- パーセプションという言葉の意味について知りたい
- ブランドイメージやカスタマージャーニーとの違いは何か?
- 最新のマーケティング手法について理解を深めたい
上記のように考えていませんか?
今回は、近年マーケティング領域で注目されている「パーセプション」について分かりやすく解説します。
パーセプションをマーケティングに活用する方法や、パーセプションの測定方法についても併せて見ていきましょう。
パーセプションとは
はじめに、パーセプションの意味を押さえておきましょう。
従来からマーケティングで用いられているブランドイメージとの違いと併せて解説します。
パーセプション=認識・認知・知覚
パーセプション(perception)とは、認識・認知・知覚という意味を表す言葉です。
マーケティング領域においては「消費者がブランドや商品・サービスをどのように認知しているか」を表します。
例えば、皆さんは「ダイソン」というメーカーの製品をどのように認知しているでしょうか。
- 高価格帯のコードレス掃除機
- 吸引力が落ちない掃除機
上記のようなイメージを抱く人が多いでしょう。
実は、ダイソンは掃除機以外にも扇風機やドライヤー、洗濯機といった製品も製造・販売しているメーカーです。
真っ先に「掃除機」を連想する人が多いことから、ダイソン社は掃除機に関するパーセプション形成に成功している企業といえます。
パーセプションとブランドイメージの違い
パーセプションとブランドイメージは、どちらも消費者が商品・サービスやブランドをどう捉えているのかを表す概念です。
両者の主な違いは以下のように表すことができます。
・パーセプション:ブランド・商品・サービスの価値や存在意義に対する認識
ブランドイメージは、デザインの変更や消費者へのアプローチ方法などによって変化する可能性があります。
一例として、トヨタは長年にわたり高級セダンの代名詞だった「クラウン」が新モデルからSUVになりました。
クラウン=セダンというイメージを刷新し、若い世代にも受け入れやすい車へと大胆なイメージチェンジを図ったのです。
一方、SUVモデルがラインナップに加わったからといって、クラウン=高級車というイメージが容易に揺らぐことはありません。
クラウンに関するパーセプションは十分に確立されており、消費者の間に広く浸透しているからです。
なぜパーセプションが注目されているのか
企業がブランディングや商品プロモーションを推進する中で、消費者の認識との間にずれが生じることがあります。
例えば、企業側としては「親しみやすい」を商品コンセプトの柱の1つとして打ち出していたとしましょう。
消費者の間では「安い」「気軽に買い替えられる」と認識されている可能性は否定できません。
企業が目指している消費者認知と、実際の消費者認知にずれが生じることを「パーセプションギャップ」といいます。
認識のずれが生じている以上、企業がプロモーションに注力すればするほど消費者の認知とは乖離していくでしょう。
企業は原点に立ち返り、自社がどのように認知されているのか検証しておく必要に迫られているのです。
パーセプションをマーケティングに活用する「フロー・モデル」
パーセプションをマーケティングに活用する際に重要な考え方となるのが「フロー・モデル」です。
パーセプションフロー・モデルの考え方や構成要素、カスタマージャーニーとの違いについて見ていきましょう。
パーセプションフロー・モデルとは
パーセプションフロー・モデルとは、消費者の購買行動を認識の変化にもとづいて描くモデルを指します。
企業は商品やサービスを売る際、「どうすれば売れるか」「どのような戦略で売るか」を第一に考えがちです。
パーセプションフロー・モデルにおいては、消費者の認識が先にあり、どのようなきっかけで商品が欲しくなるかを考えます。
消費者行動に沿ってマーケティング戦略を立てていくことで、より消費者に受け入れられやすい施策を講じることが主な目的です。
パーセプションフローモデルとカスタマージャーニーの違い
消費者の購買行動を想定すると聞いて、カスタマージャーニーマップを連想した方も多いのではないでしょうか。
カスタマージャーニーマップとパーセプションフロー・モデルの主な違いは以下の通りです。
軸とする指標 | 分かること | 主な目的 | |
カスタマージャーニー | 消費者の行動 | 現在の消費者行動 | 戦略の合理化 |
パーセプションフロー・マップ | 消費者の認識 | 未来の消費者行動 | 競合他社との差別化 |
カスタマージャーニーマップは、現時点で顕在化している消費者行動にもとづいて作成されます。
競合他社に似た機能や価格帯の商品があれば、他社と価格をそろえるといった戦略の合理化に役立つ手法です。
一方、パーセプションフロー・マップでは消費者の認識レベルまで掘り下げて購買行動を分析します。
自社の強みの最大化につながることから、より積極的に他社との差別化を図るのに適した手法といえるでしょう。
パーセプションフロー・モデルを構成する要素
パーセプションフロー・モデルでは、消費者の行動を以下の8要素で検証します。
- 現状
- 認知
- 興味
- 購入
- 使用
- 満足
- 再購入
- 口コミ
それぞれの要素に対して、以下の判断軸を付加していきます。
- 行動:認知の変化に起因する行動の変化
- パーセプション:行動を左右する情報解釈
- 知覚刺激:新たな認識を与える情報など
- KPI:知覚刺激の度合いを測る指標
- メディア・媒体:知覚刺激をもたらす手段
各要素に対する判断軸を明確にすることで、具体的にどのような施策を講じるべきかが浮き彫りになっていきます。
あくまでも「消費者はどう認識するのか」「認識がどう変わるのか」を起点としたマーケティング手法といえるでしょう。
パーセプションフロー・モデルを導入するメリット
パーセプションフロー・モデルを導入することにより、自社の認識と消費者の認識のギャップを埋めやすくなります。
結果として、マーケティング施策やプロモーション施策の方向性を読み誤るリスクが軽減されるはずです。
消費者の認識を起点にマーケティング戦略を打ち出すため、戦略や施策の根拠も分かりやすくなります。
マーケティング戦略の方針が迷走するのを防ぎ、社内で確固とした共通認識を形成するのに役立つでしょう。
パーセプションフロー・モデルは、マーケティング戦略の原点ともいうべき設計図になり得るのです。
消費者の認識を変える「パーセプションチェンジ」
パーセプションは消費者の現状を知るだけでなく、未来の行動を予測する際にも活用されます。
マーケティング領域で重要な概念である「パーセプションチェンジ」についても、基本的な考え方を押さえておきましょう。
パーセプションチェンジとは
パーセプションチェンジとは、消費者の心理や認識、感じ方などに変化をもたらすことを指します。
消費者が何らかの欲求を抱いた際、想起されるブランドや商品の中に自社商品が含まれているかどうかは重要なポイントです。
例えば、100円ショップで買い物をしたいと考えた場合、具体的にどのようなショップ名が想起されるでしょうか。
- ダイソー
- キャンドゥ
- セリア
上記のうち最初に想起したショップが自宅近隣にあれば、消費者は想起したショップを利用する可能性が高いでしょう。
別の見方をすると、自社がパーセプションに含まれていない場合、検討時の選択肢にすら入らない可能性が高いと考えられます。
消費者に想起してもらえるブランド・商品を目指すには、パーセプションチェンジの必要に迫られる場合があるのです。
パーセプションチェンジが有効なケース
パーセプションチェンジは消費者の認識を変えるための働きかけであることから、次のようなケースで有効です。
- 自社のイメージがターゲット層から外れている場合
- 例:高額商品しか提供していないと思われている など
- 特定の商品群の印象が強すぎる場合
- 例:実際は総合メーカーだが、文房具メーカーだと思われている など
- マイナスイメージが定着している場合
- 例:価格は安いが低品質だと思われている など
AISASを活用することにより、消費者の認知を変えられる可能性があります。
具体的な施策例として、次の働きかけが想定できるでしょう。
- Attention(認知):SNSでの発信内容や広告クリエイティブを見直す
- Interest(興味):商品に関心を寄せてもらえるようLPへ誘導する
- Search(検索):リスティング広告を活用し、検索ニーズを深掘りする
- Action(購買):LPの最適化を図る・CTAを改善する
- Share(共有):レビュー投稿やSNSでのシェアを促す
パーセプションチェンジの進め方
パーセプションチェンジを実現するには、次の点を検証しておくことが大切です。
- 現状、自社はどの立ち位置にいるのか(競合他社は思われているのか)
- 自社ブランド・商品はどのようなシーンで想起されているのか
- 自社のファンやロイヤルカスタマーは何に価値を見出しているのか
自社側の意図や願望ではなく、消費者の実態を元に検証していく必要があります。
検証した結果、自社の意図とずれている点を見極め、優先順位を決めて必要な施策を検討しましょう。
ファンやロイヤルカスタマーの価値観が、大多数の消費者の価値観を代表しているとは限らない点に注意してください。
あくまでも「大多数の消費者はどう見ているか」に重きを置いて検証していくのがポイントです。
パーセプションを測定する3つの方法
パーセプションを測定するには、さまざまな方法があります。
代表的な測定方法を紹介しますので、自社の業態やリソースに適した調査方法を選んで取り入れてみてください。
方法1:アンケート調査
アンケート調査は、パーセプションの測定に役立つオーソドックスな手法といえます。
自社ブランドや商品・サービスをどのように見ているのかストレートに聞くことができるからです。
アンケートには定性調査と定量調査の2種類があります。
パーセプションの測定が目的であれば、定性・定量調査を同時に行うのが望ましいでしょう。
既存顧客であればアンケートに協力してもらえる可能性が高いことから、一定のユーザー数が確保されている企業におすすめです。
方法2:インタビュー調査
インタビュー形式で実施する調査の手法です。
対面で直接対話しながら調査を進められるため、アンケート調査よりも消費者の認識を深掘りできます。
一方で、消費者1人ひとりと対話する必要があることから、一度に大量の調査結果を得るのは容易ではありません。
調査対象者を見つける方法も検討する必要があります。
イベントなど、自社商品・サービスに関心があると思われる層が集まる機会がある場合に有効な方法です。
方法3:UGC調査
UGCとは、ユーザー生成コンテンツのことを指します。
SNSやレビューサイト上で自社に関する投稿を収集し、自社がどのように話題に挙がっているのかを検証する手法です。
ユーザーのリアルな声を元に、消費者の実態に近いパーセプションを得られます。
アンケート調査やインタビュー調査のように、調査対象者を集める必要がない点も大きなメリットです。
一方で、認知度があまり高くない商品の場合には、対象商品に言及している投稿が少ない可能性があります。
一定以上の認知度に達している商品・サービスに有効な調査方法といえるでしょう。
まとめ
パーセプションは消費者の認識・認知・知覚を表しており、自社がどう思われているのかを把握する上で重要な概念です。
消費者の認識と自社が想定しているブランドイメージが乖離していると、有効な施策を打ち出すことができません。
さまざまなマーケティング施策を講じても効果が感じられない場合は、パーセプションの把握に取り組んでみてはいかがでしょうか。
消費者の視点に立ったマーケティング戦略を立案する上で、パーセプションが重要なヒントとなるはずです。
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