SWOT分析とは?分析方法と活用のポイントを詳しく解説!

最終更新日: 2022/11/30 公開日: 2022/11/11

自社でSWOT分析をしたことはありますか。

SWOT分析はシンプルなフレームワークで多くの会社が活用していますが、あまりよくわからずに使っている人もいるのではないでしょうか。

1920年代に経営学者、ヘンリー・ミンツバーグが提唱したSWOT分析は、現代のビジネスでも重要なフレームワークの1つです。

この記事ではSWOT分析のフレームワークをどのように使うのか、分析手法を解説していきます。

SWOT分析とは?

SWOT分析は、内部要因と外部要因を洗い出し、現状を知ることで今後の戦略などに役立てるフレームワークです。

洗い出す項目である「Strength(強み)」「Weaknesses(弱み)」「Opportunities(機会)」「Threats(脅威)」の4つの言葉の頭文字をとって名付けられました。

プラス要因マイナス要因
内部要因Strength
強み
Weaknesses
弱み
外部要因Opportunities
機会
Threats
脅威

SWOT分析をすることで、現状の把握ができ、問題点の洗い出しと、今後の動きを

横軸は内部要因と外部要因に分けられ、自社がコントロールできる要因を内部要因、コントロールできない要因を外部要因と言います。

縦軸は自社にとってのプラス要因とマイナス要因に分かれています。

外部要因「機会」と「脅威」とは?

外部要因とは、自社ではどうすることもできない環境や事象のことを言います。

  • 市場規模
  • 市場の成長
  • 競合の成長
  • 顧客のニーズの変化
  • ライフスタイルの変化
  • 政治の動向
  • 経済成長、景気
  • 法律の制定、緩和

以上のような外部要因は、マクロ環境とミクロ環境に分けられます。

マクロ環境とは、政治や経済、法律、文化などの大きな環境要因のことで、ミクロ環境は顧客、競合、市場のような小さな環境要因のことを言います。

外部要因の中で、自社にとってビジネスチャンスになる環境の変化が「機会」です。

例えば、景気回復、法律の緩和、流行などが挙げられます。

逆に、「脅威」は自社に危機となる環境の変化です。災害や気候変動、戦争なども脅威に当たります。

外部要因「機会」と「脅威」を見つける方法

機会と脅威を見つけるには、客観的なデータの収集やフレームワークの利用が効率的です。

  1. 公的機関や調査会社の統計データから抽出
  2. 市場調査での情報収集
  3. 外部要因を分析するフレームワーク

それぞれ詳しく説明していきます。

公的機関や調査会社の統計データから抽出

政府がまとめているデータには、国勢調査や消費者物価指数、身長・体重の平均値など、多岐に渡ります。

地方自治体はそれぞれの住民に関するデータ(人口、世帯数、自然環境、教育、健康など)が網羅されています。

このような統計データから、自社の外部要因を数字で客観的に把握できるでしょう。

調査会社には得意とする分野があり、細かく外部要因を把握することに役立ちます。

例えば、株式会社帝国データバンクは、企業の信用調査やマーケティングに強く、企業の倒産情報や業界の動向など、最新の情報を手に入れることができます。

オンラインリサーチを得意としている株式会社マクロミルでは、様々なテーマのオンラインアンケートを頻繁に実施し、ユーザーからの回答をもとにデータを抽出しています。

自社独自の市場調査での情報収集

自社独自で市場調査をすると、ほしい情報をピンポイントで収集することができます。

自社の商品の評価や顧客のニーズなどは、独自にアンケートやインタビュー、ネットリサーチなどで市場調査をする必要があります。

特にインタビューは数値化できないデータをとることができ、顧客の心理を図ることも可能です。

最近では、SNSも市場調査によく使われており、キャンペーンなどを利用してユーザーの興味関心をリサーチしています。

外部要因を分析するフレームワーク

外部要因を分析するフレームワークとしてPEST分析と、ファイブフォース分析があります。

PEST分析

PEST分析は、自社を取り巻くマクロ環境を「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の4つの視点で洗い出すフレームワークです。

これら4つの分析対象は、長期的な戦略立案に向いているとされています。

Politics
(政治)
法律の規制・規制緩和、増税・減税、政権交代、政府の動向、外交など
Economy
(経済)
景気の動向、円高・円安、インフレ・デフレ、経済成長率、失業率など
Society
(社会)
人口増加・減少、世帯数、教育、文化、世論、健康、環境など
Technology
(技術)
技術革新、特許、ITなど

ファイブフォース分析

ファイブフォース分析は、自社の脅威となる環境を「競合の脅威」「新規参入の脅威」「代替品の脅威」「売り手の交渉力」「買い手の交渉力」の5つの視点で考えるフレームワークです。

競合の脅威競合の数・知名度・資金力・ブランド
市場の規模・成長率など
新規参入の脅威新規参入者の技術力・資金力・ブランドなど
代替品の脅威代替品のクオリティ・コスト、代替品に乗り換える際の手間・料金など
売り手の交渉力売り手の数、自社との力関係、乗り換えられる場合のコストなど
買い手の交渉力価格設定・競合の状況・市場規模など

ファイブフォース分析はミクロ環境の脅威を洗い出すフレームワークですが、活用することにより業界全体の構造や収益性がわかります。

内部要因「強み」と「弱み」とは?

内部要因は、自社が変化を加えられる要因のことです。

  • ブランド力
  • 資金
  • 認知度
  • 立地
  • 価格
  • 品質
  • 技術力
  • ノウハウ
  • インフラ
  • サービス

以上のような要因の中で、自社が得意とすることや長所は「強み」となり、短所や不得意な点は「弱み」となります。

強みと弱みは表裏一体であり、外部要因によっても強みと弱みの判断が変わります。

内部要因「強み」と「弱み」を見つける方法

強みと弱みの収集方法には、以下のようなものがあります。

  1. 顧客の意見を収集
  2. 競合他社との比較
  3. 従業員や第三者の意見を収集
  4. 内部要因を分析するフレームワーク

自社の内部要因の洗い出しをすると主観が入りがちですが、客観的に情報収集することが重要です。

1. 顧客の意見を収集

顧客がなぜ商品・サービスを購入してくれるのか、リピーターとなってくれているのかなど、顧客が自社商品・サービスを購入する理由を明らかにすることで、強みがわかります。

その逆も然りで、なぜ商品・サービスが購入されないのか、顧客が離れていくのかを突き詰めれば、弱みがわかります。

顧客に直接質問したり、アンケートを募ったりして、多くの意見・感想をもらいましょう。

2. 競合他社との比較

競合他社と比較すると、自社が優れている点、劣っている点がわかりやすいです。

競合店を見学したり、競争商品を試したり、競合他社のSNSやホームページを分析したりすることで、自社との違いが浮き彫りになります。

3. 従業員や第三者の意見を収集

自社の従業員や自社に関わる第三者の意見も、内部要因を知るには貴重です。

従業員も立場や部署の違いで意見が異なるため、様々な役職、一般社員、部署にアンケートを取ると効果的です。

4. 内部要因を分析するフレームワーク

内部要因を分析するフレームワークには、VRIO分析と、バリューチェーン分析があります。

VRIO分析

VRIO分析は自社を4つの項目に分けて分析するフレームワークです。

「Value(経済価値)」「Rarity(希少性)」「Inimitability(模倣困難性)」「Oraganaization(組織)」の4つの頭文字をとっています。

それぞれの項目では、以下の点について考えます。

Value
(経済価値)
自社商品・サービスなどが社会に対してどのような価値を生み出しているのか
Rarity
(希少性)
自社商品・サービスにどれくらいの希少性があるのか
競合他社と差別化できているのか
Inimitability
(模倣困難性)
自社商品・サービスは模倣されやすいのか
競合他社は現れやすいのか
Oraganaization
(組織)
どのような自社組織なのか
自社の人材・組織は経営資源を活かせているのか

VRIO分析をすることで、自社の強みや弱みを客観的に把握することができます。

バリューチェーン分析

バリューチェーン分析は、自社の事業を主活動支援活動に分け、どの活動に価値があるのかを分析するフレームワークです。

主活動製造、出荷、物流、販売、マーケティング、アフターサービスなど
支援活動技術開発、人事、労務、経理、管理など

バリューチェーン分析をすることで、自社内部の強みと弱みを洗い出すことができます。

クロスSWOT分析とは?

クロスSWOT分析は内部要因と外部要因を掛け合わせる分析手法です。

  • 強み×機会(積極性)
  • 弱み×機会(改善)
  • 強み×脅威(差別化)
  • 弱み×脅威(回避・撤退)

それぞれの要因だけでは効果的な戦略を策定することは難しいとされています。

掛け合わせることで外部要因に対して、自社がどう動くべきかが明確になります。

強み×機会

「強み×機会」は、自社がビジネスで最も優位となり、最優先とするところです。

自社の得意とすることをビジネスチャンスに活かす戦略で、他の戦略にも良い影響を与え、自社の成長に直結します。

弱み×機会

「弱み×機会」は、ビジネスチャンスはあるのに、自社が不得意とする部分であるため、活かしきれていないところです。

自社の弱みを改善したり、課題を解決したりすることで、ビジネスチャンスをつかむ必要があります。

弱みを改善するには、長い時間がかかることが多いため、長期的な視点で戦略を立てましょう。

三和交通というタクシー会社では、ダンスが苦手な男性社員がTikTokでダンスを披露し、話題になりました。

動画が若者に受け、新卒の入社希望が増えたそうです。

三和交通では社員の高齢化が課題でしたが、TikTokで採用チャンスをうまくつかんでいます。

強み×脅威

「強み×脅威」は、脅威に対して自社の強みを最大限に活かして難局を乗り切る戦略です。

例えば、富士フイルムホールディングス株式会社では、デジタルカメラの普及により写真フィルムが売れなくなりましたが、写真フィルム製造のノウハウを活用して化粧品をつくり、大ヒットとなりました。

「デジタルカメラの普及」という驚異に対して、自社が持つ強みである写真フィルム製造ノウハウで切り抜けた「強み×脅威」の良い事例です。

弱み×脅威

「弱み×脅威」は、脅威から自社を守るための戦略です。

脅威が大きすぎると、事業の撤退なども考えなければならなくなるでしょう。

少しでも脅威の影響を減らすために、BCPの作成も重要です。

BCPとは、自然災害などの大きな脅威に際しての事業継続計画のことです。

人間の力ではどうしようもできない大きすぎる脅威が起きたとしても、会社は「ヒト・モノ・カネ」を守らなければなりません。

BCPを策定することで、事業縮小や撤退を防止することができます。

SWOT分析のポイント

SWOT分析はシンプルなフレームワークですが、ポイントを押さえておかないとうまく分析をすることができません。

  1. 目的を明確にする
  2. 様々な分野からメンバーを選ぶ
  3. 先に外的要因から分析する
  4. 小さな事柄でも見逃さない

上記4つのポイントに気を付けてSWOT分析を活用しましょう。

1. 目的を明確にする

SWOT分析は商品1つ1つに対しても、事業全体に対しても使えるフレームワークのため、何のためにSWOT分析を使うのかを明確にする必要があります。

なんとなく分析をしても具体的な結果は得られません。

分析をするメンバーが同じ目的を共有し、分析を進めましょう。

2. 様々な分野からメンバーを選ぶ

SWOT分析には、様々な視点が必要です。

自社の強みや弱みを洗い出す際には、すべての部署のアルバイトや一般社員から役職者にいたるまで、聞き取りやアンケートを集めます。

営業部の視点、人事部の視点も違えば、アルバイトの視点、一般社員の視点、役職者の視点も異なるため、視点が偏らないように配慮する必要があるからです。

顧客からアンケートをとる際にも、年齢、性別、職業、居住地などで回答が変わる可能性があります。

結果を公平に見るためにも、SWOT分析をするメンバーは各部署から集めるなど、メンバー選びに工夫をしましょう。

3. 先に外的要因から分析する

SWOT分析は、外的要因から分析を始めます。

なぜなら、外的要因によって、内的要因の強みが弱みに変わったり、弱みが強みになったりするからです。

例えば、大量生産で安く販売できることが強みだと考えていても、顧客が「高くても他とは違うもの」に価値を感じていれば、「大量生産で安い」という強みは弱みになってしまいます。

4. 小さな事柄でも見逃さない

SWOT分析では、どんな小さな事柄でも見逃さず、洗い出しましょう。

取るに足らない強みと思っていたことが、別の視点では重要な強みになることもあります。

そのためにも、様々な分野のメンバーを集める必要があります。

SWOT分析で正しく現状を知りましょう

この記事では、SWOT分析の方法を解説しました。

SWOT分析をすることで、企業の現状を様々な視点で把握することができます。

自社の戦略を策定する際にも、部署ごとに目標を立てる際にも、商品・サービスの販売計画を立てる際にも、SWOT分析を使えるので、ぜひ活用してください。

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最終更新日: 2022/11/30 公開日: 2022/11/11