値下げ競争はやりたくない!不毛な価格競争に陥らないための方策5選

最終更新日: 2023/12/06 公開日: 2023/12/06

「値下げ競争で疲弊している…」
「値下げをしなくても売れる方法はある?」
「競合が値下げしてるから、自社も値下げしないとだめ?」

このようなお悩みはありませんでしょうか?

自社の商品やサービスが売れない場合、値下げを考える経営者もいるでしょう。しかし、値下げをすれば短期的な効果はありますが、長期的に見た場合、経営に悪影響となることが多いのです。

この記事では、値下げ競争に参加してはいけない理由と値下げ競争を避ける方法について説明します。

市場価格はどのように決定するのか

市場価格は基本的に需要と供給の量で決まります。

供給(企業が販売する商品の数)が需要(消費者が買う量)より多ければ、商品が売れ残り価格が安くなります。逆に需要よりも供給が少なければ、商品が足りなくなり消費者の取り合いになるため価格が上がるのです。

需要と供給が変化すれば、市場価格も自然に変動することを「価格の自動調節機能」と言います。

1つの企業が市場を独占したり少数の企業が寡占したりすれば、価格の自動調節機能は働かず、企業の意思で高価格の設定をすることも可能ですが、市場にとって良い状況とは言えません。

2019年には当時の菅官房長官が、携帯電話の大手3社が市場を寡占している状況を解消し、企業間の競争を促した例があります。

値下げ競争が起こる3つの理由

どの企業も自社の商品やサービスを高値で販売したいと思っていますが、どうしても値下げ競争に発展してしまうこともあります。

値下げ競争になってしまう原因3つを解説します。

  1. 商品・サービスの質が同じであれば、安い価格が選ばれるから
  2. コモディティ化してしまっているから
  3. 需要と供給のバランスが崩れているから

自ら値下げ競争を仕掛ける企業もありますが、市場の論理で値下げ競争が発生することが多いです。

1. 商品・サービスの質が同じであれば、安い価格が選ばれるから

消費者は同じ品質の同じ商品であれば、1円でも安く買いたいと思っています。

消費者は安いものを購入して失敗しても、金銭的な損失が少なくて済みます。また、似たような商品・サービスであれば比較検討する時間をかけずに、値段だけを見て選ぶこともあるでしょう。

つまり、商品やサービスに明確な違いがなければ価格が判断基準となり、最も安いものが購入されてしまうのです。

2000年代には牛丼のチェーン店で値下げ競争がありました。最初、松屋が390円の牛丼並盛りを290円に値下げして販売したところ、すき家や吉野家が280円に値下げして対抗。

その後、BSEによる牛肉不信や消費税の増税により値下げ競争は落ち着きました。

2. コモディティ化してしまっているから

コモディティ化とは、どの企業も商品・サービスの品質や機能を向上させた結果、どの企業の商品・サービスも同じクオリティのものを販売するようになった状態のことです。

通常であれば、品質や機能が良くなれば高く販売することができるのですが、どの企業の品質も高止まりしてしまい、値下げしないと売れなくなってしまうのです。

コモディティ化は家電製品でよく起こっています。薄型テレビは地上デジタル放送の開始に合わせて普及しました。日本の生産技術は高水準を保っていますが、海外の高品質で安い薄型テレビにシェアを奪われつつあります。

テレビの機能は番組を視聴することで、品質は画質です。画質良く番組を見られることがテレビの価値で、他の価値をつけづらいためにコモディティ化が進んでしまうのです。

3. 需要と供給のバランスが崩れているから

市場価格は需要と供給の量で決まるため、供給が需要よりも増えすぎると値下げ競争に陥ります。

供給が多すぎれば、消費者は同じものはいくらでもあるから安いものを選ぶようになります。自社商品・サービスを売るには価格を下げるしかなくなります。

コロナ禍で宿泊業界は需要と供給のバランスが一気に崩れてしまいました。旅行や外出する人がいなくなり、客室を埋めるために宿泊料金をどんどん下げるしかなくなったのです。

今ではかなり元に戻りましたが、コロナ禍が終わり旅行需要が高まると、逆に供給より需要が増えたため宿泊料金が高額になりました。

値下げ競争を避けるべき4つの理由

値下げ競争はどんな企業もできる限りしたくないことでしょう。値下げ競争はデメリットばかりでメリットがありません。

ここでは、値下げ競争が及ぼす影響と避けるべき理由について説明します。

  1. 利益が減るから
  2. リピーターを育成できなくなるから
  3. 価格が持続的な競争優位性にはならないから
  4. 中小企業は大企業に勝てないから

無理な値下げは企業にとっても消費者にとっても良いものではありません。適切な価格で差別化を図る方が将来の発展につながります。

1. 利益が減るから

値下げをすると薄利多売となるので値下げ前よりも多くの商品・サービスを売らなければなりません。値下げをしても同じ数しか売れない場合、企業の利益が減ってしまいます。

利益が減ってしまうと、事業の拡大や新商品の開発ができません。人件費も抑えなければならないため、従業員の昇給やボーナスの支給ができず不満が生まれるでしょう。

結果として競合企業よりも商品・サービスの質が落ちてしまい、値下げをしても売れない悪循環を招く恐れがあります。

2. リピーターを育成できなくなるから

値下げをすると短期的に売り上げは増えるかもしれません。しかし、安い価格で購入した消費者は、自社の商品・サービスに惹かれたのではなく価格に惹かれていることが多いです。

スーパーのチラシを比べて安いスーパーはどこかと探している人を思い浮かべれば想像にたやすいでしょう。

値下げをやめて定価に戻した途端に購入しなくなる消費者はたくさんいます。価格の安さで購入を決める消費者は、様々なお店で売られている価格を比較検討し安いお店で購入するため、自社のリピーターにはなりません。

また、値下げをすることは消費者の価格感応度を高めてしまいます。価格感応度とは、消費者が購入するときに価格がどれだけの影響を与えるかを数値化した尺度のことです。

企業は値下げしてお得感を生むよりも、この金額でも購入したいと思ってもらえるような商品・サービスを作り価格設定をする必要があります。

3. 価格が持続的な競争優位性にはならないから

持続的な競争優位性とは、長期的に競合企業と差別化し強みを持っている状態のことです。

値下げはどの企業でもできる差別化のため、自社が値下げをしても競合企業も同じ価格に下げてしまえば、持続的な競争優位性にはなりません。

競争優位性は低コストであることも条件になりますが、低コストだけでなくクオリティの高さなども伴っている必要があります。「安かろう悪かろう」では、市場で競合に勝つことはできないのです。

4. 中小企業は大企業に勝てないから

中小企業は大企業よりも「ヒト」「モノ」「カネ」の経営資源が少ないです。値下げ競争をすると、経営資源が多い方が経営体力があるため大企業が勝ちます。

大企業は値下げする商品・サービス以外にも取り扱う商品があるため、急激に値下げして落ちた売り上げをほかの商品で補填することができるでしょう。

中小企業は値下げ競争をするよりも、大企業にはできない付加価値を付けるなどの商品の価値で競う方が勝てる見込みがあります。

値下げ競争を避ける方法5選

競合企業が値下げ競争を仕掛けてきても対抗しなくて良いようにするには、以下のような方法があります。

  1. ターゲットを変更する
  2. 自社のブランドを確立する
  3. 商品・サービスに価格以外の付加価値をつける
  4. 顧客に必要な情報を提供する
  5. 顧客と従業員の両方の満足度を高める

値下げ競争が起きた場合、自社のポジショニングやブランディングが大事になります。マーケティング戦略にもかかわるポイントですので、自社が目指す方向性を日ごろから明確にしておきましょう。

1. ターゲットを変更する

ターゲットとなる見込み顧客を競合企業と被らないようにすれば値下げ競争を回避できます。

商品が同じでも売り方を変えればターゲットを変更できます。

例えば、女性向け保湿クリームのターゲットを変える場合、20代なら「お肌をプルプルに保つ」という訴求として、40代なら「目元のしわを薄くする」という訴求の方が興味を引くかもしれません。

女性全体をターゲットにするのではなく、シェアを狭めることでターゲットのより深い悩みを解決する訴求ができるようになります。

ターゲットが何に悩んでおり、自社の商品・サービスでどのように解決できるのかを再度考えることが必要です。

2. 自社のブランドを確立する

ブランディングとは、ターゲットに対して「○○と言えば××」と企業や商品・サービスを認識してもらう取り組みです。

自社のブランドが確立すれば、顧客は企業そのものや商品・サービスに価値を感じ他社との差別化ができています。

顧客のニーズとブランドが合致していれば、値下げをしなくても顧客が離れることはありません。

ブランディングに取り組むには、以下の方法が有効です。

①自社の強みや弱みを明確にする

自社の強みや弱みを明確にするには、SWOT分析や4P分析が役立ちます。

SWOT分析は内部環境の自社の強み(Strength)と弱み(Weakness)、外部環境の機会(Opportunity)と脅威(Threat)を軸に分析するものです。

4P分析は自社の商品・サービスを製品(Product)・価格(Price)・Place(流通)・販促活動(Promotion)の4つの視点で分析します。

フレームワークを使うことで、自社の現状を客観的に把握できます。

②市場でのポジションはどこかを把握する

市場での自社のポジショニングは、ポジショニングマップで分析ができます。

ポジショニングマップは2つの購買決定要因を縦軸と横軸に設定し、自社商品と他社商品がどのポジションにいるかを可視化するものです。

自社のポジションと他社との関係性がわかるため、差別化やブランディングに役立ちます。

③自社が顧客に提供する価値を決める

自社が顧客に提供する価値は競合企業との差別化になる部分です。ほかの企業がまだ顧客に提供できていない価値を探しましょう。

フレームワークでは3C分析やVRIO分析が役立ちます。

3C分析は市場(Customer)・自社(Company)・競合企業(Competitor)の3つを分析することで、競合が手を出していない領域で、市場ニーズがあり自社が得意とする分野が洗い出せます。

VRIO分析は価値(Valuable)・希少性(Rare)・模倣困難性(Imitability)・組織的(Organization)の4つの視点から競争優位性を測れます。

3. 商品・サービスに価格以外の付加価値をつける

値下げ競争に巻き込まれないためには、自社の商品・サービスに価格が変動しても変わらない付加価値が必要です。

付加価値は消費者にとって価値のあるもので、競合企業が真似できないものにしなければなりません。

消費者が他より高くても買いたいと思える付加価値

消費者にとっての付加価値は商品そのものだけでなく、消費者が嬉しく思う機能やサービスを含みます。

例えば、カラーバリエーションが豊富であることや、自分でカスタマイズができること、ギフトラッピングが無料などです。

ユニクロは店員が接客しないため、顧客が気を遣わずに見て回れるという価値があります。

顧客の「あったら嬉しい」を付加価値として提供することで、自社を選ぶ顧客が増えるのです。

競合企業が真似できない付加価値

自社が付加価値をつけると、すぐに競合企業が真似をしようとします。そのため、競合企業が真似できない価値を作り出さなければなりません。

自社が簡単に作れる価値は、他社にも容易に作ることができます。真似できない価値は、多くの試行錯誤を伴って作られた独自性や強みが複数組み合わさったものであることが多いです。

競合企業が真似できない価値のことをクリティカル・コアと言います。うわべだけ真似しても本質が違っていれば同じように成功することはありません。

スターバックスのクリティカル・コアは、オリジナルのBGMや内装、従業員の教育制度やフェアトレードのコーヒー豆の購入などが挙げられます。

他社がスターバックスを真似るには大きなコストがかかり、経営方針を変更しなければなりません。

クリティカル・コアは他社が真似できない大きな価値だと言えます。

4. 顧客に必要な情報を提供する

顧客は様々な悩みを抱えていますが、悩みに気づいていないことも多いです。企業が先回りして潜在ニーズを把握し、顧客に提案し悩みを解決できると伝えることが大事です。

SNSやブログなどを使うと継続的に情報提供ができます。興味関心の強いターゲットには、メールマガジンやウェビナーなどで深い悩みに対するアドバイスをするのも効果的でしょう。

顧客の潜在ニーズにアプローチすることで、課題に気づき購入につながります。すぐに成果が出なくても信頼関係の構築に役立ちます。

5. 顧客と従業員の両方の満足度を高める

価格以外の価値を感じて顧客満足度が上がった顧客は、自社に愛着を感じリピーターになってくれる可能性があります。

ロイヤルティの高い顧客は積極的に周囲に良さを伝えてくれるため、口コミからほかの顧客が生まれます。

従業員に関しても満足度が重要です。従業員満足度が向上すれば、働く姿を見た顧客の自社に対する印象が良くなり、顧客との信頼関係を築きやすくなります。

値下げ競争に陥らないためには他社が真似できない価値を生むことが重要

この記事では、値下げ競争が起こる状況や原因、値下げ競争を避けるための方法について説明しました。

企業が無理に値下げをすることで収益が減り、より良い商品を販売できずまた収益が減るという悪循環になります。

値下げという差別化はどんな企業でもできるため、ほかの企業も値下げをしてしまえば、また値下げをしなければならなくなる不毛な戦いです。

値下げ競争に参加しなくても良いように、自社のブランドを確立させ、他社が真似したくても真似できない価値を作りましょう。

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