Z世代の消費行動の特徴・有効なマーケティング施策とは?

最終更新日: 2024/04/08 公開日: 2023/12/11
  • Z世代の消費行動は他の世代と違うと聞くが、具体的にどう違うのか?
  • なぜマーケティング分野でZ世代が重要視されている?
  • Z世代の消費行動に適したマーケティング施策とは?

上記のような疑問を抱えていませんか?

今回は、Z世代の定義や特徴、Z世代に特有の消費行動について解説します。

Z世代の価値観に即したマーケティング施策にも触れていますので、ぜひ参考にしてください。

Z世代とは

そもそもZ世代はなぜ「Z」世代と呼ばれているのでしょうか。

実は、Z世代という呼び方はさらに上の年代である「X世代」「Y世代」に由来しています。

世代ごとの定義やマーケティング分野でZ世代が重要視される背景を押さえておきましょう。

X世代・Y世代・Z世代の定義

X世代・Y世代・Z世代には、明確な定義が存在しません。

海外と日本では各世代の定義が微妙に異なっており、国ごとの歴史や社会情勢などにも影響を受けているのが実情です。

日本においては、一般的に下記のように定義しているケースが多く見られます。

  • X世代:1965年(昭和40年)~1980年(昭和55年)生まれ
  • Y世代:1981年(昭和56年)~1995年(平成7年)生まれ
  • Z世代:1996年(平成8年)~2015年(平成27年)生まれ

もちろん上記の分類方法は絶対的なものではなく、有識者によって定義が異なるケースもめずらしくありません。

本記事では、1996年(平成8年)~2015年(平成27年)生まれを「Z世代」と定義しています。

ミレニアル世代とZ世代の違い

世代による分類方法においては、「ミレニアル世代」という呼び方を耳にすることもあります。

ミレニアル世代とは、幼少期からデジタルデバイスに触れてきた世代のことです。

デジタルネイティブと呼ばれることもありますが、基本的にはミレニアル世代と同じ意味と捉えてください。

一般的に、ミレニアル世代は「Y世代」のことを指しています

10代の頃にインターネットが広く使われるようになり、インターネットを利用することに抵抗感がない世代です。

Z世代はミレニアル世代(Y世代)に続く世代の方々、ということになります。

Z世代が育ってきた環境

Z世代が育ってきた環境として、他の世代と大きく異なるのがインターネットやデジタルデバイスの位置づけです。

生まれた時にはすでにインターネットが普及しており、デジタルデバイスが使われ始めていました。

内閣府の調査によれば、自分専用のスマートフォンを持っている小学生は全体の63.3%、中学生は91.1%にのぼります。

Z世代にとって、インターネットやスマートフォンは「生まれた時から当たり前のようにあったもの」です。

社会・経済の面では、物心ついた頃にリーマンショックによる不況を目にしています

親世代が不況の影響を受けるのを見てきたZ世代が、現実的な考え方をする傾向があるのは自然なことかもしれません。

なぜマーケティング分野でZ世代が重要なのか

マーケティング分野においては、Z世代がしばしば注目されています。

なぜZ世代は、他の世代と異なる見方をされるケースが多いのでしょうか。

答えを端的に表すとすれば「従来のマーケティング手法が通用しなくなっているから」です。

顕著な例として、情報を収集する方法が挙げられます。

X世代・Y世代の多くがインターネット検索によって情報を得ている一方で、Z世代はSNSから情報を得ているのです

同様に「友人とのやり取りはInstagramのDMで行う」といったように、他の世代とは異なる行動が見られます。

従来とは異なる価値観を持つZ世代にどのようなマーケティング施策が有効なのか、試行錯誤が続いているのが実情です。

Z世代の代表的な特徴

Z世代の消費行動への理解を深めるには、まずZ世代の全般的な特徴を捉えることが大切です。

顕在化している消費行動の背後には、どのような思考・価値観・習慣が根づいているのかを押さえましょう。

個人の価値観を大切にする

Z世代の大きな特徴として、自分自身の価値観を大切にする点が挙げられます。

テレビや雑誌がブームを作ってきた時代とは異なり、現代社会では価値観や嗜好は「人それぞれ」です。

多くの人が欲しがるから、有名なブランドだからといった理由ではなく、自分にフィットするかどうかを重視する傾向があります

すでに確立された価値観を基準に考えるのではなく、あくまでも個人の価値観にもとづいて物事を判断している点が大きな特徴です。

多様性に対して敏感

自分自身の価値観を大切にするZ世代は、他者の価値観もまた尊重すべきものと捉える傾向があります。

性別や人種といった属性で物事を判断するのではなく、各自が自分らしくいられるかどうかを重視しているのです。

多様性に対して敏感になる理由は、幼い頃からインターネットが身近な存在だったことが大きく影響していると考えられます。

自分が生まれ育った地域やごく身近な人々に限らず、インターネットを通じて世界中の情報に触れられるからです

特定の価値観に囚われない柔軟性を自然に体得してきたからこそ、自身や周囲の価値観を大切にする志向が育まれてきたのでしょう。

スピード・効率を重視

生まれた時からデジタルデバイスに囲まれて生活しているZ世代は、合理的な判断を下す傾向があります。

コスパ・タイパといった言葉が聞かれるようになった通り、料金・時間に見合った価値が得られるかどうかを重視しているのです。

動画を1.5倍速で視聴するといった行動も、時間対効果を最大化したいという心理の表れといえるでしょう。

損害保険ジャパンが実施した調査によれば、動画内でストレスなく理解できる速度を文字数に換算した結果、次の通りとなりました。

  • Z世代:12.3文字/秒
  • Y世代以上:10.2文字/秒

Z世代は日常的に大量の動画を視聴しているため、動画から得られる情報量が他の世代よりも多いことが分かります

Z世代の多くが「文字を読むよりも動画から情報を得たほうが早い」と感じるのは、自然な成り行きといえるでしょう。

情報収集はSNSが中心

Z世代は情報収集にマスメディアやインターネット検索ではなく、主にSNSを活用する傾向があります。

従来のマスメディアは不特定多数の視聴者や読者を対象としているため、人口の多い世代に向けた情報に偏りがちです。

Z世代の視点から見ると、テレビや新聞が提供しているのは「両親・祖父母世代向け」の情報に過ぎません。

SNSはユーザーの嗜好に合わせてフォローする相手を選べる上に、タイムラインに流れてくる情報もパーソナライズされています。

個々人の状況に寄り添った情報提供が可能なSNSは、Z世代にとって有益な情報収集ツールなのです

環境問題・社会問題への関心が高い

環境問題や社会問題への関心が高く、利益優先ではない公益性の高い活動に惹かれる傾向があるのもZ世代の特徴です。

成長過程でリーマンショックや東日本大震災を目にしてきたことは、価値観の形成に少なからず影響を与えたと考えられます。

学校教育においても、2020年〜2022年度にかけて学習指導要領に「持続可能な社会の創り手の育成」が掲げられました。

学校の授業等でSDGsに触れているため、環境問題や社会問題を自分事として捉える傾向が他の世代よりも強まっているのです

Z世代に見られる消費行動とは?

Z世代の消費行動について、とくに押さえておきたいポイントを紹介します。

モノやサービスを消費する際、Z世代が重視する傾向のある要素は次の通りです。

モノ消費からコト消費へ

Z世代は形のある「モノ」にお金を使いたがらない一方で、「コト」(=体験・経験)への支出は惜しまない傾向があります。

消費者庁の調査によれば、Z世代が「お金をかけているもの」の3割以上はスポーツ観戦や映画、コンサート鑑賞が占めていました。

30代〜70代の場合、上記のような「コト消費」が支出に占める割合は10%台に留まっています。

他にも、お金の使い方として高い割合を占めているのが「交際」です。

20代の場合は交際費が45.2%を占めており、今後交際にお金をかけたいと答えた人の割合も39.4%にのぼりました。

Z世代が人とのつながりを重視しており、コト消費に価値を感じている結果と見ることができるでしょう

ブランドや権威性よりもコスパ重視

個人の価値観を大切にするZ世代の傾向は、消費行動にも表れています。

どこのブランドの商品であるかよりも、自分にとって価値が感じられるかを重視する人が多いのです。

支払った金額分の価値を得られるかどうかを重視する「コスパ」志向も強い傾向があります。

単に知名度があるというだけでは、Z世代の心には響かなくなっているといえるでしょう

自分らしくいられるかどうかが判断基準

Z世代の消費傾向として、「堅実」「倹約」といった表現が使われることがあります。

モノ消費が主流だった世代から見ると、モノを積極的に買おうとしないZ世代は堅実・倹約志向が強いように映るかもしれません。

Z世代はモノを必要としていないのではなく、モノを活用することで「自分らしくいられるかどうか」を重視しているのです。

周囲の人がごく普通に所有しているものでも、自分にとって所有するほどの価値がないと感じればレンタルやサブスクを利用します。

お金を使うことで豊かになれるかどうかではなく、自分らしいお金の使い方かどうかを重視しているといえるでしょう

共感できるかどうか

Z世代の消費行動を知る上で重要なキーワードの1つに「共感」が挙げられます。

環境問題や社会問題への関心が高いZ世代は、商品を提供する企業のメッセージに「共感できるかどうか」を重視しているのです。

商品の見た目や表面的な謳い文句ではなく、背後にあるメッセージに注目している、と言い換えることもできるでしょう

ブランドのストーリーや、企業としてどのような世界を目指したいかといったメッセージが、Z世代の心を捉えます。

機能的価値だけを重視するのではなく、商品を活用することで心が満たされる「情緒的価値」を重視しているのです。

情報収集=失敗しないための戦略

Z世代の消費行動の根底には「失敗したくない」という思いが潜んでいます。

消費者庁が実施した調査では、商品やサービスを検討する際に口コミを参考にすると答えた人の年代別割合は次の通りでした。

  • 15〜19歳:57.8%
  • 20歳代:71.4%
  • 30歳代:69.6%
  • 40歳代:59.6%
  • 50歳代:48.3%
  • 60歳代:32.7%
  • 70歳代:22.2%

他のユーザーが残したレビューや口コミを参照する人の割合は、20歳代が突出して高いことが分かります。

自分の直感にもとづいて購入した結果、「買わなければよかった」と感じるのを避けたいという心理の裏返しと見てよいでしょう。

SNSで見た情報がきっかけで商品を購入した経験を持つ人の割合も、20代が最も多いことが分かっています。

出典:消費者庁「平成29年版消費者白書」|【特集】若者の消費

上図に表れている通り、とくにZ世代は「友達がアップしやシェアした情報」を参考にしている点が大きな特徴です。

芸能人や有名人が発信している情報と同様に、親しい友達がおすすめしている情報を信頼している人が少なくないのです

Z世代の消費行動に対応するマーケティング法則・施策5選

Z世代の消費行動を踏まえて、どのようなマーケティングの法則・施策が有効であるかを解説します。

次に挙げる5点は、Z世代に商品・サービスを訴求したい企業にとって必ず押さえておきたい法則・施策といえるでしょう。

VISAS

VISASとは、SNSを通じて消費者がどのような影響を受けるかをモデリングしたものです。

VISASは次に挙げる言葉の頭文字から構成されています。

  • V:Viral(口コミ)→SNSの投稿がきっかけで商品を知る
  • I:Influence(影響)→SNS上の口コミ・評判の影響を受ける
  • S:Sympathy(共感)→口コミ・評判の発信者に共感する
  • A:Action(行動)→商品・サービスを購入する
  • S:Share(共有)→購入した商品の口コミをSNSに投稿する

Z世代はSNSから商品情報を得るだけでなく、「誰がどのような思いで発信しているのか」を重視している点が特徴です

購入後は消費者自身が発信者となることにより、情報共有のサイクルが拡大していきます。

SNSが重要な情報源となっているZ世代に商品・サービスを訴求する上で、必ず押さえておきたい法則といえるでしょう。

DECAX

DECAXとは、企業と消費者間の双方向のやり取りを前提とした購買プロセスのことです。

DECAXは次に挙げる言葉の頭文字から構成されています。

  • D:Discovery(発見)→ネットやSNSでコンテンツを発見する
  • E:Engage(関係)→コンテンツ提供企業との関係を深めていく
  • C:Check(確認)→企業が扱っている商品・サービスを確認する
  • A:Action(行動)→商品・サービスを購入する
  • X:Experience(経験の共有)→口コミやレビューを投稿・共有する

商品・サービスありきではなく、企業との間で信頼関係を築くプロセスが先立っている点が大きな特徴です。

企業が発信するコンテンツは、商品を直接的に訴求することが主目的ではなくなっていくでしょう。

いかに消費者の心を捉え、「面白い」「共感できる」と思ってもらえるかが信頼関係を築くきっかけとなるからです

コト消費を重視するZ世代を対象としたマーケティング施策を考える上で、押さえておきたい購買プロセスといえるでしょう。

体験・ストーリーの提供

Z世代に向けて商品を訴求する際には、従来のように「機能性が高い」「安くてお買い得」では通用しなくなっています。

商品やサービスの背後にある思いや哲学に共感するからこそ、購入を決定する人が少なくないからです。

商品の開発秘話やブランドの世界観を存分に伝え、Z世代の共感を得ることが重要になっていくでしょう。

商品を通じて得られる「体験」の価値も重要な位置を占めています。

「友達と一緒に楽んでもらう」など、商品の利用シーンを想定した企画立案やマーケティング施策を講じていく必要があるでしょう

オムニチャネル

オムニチャネルとは、自社と顧客をつなぐ全ての経路を統合し、顧客にアプローチしていく手法のことです。

複数のSNSを使い分けているZ世代にとって、チャネルごとに「別の人」として扱われるようでは違和感を抱かざるを得ません。

リアル店舗で購入した商品に関連するレコメンドが、WebやSNSにも反映されるといった仕組みの整備は急務といえます。

消費者の本質的なニーズは「どのチャネルでも違和感なく商品が購入できること」です。

チャネルの統合が目的化することのないよう、購買体験をより心地よいものに改善するための施策に取り組んでいきましょう

OMO

OMO(Online Merges with Offline)とは、オンラインとオフラインを統合させるマーケティング施策のことです。

ECと実店舗のシームレスな連携により、購買体験の向上を図ることが主な目的と考えてください。

Z世代から高い支持を得ているECサイト「SHEIN」は2022年11月、初のリアル常設店を原宿にオープンしました。

常設店内で商品の実物を手に取って確認し、購入時にはECサイトを利用します。

店舗はあくまでもショールームであり、フォトスポットなどを提供するための場所なのです。

ECの利用が当たり前になっているZ世代にフォーカスした「体験提供型」OMOの好例といえるでしょう

まとめ

Z世代に限らず、消費行動は消費者の意識や思考が顕在化した姿といえます。

Z世代の表層的な消費行動に着目するだけでなく、背後にある本質的なニーズを捉えることが重要です。

今回紹介したZ世代の特徴や消費行動の傾向を参考に、ぜひZ世代の「本当のニーズ」を捉えた施策を考案してください。

Z世代が育ってきた環境や時代背景を深く洞察することで、彼ら・彼女らの「心」に響く施策を講じられるはずです。

セミナーズ通信

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最終更新日: 2024/04/08 公開日: 2023/12/11