今注目のオムニチャネル―メリットや手順、成功事例などを解説

最終更新日: 2021/12/15 公開日: 2021/12/15

スマートフォンやSNSが普及し、顧客の商品を購入するまでの行動が多様化している現代においてオムニチャネルという販売戦略が注目を浴びています。

顧客はスマートフォン1つあれば、商品の詳細や他の人の口コミを読め、どの店が一番安いのかなど、様々なサイトから商品の情報を手に入れることができます。

商品購入までに様々な経路を進むため、企業もそれに合わせる必要がでてきました。

多様化した消費行動に合わせて、どのタイミングからでも商品を購入してもらえるようにする戦略がオムニチャネルです。

ただ、オムニチャネルのことを「たくさんの販売経路をつくればよい」「いろいろなルートで商品を宣伝すればよい」と思っている人もいるのではないでしょうか。

この記事では、オムニチャネルとその他の販売戦略の比較、オムニチャネルのメリットとデメリット、オムニチャネル化までの手法や成功事例を解説します。

オムニチャネルとは?

オムニチャネルの「オムニ(Omni-)」とは「すべての~」「あらゆる~」という意味を持つ接頭語で、「チャネル(channel)」とは「経路」「ルート」という意味です。

つまり、オムニチャネルとは、自社と顧客をつなぐすべてのメディアや販売経路を統合し、総合的に顧客へアプローチする販売手法のことです。

オムニチャネルでは、顧客は購入の経路を意識しないまま商品の購入をしています。

例えば、自社のECサイトで商品を選んだ顧客が、実店舗で商品を受け取れるようなシステムの構築などをすることを指します。

オムニチャネル・マルチチャネル・クロスチャネル・O2Oの違い

オムニチャネルに似ている言葉として「マルチチャネル」「クロスチャネル」「O2O」があります。

それぞれどのような意味で、オムニチャネルとの違いは何かを説明します。

マルチチャネル

マルチチャネル複数の販売経路があるが、それぞれが独立している。
オムニチャネル複数の販売経路があり、すべての販売経路を統合している。

マルチチャネルは複数の販売経路があり、それぞれが独立して販売する戦略です。

1つの販売経路よりも顧客との接点が増え、販売増加を見込めますが、複数の販売経路があっても、それらが統合されていないため、顧客が複数のチャネルをまたいで購入することが難しいです。

例えば、顧客が訪れた実店舗に在庫がなく、ECサイトに在庫があっても顧客は購入に至らず、販売機会を損失しています。

オムニチャネルでも複数の販売経路を持っていますが、すべての販売経路を統合しているため、販売機会の損失を防いでいます。

クロスチャネル

クロスチャネル複数の販売経路があり、顧客管理や在庫管理が統合されているが、特典やサービスは一元化されていない。
オムニチャネル複数の販売経路があり、それぞれの販売経路が統合し、1つのブランドの一役を担っているため、顧客はどの販売経路で購入したのか気にしていない。

クロスチャネルは複数の販売経路があり、顧客情報管理や在庫管理が統合されています。

そのため、マルチチャネルのような販売機会の損失を減らすことができます。

ただ、販売経路ごとに得られる特典やサービスは一元化されておらず、例えばECサイトで貯めたポイントと、実店舗で貯めたポイントを統合できないなどの課題があります。

オムニチャネルでは、どの販売経路で購入しても同じポイントを貯められます。

顧客はどの会社(ブランド)で購入したかを意識し、どの経路で購入したかについて気にすることはありません。

つまり、すべての販売経路で1つのブランドを作り上げるのがオムニチャネルです。

O2O

O2Oオンラインからオフラインへ顧客を導く。
オムニチャネルオンラインからオフライン、オフラインからオンラインの双方向で顧客が動く。

O2Oとは「Online to Offline」の略です。

顧客がオンライン(ECサイトなど)で商品を選び、オフライン(実店舗)で商品を購入する状態を意味します。

例えば、ECサイトで実店舗で使えるクーポンを配布して、実店舗へ顧客を誘導するなどの施策があります。

O2Oはオンラインとオフラインを連携しますが、オンラインからオフラインの一方通行であることが、オンラインとオフラインのそれぞれに役割を与えて連携するオムニチャネルとの大きな違いです。

オムニチャネルのメリット

オムニチャネルは多様化する購買活動に合わせた販売戦略で、顧客のニーズに合わせた部分に大きなメリットがあります。

ここでは、主なメリットを3点に絞り解説します。

顧客満足度が向上する

オムニチャネルでは、顧客情報管理、在庫管理などすべての情報を一元化しているため、顧客はどこで買っても同じものを購入することができます。

また、ECサイトに商品の詳しい説明を掲載し、実店舗でも見られるようにすることや、ECサイトで購入したものを実店舗で受け取れるなど、顧客にとって便利なサービスを提供することで、顧客満足度を向上させられます。

機会損失が減る

在庫管理を一元化しているため、ECサイトには在庫がないが実店舗では在庫があるという状況がなくなります。

在庫管理が販売経路ごとに分けられていた場合、顧客にはどこに在庫があるのかがわからず、実店舗にあったことがわかったとしても、ECサイトを見ていた顧客は購入しに行くことができないかもしれません。

どの販売経路でも同じ在庫であるということは、販売の機会損失を減少させることができます。

顧客分析がしやすい

自社でたくさんの販売経路を持つと、顧客がどのように購入行動をとっているかが複雑化し、見えづらくなります。

特に近年ではスマートフォンとSNSの普及により、購入までのプロセスが多様化しています。

オムニチャネルですべての情報を一元管理することで、顧客の様々な行動パターンなども分析でき、効率の良い施策が打ちやすくなります。

オムニチャネルのデメリット

今までオムニチャネル化を図ろうとして失敗した企業も少なくありません。

下記に紹介する2つの課題はオムニチャネルの特徴を理解し、あらかじめ対策を用意しておくことで避けられるでしょう。

活用できるまでに時間と費用がかかる

オムニチャネル化をするためには、SNSアカウントやECサイトを開設し、アプリを開発する必要があり、そのための人員配置や費用がかかります。

また、SNSアカウントやECサイト、アプリを作っただけでは、まったく認知されません。

実店舗の顧客にオンラインでの販売について案内することや、SNS運用、SEO対策、オンラインでのプロモーションなどを行い、コツコツと集客を行いましょう。

実店舗がショールーム化する可能性がある

オムニチャネル化で、オンラインの販売経路と実店舗が相互に顧客を送り合えるようになりますが、実店舗についていた顧客がオンラインに流れてしまい、実店舗がショールーム化してしまったという企業がしばしば見られます。

実店舗で商品を見て、オンラインで購入するという状態ですね。

オムニチャネルでは、それぞれのチャネルがどのような役割を持つのか、実店舗とどのように連携するのかなどを検討する必要があります。

オムニチャネル化する手順5ステップ

オムニチャネル化をするには、様々な部署が強く連携して達成させるものです。

自社の状況によって着手すべき取り組みが変わるため、自社の販売経路やシステムなどを先に把握しておく必要があります。

①ロードマップを作り、必要な準備やゴールを明確にする

オムニチャネル化するためには、複数のチャネルや顧客との接点が必要です。

オンラインの販売経路がなければECサイトを構築しなければなりませんし、在庫管理システムや顧客管理システムがなければ導入する必要があります。

自社の状況によっては大胆な組織改革や調整を行う必要があり、複雑化する可能性もあるため、ロードマップを作成しましょう。

「誰が」「何を」「いつまでに」「なぜ」「どのように」対応するのかを明確にし、全社一丸となって取り組んでいきましょう。

②カスタマージャーニーマップを作り、最適なアプローチを検討する

カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品の購入までにどのような行動をしたのか、何を考えたのかなどのプロセスを視覚的に表したものです。

対象となるペルソナを決め、そのペルソナが何をきっかけに商品を知り、商品を検討して、購入に至るのかの仮説を立てることで、オムニチャネルをどのように活用し、顧客満足度を上げるのかの道筋を決めることができます。

チャネルごとにペルソナへどのような価値を提供するのかを考えると、最適なアプローチ方法を検討しやすくなります。

③オムニチャネルに対する意識を統一させる

オムニチャネルでは、オンラインのチャネルと実店舗との相互送客を行います。

ECサイトと実店舗のそれぞれに達成目標がある場合、ECサイト担当者は実店舗に顧客を流そうとせず、実店舗のスタッフもECサイトを顧客におすすめせず、それぞれをライバル視することが多いですが、オムニチャネルでは、1つの目標に向かい、協力し合う意識の統一が必要です。

各チャネルの役割を明確にすることで全体を1つの目標達成へと意識させることができるでしょう。

④顧客情報や在庫情報の管理システムを統合する

オムニチャネルでは、それぞれのチャネルが持つ情報を一元化する必要があります。

すべての販売経路の在庫状況、顧客情報、顧客の購入履歴など、すべての情報をまとめることにより、顧客満足度を上げることができます。

どのチャネルからも同じ情報を得られるようにシステムを構築しましょう。

⑤PDCAサイクルを回す

PDCAサイクルとは「Plan(計画)「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」を繰り返し行うことで、業務の改善を継続的に行えるフレームワークです。

自社で作成したカスタマージャーニーマップ通りにオムニチャネルが働いているかを確認し、もしうまくいっていない部分があれば、改善する必要があります。

顧客のニーズは常に変化し続けています。

顧客のニーズに最適な価値を提供し続けられるよう、多角的な視点で情報収集、分析を行い、改善をしていきましょう。

オムニチャネル化の成功事例

ここでは、オムニチャネル化に成功した企業の事例を紹介します。

どれも実店舗とオンラインがうまく連携されており、顧客満足度を上げるという目的も達成しています。

株式会社赤ちゃん本舗

株式会社赤ちゃん本舗では、ベビー用品を販売している会社です。

「赤ちゃんが使うベビーベッドやベビーカーなどは、店舗でちゃんと実物を見て確認をしてから購入したい」「店舗で購入しても車がないから持って帰れない」という顧客のニーズをくみ取り、店舗で実物を確認し購入したら、自宅に届けてくれるというサービスをしています。

このサービスによって、顧客のニーズを叶えるとともに、店舗に大きな在庫を抱える必要がなくなりました。

株式会社良品計画

株式会社良品計画は、生活雑貨や家具などを販売している無印良品を運営している会社です。

無印良品には「MUJI Passport」というアプリがあります。

来店時にアプリにチェックインすることでマイルがもらえ、ポイントに交換できたり、ネットストアで注文した商品を店舗で受け取れたり、期間限定クーポンをもらえたりします。

アプリ・ECサイト・実店舗が連携して顧客満足度を上げています。

株式会社エービーシー・マート

株式会社エービーシー・マートはABCマートという靴専門店の大手企業です。

靴は店舗で履いてみてから購入するという消費者が多いため、店舗にサイズの在庫がないと販売機会損失に繋がります。

そのため、ABCマートでは在庫を一元管理するサービス「iChock」を展開しました。

iChockを利用すると、もし店舗に在庫がなくても自宅まで届けてくれるため、販売機会を失わずに済み、顧客は注文した靴をお店にとりに行かなくて済みます。

また、顧客はABCマートのECサイトで気に入った靴があれば試着を予約し、店舗で履いてみてから購入することも可能です。

ABCマートはオムニチャネル化することで、店舗の販売機会損失を減らし顧客のすぐに自分に合った靴を買いたいという要望に応えられています。

オムニチャネル化で顧客満足度の向上を

オムニチャネルは採用しても、すぐに結果が出るような販売戦略ではありません。

しかし、顧客のニーズは絶えず変化し、それに合わせた戦略をとっていかなければ、企業は生き残ることができないでしょう。

商品そのものの価値に加え、商品を買う体験にも価値が重視されています。

自社の現状を把握し、より顧客満足度を向上させるため、オムニチャネル化を進めてはいかがでしょうか。

最終更新日: 2021/12/15 公開日: 2021/12/15