- 新しいことになかなか挑戦できない
- いつも同じ選択ばかりしてしまう
- 仕事のやり方を変えられない
今現在の自分の状況や考え方を保ち続けることに安心感を覚えてしまう現状維持バイアスは、誰しもに働くと言われています。
しかし、現状維持バイアスに気づかないとなかなか成長できないだけでなく、気づかないうちにまわりと大きな差がついてしまうこともあります。
この記事では現状維持バイアスの原因や具体例を解説し、現状維持バイアスを外す方法を紹介します。
現状維持バイアスとは
現状維持バイアスとは慣れ親しんだ状態を「安定」と捉え、変化や別の選択をしたときの失敗を恐れて現状維持し続けようとする人間の心理傾向のことです。
普段と違う選択や未経験のことが必ずしも失敗するとは限りませんが、現状を「安定」と捉えているため、「変化すれば安定を失う」と考えてしまい、現状を維持しようとします。
しかし、現代では市場やトレンドの移り変わりが激しく、常に時代に合わせて変化していくことが求められます。
時代や周囲が変化し続けるなかで現状を維持することは、現状維持ではなく退化している可能性も十分にあるのです。
そのため、自身の現状維持バイアスに気づき、意識的に変化していくことを心がけるのがおすすめです。
現状維持バイアスを含む行動経済学の具体例を知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
現状維持バイアスの原因とは?
現状維持バイアスの原因はおもに次の4つの人間心理が影響していると言われています。
- 成功よりも失敗することにリスクを感じてしまう
- 損失を回避したい気持ちが働く
- 慣れ親しんだものを好む傾向がある
- 成功体験から行動や思考を変えようとしない
自身の普段の行動や考え方に当てはめながら、現状維持バイアスがかかっていないかチェックしてみてください。
成功よりも失敗することにリスクを感じてしまう
人間は成功よりも失敗に気を取られてしまうと言われています。
たとえば「部内で一位の業績をおさめること」と「部内で業績一位の地位を奪われること」では、後者の方が精神的ダメージが大きいと考える人も多いのではないでしょうか。
このように、人間は何かを得るよりも何かを失うリスクの方に意識を向ける傾向があると言われています。
その結果、「失敗するなら現状を変えない」という選択をしてしまうのです。
損失を回避したい気持ちが働く
人間は「損失を回避したい」という心理が働くと言われています。
たとえメリットがあるとしてもデメリットがあるなら回避したいという気持ちから、挑戦をあきらめたり、普段と違う行動をしないようにしたり、無意識のうちに現状を維持している可能性があります。
慣れ親しんだものを好む傾向がある
人間には「単純接触効果」といって、何度も見たものや使っているものに好感を持つという作用が働くと言われています。
無意識のうちに慣れ親しんだものに価値を感じ、高く評価していることが多いため、新しいものや未知のものを受け入れられず、現状維持につながるのです。
また、「デフォルト効果」も同様に現状維持バイアスに大きな影響を及ぼしています。
人間は初期設定を変更することに恐怖を感じる習性があるため、現状維持を好んでしまうのです。
成功体験から行動や思考を変えようとしない
物事で成功した体験があると、その体験をもとに考え方や行動を習慣化してしまうことがあります。
たとえば「過去にプレゼンに通過した資料の形式を変更したら、落選するのではないか」と考えたり、「前回の仕事がうまくいったときに青いネクタイをしていたから、今回も青いネクタイにしよう」などと考えることは誰しもあります。
一種の願掛けとも言える行動や思考も現状維持バイアスが働いている可能性があるということです。
成功した体験があるために「変えたら失敗する」と考え、現状維持を選択してしまうのです。
現状維持バイアスが強い人の特徴
現代では隣の街に行くために安全な環境と移動手段があるのが当たり前ですが、私たち人間が狩りをしていた時代では、村を出て知らない土地に移動することは大きな危険が潜んでいる可能性がありました。
つまり人間には変化=危険という考え方がインプットされているため、現状維持バイアスは誰にでも働く心理傾向なのです。
しかし、現状維持バイアスのかかり方には個人差があると言われています。
とくに次のような特徴がある人は、現状維持バイアスが働きやすいでしょう。
- 何かをするのが面倒くさいと思うことが多い
- その場の空気を読んでまわりと合わせることが多い
- 自分に自信がない
面倒くさがりな人は「何もしなくてもいい理由」を探す傾向があります。
そのため、「リスクがあるなら何もしない方がいい」と現状維持バイアスが強く働く可能性があるでしょう。
また、自分に自信がない人は失敗のリスクをより重く考えたり、「どうせ自分は成功するわけがない」と挑戦をためらったりなど、現状維持を好む傾向があります。
日本人は現状維持バイアスが働きやすい?
現状維持バイアスは誰にでも備わっている心理傾向ですが、とくに日本人は人の輪を大切にする傾向があるため、変化を嫌う人が多いかもしれません。
たとえば飲み会で最初にビールを注文する人が多かったら、飲みたくないのにビールを注文したり、多数決で数が多い方の意見に賛成したりなど、自分の意見を主張しづらい場面も多いでしょう。
「出るくいは打たれる」ということわざがあるとおり、日本では周囲と違う外見や意見を持つと後ろ指を指されやすい環境と言えるかもしれません。
また、古くからの形式や慣習などの伝統を重んじる文化が根強いのも、日本人に現状維持バイアスが働きやすい要因と言えます。
現状維持バイアスの例
気づかないうちに現状維持バイアスが働く場面はたくさんあります。
日常生活や恋愛、転職・ビジネスなどの場面で働きやすい現状維持バイアスの具体例を紹介します。
日常生活における現状維持バイアス
日常生活における現状維持バイアスには、次のような例があります。
- いつも同じ席を選ぶ
- 同じメニューを頼む
- サブスクリプションを解約しない
たとえば喫茶店で「昔ながらの元祖プリン」と「新開発のオリジナルプリン」を同時に販売すると、いくら新開発のプリンが優れた味でも旧メニューの方が売れやすいという特徴があります。
これは慣れ親しんだ味に安心感を覚える現状維持バイアスが働いているためだと言えるでしょう。
恋愛における現状維持バイアス
恋愛における現状維持バイアスには、次のような例があります。
- 関係が崩れるのが怖くて告白できない
- 愛情がないのに別れられない
- 1人の時間が楽だから恋愛はしたくない
たとえば友人のことが好きだけど告白できないのは、「恋人になれるかもしれない」というメリットよりも「友達ではいられなくなるかもしれない」というリスクの方が大きく感じてしまうためだと考えられます。
また、「愛情がないのに別れられない」「1人の時間が楽だから恋愛はしたくない」という状況は、現状に安定を感じているためと言えるでしょう。
転職・ビジネスにおける現状維持バイアス
転職・ビジネスにおける現状維持バイアスには、次のような例があります。
- ブラック企業だけど仕事がなくなるのが不安で辞められない
- 好条件の企業があるけれどなかなか転職に踏み切れない
- 業務のやり方やルールが変わると嫌な気分になる
たとえばブラック企業に勤めていたら、「いつかは体を壊すかもしれない」「このまま年齢を重ねたら転職しにくくなるかもしれない」という大きなデメリットがあります。
しかし、それでも転職しないのは、現状を維持しようとバイアスが働いているからだと言えるでしょう。
やる気が出ないときの対処法を知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
現状維持バイアスの外し方
もし自身に現状維持バイアスがかかっていると認識しても、いきなり現状を変化させるには不安を感じてしまうかもしれません。
しかし、考え方や行動を少し変えるだけでも現状維持バイアスから抜け出せる可能性があるので、ぜひ実践してみてください。
ビジネスで使える心理テクニックについて知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
現状維持バイアスがかかっていることを把握する
現状維持バイアスを外すためには、まず現状維持バイアスがかかっていることを把握する必要があります。
たとえば「朝は必ずコーヒーを飲む」「毎日決まった道を通る」といった日常的な行動でさえ、現状維持バイアスが働いているかもしれません。
もし無意識にいつもと同じ行動を取ったり、決まった方法で進めている業務があるなら「現状維持バイアスが働いているのではないか?」と疑ってみてください。
自身の思考や行動を見直すことで現状維持バイアスに気づけるかもしれません。
数字やデータをもとに物事を判断する
成功体験や自身のデフォルトをもとに物事を判断するのではなく、数字やデータをもとにすると現状維持バイアスにとらわれない客観的な判断ができるでしょう。
たとえば新しいツールを導入したとき、コストの増加や業務フローの変更などのリスクがありますが、残業時間の短縮や売り上げアップにつながっているのであれば、導入した方が生産性が向上しているとわかります。
もちろん従業員の意識や満足度は無視するべきではありませんが、数字やデータという明確な結果から物事を判断すると現状維持バイアスに影響されにくいでしょう。
メリットとデメリットをもとに判断する
数字やデータで判断するのが難しい場合は、メリットとデメリットも加味した上で判断するのがおすすめです。
新しいツールを導入したときの例であれば、「人的コスト削減につながる」「従業員のワークライフバランスが保てる」などの点をメリットとしてあげたとします。
しかし「業務フローが大きく変わったことで従業員から不満が上がっている」「チームワークが低下している」などのデメリットがある場合、ツールの導入が必ずしもいい結果を招いているとは言い切れません。
メリットとデメリットをあげた上でどちらの割合が大きいか、対策することでデメリットはカバーできるかなど、第三者目線で物事を判断すると現状維持バイアスが働きにくいでしょう。
現状維持バイアスが働かない程度に行動を変えてみる
現状維持バイアスは現状を変化させようとすることによって働くので、思考や行動を大きく変化させるほど現状を維持しようとするバイアスが大きく働いてしまいます。
そのため、少しずつ変化をさせていくと現状維持バイアスが働くのを予防できるでしょう。
たとえば毎日早起きする習慣を身につけたいなら、「まずは30分だけ早く起きてみる」「週に1回だけ早起きする」など、少しずつデフォルトをずらしていくのがおすすめです。
現状を維持し続けることの損失を考える
現状を維持することで失敗を回避できるかもしれませんが、成功も得ることができないと認識する必要があります。
たとえば、効率が悪いとわかっていながら馴染んだ方法で業務を行うとします。
業務のやり方や順番を把握しているため、精神的には安定した状態で業務に取り組めるかもしれません。
しかし、周囲の人が効率的な方法で業務を進めたり、便利なツールを導入して生産性のある働きを見せたりしたらどうでしょう。
結果的に自身の評価が下がり、昇給や昇進の機会を損失するかもしれません。
このように、ベストな状態の現状維持は安定につながるかもしれませんが、問題がある状態の現状維持は後退につながると覚えておきましょう。
まとめ
「変化したくない」「失敗するのが怖い」という現状維持バイアスは、誰にでも働く心理傾向です。
しかし、自身に働いている現状維持バイアスに気づき、意識的にバイアスを外すことでやりたいことにチャレンジできたり、客観的に物事を判断したりなど、変化できる人になれるでしょう。
急激に移り変わる時代のなかで現状維持することは、安定ではなく後退につながりかねません。
現状維持バイアスを外し、なりたい自分を目指していきましょう。
年商5億円を超えさらなるスケールアップを目指す経営者必見!
あなたのビジネスをスケールアップさせる集客と組織作り、
さらに、成功事例やここだけのお得な内容をお届け致します。
#現状維持バイアス