コンテンツマーケティングにおける購買心理DECAXとは

最終更新日: 2024/02/14 公開日: 2024/02/14
  • コンテンツマーケティングで成果を挙げるにはどうすればいい?
  • 消費者がコンテンツを見て購買を決断するイメージが湧かない
  • 現在のコンテンツマーケティング施策は正しい方向に進んでいるのか?

上記のような疑問や悩みを抱えていませんか?

今回は、コンテンツマーケティング施策を講じる上で必ず押さえておきたい購買心理「DECAX」について解説します。

DECAXのプロセスや他の購買心理との違いに対する理解が深まれば、コンテンツマーケティングの効果を高められることでしょう。

コンテンツマーケティングにDECAXを活用する際の注意点と併せてお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。

「コンテンツマーケティング」「購買心理」の基礎知識

はじめに、「コンテンツマーケティング」と「購買心理」の基本を整理しておきます。

コンテンツマーケティングとは何か、購買心理とは何を表しているのか、改めて問われると説明しにくいと感じる人もいるでしょう。

コンテンツマーケティング施策において、購買心理の理解がなぜ重要なのかを理解しておくことが大切です。

コンテンツマーケティングとは

コンテンツマーケティングとは、ターゲットとなる消費者に対して価値のあるコンテンツを発信していく施策のことです。

コンテンツを閲覧した消費者は、役立つ情報を得ることで企業やブランドに信頼を寄せ、ファンになっていきます。

商品の購入やサービスの利用を検討する際には「この企業のものを選びたい」と感じるようになるでしょう。

商品やサービスの広告を掲載するのではなく、消費者にとって有益な情報の提供に徹する点が大きな特徴です。

消費者の信頼を醸成し、購入につながるまでには一定以上の期間を要します。

コンテンツマーケティングは短期的な成果を求める施策ではなく、中長期的なスパンで取り組むべき施策といえるでしょう

購買心理とは

購買心理とは、消費者が商品の購入やサービスの利用を検討し、購入の意思決定をする際の心理を指します。

一般的な購買心理のプロセスは次の7段階です。

  • 購買心理のプロセス:具体例
  • 認知する:商品に関する広告を見かける
  • 興味を持つ:どのような商品なのかが気になる
  • 行動する:実物を確認するために来店する
  • 比較する:他社商品と価格・機能・デザインなどを比べる
  • 購買を決める:再び来店し、商品を購入する
  • 利用する:実際に商品を使い始める
  • 愛情を抱く:商品が生活に欠かせないツールとなる

消費者の心理は階段を1段ずつ昇っていくように、段階的に醸成されていくのが特徴です

商品を認知しているだけで興味を持っていなければ、購入すべきか検討してもらうことはできません。

来店や資料請求などの行動、他社商品との比較検討にもある程度の時間を要します。

商品やサービスを効果的にアピールし、購入を検討してもらうには、購買心理を押さえておく必要があるのです。

コンテンツマーケティングにおいて購買心理はなぜ重要か

コンテンツマーケティングは、消費者に有益な情報を届けることで信頼や愛着を醸成していく施策です。

商品やサービスを直接的に訴求する広告などを配信するわけではないため、消費者との関係構築がカギを握っています。

一方で、有益な情報さえ発信していれば必ず購買へとつながるとも限りません。

インターネット上での消費者の行動は多様化・細分化が加速しており、単純に類型化できるものではないからです。

消費者の心理を深掘りし、狙い通りの効果を得るには、購買心理をきめ細かく読み解く必要があります

コンテンツマーケティングの効果を高める上で、購買心理の理解は欠かせない要素の1つといえるのです。

DECAXとは

コンテンツマーケティングに求められる購買心理の理解に役立つ法則として「DECAX(デキャックス)」が挙げられます。

購買心理の分析自体は古くから行われてきたものの、コンテンツマーケティングに特化された理論は存在しませんでした。

DECAXはコンテンツマーケティング時代の到来に伴って提唱された、新たな購買心理のフレームワークです。

DECAXでは、購買心理のプロセスを次の5段階に分けて考えます。

Discovery(発見)

Discovery(発見)とは、消費者が企業やブランドのオウンドメディアなどを見つけ、認知する段階を指しています。

消費者は検索エンジンやSNSなどで興味のあるトピックについて調べている中で、企業が提供するメディアを見つけるのです。

認知のきっかけがデジタルメディアに特化されている点が、従来型の購買心理のプロセスと大きく異なります。

消費者はWebサイトなどを通じて情報を「自ら見つける」ことによって、企業・ブランドを認知することになるのです

Engage(関係構築)

Engage(関係構築)とは、企業が提供するコンテンツを通じて消費者との関係性を築いていくことを指します。

消費者は企業やブランドが提供するメディアを「有益な情報」と認識し、定期的に閲覧するようになるのです。

メディアを通じて役立つ情報を得る経験を重ねていくうちに、消費者は情報提供元の企業・ブランドへの信頼感を高めていきます。

継続的に提供する情報を、消費者が自ら閲覧するようになることが重要なポイントです

Check(確認)

メディアに対する信頼度が高まるにつれて、消費者は情報提供元がどのような企業なのか知りたいと思うようになるでしょう。

企業が提供している商品やサービスを確認し、どのような事業を営んでいる会社なのかを認知します。

信頼性の高いコンテンツを提供しているという前提があるため、商品・サービスに関してもポジティブに捉えやすいはずです。

消費者の中で「次に利用するならこの企業の商品/サービス」という認識が芽生えていきます

Action(購買)

消費者が商品の購入やサービスの利用を検討する時点で、すでに「どの企業のものを買うか」が決まっています。

企業・ブランドが発信するコンテンツへの信頼が醸成されたことで、未知の他社商品よりも優先度が高くなっているからです。

決済に手間取るなど、よほど不便な思いをしない限り、強く訴求しなくても自然と商品を購入してくれるでしょう。

商品・サービス自体を売り込むのではなく、消費者との関係構築と信頼の醸成に注力する点がコンテンツマーケティングの特徴です

Experience(体験・共有)

消費者は商品・サービスの利用を通して得た経験を、SNSや商品レビューサイト等に投稿します。

好意的なレビューは、他の消費者が購入を検討する際の強力な後押しとなるはずです。

購入してもらうだけでなく、利用体験を他の消費者と共有するプロセスまで見据えている点が大きな特徴といえます。

コンテンツマーケティングにおける「コンテンツ」とは、企業が発信する情報だけを指しているのではありません。

消費者による発信も、新たな消費者を呼び込むための重要なコンテンツとして捉える必要があります

従来の購買心理モデルとDECAXの違い

DECAX以外にも、AIDMAやAISASなど複数の購買心理モデルがあります。

従来から活用されてきた購買心理モデルとDECAXは何が違うのでしょうか。

代表的な購買心理モデルと比較してみましょう。

AIDMAとの違い

  • Attention(認知):商品・サービスの存在を知る
  • Interest(興味):より詳しく知りたいと感じる
  • Desire(欲求):商品・サービスを使ってみたくなる
  • Memory(記憶):商品・サービスのことを覚えておく
  • Action(購買):実際に購入する

AIDMA(アイドマ)の提唱者は著述家のサミュエル・ローランド・ホールで、提唱されたのは今から100年以上前のことです。

現代においても普遍的な購買心理モデルとして活用されていますが、AIDMAではインターネットの存在が考慮されていません。

コンテンツマーケティングのカギを握る関係構築や体験・共有の概念を取り入れた購買心理モデルがDECAXといえます

AISASとの違い

AIDMAがマス広告を想定していたのに対して、インターネットの台頭に伴い新たに提唱されたのがAISAS(アイサス)です。

  • Attention(認知):商品・サービスの存在を知る
  • Interest(興味):より詳しく知りたいと感じる
  • Serch(検索):商品・サービスについてインターネットで調べる
  • Action(購買):実際に購入する
  • Share(共有):SNSやレビューサイトに投稿する

インターネットの普及により、消費者は情報の受け手であると同時に発信することもできるようになりました。

情報源が主にインターネットであること、消費者自身が発信する際にもインターネットが活用されていることが大きな特徴です。

一方で、AISASにおける「興味」や「検索」は主に商品・サービス自体の機能やスペックに重きが置かれています。

DECAXの主体が企業・ブランドの認知であるのに対して、AISASは商品・サービスの認知を前提としている点が大きな違いです

AISCEASとの違い

AISCEAS(アイシーズ)は、AISASの購買心理モデルをより詳細に分割したものです。

  • Attention(認知):商品・サービスの存在を知る
  • Interest(興味):より詳しく知りたいと感じる
  • Serch(検索):商品・サービスについてインターネットで調べる
  • Comparison(比較):類似商品の情報を得て比較する
  • Examination(検討):どの商品・サービスを利用すべきか検討する
  • Action(購買):実際に購入する
  • Share(共有):SNSやレビューサイトに投稿する

AISASに「比較」「検討」のプロセスが加わっていることが分かります。

実際、商品・サービスについて検索すると、他社の類似商品が検索結果に表示されるケースは少なくありません。

インターネットユーザーの心理状態や行動を踏まえて、購買心理をより実態に近づけたモデルといえるでしょう。

AISASと同様、具体的な商品・サービスに焦点を当てている点がDECAXとの違いといえます

VISASとの違い

VISAS(ヴィサス)とは、消費者の口コミが購買心理に与える影響を加味したモデルのことです。

  • Viral(口コミ):口コミがきっかけで商品・サービスを認知
  • Influence(影響):口コミの発信者に影響を受ける
  • Sympathy(共感):口コミの発信者に共感を覚える
  • Action(購買):実際に購入する
  • Share(共有):SNSやレビューサイトに投稿する

AIDMAやAISASが商品・サービスを軸としたモデルだったのに対して、VISASは「人」が主体となっています。

商品・サービス自体に信頼を寄せる以前に、口コミの発信者を信頼し、共感を覚えることが購買の決定打となっているのです。

典型的な例としては、インフルエンサーが紹介している商品が欲しくなる心理をイメージするとよいでしょう。

DECAXは企業が発信する情報を起点としているのに対して、VISASは消費者による口コミを起点としている点が大きく異なります

SIPSとの違い

SIPS(シップス)は、SNS時代の購買心理を想定したモデルです。

  • Sympathy(共感):知人などから得た情報に共感する
  • Identify(確認):共感した情報についてSNSなどで確認する
  • Participate(参加):共感した投稿に「いいね」を押すなどの行動を取る
  • Share&Spread(共有・拡散):自身の行動を他のユーザーにシェアする

VISASでは具体的な行動を「購買」に限定しているのに対して、SIPSでは「いいね」を押すなどの行動も「参加」と定義しています。

購入に直接つながらない行動であっても、多くの消費者に影響を与える可能性がある行動として重視しているのです。

DECAXにおいてもActionは購買を指しているのに対し、SIPSはSNSの利用を前提としたモデルである点が異なります。

DECAXを活用する際の注意点

DECAXはコンテンツマーケティングを成功させる上で理解しておくべき購買心理モデルといえます。

DECAXを効果的に活用するために、必ず意識しておきたいポイントを押さえましょう。

企業からの「押し付け」を感じさせる発信は控える

DECAXは、消費者が自ら企業の発信する情報を見つけ、有益性を見出すことを前提としている購買心理モデルです。

消費者「自ら」という点が重要な要素のため、企業から一方的に情報を押し付けている印象を与えるのは避ける必要があります。

一見すると有益な情報を提供しているようでいて、実は自社商品を購入するよう誘導する手法は典型的な悪手といえるでしょう。

宣伝目的のコンテンツだと見抜いた瞬間に、メディアに対する消費者の信頼は崩れてしまうからです。

企業から特定の情報を押し付けるのではなく、消費者の意思や判断に委ねるスタンスでコンテンツを構築する必要があります

正確で信頼できる情報を発信する

DECAXの成否を大きく左右するのが、消費者の「信頼」を得られるかどうか、という点です。

コンテンツの質が高く、十分に信頼できる情報だと感じるからこそ、消費者は継続的に閲覧するようになります。

不正確な情報や偏った情報を発信してしまうと、消費者はメディアとしての中立性に疑念を抱くようになるでしょう。

情報の網羅性や正確性に気を配り、消費者が必要とする情報を総合的に届けることが大切です

購買をゴールに設定しない

DECAXの大きな特徴として、「購買」をゴールと捉えていない点が挙げられます。

買ってもらうことが最終目的ではなく、消費者が満足し、体験を共有するプロセスを見据えているのです。

購入後に消費者が体験を共有しやすい仕組みを提供していくことで、新たな消費者を呼び込む効果が期待できます。

一例として、次のような方法が想定されるでしょう。

  • 企業のSNSアカウントをフォローしてもらい、継続的に情報を提供する
  • メールマガジンに登録してもらい、友人紹介キャンペーンを告知する
  • ユーザーコミュニティを設け、ユーザー同士の交流を促す

購入後も長期的に企業との関係性を築ける仕組みを用意することで、信頼感や愛着がいっそう深まっていくでしょう。

購買はゴールではなく、顧客との「お付き合い」のスタート地点と捉えてください

まとめ

DECAXはコンテンツマーケティングを想定した購買心理モデルです。

基本的に商品・サービスを直接的に訴求しないコンテンツマーケティングは、中長期的な計画にもとづく施策となります。

消費者と接点を持つスパンも長くなるからこそ、購買心理の基本を理解しておくことが非常に重要です。

今回紹介したポイントや注意点を参考、DECAXにもとづくコンテンツマーケティングを実践してください。

消費者との良好な関係を築くことができれば、長期にわたって企業・ブランドを支持するファンを増やしていけるはずです。

セミナーズ通信

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