広報とマーケティングは、自社の情報を発信する点では同じですが、その役割や仕事内容は異なります。この違いを把握していないと、自社に必要な業務がどちらなのかわからず、適切な施策を打つことは難しいといえます。
そのため、このような疑問を抱く方は多いことでしょう。
「広報とマーケティングの違いは?」
「広報とマーケティングは兼任できる?」
そこで本記事では、広報とマーケティングの目的や仕事内容、資格などの違いを紹介します。
本記事を読むと、自社の認知を拡大させるために、広報とマーケティングのどちらに注力すればいいのか把握可能です。
組織の認知を拡大し売上を伸ばしたい経営者は、ぜひお読みください。
広報とマーケティングの違い
広報とマーケティングの違いを明確に把握するには、その定義を知っておくことが重要です。
ここでは、広報とは?マーケティングとは?に焦点を当てて、それぞれの違いについて解説します。
それぞれご覧ください。
広報とは
広報とは、企業や行政、団体などの組織が、ステークホルダー(利害関係者)と良好な関係を作ることです。
2023年6月20日には、日本広報学会が広報の最新定義を以下のように定めています。
組織や個人が、目的達成や課題解決のために、多様なステークホルダーとの双方向コミュニケーションによって、社会的に望ましい関係を構築・維持する経営機能である。
引用:日本広報学会
また、広報は英語で「public relations(パブリック リレーションズ)」といわれます。
これは19世紀末〜20世紀にかけてアメリカで発展した考え方で、1946年以降に日本ではアメリカから導入されました。
マーケティングとは
「公益社団法人 日本マーケティング協会」は、マーケティングの定義を以下のように定めています。
(マーケティングとは)顧客や社会と共に価値を創造し、その価値を広く浸透させることによって、ステークホルダーとの関係性を醸成し、より豊かで持続可能な社会を実現するための構想でありプロセスである。
引用:公益社団法人 日本マーケティング協会
注 1)主体は企業のみならず、個人や非営利組織等がなり得る。
注 2)関係性の醸成には、新たな価値創造のプロセスも含まれている。
注 3) 構想にはイニシアティブがイメージされており、戦略・仕組み・活動を含んでいる。
つまり、価値(商品・サービス)をマーケティングによって社会に広げ、利害関係者との関係を良好にすることを指します。
マーケティングは、商品・サービスを売るための販売戦略として捉えられがちです。
しかし、広い意味では、企画や開発、市場調査、戦略立案もマーケティングの一部になります。
広報とマーケティングの目的・役割の違い
広報とマーケティングの定義がわかると、その目的・役割の違いも把握しておきましょう。
目的や役割を理解すると自社の目的に応じて、どちらに注力すればいいのかが明確にわかります。
それぞれ順番に解説していきます。
広報の目的・役割
広報の目的は、自社の商品・サービスの認知度やイメージの向上を図ることです。
そしてその結果、ステークホルダー(利害関係者)や社会から、自社に対する信頼や理解を得ることも目的のひとつです。
組織の売上を伸ばし、事業を拡大させるためには、社会に企業や事業を知ってもらい理解してもらう必要があります。
広報が信頼性にかける発信をすると、企業が社会からの信用を失う恐れがあるでしょう。
そのため、広報はプレスリリースの発信や報道・メディアの取材対応、SNSでの発信などを適切に行う役割があります。
マーケティングの目的・役割
マーケティングの目的は、顧客ニーズを調査し、それに応え、企業の売上に貢献することです。
企業が商品開発をして販促活動をしても、顧客ニーズに応えていないと、売るのが難しいでしょう。
また、商品・サービスの販促力を高めるためには、WebメディアやSNSなどで、潜在層に情報をリーチさせる必要があります。
そのため、マーケティングの役割は、市場調査や企画開発、データ分析、メディア・SNSアカウントの運営など多岐に渡ります。
広報とマーケティングの仕事内容の違い
広報とマーケティングの仕事内容の違いを紹介します。
それぞれの仕事内容がわかれば、自社が求めている職種が広報とマーケティングのどちらなのか理解できます。
順番に見ていきましょう。
広報の仕事内容
広報の仕事内容は、大まかにステークホルダーとの関係構築のために、情報収集や発信を行うことです。
具体的には、以下のような仕事を行います。
- プレスリリースの配信
- 報道・メディア関係者への取材対応
- 報道・メディア関係者へのアプローチ
- 危機管理対応
- SNS・ブログでの発信
- イベントの企画
たとえば、テレビの取材で商品・サービスの説明をしているのは広報の担当者になります。
組織の顔として表に立つ機会が多い仕事だといえるでしょう。
マーケティングの仕事内容
マーケティングの仕事内容は、顧客に商品・サービスの価値を伝え、売上につなげることです。
企画立案や市場調査、商品開発などもマーケティングの活動に含まれます。
主な仕事内容は以下の通りです。
- 市場調査
- ニーズ調査
- 商品企画・開発
- 販売企画の立案
- データ分析
- Web広告の出稿
- メルマガの配信
- Webサイト・メディアの運用
- SNSアカウントの運用
- セミナーやイベントの企画
情報を発信するという点において、マーケティングと広報の共通点は多いです。
広報とマーケティングの資格の違い
ここでは広報とマーケティングに求められる資格の違いについて解説します。
あるとよい資格がわかると、広報やマーケティングの部署を設けるときに、誰をアサインすればいいのか判断しやすいでしょう。
適材適所に人材を配属し、部署の成果を最大化させたい方は、ぜひチェックしてみてください。
広報の資格
広報の仕事に資格は必須ではありません。
しかし、資格がある社員を配属させられると、広報の仕事に対する動き方や向き合い方が変わります。
その結果、よりよい成果を残せるようになるでしょう。
広報において、役立つ資格は以下の通りです。
資格 | 概要 |
PRプランナー | 広報の仕事内容の全容を把握していることを証明する資格 |
IRプランナー | 投資家向けの発信をするための知識があることを証明する資格 |
商品プランナー | 商品・サービスの開発から販売までの知識を証明する資格 |
プロモーショナル・マーケター認証資格 | マーケター視点のプロモーションに関する知識・技術を認定する資格 |
ビジネス文書検定1級 | ビジネス文書のマナー・書き方に関する知識を認定する資格 |
マーケティングの資格
マーケティングの仕事にも、資格の取得は必須ではありません。
しかし、資格により知識があることがわかると、マッチする役割を与えやすくなります。
マーケティング職において、あるとよい資格は以下の通りです。
資格 | 概要 |
マーケティング・ビジネス実務検定 | マーケティングの実務知識があることを認定する資格 |
マーケティング検定 | マーケティングの概念や応用力の理解度を測る資格 |
ネットマーケティング検定 | SEOやSEMなどのWebマーケティングに特化した資格 |
Google Analytics Individual Qualification(GAIQ) | Google Analyticsを利用する能力を測る資格 |
Google広告認定資格 | Googleの広告に関する知識や技術を認定する資格 |
広報とマーケティングに関するよくある質問
広報とマーケティングに関するよくある質問に答えます。
よくある質問は以下の3つです。
- PRとマーケティングの違いは何ですか?
- 広報やマーケティングは未経験でもできますか?
- 広報とマーケティングは兼任できますか?
広報とマーケティングに関する疑問点を事前に解消して、できるだけわからないことがない状態にしておきましょう。
1. PRとマーケティングの違いは何ですか?
PRは「public relations」の略称です。つまりPR = 広報だといえます。
その上で前述しましたが、PRとマーケティングの違いは、以下の通りです。
- PR:ステークホルダーとの関係構築のために、情報収集や発信を行うこと
- マーケティング:顧客に商品・サービスの価値を伝え、売上につなげること
情報発信を行う点においては、PRとマーケティングは似ています。
しかし、その仕事内容は、広報がメディアや取材の対応、SNSでの発信に携わることが多いです。
マーケティングは、市場やニーズ調査、データ分析、メディアの運用などになります。
2. 広報やマーケティングは未経験でもできますか?
広報やマーケティングは未経験でも行えます。
転職市場を確認すると、広報やマーケティングの「未経験歓迎」の求人は多くあります。
たとえば、広報ならばアシスタント事務。マーケティングならばメディアのライターとして仕事を与えられることが考えられます。
企業によっては、経験を積んでから広報やマーケティングの仕事を任されるため、安心して取り組めます。
3. 広報とマーケティングは兼任できますか?
広報とマーケティングを兼任することは可能です。
それぞれの仕事を兼任できると、一貫性のある情報を発信できたり、拡散力が高まったりするでしょう。
ただし、事業規模が大きい場合は、仕事が増えすぎて兼任できないかもしれません。
そのため、ひとつの部署が広報とマーケティングを兼任するよりは、それぞれ連携して仕事を行うほうが現実的です。
中小企業から大企業は、広報とマーケティングを兼任しないで連携しましょう。
ベンチャー企業やマクロ法人などで人手が少ない場合は、広報とマーケティンを兼任するとよいでしょう。
まとめ
本記事では広報とマーケティングの違いについて解説しました。
それぞれ情報発信をする点については同じですが、目的は以下のように異なります。
広報の目的は、自社の商品・サービスの認知度やイメージの向上を図ることです。
一方、マーケティングの目的は、顧客ニーズを調査し、それに応え、企業の売上に貢献することです。
とくにマーケティングは、組織を拡大させるために必須といえます。
GoogleやSNSのアルゴリズムを理解しながら、顧客ニーズや市場を把握して、自社の商品・サービスを拡散できるためです。
顕在層だけでなく、潜在層にも情報をリーチさせられるでしょう。
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