大谷翔平が高校時代にコーチと教わりながら実践したマンダラチャートが、経営者やリーダー層から「事業の成長に必要不可欠だ」として人気を博しています。
目標を立てた後、なかなか実行に移せなかったり、達成できずに諦めたりしたことはありませんか。
目標を達成するためには、タスクの書き出しと整理、進捗状況の管理などが必要ですが、それらに役立つのがマンダラチャートです。
マンダラチャートは、目標達成に関するタスクを段階的に書き出すことができ、実行がしやすくなるため、多くの人が取り入れているフレームワークです。
この記事では、マンダラチャートの作成方法や作成のポイント、メリットと注意点について説明します。
マンダラチャートとは何か
マンダラチャートとは、「マンダラート」や、「マンダラシート」、「目標達成シート」とも呼ばれているフレームワークです。
密教の曼陀羅(まんだら)のように81個の言葉が整列するために、マンダラチャートと名づけられました。
アメリカ、大リーグで活躍している大谷翔平選手も、高校1年生でマンダラチャートを使っていました。
マンダラチャートに書いた目標は「8球団からドラフト1位を獲得すること」です。この目標達成のために、マンダラチャートに書いたことを1つずつ実行していった結果、プロ野球選手となりました。
マンダラチャートは、81個のマス目に関連する語句を書き込んでいくだけのシンプルな思考法であるため、目標達成のためだけでなく、アイデア出しや問題解決、タスク管理などにも使えます。
どのような内容になるのか、簡単に説明します。
目標達成のためのマンダラチャート
中央のマスに達成したい目標を書き、周囲にその目標を達成するためのタスクを書いていくものです。
行動やタスクを具体的に記入することで、何をすべきかがわかり、行動に移すことができます。
それぞれの項目に期限や優先順位などを書いたり、行動計画表に詳細の行動を書いたりすることで、より目標達成に近づけます。
問題解決のためのマンダラチャート
中央のマスに解決したい問題を書き、その周囲の8マスに、問題を解決するために必要なものを書き出していきます。
ビジネスで発生した問題であれば、人間関係、金銭的コスト、時間的コスト、設備投資、メンバーのスキルレベルなどが、問題解決に必要な要素となるでしょう。
問題点を深堀りすることで、要素ごとに解決策や解決に至るまでの手順、再度同じ問題を起こさないためにどうすべきかなどを整理できます。
アイデア出しのためのマンダラチャート
新しい商品・サービスを開発するときにも、マンダラチャートを活用することができます。
中心のマスに商品名やコンセプトなどを書き、周囲のマスに商品開発のために必要な事柄を書いていきます。
新商品に対する予算や技術面、人員、原料、顧客の口コミなどを丁寧に書き出しましょう。
新商品に関する情報を洗い出すことで、新しいアイデアを生み出すことができます。
マンダラチャートのメリット
マンダラチャートを活用すれば、効率的に目標を達成できますが、その他にもメリットがあります。
紙とペンだけでマンダラチャートを作ることができますので、ぜひ個人またはチームで作成し、メリットを体感してみてください。
目標への道筋が明確になる
マンダラチャートを使うと、目標を達成するために必要なことが細分化され、段階的に可視化されます。
目標達成のために必要なことは1つだけではありません。様々なタスクが重なり合って目標達成に近づくことができますが、それらのタスクを頭の中で考えているだけでは、なかなか行動に移すことは難しいでしょう。
マンダラチャートを作ることで、目標達成のために今するべき行動がすぐにわかるため、行動に移しやすく、結果として目標を達成することができるのです。
新しいアイデアを生み出せる
マンダラチャートの81マスすべてを埋めるのは、簡単なことではありません。
目標達成に関連する言葉をじっくりと考える必要があります。
マンダラチャートでは、中央に置いた目標の要素を細分化していくことで思考が深まっていきます。
マスを埋める作業を集中して行うことで、今まで思いつかなかった新しいアイデアを思いつく可能性があるのも、マンダラチャートのメリットの1つです。
タスクの優先順位がわかる
目標達成のために必要なタスクは、マンダラチャートに書いていくことで、整理することができます。
タスクが1枚のチャートにまとめられるため、どのタスクを優先すべきかを比較検討することが可能です。
優先順位を決められれば、行動に移しやすく、目標達成も近づくでしょう。
マンダラチャートの作成方法
この章では、目標達成のためのマンダラチャートの作り方について説明します。
- 81マスのフォーマットを作成する
- 中央のマスに最終目標を記入する
- 最終目標の周囲のマスに目標達成に必要なことを記入する
- (3)で書いた言葉を周囲の9マスの中央に記入し、その周囲に関連する言葉を記入する
- 書いた言葉を達成していく
81マスをすべて埋めるのは大変ですので、ほかの仕事の片手間に作成するのではなく、2時間程度時間をとって、集中して作成することをオススメします。
1. 81マスのフォーマットを作成する
マンダラチャートは、9マスの正方形を9個集めた形をしています。
自作ならExcelやGoogleスプレッドシートを使うとマスを作成しやすいです。
フォーマットを提供しているWebサイトも増えているので、作成の時間を取れなければダウンロードしても良いでしょう。
2. 中央のマスに最終目標を記入する
81マスの中央に、達成したい最大の目標を記入してください。
中央のマスに書く目標は、マンダラチャート作成のベースになる部分です。
目標は数値化できるものでも、自分の感覚で評価できるものでも、どちらでも構いませんが、具体的に書くと、他のマスを埋めやすくなります。
チームでマンダラチャートを使う場合は、全員が実行できて、結果を数値化しやすい目標を書きましょう。
3. 最終目標の周囲のマスに目標達成に必要なことを記入する
中央のマスに書いた目標を達成するために必要な行動やタスクなどを、中央のマスの周りの8つのマスに記入します。
必要な要素が8つ以上ある場合は、自分の状況に合わせて取捨選択して8つに絞りましょう。
要素を洗い出す際に、自分の得手不得手も客観的に見ることができます。
自分の弱みを知ることも目標達成には必要なことですので、自らを俯瞰して観察することが大事です。
4. (3)で書いた言葉を周囲の9マスの中央に記入し、その周囲に関連する言葉を記入する
これで中央の9つのマスが埋まりました。次は、残りのマスのグループ(9つのマスの集まり)を埋めていきましょう。
それぞれのグループの中央のマスに、(3)で書いた8つの言葉を入れていきます。
そして、その周りのマスに、8つの言葉を達成する行動やタスクなどを記入すれば出来上がりです。
中央の目標を大テーマとした場合、その周囲にある8つの言葉は中テーマ、8つの言葉の周囲にある64の言葉は小テーマとなります。
5. 書いた言葉を達成していく
マンダラチャートが完成すれば、各項目を達成するために行動するのみです。
64の小テーマは、中テーマや大テーマよりも具体的な内容になるため、実行しやすいことが多いです。
大テーマである最終的な目標を達成するために、すべての項目が繋がるので、一つ一つ確実にクリアしていきましょう。
マンダラチャートを作成するときのポイント
マンダラチャートは単純なフローチャートであるため、目標達成もその出来に左右される可能性があります。
初めて作成する人でも作成しやすいよう、マンダラチャート作成から活用時までのポイントやコツを紹介します。
作成の途中で行き詰ってしまったときなどに、参考にしてください。
81マス全て記入する
マンダラチャートは81マスをすべて埋めることがルールです。思いつかないからと言って、書くのを止めてはいけません。
なぜなら、とことんまで考え抜いてアイデアが漏れなく記入されていれば、目標達成に近づくことができるからです。
もし、なかなかマスを埋められないなら、他のマスを考えてみることで、マスを埋めることができるかもしれません。
マス目を埋めていくことで、新しいアイデアが浮かぶこともあります。マンダラチャートを作成する過程で思考が整理されていくので、時間を決めてマスを埋めていきましょう。
それでも、マスが埋まらない場合は、中央の9つのマスに書いた目標やタスクが自分の状況に合っていないことが考えられます。
どうしても小テーマを入れることができない場合は、大テーマや中テーマの内容を考え直すことも必要です。
また、同じ内容でも言葉の表現方法を変えるだけで、アイデアが浮かぶこともあるので、試してみてください。
優先順位を決める
マンダラチャートに書いた81個の項目は多岐にわたるため、すべてを同時に実行するのは困難です。
そのため、大きな目標を達成するための重要度や優先順位を決めて、順番に実行していくことで計画的に目標を達成できます。
客観的に優先順位を決められるように、重要度を数値化しておきましょう。
期限を決める
目標を達成するためには、期限を決める必要があります。
期限を決めないまま行動しようとしても、つい後回しにしてしまうことは誰しも経験したことがあるのではないでしょうか。
期限を決める際には、まず中心の目標をいつまでに達成するのかを決めます。その次に、その周辺の8つの目標の達成期限を決め、最後に64マスの達成期限を決めるというように、大きなものから逆算して期限を設定しましょう。
最終的な目標の達成期限を先に決めることで、他の項目の期限を緩くすることを防ぎ、計画的に行動できるようになります。
日々、振り返りを行う
マンダラチャートは項目が多いため、日々振り返り、目標達成に近づけているのかの検証が必要です。
目標に近づけていることがわかると、モチベーションがアップし、より目標達成が早まるでしょう。
簡単に目標の達成状況がわかる方法は、達成できたマンダラチャートの項目を塗りつぶしていくことです。
もし行動した結果、目標達成につながらない項目があれば、修正することもできます。
マンダラチャート作成時の注意点
マンダラチャートは目標達成に効果的なフレームワークですが、使用するときに注意するべき点もあります。
デメリットも知っておくことで、効率よくマンダラチャートを使うことができます。
ここで挙げる注意点は2つです。デメリットを避ける方法も解説しているので、参考にしてください。
目標達成に関する必要な要素が8個未満、または9個以上では使いづらい
マンダラチャートは81個のマスを埋めることで、漏れなく行動やタスクを書き出し行動に移せるというフレームワークのため、マスの数に合わない目標や要素では使いづらくなります。
もし、自身やチームの目標がマンダラチャートに合わないようであれば、マインドマップを使用しましょう。
マインドマップは中央の大テーマから枝分かれして、目標に対する行動やタスクを書いていくことができますが、数に限りはありません。
達成したい目標に合うツールを使うことが大切です。
作成のクオリティが低くても気づきづらい
マンダラチャートは、中央に書いた目標達成を目指すように項目を埋めていきますが、必要な要素を網羅できていなければ、達成まで難しくなってしまいます。
しかし、マンダラチャートの要素に漏れがあったり、不要なものを書いていたりしても自分では気づきにくいものです。
特に、中央の9つのマスに書いている大テーマと中テーマが正しく書かれていない場合、小テーマに書く行動やタスクに影響を及ぼします。
初めてマンダラチャートを作成する人や、未経験の分野のマンダラチャートを作成する人は、一人で作らず、経験者や上司、講師などからアドバイスをもらいましょう。
もしくは、同じ部署のメンバーやチームでマンダラチャートを作れば、要素の抜けなどを防ぐやすくなります。
マンダラチャートで活用して目標達成を目指しましょう
この記事では、マンダラチャートの作成方法やポイント、注意点などを開設しました。
マンダラチャートを使えば、頭の中で思い浮かべたままのアイデアを可視化し、目標達成のためのアクションプランを作成することができるのです。
81個のマスを埋めるのは少し時間がかかってしまいますが、丁寧にアイデア出しをすることで目標達成までの道筋が明確になります。
具体的なタスクがわかれば、あとは実行するのみです。ぜひマンダラチャートを活用し、目標達成を目指してください。