- 自分は起業家に向いているタイプなのだろうか?
- 起業に向いている人にはどんな特徴がある?
- 起業に求められるのはどんな能力・資質なのか?
上記のような疑問を感じたことはないでしょうか。
今回は、起業に向いている人の特徴と起業家としての適性、求められる能力・資質について解説します。
さまざまなタイプの起業家についても触れていますので、ぜひ参考にしてください。
起業の定義
近年、起業という言葉をよく耳にするようになりました。
皆さんの身のまわりにも、起業した友人や仕事関係の知り合いがいるかもしれません。
そもそも起業とは何を指しているのでしょうか。
まずは「起業」の定義について整理しておきましょう。
新たに事業を起こすこと
起業とは、一言で表すなら「事業を起こすこと」です。
起業家と聞くと、経営者とイコールというイメージを抱く人も多いでしょう。
経営者と起業家が重複する場合もありますが、もともとの定義は異なります。
- 経営者:会社組織などの経営に携わる人
- 起業家:自ら新しい事業を立ち上げた人
会社員として能力を認められて昇進し、会社役員に抜擢された人は起業家ではなく「経営者」です。
一方、自ら新しいビジネスアイデアを考案し、実行に移して事業化した人は「起業家」と呼ばれます。
起業家が起こした事業が会社組織になり、社長など経営陣に着任した人は「起業家」であり「経営者」でもあるのです。
起業=会社設立とは限らない
起業と聞くと「会社を立ち上げること」というイメージが強いかもしれません。
実際は、法人を設立するか否かを問わず、自ら事業を起こした場合は起業に含まれます。
個人事業主であっても、自身のビジネスアイデアを元に事業を運営していくのであれば起業と考えて差し支えないでしょう。
同様に、法人または個人事業主として従業員を雇うかどうかも起業の定義には含まれていません。
従業員を雇わず外部の事業パートナーとビジネスを推進していく場合も、自ら立ち上げた事業であれば起業と呼べるのです。
起業家のタイプ
起業家と一口に言っても、実はさまざまなタイプの人がいます。
どのタイプが正解というものではなく、事業の性質や本人の性格や気質によって適したタイプがあるのです。
代表的な起業家のタイプを見ていきましょう。
イノベーター
まだ世の中にないアイデアを生み出し、自ら事業にしていく人はイノベータータイプです。
イノベーター(革新者)とは、もともと「キャズム理論」で定義された少数派の層を指します。
・イノベーター(革新者):新たな製品・サービスを周囲の意見に左右されず使い始める人(2.5%)
・アーリーアダプター(初期採用者):新しいものを比較的早い段階で取り入れる人(13.5%)
・アーリーマジョリティ(前期追随者):流行に乗り遅れないよう、新しいものを取り入れる人(34%)
・レイトマジョリティ(後期追随者):過半数の人が商品などを使い始めてから取り入れる人(34%)
・ラガード(遅滞者):新しいものを取り入れることに否定的な人(16%)
ビジネスにおいても、まだ世の中に存在していない事業や前例のないビジネスモデルにはリスクが伴います。
市場にニーズがあるのか、事業として採算ベースに乗るのかが見えない状況でビジネスを始めることになるからです。
多くの人が懐疑的な目を向けようと、自身の信念に従って新事業を推進していく人がイノベーターと捉えてよいでしょう。
オポチュニスト
opportunistは「ご都合主義者」「日和見主義者」と訳され、一般的にはあまり良い意味で使われる言葉ではありません。
一方、起業家に対して用いる場合には「ビジネスチャンスを発見して要領よく活かす人」といった意味で使われることがあります。
現代のように市場がめまぐるしく変化する時代においては、ビジネスチャンスも刻一刻と移り変わっていくものです。
ビジネスになると直感した時点で、機を逃すことなく即座に行動できることは強みといえるでしょう。
自身の適性や実現したいことに囚われず、市場環境に合わせて行動できる人はオポチュニストタイプといえます。
社会起業家
社会問題を解決するための手段として、ビジネスを活用するタイプの人は社会起業家と呼ばれます。
「環境問題を何とかしたい」「就農率の低下に歯止めをかけたい」といったように、起業の動機が社会問題にあることが特徴です。
重要なポイントとして、事業を推進していくからにはボランティアとして働くのではなく、収益を生み出していく必要があります。
社会問題の解決と収益確保の両立を目指すのが社会起業家と捉えてよいでしょう。
シリアルアントレプレナー(連続起業家)
新たな事業を繰り返し立ち上げていくタイプの人は、シリアルアントレプレナーと呼ばれます。
1つの事業に一生涯を投じるのではなく、次々と新しい事業を手がけていく点が大きな特徴です。
一見すると飽き性のように思えますが、1つ1つの起業が大きな目的を達成するための行動であるケースが少なくありません。
たとえば「人と人を繋げたい」という目的で起業する人にとって、ビジネスの業種や分野は問わないこともあるでしょう。
ある時は飲食店と生産者を繋げ、ある時は消費者とクリエイターを繋げるといったように、幅広く活動する傾向があります。
ジャックオブオールトレーズ
いわゆる「何でも屋」のように、あらゆる分野にビジネスチャンスを見出し、事業を拡大していくタイプの起業家です。
元来は、幅広い仕事に対応できる職人を「どんなものも交換できるジャック」と呼び、揶揄する言葉として使われていました。
(※ジャックは英語圏に多く見られる男性の名。)
起業家の中には、非常に幅広い分野の事業を手がけている人がいます。
さまざまな分野に進出している多角経営の企業などは、まさしくジャックオブオールトレーズの好例といえるでしょう。
起業に向いている人の特徴7選
起業家としての適性や、求められる能力・資質にはどのようなものがあるのでしょうか。
起業に向いている人の主な特徴7選を紹介します。
行動力がある
起業するために重要な資質の1つに「行動力」が挙げられます。
多くの人は新しいことを始めるにあたり、入念に計画を立てたり、想定されるリスクを慎重に検証したりするはずです。
事業を始めるにあたって計画は必須ですが、計画に時間をかけすぎていると機を逃しやすくなります。
細かなリスクは意図的に度外視し、事業目標の実現を優先する必要があるでしょう。「スピード感」が高い人には、やはり信頼が集まります。
迷う前にまずやってみる、走りながら考えるといったことが自然にできる人は、起業家向きといえます。
困難な状況を楽しめる
手がけるビジネスの新規性が高ければ高いほど、事業を立ち上げてから困難に直面する確率も高まります。
まだ世の中に存在しない商品やビジネスモデルであれば、当然のことながら前例がありません。
困難に直面するたびに自らの頭で状況を判断し、ごく短時間のうちに意思決定していく必要があるでしょう。
次々と困難に見舞われたとしても、まるでゲームを攻略していくように状況を楽しめる人は起業に向いています。
やり抜く力(グリット)がある
起業家には「やり抜く力」が求められます。
フルマラソンに挑戦する際、走るフォームの研究よりも大切なのは「完走すること」です。
たとえ走るフォームの研究に打ち込むとしても、最終的な目的が完走であることを見失ってはなりません。
起業においても、起業家がまず目指すべきは「事業を形にすること」でしょう。
アイデア止まりではなく、現実の事業にしていくには「やり切る力」が必須といえます。
マクドナルドを現在のような世界的なグループに育てたレイ・クロック氏は、次のように述べています。
才能は違う——才能があっても失敗している人はたくさんいる。
天才も違う——恵まれなかった天才はことわざになるほどこの世にいる。
教育も違う——世界には教育を受けた落伍者があふれている。
信念と継続だけが全能である。
(『成功はゴミ箱の中に』レイ・クロック/ロバート・アンダーソン共著 プレジデント社)
起業の初期段階から、必ずやり抜いてみせるという覚悟と執念を持つことが求められるでしょう。
失敗したとしても、失敗から得た学びを即座に活かして挑戦を続ければ、最終的に失敗することはなくなります。
途中で諦めたり信念を曲げたりせず、信念を強く持ち深く貫き通せる人が起業に向いているのです。
リスクテイクできる
起業にはリスクが伴います。
事業に失敗すれば、多額の負債を抱える可能性も十分にあるからです。
多くの人はリスクの面に目を向けるため、できるだけリスクを抑えて失敗を回避する方法を考えます。
別の角度から見ると、多くの人がリスクを察知し、避けて通っている道にこそチャンスがあるのです。
リスクとチャンスはトレードオフの関係にあるため、大きなチャンスを手にするには大きなリスクを負わざるを得ません。
あえてリスクを取り、前例のないことに挑戦しようとする人は起業に向いているといえます。
自信家である
起業家として成功する人は、多かれ少なかれ自信家です。
多くの人がリスクを恐れて取り組もうとしないことに着手するのですから、自分に自信がなければ行動に移せないでしょう。
場合によっては、自信に特段の根拠がない可能性もあります。
大半の人が反対して考え直すよう諭すようなことでも、自分の判断を信じて前に進まなくてはなりません。
自信があると公言するかどうかを問わず、自分の考えや判断に自信を持てる人は起業に向いています。
お金に敏感である
起業すると、常にお金のことを考え続けなくてはなりません。
キャッシュフローの状況や将来の資金計画について考え続け、適切に対処していくには、お金に敏感でなければ務まらないでしょう。
事業の存続が危ぶまれる状況の大半は、お金の問題によって引き起こされます。
事業を継続し、成長させていくには、起業家自身がお金に敏感な面を持ち合わせていることが求められるのです。
人を頼ることができる
どのような事業も、1人で実現できることは限られています。
必要に応じて人を頼り、力を貸して欲しいと伝えられるかどうかは、起業家として重要な資質の1つといえるでしょう。
自分ができること・できないことを客観的な視点から把握し、人を頼る場面を適切に判断することが大切です。
事業に必要なスキル・能力と、現状の自分自身のスキル・能力のギャップを知っていなければなりません。
人を上手に頼ることができれば、自分1人では達成できなかった大きな成果を挙げられるはずです。
起業に向いていない人の特徴とは?
起業に向いている人がいる一方で、向いていない人もいます。
現状、次に挙げる特徴に該当していたとしても、自身の弱点を把握して補っていくことで、起業の道が開けることもあるでしょう。
起業の成功を妨げる要因となり得る特徴は、次の3つです。
安定志向
現状をできるだけ変えたくない・今の状態がずっと続いて欲しいと考えがちな人は、あまり起業に向いていません。
ビジネス環境や顧客のニーズ、事業フェーズなど、あらゆる状況は刻一刻と変化していきます。
現状を一切変えないまま、同じ状態に維持するのは極めて困難でしょう。
変化の兆候を察知し、一歩先を読んで対応していく柔軟性が求められます。
安定志向は、柔軟な対応を妨げる要因となり得るのです。
起業を目指すのであれば、現状維持の安定志向から脱却する必要があります。
全てを自力で解決しようとする
課題や困難に直面した際、常に自力で解決しようと試みるタイプの人は起業家向きではありません。
現状の自分が持ち得るスキルや能力では到底解決できない問題が、起業すると折り重なっていくことが想定されます。
1つ1つの問題を自分で解決しようと考えていると、間もなく限界が訪れるはずです。
必要に応じて人を頼り、自分にはないスキルや能力を持つ方々に協力してもらう必要があります。
困っている時は困っていると表明し、人を頼ることを恥と思わないマインドが求められるのです。
物事を自分で決められない
必要に応じて人を頼りつつも、事業目標の達成に向けたアクションや具体的な施策は自分で判断しなければなりません。
重要な決断を自分で下せないタイプの人や、人の意見に流されやすいタイプの人は、プレッシャーに耐えられない可能性があります。
人の意見を取り入れながらも、最終的な判断は自分で下せる人でなければ起業はプレッシャーでしかないでしょう。
目指すべきゴールを決して見失わず、物事の判断を最終決定できることは、起業するあたって必須の資質なのです。
まとめ
起業の定義は幅広く、規模の大小や組織形態を問わず「自分で事業を立ち上げること」は起業に含まれます。
小規模の事業であっても、自身のアイデアをビジネスにしようと決めた瞬間から誰しも起業家になれるのです。
起業に向いている人の特徴に自分が当てはまっているか、現状不足している資質は何であるか、ぜひ見極めてください。
起業に適した思考や特性を意識していくことで、起業の道が開ける確率が一段と高まるはずです。
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