に注意してください。
単純接触効果を営業戦略に取り入れるには?
単純接触効果を営業戦略に取り入れるポイントは「仕組み化」することです。
見込み客とのタッチポイントをどう創出し、継続的にアプローチするにはどうすればよいのかを考えておく必要があります。
カスタマージャーニーマップを作成し、見込み客の視点に立ったタッチポイントを設計しましょう。
営業活動のフローに沿ってアプローチしていけば、見込み客との関係性を自然に築ける仕組みになっているのが理想です。
単純接触効果の応用例
単純接触効果を取り入れた営業戦略を紹介します。
- 展示会やセミナーで名刺交換をした人にお礼を兼ねてメールマガジンを案内
- メールマガジンで業界情報を定期的に配信
- メールマガジン内で実施するアンケートについて案内→回答してもらう
- 回答に応じてオウンドメディアの案内・郵送DM・ステップメールに振り分け
- ホワイトペーパーのダウンロードや資料請求を受け付けた見込み客を対象に商談設定
単純接触効果は期間が空いてしまうと効果が薄れることから、できるだけ短期間で接触機会を設けることが大切です。
単に繰り返し訪問するだけでは「しつこい」印象を与えかねないため、複数の媒体を活用することをおすすめします。
見込み客に「最近よく社名を見かける」と感じてもらい、会社名を自然と覚えてもらえるアプローチ方法を構築しましょう。
罰への欲求を応用した営業戦略
営業戦略に心理学を取り入れるメリットの1つとして、顧客の視点に立った提案がしやすくなることが挙げられます。
「罰への欲求」と呼ばれる心理効果を取り入れることで、より顧客の心理に寄り添った提案がしやすくなるはずです。
罰への欲求とは
罰への欲求とは、「良いことばかり続くはずがない」と無意識のうちに不安を覚える心理のことを指します。
人は「良い面しかない」とされる物事や出来事に対して、知りず知らずのうちに懐疑的になってしまうものです。
良いことばかり言う相手に対して「どこか胡散臭い」と感じた経験は誰にでもあるでしょう。
反対に、良い面も悪い面もあると正直に話してくれる相手に対して誠実な印象を受けるケースは少なくありません。
人が無意識のうちに受ける印象を把握しておくことは、営業戦略を考える上で非常に重要なポイントといえます。
罰への欲求を営業戦略に取り入れるには?
営業戦略に「罰への欲求」を取り入れるシンプルな方法として、メリット・デメリットの両面を伝えることが挙げられます。
セールスにおいては、どうしても自社製品やサービスの良い面ばかりを強調しがちです。
相手としては、メリット面しか伝えられないことで「実はデメリットもあるのでは?」と不安に感じる原因になりかねません。
あえて自社商品のデメリット面も隠さず伝えることにより、見込み客の不安要素を先回りして解消できるのです。
罰への欲求の応用例
罰への欲求は、主に商談やプレゼンの基本方針を決める際に活用できる心理効果です。
たとえば、キャッシュレス決済の導入を提案する場合の商談の流れを見ていきましょう。
- 他社と比べて手数料が特別安いというわけではない(デメリットを先に提示する)
- 導入店舗が多く、ユーザー数も多い(デメリットを上回るメリットを提示する)
- 経済産業省のデータによれば、キャッシュレス決済を利用できない店舗を避ける消費者も増えている
- ユーザー数の多い決済サービスを導入することは、お客様の満足度向上につながる
デメリットを先に提示した上で、デメリットを上回るメリットを客観的事実とともに伝えています。
見込み客としては、すでに不安・不満に感じる大きな要因が解消されているため、断る理由が少なくなるのです。
あらかじめデメリットを提示しておく手法を取り入れることは、営業戦略を考える上で重要な柱の1つとなるでしょう。
まとめ
心理学は担当者ごとの営業活動だけでなく、部門・部署全体の営業戦略を立案する際にも活用できます。
多くの人に共通する心理効果を取り入れることで、より本質的かつ顧客目線に立った営業戦略を立案しやすくなるでしょう。
今回紹介したポイントや具体例を参考に、ぜひ心理学を応用した営業戦略を立案してください。
再現性の高い営業戦略を構築できれば、営業部門全体のレベルアップにもつながるはずです。
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