ラテラルシンキングは固定観念などを取り払い、新しいアイデアを生み出す自由な思考法です。
最近では企業がラテラルシンキングを取り入れようと注目していますが、なかなか身につかず悩んでいる人が多いといわれています。
「ラテラルシンキングを鍛える方法を知りたい」
「ラテラルシンキングを身につけるコツはあるのか」
「なぜビジネスにラテラルシンキングが必要なのか」
この記事では、このように考えている人のために以下の内容を説明します。
- ラテラルシンキングがビジネスに重要である理由
- ラテラルシンキングの鍛え方
- ラテラルシンキングを鍛えるためのフレームワーク
ラテラルシンキングを身につけるヒントになりますので、ぜひ最後までご覧ください。
ラテラルシンキングがビジネスに重要である理由
ラテラルシンキングは今までの常識や前提条件などを外して新しい解決策を生み出す思考法です。
ビジネスでもロジカルシンキングやクリティカルシンキングとともに重要とされており、ラテラルシンキングの必要性は高まるばかりでしょう。
ラテラルシンキングがビジネスで重要とされている理由には以下の3点があります。
- ビジネスの課題に対する解決策は1つではない
- 他社との差別化を強めるために必要
- 社内コミュニケーションの活発化
現代においてラテラルシンキングの柔軟性は課題解決の一手となるため、身につけておくべき思考法と言えます。
1. ビジネスの課題に対する解決策は1つではない
多くの企業は上手くいっていた前例を、自社・他社問わず踏襲し事業を拡大させていました。前回成功しているのだから、同じ手法を使えば前回と同じように成功するだろうという考え方です。
しかし、前例と同じ方法を続けているだけでは、企業は成長できません。昔と同じことを続けることは、業務の流れが固定され変化に柔軟に対応できなくなるのです。
現代は不確実な要素や変化が多く、固定的な考え方では対処が難しくなっています。ビジネスの課題には様々な要素が密接に絡み合っているため、多角的な視点で課題を考察し解決策を導き出す必要があります。
2. 他社との差別化を強めるために必要
現代はモノやサービスで溢れている時代です。そのような中、自社の事業を成功させるには競合他社との差別化を図る必要があります。
競合が多く事業に行き詰まりを感じていたとしても、ラテラルシンキングで別の視点から考えることにより突破口が開けます。
例えば、アメリカ生まれのクリスピー・クリーム・ドーナツが日本で店舗展開をする際、知名度が低いために競合のドーナツ店のシェアを奪えないという課題がありました。
知名度を上げるにはテレビCMなどのマスメディアやSNSを使った宣伝で認知を狙うことが多いです。クリスピー・クリーム・ドーナツは宣伝の代わりにオフィス街の昼休みに12個のドーナツを大きな箱に詰めて無料配布しました。
クリスピー・クリーム・ドーナツの大きな箱は視認性が高く、通りすがりの人にも見てもらえる可能性があります。また、12個のドーナツを昼休みに一人で食べきるのは難しいため、オフィスでシェアすることも考えられます。
多くの人に試食してもらうことでクリスピー・クリーム・ドーナツを自分でも買ってみようと考える人が増え、人気のドーナツ店へと躍進したのです。
3. 社内コミュニケーションの活発化
ラテラルシンキングで導き出した答えを否定せず、まずは答えを出すことから始めます。ラテラルシンキングを活用した会議などでは、自分の意見を言っても否定されません。
様々な視点から答えを導き出すため、どんなに斬新なアイデアであっても間違っていることにはならないのです。
最終的には適切な解決策を1つ選んで実施しますが、ラテラルシンキングで答えを導き出す段階においては自由な発想が求められます。
どんな意見でも一旦は受け入れられるため、新しい意見やアイデアを共有しやすく風通しの良い社内環境を整えられます。
ラテラルシンキングの鍛え方おすすめ5選
ラテラルシンキングは繰り返し実践することで身につきます。実践の効果を高めるためにも、以下の5点を意識しましょう。
- 様々な情報を収集する
- 前提条件などを疑う
- 3つの視点を意識して思考する
- 普段の自分とは異なる思考方法を取り入れる
- 日常的にラテラルシンキングを習慣化する
ラテラルシンキングは日ごろからの意識と訓練が大事です。方法を以下に説明しています。
1. 様々な情報を収集する
現代は情報にあふれており、インターネットやSNSで検索すれば簡単に情報を得られます。書籍や雑誌、新聞なども気軽に手に入り、テレビ番組や映画も見たいときに見られます。
多角的な視点を身につけるには、自分の好きなことだけでなく自分の意見と異なる情報を収集し触れることが大事です。友人や同僚、上司などと話をするだけでも相手の意見を知ることができます。
様々な情報を取り入れることで、ふとした瞬間の出来事や言葉などからヒントを得てアイデアがひらめく可能性が高まります。
2. 前提条件などを疑う
ラテラルシンキングでは前提条件や常識、固定観念などをすべて取り払って思考します。しかし、人はいつも思い込みで物事を考えてしまうため、急に前提条件などから外れた思考をすることが困難です。
前提条件などに縛られないためには、疑う意識が必要です。
「この結論で本当に正しいのか」「他に良い選択肢はないのか」「なぜこのような状況なのか」などを自分自身に問うことで、前提条件などを疑うことができ課題の本質に気づけます。
3. 3つの視点を意識して思考する
3つの視点とは「自分の視点」「相手の視点」「第三者の視点」です。人は自分の視点のみで考えており、自分の思考の枠から外れることがなかなかできません。
他の人の視点で考えるには、様々な人とかかわることが大事です。相手の視点と第三者の視点でも考えられるようになると、視野が広がり柔軟な思考が可能となります。
4. 普段の自分とは異なる思考方法を取り入れる
自分の思考には偏りがあるため、ラテラルシンキングをするには自分とは異なる思考パターンを取り入れる必要があります。
「もし自分があの人だったら何をするだろう」と考えることで、その人の思考を真似ることができます。
上司や社長などの自分と異なる立場ではどう考えるかという意識も持ち、視座も広げると良いでしょう。
5. 日常的にラテラルシンキングを習慣化する
ラテラルシンキングを身につけるには、とにかく実践が大事です。何度もラテラルシンキングをすることで身につくものですので、仕事だけと考えずに日常的に意識しましょう。
習慣化できれば自然とラテラルシンキングができるようになっているはずです。
ラテラルシンキングを鍛えるためのフレームワーク7選
ラテラルシンキングは何度も実践していると鍛えられますが、効果的に鍛えられるフレームワークを7種類紹介します。
- シックスハット法
- ブレーンストーミング法
- グループロールプレイング
- アフィニティ・ダイアグラム
- SCAMPER法
- マンダラチャート
- オズボーンのチェックリスト法
どの方法でも他人の意見を頭から否定せずに受け入れ、途中で終わらせないことが大事です。
1. シックスハット法
シックスハット法とは、6色の帽子になぞらえて6つの視点を持つ思考法です。1985年にマルタ共和国の心理学者エドワード・デボノにより考え出されました。
白色 | ・客観的 ・中立的 ・データや数値に基づく |
赤色 | ・主観的 ・直感的 ・感情で表現する |
黒色 | ・客観的 ・否定的 ・論理的に否定する |
黄色 | ・客観的 ・肯定的 ・論理的に肯定する |
青色 | ・統括的 ・俯瞰的 ・進行をつかさどる ・アイデアをまとめる |
緑色 | ・創造的 ・革新的 ・新しいアイデアを創出する |
シックスハット法では、参加者全員が同じ色の帽子をかぶり、かぶった色の帽子の視点で思考しなければなりません。全員が同じ色の帽子をかぶっているため、同じ視点で一緒に課題を考えられるメリットがあります。
もし課題に対して自分の意見が異なっていたとしても、帽子の色に従って意見を述べなければならないため、いつもとは違う思考ができます。
2. ブレーンストーミング法
ブレーンストーミング法は集団発想法とも言い、複数人でアイデアを自由に出し合い共有する方法です。アイデアは付箋に書きホワイトボードなどに貼ってまとめます。
出されたアイデアの質は問わず、自分と異なる意見でも否定してはいけません。アイデアをどんどん出していくことに意味があります。参加者が一斉にアイデアを書くため、短時間で多くのアイデアを集められるでしょう。
出たアイデアはグループに分けると、アイデアの傾向がわかります。アイデアの整理にはマインドマップが良いとされています。
3. グループロールプレイング
グループロールプレイングは参加者が役割を演じ、その役割にのっとって物事を考えます。順番に演じる役割を変えて繰り返しロールプレイングを行うので、多角的な視点で思考できます。
他者を演じることで自分以外の思考を経験できるのがメリットです。新しい視点を得ることでこれまで考えてこなかったアイデアを出す下地を作れるでしょう。
グループロールプレイングの様子を撮影し後で見返したり、議論のきっかけにしたりもできます。
4. アフィニティ・ダイアグラム
アフィニティ・ダイアグラムは、様々なデータや情報を共通点でグループ分けするフレームワークで親和図法とも言います。人類学者の川喜田二郎によって提唱されました。
参加者は課題に対するアイデアをどんどん出していき、1つのアイデアにつき1つの付箋を使ってホワイトボードに貼っていきます。
アイデアを出す時間が過ぎれば、アイデアの共通点を見つけてグループに分け自社に最適なアイデアを絞り込むという方法です。
バラバラな情報をグループ分けすることで思考が整理され、新しいアイデアが浮かびやすくなります。
5. SCAMPER法
SCAMPER法(スキャンパー法)は、もともとあったアイデアを7つの視点から発展させていくフレームワークです。「SCAMPER」は7つの視点の頭文字を表しています。
Substitute (代用) | 他のもので代用できないか (材料・手順・プロセス・場所・方法など) |
Combine (結合) | 何かと何かを組み合わせられないか (合体・混合・結合など) |
Adapt (適応) | 他のものを適用・応用できないか |
Modify (修正) | 何かを修正できないか (拡大・縮小・形・重さ・匂い・手触りなど) |
Put to other uses (転用) | 他の使い道はないか 他のことに転用できないか (ターゲット・目的など) |
Eliminate (削減) | 何かを削除・削減できないか (プロセス・時間・種類・材料など) |
Reverse/Rearrange (逆転・再編成) | 何かを逆転できないか 何かを組み換えできないか (順序・表裏・原因結果など) |
様々な視点から思考することで、新しいアイデアを生み出しやすくなります。競合他社との差別化を検討する際に活用できるフレームワークです。
6. マンダラチャート
マンダラチャートはメジャーリーガーの大谷翔平選手が高校生のときに使っていたフレームワークです。仏教の世界が描かれた曼荼羅の形と似ていることからマンダラチャートと名付けられました。
3×3のマスを縦横3つずつ並べた81マスの中央に目標や課題を書き、その周りのマスに解決策を8つ書きます。その8つの解決策を外側の9マスの中央に書き、それぞれの具体的な施策を周りのマスに書くという方法です。
マンダラチャートは81マスをすべて埋める必要があるため、作成の過程で新しいアイデアを生み出せます。
7. オズボーンのチェックリスト法
オズボーンのチェックリスト法は、9つの視点からアイデアを考えるためのフレームワークです。
Other uses (転用) | 既存の商品・サービスをそのまま使う、もしくは改変や改良することで、ほかの用途に使えないか |
Adapt (適合・応用) | 過去に同じような前例やアイデアはあるか |
Modify (変更) | 既存の商品・サービスの一部を変えることはできるか (色・形状・音・香り・動作・意味など) |
Magnify (拡大) | 既存の商品・サービスを拡大できるか (サイズ・重さ・厚み・強度・数量・時間など) |
Minify (縮小) | 既存の商品・サービスを縮小できるか (サイズ・重さ・厚み・強度・数量・時間など) |
Substitute (代用) | 既存の商品・サービスの内容をほかの何かで代用できないか (材料・場所・製造過程・アプローチ方法・成分・音声・人など) |
Rearrange (置換・ 再配置) | 既存の導線や工程を改善できないか (部本・要素・成分・配列・位置・レイアウト・スケジュールなど) |
Reverse (逆転) | 従来の物事から真逆の発想はできないか |
Combine (結合) | 複数ある商品・サービスを組み合わせて新しい価値を生み出せるか |
9つの視点がありますがすべてを考える必要はなく、優先事項の高い視点からアイデアを出すことが効率的です。
ラテラルシンキングを鍛えて自由な思考法を手に入れましょう
この記事ではラテラルシンキングがビジネスに必要な理由と鍛え方、効果のあるフレームワークについて解説しました。
ラテラルシンキングは急激な変化が多い現代で、ビジネスを成長させるために必要な思考法です。身につけるには時間がかかりますが、日ごろからの意識や訓練で視野を広げる訓練をすれば、新しいアイデアが生まれやすくなります。
今回紹介した鍛え方でぜひラテラルシンキングを身につけましょう。
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