界隈消費とは、人々の趣味や興味の対象が分散したことにより、コミュニティごとに異なる商品・サービスが消費されることを指します。
主にZ世代の間で広がっている消費の傾向として知られています。
- Z世代で広がる界隈消費の意味とは?具体例を知りたい
- 界隈消費が起こっている原因とその背景とは?
- 界隈消費をマーケティングに活かす方法を知りたい
界隈消費の詳しい意味やZ世代の間で広がったと考えられる理由を解説していきます。
また、消費に関する関連用語や界隈消費の具体例、マーケティングに上手く活かす方法についても紹介します。ぜひ最後までご覧ください。
界隈消費とは?
界隈消費の界隈とは、趣味や嗜好でゆるくつながっているコミュニティのことです。
界隈消費とは、Z世代の消費傾向を表す用語の一つであり、コミュニティごとに異なるトレンドを持った消費がされることをいいます。
近年は人々の興味や関心の向く方向が分散化していて、それに伴い消費の対象も多種多様になったことにより起きている現象です。
SHIBUYA109 lab.によるSHIBUYA109 lab.トレンド大賞2022により、若者の消費傾向が明らかになったことで話題になりました。
界隈消費は、あるコミュニティの中で指示されているトレンドが徐々に他のコミュニティにも伝わり、複数の界隈に広がっていくことが特徴です。
気付けば多くのコミュニティがその対象を消費していて、大衆に広がっていたという現象が起きます。
界隈消費が起きている理由とは?
界隈消費が起きている理由には、デジタルデバイスの普及により得られる情報の量や種類が増えたことが考えられます。
Z世代は、1990年代後半から2012年生まれの世代を指します。
2007年にはスマートフォンが発売され急速に普及したように、Z世代は学生時代から身近にデジタルデバイスを使用できる環境がありました。分からないことや興味のあることをデジタルデバイスで調べることができ、主体的に様々な情報を得ることが習慣付いています。
そのため、興味のある項目を好きなだけ深く掘り下げられるのです。また、現代では検索エンジンやSNSのサジェスト機能によりユーザーの好みに基づいた情報を効率的に得られます。
より個人の嗜好に近い情報を迅速に得られるため、興味関心や消費の対象が分散されるようになった考えることができるでしょう。
界隈消費の広がり方
Z世代は、複数のコミュニティに属しながら、周囲とゆるくつながる関係を好む傾向が強いと言われています。
ここで界隈消費の広がり方を見ていきましょう。
- 自分の所属するコミュニティの中で商品・サービスがSNSなどで共有され、それが界隈内で深く好まれる事象が発生
- SNSを通して、自然に他のコミュニティへ流行情報が伝わる
- 他のコミュニティでも消費・サービスを使用してみたいという気持ちになる人たちが増える
界隈消費でトレンドとなる製品については、流行る商品やそれらが広がる早さは予測できないことが特徴です。
Z世代の消費同行が経済を大きく動かす訳
2023年では、おおよそ11歳から20代後半にあたる人がZ世代です。
また、2023年現在Z世代の割合は世界人口の30%以上であり、世界的に大きな割合を占めています。
そのため、Z世代の消費動向やトレンドを把握することは、企業が業績を伸ばす上で重要な項目です。
ここで、Z世代以外の世代についても確認しておきましょう。
世代ごとにアルファベットをつける概念は、カナダの作家であるダグラス・クープランドが提唱しました。
1960年から70年生まれの人をXと呼んだことから始まり、他に以下のような世代が存在します。
世代ごとの生まれ年と特徴についてまとめますのでご覧ください。
世代名称 | 生まれ年 | 特徴 |
X世代 | 1960年~1974年 | ・バブル崩壊を経験しているため、客観的な視点で社会を見る ・ワークライフバランスを大切にする ・個人的な成長や独自の価値観を大切にする |
Y世代 | 1975年~1990年代前半 | ・就職の氷河期に直面している世代であり安定性を重視する ・環境や社会問題に関心が強く、責任感が強い ・個人主義的な側面がある |
Z世代 | 1990年代後半から2012年 | ・SNSを使って情報を得る ・個性を尊重して多様性を重視する ・承認欲求が強い |
α世代 | 2010年以降生まれ | ・タイムパフォーマンスを重視する ・SNSや仮想空間などオンライン上での交流に慣れ親しむ |
Z世代の消費傾向として押さえたい界隈消費の類似用語
Z世代の消費傾向として押さえたい界隈消費の類似用語について紹介します。
消費傾向に関するトレンドやそれぞれの意味について確認してみてください。
自分を知る消費
自分を知る消費とは、自己理解のために行う消費行動のことを指します。具体的には、自分の外見や内面に関する診断を行うことです。
Z世代は、周囲の目を気にしたり失敗を避けるために事前に対象について調べたりする傾向があります。このような動機から自己理解に興味を持つと考えられるのです。
例えば、自分を知る消費には以下のような項目があります。
- 心理学が基盤で人の特性を16種類に分ける「MBTI」の診断を受ける
- メイクアップに役立てるために、パーソナルカラー診断を受ける
- 自分の体型に合う服装を選べるようになるために、骨格診断を受ける
自分を知る消費では、得た情報を活かして次に購入する商品やサービスを決められることが特徴です。例として骨格診断の結果が明らかになれば、骨格に合った服装を選ぶことができます。
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お出かけ消費
お出かけ消費は、現物を見て商品を購入することです。
2020年から2021年はコロナ禍により外出の自粛を余儀なくされました。そのため、ネットショッピングなどを利用して買い物をする「巣ごもり消費」が主流であったのです。
コロナウイルスも徐々に収束していることから2022年以降は再びお出かけ消費が見られるようになりました。
イミ消費
イミ消費とは、商品やサービスを購入する際に社会的または文化的な価値に共感できるかどうかに基づいて商品を購入することです。
その商品を購入する意味を購買行動において重要視します。
例えば、以下のように考えて商品・サービスを購入することはイミ消費にあたります。
- 動物保護のために、動物性成分が含まれた製品を使用していないコスメを購入する
- 環境保護のために、リサイクルできる材質を使用した商品を購入する
- ある人物の価値観に共感して応援したいと感じたため、クラウドファンディングに参加する
- 災害を受けた地域に貢献したいという思いから、その産地の製品を購入する
イミ消費は、その人が商品を購入することで買い手の価値観を指示しているという意思表明にもつながるのです。
トキ消費
トキ消費は、ある特定の時間でしか味わうことのできない楽しさなどに価値を見出してその時間に対して消費することです。
例えば、以下のように考えて商品・サービスを購入することはトキ消費にあたります。
- 特定の時期に行われる音楽フェスで、その楽しい時間を味わいたいと思い参加する
- ハロウィンやカウントダウンイベントに参加して、その時しか体験できない時間を楽しむ
- 動画配信サービスなどのライブ配信に参加して、リアルタイムでその時間を味わう
トキ消費は、ある決まった時間に開催されるイベントに対して消費者が参加することに価値を感じることによって成り立つものです。
エモ消費
エモ消費とは、精神的な満足感を得るための消費行動のことです。
例えば、以下のように考えて商品・サービスを購入することはエモ消費にあたります。
- インスタントカメラを購入して独特の色合いの写真を楽しんだり、現像の時間を楽しんだりする
- 古着を購入して前に使っていた人の気持ちやその長さに思いをはせたり、自分だけのオリジナルなファッションを楽しんだりする
エモ消費は、論理的には説明できない感情的な側面を大事にした消費行動です。
ヒト消費
ヒト消費とは、人や物語をエンターテイメントとして消費することです。
例えば、以下のように考えて商品・サービスを購入することはヒト消費にあたります。
- 好きなYouTuberに、投げ銭機能でお金を送る
- インフルエンサーを応援するために、お勧めしている商品を購入する
- お気に入りのアニメがテーマになったコラボカフェに行く
ヒト消費は実在する人物ではなく、アニメや漫画のキャラクターなどの人物やキャラクターに向けて消費することも含まれます。
界隈消費の具体例
株式会社ウィゴーでは、界隈ごとの趣味嗜好に合わせた情報を提供するメディア「WE LABO」を運営しています。
例えば本メディアでは、界隈をJK界隈、ダンサー界隈、フレンチガーリー界隈などの5つに分けているのが特徴です。
「夏の過ごし方」に表れた界隈ごとの消費傾向
株式会社ウィゴーでは5つの界隈に対して様々なアンケート行っています。ここでは、一つのアンケート結果を紹介しましょう。
株式会社ウィゴーが運営するInstagramのフォロワー約33万人に向けて、2023年8月に夏に関するアンケートが行われました。35,287人の回答が得られています。
「この夏何を買いましたか?」という質問に対して、「ダンサー界隈」では5割以上がサングラスと回答したそうです。この結果は、他の界隈のサングラスの消費率を大きく上回っています。
ダンサー界隈ではサングラスをかけて踊ることが流行しているそうです。様々なタイプのサングラスを購入して楽しんでいることが結果に影響しているとのことでした。
ある界隈で生まれたトレンドによって、界隈ごとに消費される商品に大きな変化が生まれていることが分かります。
≫ PR TIMES「Z世代1万人が回答この夏何した?“界隈別”夏の『コト』『モノ』『バ』大調査!」
≫WE LABO「【Z世代1万人が回答】この夏何した?“界隈別”夏の楽しみ方大調査!」
界隈消費をマーケティングに活かす方法
界隈消費を行うZ世代をターゲットとしてマーケティングを行う方法は、どれだけ界隈に寄り添った企業活動をできるかどうかです。
Z世代は、共感を大事にすることが多く自分が気に入ったものはとことん追究する傾向があります。
興味対象が分散されているため、幅広い層に薄く好まれるものよりも狭い層により深く好まれるようにマーケティングをすることが大切です。
ニッチであるけれど一定の根強いファンを獲得できれば、それが様々なコミュニティに伝わっていくことが考えられるでしょう。
商品やサービスを届けたい層を細かく設定して、その層に向けてしっかりと必要な情報を届けていきましょう。
まとめ
今回は、Z世代を中心に広がる「界隈消費」の意味と生まれた背景や関連用語、具体例などについて紹介しました。
界隈消費とは、様々なコミュニティごとに異なる対象の消費が成されることを指します。
デジタルデバイスの普及により、受けとる情報の量が増え、興味の対象を掘り下げられるようになりました。界隈消費は、人の持つ価値観が多様化したことが原因で起きていると考えられます。
また、界隈消費は一つの界隈で起こっている消費が他の界隈へ広がることを繰り返して、やがて大衆へと広がるのが特徴です。
Z世代は世界人口の3割を占めるため、消費に対する価値観を知っておくことは企業活動において重要となります。
界隈消費について理解することで、商品のマーケティングにぜひ役立ててみてください。
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