エレベータートークとは?構成や作り方・例文を紹介

最終更新日: 2024/10/18 公開日: 2024/10/07

エレベータートークとは、数十秒〜1分程度の短い時間で簡潔かつ魅力的に説明するためのプレゼンテーションのことです。

本記事では、エレベータートークはどのような相手や場面に活用できるのか、実践することでどんなメリットがあるのかを解説します。

以下のような課題を持っている方にエレベータートークはおすすめです。

  • ビジネスを効率的に進めたい
  • 顧客や上司と円滑な関係を築くためのコミュニケーション技法を身に付けたい
  • ビジネスチャンスが急に訪れたとき、堂々と自己アピールしたい

エレベータートークとは

エレベータートークは一流IT企業が集まるアメリカのシリコンバレーで生み出された手法で、エレベーターで移動する際の数十秒〜1分程度の短い時間で、効率的に相手と生産性のある会話を交わすことを目的としています。

CEO、COOなどの経営層や部門を取り仕切る重要な役割をになっている相手は、多忙ゆえに商談の時間を設けてくれるとは限りません。

そのため、エレベーターのなかで自社や自分の存在を印象付けたり、サービスや商品の魅力を伝えたりなど、短い時間で商談へのきっかけを獲得する必要があります。

エレベータートークで相手の興味を引くことができれば、商談やプレゼンが有利に進む可能性があるため、ビジネスに欠かせない重要なテクニックとして日本でも定着しつつあります。

エレベータートークが必要なのはどんな場面?

エレベータートークは、忙しい相手に情報を簡潔に伝えたい場合や、短時間で相手に自分を印象付けるために有効です。

ただし、雑談や世間話で相手の時間を奪ってしまうと、かえって悪い印象を与える可能性があるので注意してください。

エレベータートークを実践するときは、必要な場面を見極め、相手にとっても自分にとっても有意義となる会話を繰り広げる工夫が求められます。

エレベータートークが必要とされるのは、おもに次の3つの場面です。

上司に簡潔に報告を行いたいとき

リーダーや役職を持つ上司に業務の進捗状況や、起こった出来事を報告するときは、短時間で要点をかいつまんで伝えるエレベータートークが役立ちます。

移動中の短い時間をはじめ、業務中や会議中の連絡や、急を要する場面での報告など、時間がないときの報告にも活用できます。

上司は責任のある仕事を抱えているほか日々たくさんの部下から報告を受けるため、ムダのない簡潔な会話を好みます。

要点を絞ってわかりやすく報告することで、齟齬が生まれにくいほか、上司から信頼してもらいやすくなるでしょう。

取引先や顧客とのコミュニケーション

限られた時間で取引先や顧客とコミュニケーションを取る際にも、エレベータートークを活用する場面が増えました。

対面で商談を行う場合、世間話で人間関係を構築する手法を用いることもありますが、オンラインや通話など、リモートで商談を行うことが主流となっている昨今、時間内でのプレゼンを求められる場面が増えています。

しかし、商談をスムーズに進めるためには、信頼関係の構築が欠かせません。

そのため、短時間で自社商品やサービス、自分自身を印象付けるエレベータートークが有効にはたらくといわれているのです。

印象的な自己紹介をしたいとき

短時間で相手に印象付けることができるエレベータートークは、自己紹介の場面でもっとも使われています。

具体的には次のようなシーンです。

  • パーティーや研修に参加した時のアピール時
  • 講義といった大勢の場で紹介されたときの挨拶
  • 就職や転職、部署を異動したときの自己紹介

相手に合わせて30秒〜1分くらいの自己紹介を用意しておくと、第一印象で好印象を与えることができるでしょう。

ビジネスにおけるエレベータートークのメリット

エレベータートークは、ここぞというときに活用するイメージがあるかもしれませんが、短時間で要点を伝える技術は日常的なビジネスシーンでも大いに役立ちます。

ビジネスにおけるエレベータートークのメリットは、おもに次の3つです。

  • ムダなく簡潔に話すスキルが身に付く
  • 信頼関係の構築に役立つ
  • 報・連・相がスムーズにできる

ムダなく簡潔に話すスキルが身に付く

日常的にエレベータートークを活用することで、簡潔に要点を相手に伝えるスキルが身に付きます。

短時間で相手に話を理解してもらう必要があるため、順序立てて話を組み立て、伝わりやすい表現で話すことができるようになります。

簡潔に話すスキルは、日常会話はもちろん、プレゼンや商談の成功率も上がります。

エレベータートークには構成がありますので、構成に当てはめて話す習慣を身に付ければ会話への苦手意識を減らせるでしょう。

信頼関係の構築に役立つ

エレベータートークを活用して、第一印象で好印象を与えることができれば、信頼関係が構築しやすくなります。

とくに営業活動において、第一印象は商品やサービスの購入、契約に大きな影響を与えます。

また、新しい職場や部署で上司、同僚に好印象を与えることができれば、はたらく上でコミュニケーションが取りやすくなります。

困ったときやミスをしたときに周囲からサポートしてもらえたり、ビジネスチャンスをもらえたりなど、信頼関係を構築することによってさまざまなメリットが得られるでしょう。

報・連・相がスムーズにできる

報・連・相において重要なのは、起こった出来事や経緯を時系列で詳細に説明することではありません。

一から十まで長々と説明することで、かえってムダな情報が多くなり、何を伝えたいのか、要点がどこなのかわからなくなってしまう可能性があります。

エレベータートークを身につければ、要点をまとめて簡潔に伝えることができるようになるので的確に言いたいことが伝わりやすくなります。

エレベータートークの構成と例文

短時間で簡潔にわかりやすく相手に情報を伝えるためには、順序立てて、相手の興味を引く情報を提供する必要があります。

エレベータートークの構成と例文をもとに、伝えたい内容を当てはめてみてください。

肩書・商品名

エレベータートークでは、まず主語となる肩書きや商品・サービス名を述べます。

あくまでも主語を把握してもらうことが目的なので、ムダな情報を省いて簡潔に伝えることを意識してください。

  • OK例文:
    「はじめまして。私、〇〇株式会社〇〇部の〇〇を担当しております、(名前)と申します。」
  • NG例文:
    「はじめまして。〇〇株式会社の〇〇様から貴社をご紹介いただきました、〇〇株式会社〇〇部の(名前)と申します。〇〇部では、〇〇業務を担当しておりまして、ぜひ貴社の〇〇という課題を解決できたらと思い、本日はこのような機会を設けていただきました。」

ベネフィット

次に自身や商品・サービスの強みとなるベネフィットを伝えます。

本題に入る前に「この会話によって何が得られるのか」「話を聞く価値があるのか」を理解してもらうことで、話に積極的に耳を傾けてもらえるようになります。

  • OK例文:
    「この商品の〇〇という機能は、貴社の〇〇という課題を解決するのに役立ちます。」
    「私はこれまで〇〇業務を担当し、〇〇という問題を解決してきました。」
  • NG例文:
    「この商品には〇〇という機能があります。」

ここで重要なのが、メリットを伝えるだけでは不十分だということです。

メリットによって相手にどんな価値を提供できるのかというところまで、伝えるように心がけましょう。

独自性

すでに知っている話や、どこにでも売っているような商品は、なかなか興味を持ってもらうことができません。

相手の興味を引くためには驚きや目新しさをアピールする必要があり、競合他社にはない機能やコスト面での強みなど、自分の独自性を簡潔に伝えます。

  • OK例文:
    「この商品には業界初の〇〇という機能が備わっています。」
    「一般的に1年保証の商品が多いですが、弊社の商品は保証期間を3年間設けております。」
  • NG例文:
    「私は人の役に立ちたいと思い、この職業を志望いたしました。」

※必ずしもNGではありませんが、月並みなフレーズであるほか、具体性が足りません。

興味性

商品やサービスの実績など、相手の興味を引くような内容を伝えると、会話が盛り上がりやすいほか、メリハリのある会話を作ることができます。

実績を述べるときは数字を用いて具体的に説明すると、印象に残りやすくなるほか、「もっと続きが聞きたい」と思ってもらえます。

  • OK例文:
    「〇〇という商品は、弊社のアンケートにおいて◯%のお客様から「非常に満足」という回答をいただいております。」
    「私は◯ヶ月連続で営業成績トップという実績を持っております。」
  • NG例文:
    「この商品はとても人気があります。」

信憑性

ベネフィットや独自性、興味性といった良い面をアピールするだけでは、相手に不信感を与えてしまう可能性があります。

信憑性を持たせるためには、簡潔に事例を挙げたり、よくある質問や疑問について触れたりなどしてエピソードの信憑性を高めます。

  • OK例文:
    「この〇〇サービスを導入された企業様のほとんどは、〇〇機能によって〇〇という課題解決につながっております。」
    「一般的なサービスと比較すると月額料金が高いと感じるかもしれませんが、〇〇機能や〇〇サポートを別で契約するよりもコストが抑えられるほか、データを一元管理することができます。」
  • NG例文:
    「この商品はデメリットがなく、どんなお客様でも満足していただけます。」

クロージング

クロージングは、セールスであれば購入や契約につながるキッカケを得るフェーズ、自己紹介であれば自分を印象付けながら締めるフェーズです。

クロージングがあることで話の出口が明確になるので、エレベータートークが完結にまとまります。

  • OK例文:
    「もしお時間がありましたら、貴社の課題解決につながるプランをご提案させていただきますが、今週中でご都合がよろしい時間はありますでしょうか?」
    「これから〇〇という強みを生かして精進いたします。よろしくお願いいたします。」
  • NG例文:
    「もし興味があれば、こちらのパンフレットをご覧になってみてください。」
    「一生懸命がんばりますので、よろしくお願いいたします。」

セールスのクロージングで重要なのは、次のアポイントを獲得することです。

もちろん、売り込みすぎると相手に不快感を与えてしまいますが、次のアクションを促さなければ、次の機会につながりません。

また、自己紹介の場合は、具体的な今後の展望を伝えたり、自分の強みを再度述べることによって相手に印象付けることができます。

エレベータートークを作成する方法

エレベータートークは情報の取捨選択を行い、重要な要素のみ相手に伝えることではじめて効果を発揮します。

なので、思いつきで会話を始めるのではなく、エレベータートークをするシーンや相手に合わせて事前に準備しておくようにしましょう。

上記で紹介した構成や例文をもとに、次の3つのステップで会話の内容をある程度決めておくのがおすすめです。

営業トークのコツについて知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみください。

要素をリストアップする

エレベータートークの構成をもとに会話を作る前に、伝えたい要素をリストアップしておくと、伝え漏れを防げることはもちろん、優先順位が高い要素から伝えることができます。

会話の要素をリストアップしたら、本当に伝える必要があるのか検討して取捨選択しましょう。

取捨選択ができれば、構成毎に振り分けて各構成内で優先順位決めることができます。

トークを作る

構成をもとに必要な要素を振り分けたら、会話形式に編集します。

はじめは、伝えたいことを30秒〜1分という短い時間にまとめるのが難しいと感じるかもしれません。

まずは3分程度にまとめて、添削して短くするのも一つの方法です。

会話を作るときは、次のPREP法を活用するのがおすすめです。

  • Point(結論)
  • Reason(理由)
  • Example(具体例)
  • Point(結論)

結論から述べて理由や具体例で補足し、最後に簡潔に結論を述べることで相手に納得感を与えやすくなります。

集客のための文章術が知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

口に出しながらブラッシュアップする

エレベータートークはテキストではなく、コミュニケーションのなかで取り入れるものなので、実際に作成したエレベータートークを実践してみてはじめて改善点が見つかることもあります。

そのため、エレベータートークは実践しながら、常にブラッシュアップしていくのがおすすめです。

トークの内容だけでなく、相手の反応を見ながら、話すスピードや話し方もブラッシュアップしていくと、さらに魅力的なエレベータートークになります。

エレベータートークに役立つ本

エレベータートークをビジネスに活用したい方や、第一印象をさらに魅力的に演出する方法を知りたい方は、書籍を読んで学びを深めるのがおすすめです。

とくに次の2冊はエレベータートークに役立つので、ぜひ参考にしてみてください。

15秒で口説くエレベーターピッチの達人 3%のビジネスエリートだけが知っている瞬殺トーク

15秒で口説くエレベーターピッチの達人 3%のビジネスエリートだけが知っている瞬殺トーク
引用元:Amazon

エレベータートークに焦点を絞って解説している書籍なので、短時間で自分を魅力的に見せる話し方や、わかりやすく伝えたいことをまとめるコツを学ぶことができます。

日常的なコミュニケーションのコツや、緊張をほぐすコツも解説されているため、コミュニケーションに苦手意識を持つ人にもおすすめしたい一冊です。

1秒で心をつかめ。一瞬で人を動かし、100%好かれる声・表情・話し方

1秒で心をつかめ。一瞬で人を動かし、100%好かれる声・表情・話し方
引用元:Amazon

最初の1秒で相手に好印象を与える49の法則を、元アナウンサーが解説している本です。

交渉や自己紹介といったエレベータートークを作成するときはもちろん、プレゼンや日常的な雑談など、あらゆるコミュニケーションの場面で活用できる手法を学ぶことができます。

また、やるべきことだけでなく、やってはいけないことも解説されているので、自分のコミュニケーションを見直して改善するキッカケになるでしょう。

まとめ

エレベータートークはエレベーター内に限らず、短時間で要点をまとめて話したり、信頼関係を構築するための会話を繰り広げたりするときに役立ちます。

的確にムダのない会話をすることで、信頼やチャンスを獲得できる可能性が高まるので、ぜひ習慣的にエレベータートークを取り入れてみてください。

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最終更新日: 2024/10/18 公開日: 2024/10/07