- Z世代が重視しているという「コスパ」「タイパ」とは何か?
- Z世代は何にお金や時間をかけているのだろう?
- コスパ・タイパをマーケティング戦略に取り入れるには?
上記のような疑問を抱えていませんか?
今回は、Z世代が重視する「コスパ」「タイパ」の意味や、注目されている背景をについて解説します。
コスパ・タイパをマーケティング戦略に取り入れる際の注意点も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
コスパとは
はじめに「コスパ」について見ていきましょう。
コスパ重視の具体例や、Z世代が重視する背景について解説します。
コスパ=コストパフォーマンス
コスパとは「コストパフォーマンス」の略で、支払った費用に対して得られた効果を表す言葉です。
ビジネスシーンでもコストパフォーマンスという言葉が使われる場合がありますが、おおよその意味は同じと考えてください。
たとえば、全く同じ効果が得られる商品Aと商品Bがあるとします。
商品Aは1,000円、商品Bは1,200円だとすると、商品Aのほうが「コスパがいい」といえるでしょう。
コスパ重視の例
コスパを重視して物事を判断する具体例を見ていきましょう。
- 同じように音楽や映画を楽しむなら、月額定額で聴き放題・見放題のサブスクはコスパがいい
- 同じ程度の学費を払うなら、就職や転職に有利な学部・学科を選ぶほうがコスパがいい
- 同じ金額を支払うなら、リセールバリューが高い商品を購入するほうがコスパがいい
就職・転職やリセールバリューが好例であるように、将来的なリターンを見越してコスパを判断する場合もあります。
コスパを重視するといっても、「安ければいい」「お金をかけたくない」という単純な動機ではないケースも多いのです。
コスパと聞くと「費用の節約」に注目が集まりがちですが、中長期的な効果を見据えてコスパを判断している可能性があります。
Z世代はお金の使い方に対してシビアな目を向けている、といえるでしょう。
Z世代がコスパを重視する背景
Z世代という言葉は、1990年代後半から2012年頃までに生まれた世代の人々を指しています。
2023年時点で10代〜20代前半にあたるのがZ世代です。
Z世代が育ってきた年代に起きた主な出来事を振り返ってみましょう。
年代 | 主な出来事 |
1995年 | Windows95が発売され、インターネットが身近な存在となる |
2008年 | リーマンショックによる親世代の財政難や世の中の混乱を目にする Twitter・Facebookが日本でのサービスを開始する |
2010年 | iPhone4が発売され、スマートフォンが身近な存在となる |
2011年 | 東日本大震災の発生を目の当たりにする |
Z世代は生まれた時にはインターネットやデジタルデバイスがごく身近な存在となっていた「デジタルネイティブ」世代です。
同時に、リーマンショックや東日本大震災のように、日本経済が危機的な状況に陥る様子を目の当たりにしてきました。
日本が好景気だった時代を経験していないことに加え、物心ついた頃から情報過多の時代を生きてきた世代といえます。
何にお金を使うのか、出費にどのような意味があるのか、シビアに捉えるようになったのは自然な成り行きともいえるのです。
タイパとは
次に「タイパ」について見ていきましょう。
Z世代を象徴する言葉のように使われている「タイパ」ですが、実際にはどのような意味が込められているのでしょうか。
タイパ重視の具体例と重視されている背景について解説します。
タイパ=タイムパフォーマンス
タイパはコスパから派生した言葉で、タイムパフォーマンス(時間対効果)という意味で使われています。
同じ時間を費やすのであれば、できるだけ高い効果が得られる行動を選択することを表す言葉です。
たとえば、1冊の本を冒頭から末尾まで読むのに丸1日かかるとしましょう。
本の内容を分かりやすくまとめた動画が5分間で視聴できるとすれば、動画を観るほうが「タイパがいい」ことになります。
得られる効果に大きな差がないのであれば、できるだけ短時間で済むほうを選ぶのが「タイパ重視」の行動と捉えてください。
タイパ重視の例
タイパを重視して物事を判断する具体例を見ていきましょう。
- 同じ映画を観るなら、1.5倍速で視聴したほうが時間を節約できる
- 旅行先で観光地巡りをするなら、パッケージツアーのほうが効率よく回れる
- 店頭に出向いて商品を選ぶより、ECサイトで購入するほうが短時間で済む
単に時間を短縮できればよいのではなく、満足度を損なうことなく同等の効果を得ようとしている点が特徴です。
何にどれだけの時間をかけ、結果としてどれだけの効果が得られるのかを、合理的に判断していると考えられます。
映画を観る前にネタバレサイトをチェックし、内容が面白いと感じるかどうかを確認するといった行動もタイパ重視の1つです。
最小限の時間・労力で高い効果を得たいという心理の表れといえるでしょう。
Z世代がタイパを重視する背景
Z世代がタイパを重視する要因として、幼少期から情報過多の環境下で育ってきたことがよく指摘されています。
一方で、Z世代が友人など身近な人とのつながりを非常に強く意識していることが、タイパ重視を後押ししている面もあるのです。
共感し合える話題や共通の趣味が見つかることが、コミュニケーションの円滑化に役立つケースは少なくありません。
映画のストーリーを把握するのであれば、1.5倍速や2倍速で視聴しても「話題づくり」には事欠かないでしょう。
いかに効率よくコミュニケーションツールを取得するかが、Z世代にとって大きな関心事となっているのです。
Z世代の「コスパ」「タイパ」の実態
Z世代のコスパ・タイパの実態をより詳しく見ていきましょう。
Z世代は何にお金をかけてもいいと考えているか
BIGLOBEが実施した調査によれば、Z世代が「お金をかけてもいい」と思うものは多い順に次の結果となっています。
- 趣味・娯楽
- 食事
- 勉強
- 健康
- 恋愛
- 人間関係
- 家事
- 仕事
上記のうち、「趣味・娯楽」にお金をかけてもいい、という傾向はZ世代以外の世代も同様に最多の回答となっていました。
一方で、他の世代よりもZ世代が「お金をかけてもいい」と感じている割合が高かったのは「勉強」と「恋愛」です。
勉強を通じて知識を身につけることの投資効果を、Z世代の多くは理解しています。
Z世代にとって「コスパ」は単に出費を抑えるだけではなく、投資効果も意識していることが鮮明に表れた結果といえるでしょう。
Z世代は何に時間を使ってもいいと考えているか
同調査では、Z世代が「時間をかけてもいい」と感じているものについても回答を得ています。
回答の割合が高かったものから順に、次の結果となっていました。
- 趣味・娯楽
- 食事
- 勉強
- 健康
- 人間関係
- 恋愛
- 仕事
- 家事
「お金をかけてもいい」と思うものと傾向が似ているものの、「人間関係」がより上位にランクインしている点が特徴的です。
Z世代は人とのつながりや、身近な人との関係性を重要視していることが分かります。
Z世代にとってのタイパとは、「かけるべきところに時間をかける」ことを表しているといえるでしょう。
単に「効率重視」「何でも短時間で済ませたい」というスタンスで物事を捉えているわけではないのです。
「コスパ」「タイパ」という言葉に引きずられて、Z世代の実像を歪めて捉えることのないよう注意する必要があります。
コスパ・タイパをマーケティング戦略に取り入れる際の注意点
Z世代は近い将来、主要な消費者層となっていきます。
Z世代を意識したマーケティング施策を講じていくことは、多くの企業にとって重要な課題となっていくでしょう。
コスパ・タイパをマーケティング戦略に反映させる際には、次の点に注意しておく必要があります。
コスパ=安ければいい、ではない
Z世代が重視している「コスパ」は、「安ければ安いほどいい」「高いものは買いたくない・買えない」という文脈ではありません。
企業としても、商品価格をむやみに安く設定したり、低価格帯の商品ラインナップを無理に充実させたりする必要はないのです。
Z世代は他の世代と比べて、費用対効果や投資対効果をシビアな目で見ています。
中長期的に付加価値を提供していくビジネスモデルや、顧客との関係性を長く維持していく仕組みを考える必要があるでしょう。
タイパ=速ければいい、ではない
タイパに関しても、単に「速ければいい」「時間をかけたくない」という文脈で捉えるべきではないでしょう。
友人やパートナーと過ごす時間を充実させられるのであれば、「時間の無駄だった」とは感じてしまう可能性が下がるからです。
ロングセラー商品の「ぺヤングやきそば」は、「メガマックス」や「ペタマックス」といった大盛り企画で人気を博しました。
「絶対に1人で食べないでください」と注意書きがある通り、複数人でシェアして食べることを想定しているのです。
Z世代をターゲットとした企画の好例といえるでしょう。
商品やサービスを活用するシーンを想定し、複数人でシェアできるものや体験を共有できるものを企画していくことが大切です。
従来の「効率重視」とは異なる
コスパ・タイパという言葉は、従来の意味での「コストパフォーマンス」の延長線上で捉えられがちです。
効率化や省力化を連想させる言葉のため、解釈を間違えるとマーケティング戦略の方向性を大きく見誤るリスクを孕んでいます。
たとえ時間や費用を削減できたとしても、肝心な「効果」や「体験」が得られないと感じれば、Z世代は関心を示さないでしょう。
重視すべきは時間や費用を削減した「結果」であって、削減すること自体が目的ではないのです。
「時短につながる」「早くできる」といった、表層的なセールスポイントを打ち出すことのないよう注意してください。
無意味なコストの負担を強いないことが重要
Z世代はお金や時間を費やすことで得られる効果に対して、シビアな目を向けています。
裏を返せば、無意味な出費や時間の浪費につながりかねない行動は極力避けたいと考えているはずです。
購入する際に手間がかかったり、効果が不明の段階で費用が発生したりする仕組みは極力避けるのが得策でしょう。
無料体験や少額のお試し期間を設け、お金や時間を費やす意義があることを実感してもらうことが大切です。
スキマ時間の有効活用がポイント
今後、Z世代をターゲットにしたビジネスは、消費者の「可処分時間」を取り合っていくことになるはずです。
1日が24時間しかないことは、どの世代にも共通しています。
友人と過ごす・趣味を楽しむ・SNSや動画を見るといった行動は、必ずしもお金がかかるものではありません。
一方で、1人1人の消費者が費やすことができる「時間」に限りがあるのは明白です。
まとまった時間を確保しなくても、スキマ時間に活用できる商品やサービスは、今後も人気を博していくでしょう。
まとめ
コスパ・タイパという言葉は、Z世代を象徴するキーワードとしてメディア等で広く取り上げられました。
お金を節約したい・時間をかけたくないといった表層的な捉え方をすると、Z世代のニーズを大きく見誤る恐れがあります。
言葉のイメージに囚われず、Z世代が実際にどのような行動を取っているか、背景や心理を深く追求していくことが大切です。
今回紹介したポイントを参考に、ぜひZ世代に「刺さる」マーケティング戦略を検討してみてください。
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