- マーケティングの「7P」とは、どのような理論なのだろう?
- 4P/4Cは知っているが、7Pは何が違うのか?
- サービスなどの無形商材を効果的に販売戦略がないだろうか?
上記のような疑問を抱えていませんか?
今回は、無形商材のマーケティング戦略として知られる「7P」理論について基本からわかりやすく解説します。
7Pを活用した有名な事例も挙げていますので、ぜひ参考にしてください。
7Pを理解するための基礎知識
7Pを理解する上で重要なキーワードとして、次の3つが挙げられます。
- マーケティングミックス
- サービスマーケティング
- 4P
それぞれ基本知識を整理しておきましょう。
マーケティングミックスとは
マーケティングという言葉が指し示す範囲は非常に幅広いのが特徴です。
マーケティングをプロセスごとに分解すると、下記の3ステップに分けられます。
- 市場環境の把握
- 戦略立案
- 戦術立案
戦略とはターゲットを特定し、市場に提供するべき価値を明確にすることを指します。
戦術とは、戦略を実行へと移すための具体的な施策のことです。
マーケティングミックスは「戦術立案」に含まれます。
今回紹介する「7P」は、マーケティングミックスにおいて活用されるフレームワークの1つです。
サービスマーケティングとは
サービスマーケティングとは、サービスをはじめとする無形商材を売るためのマーケティングのことです。
フィリップ・コトラーはサービスを次の4要素を備えたものと定義しています。
- Intangibility(無形成/非有形性):形がないため、購入前に触れたり味わったりできない
- Simultaneity(同時性/不可分性):生産と消費が同時に起こるため、やり直しがきかない
- Perishability(消滅性/非貯蔵性):形として残せないため、需給管理が複雑になりやすい
- Heterogeneity(異質性/変動性):担当者やタイミングによって品質にムラが生じやすい
上記はいずれもプロダクトなどの有形商材には見られない特徴です。
無形商材の特性に合ったマーケティングのあり方を追求した結果、誕生したのがサービスマーケティングといえます。
4Pとは
モノを売るためのマーケティング戦術において、特に有名なフレームワークに「4P」があります。
4Pとは、下記の4つの要素の頭文字を取った理論のことです。
- Product(製品)
- Price(価格)
- Place(流通)
- Promotion(販促)
製品が生み出されてから顧客のもとに届くまでの過程において、具体的に検討しておくべきことを表しているのが4Pです。
一方で、4Pはあくまでも有形商材を前提とした理論といえます。
さまざまなサービスが提供されている現代においては、有形商材を想定した理論ではカバーし切れないケースが多々出てきました。
4Pを補うためのフレームワークとして考案されたのが「7P」の理論です。
7Pの構成要素
7Pの構成要素は下記のとおりです。
- Product(製品)
- Price(価格)
- Place(流通)
- Promotion(販促)
- Personal(人)
- Process(プロセス)
- Physical evidence(物的証拠)
各要素について、詳しく見ていきましょう。
Product(製品)
Productとは、製品戦略のことを指します。
ターゲットのニーズに対応する製品とはどのようなものか、競合との差別化要因は何かを検討する必要があるということです。
例えば、製品のデザインや機能をはじめ、プロダクトライフサイクルなどの概念も含まれます。
一方で、良いものを作ったり、良質なサービスを提供しさえすれば必ず売れるとは限りません。
マーケティング戦術には、製品連略以外にも7Pのさまざまな要因が絡んでいるからです。
Price(価格)
Priceとは価格戦略のことを指します。
適正価格という言い方がありますが、あくまでも顧客にとっての適正価格でなければ売上を伸ばすのは難しいでしょう。
商品・サービスが提供できる価値や、競合他社の価格設定なども考慮した上で販売・提供価格を決定しなければなりません。
価格戦略には、値下げ戦略などの方針も含まれています。
安ければ売れるとは限らないのは、商品・サービスが提供する価値とのバランスが取れていることが重要な証拠の1つです。
Place(流通)
Placeとは流通戦略のことです。
どのようなチャネルで商品・サービスを提供するのか、販売ルートや在庫管理などを検討することを指します。
実店舗であれば最適な立地はどこか、ECサイトであればどのECモールを利用するか、といった戦術をイメージしてください。
商品・サービスの品質や価格設定に問題がなくても、販売する場所や販売方法を誤れば売れない可能性が高いと考えられます。
流通戦略を練っておくことは、しかるべき相手に効率よく商品・サービスを提供する上で欠かせない取り組みといえるでしょう。
Promotion(販促)
Promotionとは販促戦略のことです。
どのようにして商品・サービスを宣伝すれば、ターゲットに効果的に届くのかを検討することを指します。
例えば、Webサイトへの流入経路や広告によるPR活動、ユーザーコミュニティの形成・運営なども販促戦略の一種です。
売上を最大化させると同時に、より少ないコストで多くの顧客に認知してもらうために必要な戦術といえます。
Personal/People(人)
Personal/Peopleとは、サービスを提供する側・提供される側の「人」のことを指します。
サービス内容が同じであっても、対応の良し悪しによって顧客が受ける印象が大きく変わるケースは少なくありません。
優れた仕組みを整えていても、従業員が自社の提供する価値を十分に理解していなければ顧客満足度は高まらないでしょう。
「人」にはサービス提供に必要な関係者や協力会社なども含まれます。
顧客と直接的に接するのが委託先の事業者であっても、サービス品質の向上に「人」が大きく関わる点に変わりはありません。
Process(プロセス)
Processとは、サービスが提供される過程のことを指します。
サービスの価値は、提供される過程における顧客体験によって大きく左右されかねません。
一例として、次に挙げるような顧客体験をイメージするとわかりやすいでしょう。
- Webサービスの操作方法が複雑で、購入手続き完了までに時間を要した
- 宿泊サービスでチェックインやチェックアウトがスムーズに行えなかった
- 支払い方法が限られており、希望する決済手段が利用できなかった
顧客にとって上記はいずれもサービスの一部であり、不便に感じたり手間がかかったりした体験は評価の低下に直結します。
常に顧客の視点に立ち、ストレスを感じることなく利用できるサービス提供方法を追求していくことが大切です。
Physical evidence(物的証拠)
Physical evidenceとは、顧客の不安を払拭するための物的証拠のことを指します。
例えば、重要事項の説明や契約内容の確認、契約の事実を証明するチケットや契約書などはPhysical evidenceの好例です。
サービスは無形商材であることから、価格に見合ったサービスを受けられるのか顧客は常に不安を抱いています。
何らかの物的証拠を提示することにより、顧客に安心してサービスを利用してもらうことが大切です。
サービスの一貫性・統一性を維持し、顧客に不安や疑念を感じさせないことも重要なポイントといえます。
Physical evidenceは、ブランドの世界観を築く上で重要な役割を果たしているのです。
7Pの活用事例
7Pを活用してサービスの付加価値を強化し、ブランド価値の向上を実現している事例を紹介します。
7Pのうちどの要素に注力したことによって、サービスの付加価値が高まったのかを読み解いていきましょう。
スターバックス
カフェチェーンのスターバックスは「Person/People」に力を入れたことで成功した好例といえます。
スタッフはマニュアル通りに対応するだけでなく、顧客ごとの状況に合わせた臨機応変に対応している点が大きな特徴です。
接客を通じて得た情報を元に、紙コップに独自のメッセージを書いてもらえるといった演出がよく知られています。
店舗スタッフの大半はアルバイト従業員で構成されているにもかかわらず、「スタバらしさ」を自発的に演出しているのです。
自社ブランドの価値を従業員に徹底して浸透させることにより、マニュアルを上回る顧客体験の提供を可能にしています。
マクドナルド
ハンバーガーチェーンのマクドナルドは「Process」を重視することで独自の地位を確立した事例といえます。
商品が提供されるまでの時間を秒単位で短縮し、スピード提供する仕組みを徹底して貫いている点が大きな特徴です。
注文の受付と商品の受け渡し場所を分けることで、商品の提供時間を極限まで短くしています。
「注文すればすぐに商品を受け取れる」ことが、同社が提供している価値の1つである点に疑いの余地はないでしょう。
サービスの提供方法を改善することが顧客体験の向上につながり、サービスの価値を高めることを立証している事例です。
オリエンタルランド
東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドは、Physical evidenceを重視している企業として知られています。
パーク内を「夢の国」として位置づけ、現実とは一線を画した世界観で統一されるよう徹底しているからです。
例えば、ゲスト(顧客)が2体のミッキーマウスを同時に目にすることがないよう、登場する場所やタイミングに配慮しています。
キャスト(従業員)の振る舞いや身だしなみには細部にわたる規則を設けるなど、一貫性の維持を徹底している点が特徴です。
事業者・顧客の双方がディズニーの世界観を大切にしていることが、長年にわたって人気を博している理由の1つといえるでしょう。
まとめ
内閣府が公表したデータによれば、産業全体に占める第3次産業のGDP構成比は令和2年時点で7割を超えています。
無形商材の特性に合わせたマーケティング戦略の重要性は、今後ますます重要視されていくでしょう。
今回紹介した7Pは、無形商材のマーケティング戦略を立案する上で不可欠なフレームワークの1つといえます。
自社の提供価値を最大化し、独自の強みを打ち出していくためにも、ぜひ7Pを駆使して戦略策定を進めてください。
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