自社の商品やサービスを効果的に販売するためには、マーケティング施策が欠かせません。
自社のマーケティング施策に対して、「やり方は合っているのか?」「何から学べばいいのかわからない...」といった悩みを抱えている方もいるでしょう。
しかし、マーケティングには、市場分析や競合分析、情報発信、セールスなどの工程があり、短期間で効果が出るわけではありません。
この記事では、マーケティングの知識に不安を抱いている方に向けて、主要なマーケティング理論をまとめました。
自社の状況に合ったマーケティング理論を選択し、ビジネスの拡大に役立てましょう。
マーケティング理論とは
マーケティング理論とは、市場調査や競合分析、販売促進などで活用できるマーケティングのフレームワークのことです。
1900年代にマーケティングが学問として確立されて以降、アメリカの経済学者ピーター・ドラッカーやフィリップ・コトラーなどが提唱しました。
日本では1950年代に導入され、企業がマーケティングを行うときには、マーケティング理論が用いられています。
マーケティング理論は心理学や行動経済学のように、エビデンスのある研究です。
自社のマーケティングに取り入れると、商品やサービスの売上向上が見込めます。
マーケティングとは
マーケティングとは「商品やサービスを売るための仕組みづくり」です。
企業が商品やサービスを売るためのすべての活動がマーケティングに含まれます。
たとえば、市場調査やターゲット調査、商品やサービスの企画・開発、プロモーションなどもマーケティング活動の一環です。
仕事内容としては、WebメディアやSNSの運営や広告運用などが挙げられます。
上記のような活動や仕事内容により、マネタイズするための導線を設計することが狙いです。
マーケティングが重要視される理由
マーケティングを行わないと、商品やサービスを売るために、営業をし続ける必要があります。
しかし、売るための仕組みを構築できると、営業をしなくても商品やサービスの販促につながります。
WebメディアやSNS、LPなどが営業マンとしての役割を果たしてくれるためです。
マーケティングを行わないと、営業マンを雇用して、販促活動をしなければなりません。
人件費がかさむことにより経費が圧迫されるでしょう。Webメディアを運営できると人件費なしで、営業マンの役割を果たしてくれます。
長期的に見たときに経費を減らしながら、販促力を拡大させるためにマーケティングは重要です。
有名なマーケティング理論一覧
ここでは有名なマーケティング理論を10個紹介します。
- サイバネティクス理論
- サイコ・サイバネティクス理論
- イノベーター理論
- キャズム理論
- ゲーム理論
- ハフモデル
- 4P分析
- 4C分析
- 5A理論
- SWOT分析
マーケターや経営者、個人事業主が商品・サービスの売上を上げるために、必要なフレームワークとなります。
アウトバウンドだけでなく、インバウンドで商品・サービスを販売したいと検討している方は、ぜひご覧ください。
サイバネティクス理論
サイバネティクス理論とは、目標達成のためのトラブルがあったとしても、軌道修正を繰り返すと、外的要因に惑わされず目的を達成できるという考え方です。
この理論は、アメリカの科学者ノーバート・ウィナー博士によって提唱されたマーケティング理論です。
動物学者でもあったウィナー博士は、渡り鳥がどうして1分の狂いもなく目的地にたどり着けるのかという疑問からサイバネティクス理論に至りました。
渡り鳥が方向を1°でも間違えてしまうと、何千kmも離れた目的地へはたどり着くことができません。
飛行中に強風で流されてしまうと、目的地への直線距離から外れてしまうこともあるでしょう。
それでも目的地にたどり着ける渡り鳥は、方向がずれると都度修正を加えているとウィナー博士は考えたようです。
マーケティングにおいても、ゴール設定と軌道修正を行うと、自ずと目的は達成されるでしょう。
サイコ・サイバネティクス理論
サイコ・サイバネティクス理論とは、自分の成功を具体的にイメージし続けると、脳が現実をイメージに近づけようとして、行動を起こさせるというマーケティング理論です。
この理論は、サイバネティクス理論を応用した考え方で、整形外科医のマクスウェル・マルツ博士が提唱しました。
整形手術をした人は、手術によって自分に対してポジティブなイメージを持つことができたため、自信を取り戻し人生が好転したという事例が多く報告されています。
マルツ博士は人間の脳にもサイバネティクス理論のように、目標を設定するとその目標を達成しようとする働きがあると考えました。
マーケティングにおいても、商品・サービスを購入すると、課題が解決されるイメージを相手に持たせることが重要です。
イノベーター理論
イノベーター理論とは、消費者を以下の5つの要素に分類し、商品・サービスが市場に普及する流れを分析したフレームワークです。
- イノベーター(革新者)
- アーリーアダプター(初期採用者)
- アーリーマジョリティー(前期追随者)
- レイトマジョリティ(後期追随者)
- ラガード(遅滞者)
イノベーター理論は、スタンフォード大学のエベレット・M・ロジャーズ教授が提唱しました。
この5つの要素を理解すると、どの層に向けてマーケティング施策を打てばよいのかわかります。
それぞれの要素について順番に解説していきます。
イノベーター(革新者)
イノベーターは新しい商品への好奇心が高く、素早く情報をつかむことができる層です。
「新しい」ことが価値と感じ、自分の興味や嗜好に合う商品であれば、価格が高くても購入します。
イノベーターは市場全体の約2.5%存在します。
アーリー・アダプター(初期採用者)
アーリー・アダプターも新しい商品に目を付けて購入します。
トレンドに敏感で、これから流行しそうなものを先に手に入れる層です。
インフルエンサーやオピニオンリーダーになる人も多くいます。
そのため、業界を攻略するなら、アーリー・アダプターに購入してもらうことが重要です。
アーリー・アダプターは市場全体の約13.5%といわれています。
アーリー・マジョリティー(前期追随者)
アーリー・マジョリティーは新しい情報を積極的に取りに行きますが、購入するのは慎重派という層です。
「追随者」という言葉通り、アーリー・アダプターの影響力を最も受けています。
そのため、アーリー・マジョリティーに購入を促すなら、まずアーリー・アダプターへのアプローチが必要となります。
また、自分が納得してから新しい商品を購入するので、その商品を選ぶ合理的な理由が必要です。
市場全体の約34%がアーリー・マジョリティです。
レイト・マジョリティー(後期追随者)
レイト・マジョリティーは、新しい商品やサービスを購入することに消極的な層です。
大多数の人々が商品・サービスを購入してから、自分も買いたいと思う人たちで、市場全体の約34%を占めます。
レイト・マジョリティーに購入してもらうには、普及率を高める必要があります。
ラガード(遅滞者)
ラガードは商品・サービスが普及しているだけでは、購入に繋がらない保守的な層です。
生活に密接に結びつき、伝統や文化になるレベルまで商品やサービスが普及しないと、購入に至りません。
ラガードに訴求するには、商品・サービスが世の中の定番であり、他の商品よりも安心できるものであるというアプローチが必要です。
ラガードは市場全体の約16%を占めます。
キャズム理論
キャズム理論は、新しい商品・サービスを「受け入れやすい層」と「受け入れにくい層」の間にある溝を埋めることが重要だとする理論です。
キャズム理論は、経営コンサルタントのジェフリー・ムーアにより提唱されました。
キャズムとは日本語で「溝」のことを指します。
イノベーター理論の「アーリー・アダプター」と「アーリー・マジョリティー」の間には溝があり、それを越えられないと新しい商品やサービスは普及しないとジェフリー・ムーアは述べています。
イノベーター理論の「イノベーター」と「アーリー・アダプター」は「新しさ」こそが価値となります。
一方「アーリー・マジョリティー」や「レイト・マジョリティー」「ラガード」の市場は「新しさ」だけでは商品は売れません。
商品そのものの価値に加えて、信頼や安心を提供する必要があります。
マーケティングにおいても、信頼と安心を提供することで、商品・サービスは普及することを意識しましょう。
ゲーム理論
ゲーム理論とは、利害関係がある複数の相手がいるなかで、自分と相手の利益を考えて行動するための最適解を求める思考法です。
ゲーム理論は、数学者ジョン・フォン・ノイマンと経済学者オスカー・モルゲンシュテルンの共同著作『ゲームの理論と経済行動』で提唱されました。
ゲーム理論は「協力ゲーム」と「非協力ゲーム」の2つにわけられます。
協力ゲーム
協力ゲームは、参加者が協力するほうが最大限の利益を得られる状況を指します。
企業が業務提携によりシェアを広げるのも協力ゲームのひとつです。
企業間の契約に合意したときに、お互いに利益を得られる状態でないと、協力ゲームは完成しません。
非協力ゲーム
非協力ゲームは、参加者全員が同じ利益を得られない場合、参加者同士が争う状況を指します。
大学受験、就職や転職も非協力ゲームのひとつです。ビジネスの事例でいうと以下の通りです。
たとえば、同じ業界の企業同士が同じような価格設定をしているとします。
そして、ある会社が顧客を増やそうと値段を下げると、他の会社も追随して値段を下げてしまいます。、
そうすると、結果として業界全体の価格が下がってしまうでしょう。
このように、利益を追い求めた結果、協力するときよりも悪い状態になってしまうことが日協力ゲームです。
ハフモデル
ハフモデルとは、商圏分析に活用できるマーケティング理論です。
ハフモデルとは、アメリカの経済学者デービッド・ハフ博士が考案した理論です。
消費者がある店舗に買い物に行く確率を、他の店舗と比較して予測するというものです。
店舗の売り場面積や家からの距離、商品価格、営業時間など多くの要素を基に分析をします。
店舗経営で出店地を決めるときに活用できるフレームワークになります。
4P分析
4P分析は、以下4つの頭文字をとったマーケティング理論です。
- Product(製品)
- Price(価格)
- Place(流通)
- Promotion(プロモーション)
これら4つを分析することで、顧客に商品・サービスを届けるための戦略を立案するマーケティングのフレームワークです。
4P分析は、マーケティング学者のエドモンド・ジェローム・マッカーシーが提唱しました。
企業が商品やサービスを販売するために必要で、マーケティングミックスとも呼ばれています。
以下は各Pの分析項目の内訳です。
Product(製品) | デザイン、特長、ブランディング、保証、サービスなど |
Price(価格) | コスト、競合の価格、市場の需要など |
Place(流通) | 待ち時間、経路、販売ロット、品ぞろえ、検索のしやすさなど |
Promotion(プロモーション) | マス広告、インターネット、イベント、営業、インセンティブ付与など |
4C分析
4C分析は顧客視点でマーケティング戦略を分析するフレームワークです。
アメリカの経済学者、ロバート・F・ラウターボーンにより提唱されました。
4C分析は、以下の4つのCから構成されています。
- Customer Value(顧客価値)
- Cost(コスト)
- Convenience(利便性)
- Communication(コミュニケーション)
これら4Cを分析すると、顧客目線で商品・サービスを売るための施策を練ることが可能です。
以下に各要素の分析内容を記載しましたので、ご確認ください。
Customer Value(顧客価値) | 消費者にとっての商品の価値 使いやすさ、サポートの充実度など |
Cost(コスト) | 商品の価格、購入までの時間・手間など |
Convenience(利便性) | シンプルな購入までの導線、わかりやすさなど |
Communication(コミュニケーション) | 消費者に対する継続的なフォロー体制 SNSでの発信、コールセンターなど |
5A理論
5A理論は、顧客が商品・サービスを購入するプロセスを表現したマーケティング理論です。
経済学者のフィリップ・コトラーが提唱しました。
5A理論は、以下のような顧客が商品・サービスを購入する流れを5つの要素に当てはめています。
- Aware(認知):SNSや口コミで知る
- Appeal(訴求):興味を感じている
- Ask(調査):他商品や評判を調べる
- Act(行動):購買する
- Advocate(推奨):情報共有する
上記のフレームワークを考慮して、口コミを用意したり、競合優位性を確保したりすると、販促がうまくいく可能性があります。
SWOT分析
SWOT分析とは、企業や事業の現状を、内部環境と外部環境の視点から分析するマーケティング理論です。
経営学者のヘンリー・ミンツバーグが提唱し、1960年代にハーバードのビジネススクールが経営戦略策定プロセスとして明確にしました。
SWOT分析は以下の4つの要素から構成されています。
- Strength(自社の強み)
- Weakness(自社の弱み)
- Opportunity(外部の機会)
- Threat(外部の脅威)
このマーケティング理論を用いると、景気や情勢が変化しても、変わらない自社の強みを活かした経営戦略を建てることが可能です。
マーケティング理論を活用しよう
商品・サービスの売上を伸ばすために、マーケティングは切っても切り離せません。
マーケティング理論を理解しておくと、売上が低迷したり、認知が広がらなかったりしたときに、正しい施策を練ることが可能です。
マーケティング理論がわからないと、自己流で販促を行ってしまい、売れるはずの商品・サービスが売れないことになるでしょう。
頭のよい人が考えた、成功例がたくさんある理論を基に戦略を練っていくことが大切です。
そんな方におすすめなのが、マーケティング理論や戦略がわかる弊社ラーニングエッジが開発したコンテンツ「67の集客システム」です。これがあれば今後どうやってマーケティング施策を打ちだしたらいいか参考になります。
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