- リテールメディアが注目されているようだが、どのような施策なのか?
- なぜ今、リテールメディアが注目を集めているのだろう?
- リテールメディアを取り入れることで、どのようなメリットがあるのか?
上記のような疑問を抱えていませんか?
今回は、近年注目を集めているリテールメディアの定義や仕組み、取り入れるメリットについてわかりやすく解説します。
リテールメディアの具体的な施策例も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
リテールメディアとは
はじめに、リテールメディアとはどのような媒体なのか整理しておきましょう。
従来のマーケティングの仕組みとどのような違いがあるのか、ポイントを押さえることが大切です。
リテールメディアの定義
リテールメディアとは、小売事業者が保有する顧客情報を活用して自ら広告を配信する媒体のことを指します。
従来、小売事業者の多くが広告代理店などを通してマーケティング施策を展開してきました。
リテールメディアは広告代理店を介さず、小売事業者が自ら収集した顧客情報を元に広告施策を展開する点が大きな特徴です。
消費者と直接接点を持つことができる小売事業者の強みを活かしたビジネスモデルといえます。
リテールメディアの仕組み
リテールメディアの鍵を握るのが「顧客情報」です。
小売業界においては、長年にわたりポイントカードやPOSなどを活用した顧客情報・購買データの収集が行われてきました。
現在では店舗アプリなどを提供することで、購買データや行動データをより詳細に収集できるようになっています。
小売事業者が自ら収集した顧客データは、ファーストパーティデータと呼ばれる希少性の高いデータです。
蓄積された消費者データを元にメーカーなどに広告を提案し、広告を出稿してもらうことができます。
小売事業者が自社の広告枠をメーカーに売ることにより、広告収益を得るといったことも可能です。
リテールメディアの市場規模
リテールメディアの市場規模は2022年時点で135億円と見込まれていました。
今後、リテールメディアは急速に成長し、2026年には市場規模が805億円に達すると予測されています(※)。
小売業界ではDX推進の動きが加速しており、リテールメディア事業を新たな収益基盤と捉える機運が高まっているからです。
大手小売企業を中心に、リテールメディア事業を中長期経営計画に組み込む動きも見られます。
今後、リテールメディアは小売事業者にとって重要な事業の柱となっていく可能性を秘めているのです。
※参考:株式会社CARTA HOLDINGS「リテールメディア広告市場調査」
リテールメディアが重視されている背景
近年になってリテールメディアが急速に注目されるようになった背景には、いくつかの要因があります。
リテールメディアが重視されつつある主な要因は次の3点です。
消費者の購買行動が多様化している
消費者にとって「買い物をする」体験は、スマートフォンの普及によって大きく変容しました。
商品を購入するにあたり、消費者は店頭やチラシだけでなくWebサイトやSNSで情報を収集することができます。
実際に購入する際にも、実店舗のほかECサイトなどで購入することが可能になったのです。
消費者の購買行動は多様化の一途を辿っており、従来のようにマスを対象として広告戦略が成立しにくくなっていました。
消費者1人1人の購買行動をきめ細かく分析し、広告施策につなげる手法としてリテールメディアが注目されているのです。
プライバシー保護が強化されつつある
消費者のプライバシー保護を強化する動きが加速していることも、リテールメディアの重要度が高まっている一因です。
従来の広告施策では、第三者のドメインが発行するサードパーティクッキーを活用した手法が広く採用されていました。
近年、ユーザーの行動が記録されているサードパーティクッキーは個人情報に該当すると見なされつつあります。
一方、小売事業者が自ら取得・収集したファーストパーティデータは規制の対象となっていません。
サードパーティデータが不要なリテールメディア施策は、プライバシー保護が強化されつつある時代に合った手法といえます。
詳細な消費者データの収集・分析が可能になった
従来と比べて詳細な消費者データを収集・分析できるようになったことも、リテールメディアが注目されている一因と考えられます。
インターネットやスマートフォンが普及する以前は、紙媒体のチラシやテレビCMといったマス広告が主流でした。
顧客がどのようなきっかけで来店したのか、どういった動機で商品を購入したのか、推測するしか方法がなかったのです。
Web広告や店舗アプリ、ECサイトであれば、消費者がどのような行動を取ったのか詳細なデータを取得できます。
詳細な消費者データの収集・分析が技術的に可能になったことが、リテールメディアの成長を後押ししているのです。
リテールメディアのメリット
リテールメディアを取り入れることにより、事業者・消費者・広告主はそれぞれメリットを得られます。
事業者だけでなく、消費者をはじめ広く世の中に良い影響を与えられる「三方よし」のビジネスモデルといえるでしょう。
具体的なメリットは次の通りです。
小売業者やEC事業者にとってのメリット
小売事業者やEC事業者にとって、自社が保有するファーストパーティデータを有効活用できる点が大きなメリットです。
購買データや消費者の行動に関する信頼性の高いデータを活用することで、消費者1人ひとりに最適化した広告施策を講じられます。
より的確に購買意欲を高められることに加え、新たな顧客を取り込む施策も講じやすくなるでしょう。
結果として、販路の拡大や売上増強を目指すことができます。
広告枠をメーカーなどに販売することで、新たな収益の軸を築けることも大きなメリットの1つです。
消費者にとってのメリット
消費者の立場から見ると、リテールメディアは自身のニーズに合った広告を配信してもらえるサービスと捉えることができます。
チラシやテレビCMといったマス広告ではなく、消費者の購買データにもとづく広告を配信できるからです。
たとえば、お酒を購入したことがない消費者にビールの値下げを告知するチラシが繰り返し届くようなことがなくなります。
日用品のストックが少なくなってきたタイミングでおすすめ商品が表示されれば、買い忘れを防ぐ効果も期待できるでしょう。
不要な情報を受け取ることなく、消費者が求める情報を配信することにより、購買体験が改善されていくはずです。
広告主にとってのメリット
広告主にとって、ファーストパーティデータを活用したマーケティング施策を講じられることは非常に大きなメリットです。
自社の製品やサービスを消費者のニーズに合うようにアピールでき、顧客接点を効果的に設けることができます。
実店舗に来店している消費者は、「購入する」という明確な目的をもって来店しているケースが多いでしょう。
購買意欲が高まっている状態の顧客にアピールできるため、広告主にとって効率のよいマーケティング施策といえます。
消費者の手元に商品が届くまでのプロセスを検証することにより、実態にもとづく仮説検証を行うことができるのです。
リテールメディアの施策例
リテールメディアの具体的な施策例を紹介します。
リテールメディアには幅広い施策が存在しますが、とくに多くの事業者が取り入れつつある施策は次の4つです。
施策例1:デジタルサイネージ
デジタルサイネージは、ディスプレイやプロジェクタなどに映像を表示する広告媒体の総称です。
小売事業においては、従来から店内にポスターやPOPを掲示し、新商品などを訴求する手法が広く用いられてきました。
紙の掲示物が全ての消費者ニーズに合致しているとは限らない一方で、デジタルサイネージは広告のパーソナライズが可能です。
IoTやAIカメラといった技術を活用することにより、通りかかった消費者に合わせて広告を表示できます。
時間帯によって表示する広告を変えたり、タイムセールなど時間を限定した販促活動に役立てたりすることもできるでしょう。
施策例2:イベント・キャンペーン
「ポイント5倍デー」やプレゼントキャンペーンなどの告知方法としてもリテールメディアが活用できます。
イベントやキャンペーンの告知は、実際に来店したりチラシを見かけたりしない限り、消費者に届かないという問題がありました。
リテールメディアを活用することにより、スマートフォンの店舗アプリに通知を表示させることができます。
消費者は実店舗に来店することなく、アプリを通じてポイントアップやプレゼントキャンペーンなどに参加することも可能です。
イベントやキャンペーンの効果を最大化する施策として、リテールメディアは多くの活用方法が想定できます。
施策例3:Web広告
小売事業者が提供するアプリやWebサイト上に広告枠を設け、広告収入を得るのも施策例の1つです。
広告経由で購入された履歴やクリック率などを詳細に分析できるため、小売事業者・広告主の双方にとって効果的な施策といえます。
消費者のニーズに合った広告を配信することにより、広告の費用対効果を高める効果も期待できるでしょう。
消費者としても、興味がある商品や購入を考えていた商品の広告が表示されるため、ストレスを感じにくい点がメリットです。
1人ひとりの消費者にパーソナライズした広告施策として、リテールメディアが今後いっそう活用されていく可能性があります。
施策例4:アプリ広告
店舗専用アプリを活用したリテールメディアも有効な施策の1つといえます。
店舗チラシ・ポイントカード・広告などが一体化したメディアとして、幅広く活用可能です。
たとえば、購入履歴にもとづく商品レコメンドをアプリのプッシュ通知で表示させる方法などが想定されます。
実店舗に来店していない期間も、消費者と効果的に接点を持ち続けることができるでしょう。
ネットスーパーなどのECと組み合わせることで、消費者にとって複数の購入方法を選べるサービスにもなり得ます。
実店舗とアプリ広告から顧客データを収集することにより、より精細な行動分析に役立てることも可能です。
まとめ
リテールメディアは、単に小売事業者が広告を自社運用するだけの施策ではありません。
従来は推測の域を出なかった消費者の購買行動がより詳細に分析できるようになり、ニーズに合った提案をしやすくなります。
小売事業者やEC事業者が自ら広告枠を売ることで、新たな事業の柱に育てていくこともできるでしょう。
今回紹介したポイントを参考に、ぜひリテールメディアを活用した新たなマーケティング施策を検討してみてください。
消費者との接点が強化されることにより、従来の小売事業の概念を覆すきめ細かなサービスを提供できるはずです。
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