- ニーズとウォンツにはどのような違いがあるのだろう?
- 顕在ニーズ・潜在ニーズは何が違う?
- 顧客ニーズを把握するにはどうすればいい?
上記のような疑問を抱えていませんか?
今回は、ニーズとウォンツの違いを整理しながら、顧客理解に必要な考え方を紹介していきます。
ニーズをウォンツに変える方法や、ウォンツからニーズを把握する方法も挙げていますので、ぜひ参考にしてください。
ニーズとウォンツの違い
はじめに、ニーズとウォンツの基本的な概念と、両者の違いについて解説します。
顧客理解を深める上で非常に重要なポイントとなるため、しっかりと区別しておきましょう。
ニーズとは
ニーズ(Needs)とは、「〜をしたい」「〜になりたい」といった漠然とした欲求のことを指します。
現状への不満や抱えている課題から生じる欲求であり、解決したい対象や状況だけが存在している状態です。
例えば「最近、眠っても疲れが取れない」「よく眠れるようにしたい」といった欲求がニーズに相当します。
自分自身が欲求を満たすために何をすべきかわかっていないため、ニーズは抽象的な「〜したい」に留まりがちです。
ニーズを満たすには、そもそも顧客がどのような課題を抱えているのかを整理し、可視化する必要があります。
ウォンツとは
ウォンツ(Wants)とは、「〜が欲しい」「〜を買いたい」といった具体的な要望のことを指します。
ニーズを満たすための手段が明確になっており、解決策が定まっている状態です。
例えば「睡眠の質を高めるためにマットレスを変えたい」「自分に合った枕をオーダーしよう」などはウォンツに相当します。
現状の不満や課題を解消するための手段が明らかになっているため、要望のポイントが絞られている点が特徴です。
ウォンツを深掘りしていくことで、より詳細なニーズの把握に役立つ場合もあります。
ニーズとウォンツはどう違う?
ニーズとウォンツの違いは、下表のようにまとめられます。
意味 | 状態 | |
ニーズ | 目的 | 抽象的 |
ウォンツ | 手段 | 具体的 |
両者の違いをイメージしやすい例として、生命保険の契約が挙げられます。
特に死亡保険の場合、自分自身が亡くなった後のことを普段からイメージしている人はあまりいません。
一方で、老後に対する漠然とした不安や、自分に万が一のことがあった際の家族の生活に不安を感じている人は数多くいます。
病気やケガのリスクほか、経済的なリスクに備えておきたいというのは典型的なニーズです。
生命保険を販売する場合、見込み顧客が抱える隠れたニーズを明らかにし、不安を解消する手段(ウォンツ)を引き出します。
不安に対処する手段の1つが経済的なリスクの解消だと顧客が気づいた時、保険の契約という解決策が導き出されるのです。
ニーズの種類
ニーズには大きく分けて「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」の2種類があります。
両者の違いは、顧客の欲求がどの段階にあるのかを察知する上で重要なポイントです。
顕在ニーズ
顕在ニーズとは、顧客自身が気づいている自覚的なニーズのことです。
例えば「残業時間を削減するためにワークフローを簡略化したい」など、「何をどうしたいのか」が明確な状態を指します。
一見すると顧客が求めているものが絞り込まれ、提案すればすぐに契約に至るのではないかと思われがちです。
実は、顕在ニーズは顧客が抱えているい欲求のうち、ほんの氷山の一角に過ぎません。
顕在ニーズをより深く理解するには、次に述べる潜在ニーズを探っていく必要があります。
潜在ニーズ
潜在ニーズとは、顧客自身がまだ気づいていない無自覚なニーズのことです。
例えば「残業時間を削減したい」というニーズは、目的がはっきりしているように見えます。
一方で、なぜ残業時間を削減する必要に迫られているのか、背景や根拠は明らかになっていません。
ニーズを深掘りしていくと「従業員の早期退職が続いている」「職場に活気がない」といった悩みが隠れている場合があります。
顕在ニーズの水面下にある真の欲求を突き止めるには、潜在ニーズを探っていくことが重要です。
潜在ニーズが明らかになった結果、当初の要望以上に適した解決策を提示できるケースも少なくありません。
ウォンツの種類
ウォンツは大きく3種類に分けられます。
- 基本ウォンツ
- 条件ウォンツ
- 期待ウォンツ
それぞれの違いを見ていきましょう。
基本ウォンツ
基本ウォンツとは、目的を達成するために求めている具体的な商品やサービスのことを指します。
例えば、暑い日に何か冷たいものが食べたいと感じている人の脳裏には「かき氷」といった具体的な食べ物が浮かぶ人もいるでしょう。
基本ウォンツは商品やサービスの大枠のカテゴリーを表しています。
一方で、かき氷であれば何でもいいかと問われると、多くの人はさまざまな条件を挙げるはずです。
基本ウォンツは消費者の欲求を理解するためのベースとなるものの、大枠の欲求のため具体的に何が欲しいのかは特定できません。
条件ウォンツ
条件ウォンツとは、基本ウォンツにさまざまな条件が付加された状態の欲求のことです。
前に挙げたかき氷の例であれば、「さわやかなレモン風味のかき氷が食べたい」といった要求が条件ウォンツにあたります。
基本ウォンツが満たされていても、条件ウォンツに不足があれば顧客満足には至りません。
かき氷を提供しているお店を見つけても、求めている味の商品がなかったために購入を見合わせるといったことが起きるのです。
条件ウォンツを具体化することは、顧客の求める商品・サービスを提案する上で欠かせません。
期待ウォンツ
期待ウォンツとは、当然満たされているものと期待されている欲求のことを指します。
例えば、かき氷であれば「作りたてで溶けかけていない」「変な味がしない」といったことは前提条件となっているはずです。
裏を返せば、期待ウォンツが裏切られた場合には顧客の信頼を大きく損なう結果を招きかねません。
基本ウォンツや条件ウォンツを見たしていれば、一定数の顧客から選ばれる可能性は十分にあります。
一方で、リピート顧客を安定的に創出するには、期待ウォンツを問題なく満たしていることが非常に重要なポイントの1つです。
ニーズをウォンツに変えるには?
ニーズは抽象的な欲求のため、ニーズを把握した時点では具体的に何を提供すればよいのか特定できません。
実際に商品やサービスを購入してもらうには、ニーズをウォンツに変える必要があります。
ニーズをウォンツに変える方法を3パターン見ていきましょう。
商品・サービスの認知度を高める
抽象的なニーズを具体的なウォンツへと引き上げるには、商品・サービスの認知度を高めることが重要です。
「痩せたい」と思っていても、ダイエット食品やスポーツジムの存在を知らなければ利用してみたいという発想には至りません。
商品・サービスを見つけてもらうために、見込み顧客の目に触れる機会を増やしていく必要があります。
「誰にアプローチすればよいのか」「どのように訴求すればよいのか」を深掘りし、施策を構築していきましょう。
「良い商品なのに売れない」といった事態を防ぐためにも、商品・サービスの認知度向上が求められます。
競合に対する優位性を確立する
見込み顧客のニーズを満たす商品は市場に数多く存在します。
他社商品ではなく自社商品を購入・利用することで得られるメリットを知ってもらわなければなりません。
商品・サービスの品質や性能、使い勝手といった要素は、実際に顧客として利用するまで判断できない点に注意が必要です。
なぜ見込み顧客のニーズを満たせるのか、どのような課題が解決できるのかを具体的に伝えていく必要があります。
ブランディングを強化する
ニーズとウォンツの間にある溝を埋める上で有効な施策として、ブランディングが挙げられます。
ブランディングとは、端的に表すなら「ニーズが発生した時点で想起される商品群に仲間入りする」ための取り組みです。
コーラを飲みたいと思った時、コカコーラかペプシコーラを想起するシーンをイメージするとわかりやすいでしょう。
コカコーラやペプシコーラのブランドが確立されているために、多くの消費者からニーズを満たす商品として認知されているのです。
ブランディングの強化に成功すれば、消費者のニーズを直接的にウォンツへと転換しやすくなります。
ウォンツからニーズを把握する方法
反対にウォンツからニーズを把握するには、どのような働きかけをすればよいのでしょうか。
ウォンツは具体的な欲求のため、見込み顧客の欲求を満たせば商品・サービスが売れるように思われがちです。
一方で、ウォンツに至った経緯や背景を知ることで、見込み顧客の真のニーズが明らかになるケースは少なくありません。
良質な顧客体験を提供するためにも、次に挙げる3つの取り組みを実践していくことが大切です。
質問を重ねてウォンツの理由を掘り下げる
見込み顧客のウォンツを把握したら、さらに質問を重ねてウォンツの理由を掘り下げていきましょう。
壁に穴を開けたいというウォンツに対して即座にドリルを提案するのではなく、なぜ穴を開けたいのかを尋ねていくのです。
ウォンツを深掘りしていくと、実は相手のニーズを満たすには壁面に穴を開ける必要はないことが判明するかもしれません。
「穴を開ける」以外の解決策を提示することによって、見込み顧客は真のニーズが満たされたと感じ、満足度が大きく高まります。
「〜がなぜ必要なのですか?」「なぜ〜したいのですか?」と質問を重ねつつ、相手の真のニーズを深掘りすることが大切です。
アンケートやインタビューを通じて潜在ニーズを引き出す
見込み顧客を対象としたアンケートやインタビューの結果を元に、ニーズへの理解を深めていく方法もあります。
アンケートやインタビューの結果には、ウォンツの背後にある潜在ニーズを把握するためのヒントが数多く潜んでいるはずです。
例えば、どのような状況やタイミングで商品・サービスが必要と感じたのかを尋ねるのは有効な方法といえます。
具体的なシーンが明らかになることによって、ニーズをウォンツに変えるノウハウの再現性を高められるでしょう。
企業側が気づいていなかった、意外な場面で商品・サービスが必要とされているケースも少なくありません。
顧客の声を施策に反映させていくことが大切です。
データを元に顧客行動の傾向や市場の傾向を分析する
WebサイトやLPのアクセス情報を収集・分析し、データを元に顧客のニーズを深掘りしていく方法もあります。
一例として、特定の広告バナーを経由してLPを訪れた顧客が多いようなら、他の広告バナーとの違いを分析することが大切です。
他のバナーには使用していない文言やキャッチコピーが絞り込まれれば、顧客のニーズを知るヒントになる可能性があります。
データを元に顧客行動の傾向や市場の傾向を把握することは、勘や経験則に頼らない戦略や施策の構築にも役立つでしょう。
顧客がどのような経緯で商品・サービスの購入に至ったのか、データを洗い出して分析してみてはいかがでしょうか。
まとめ
ニーズとウォンツは混同されがちですが、顧客の欲求を理解するには明確に区別しておきたい概念といえます。
ニーズをウォンツに変えるノウハウを確立すれば、商品の購入率や成約率を高められるでしょう。
反対にウォンツからニーズを深掘りすることによって、顧客満足度をいっそう向上させるための施策を構築できます。
今回紹介したポイントを、ぜひ顧客理解の深化に役立ててください。
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#ニーズとウォンツ