- ターゲティングの正確な意味とは?
- マーケティングではなぜターゲティングが重要視されているのか?
- ターゲットを設定する際に必要な知識とは?
上記のような疑問を抱えている経営者は決して少なくないでしょう。
今回は、マーケティングの基本とされる「ターゲティング」についてわかりやすく解説します。
ターゲティングの重要性や設定する際に必要な要素を押さえて、ぜひ自社の戦略策定に役立ててください。
ターゲティングとは
はじめに、ターゲティングの基本的な意味とマーケティングにおける位置づけを確認しておきましょう。
ターゲティングが果たす役割を明確に把握しておくことが大切です。
ターゲティング=「誰に」訴求するのか
マーケティング戦略を端的に表すと、「誰に・何を・どのように売るか」に集約されます。
ターゲティングとは、「誰に」に相当する部分を検討するプロセスのことです。
例えば「インスタントカメラ」を販売する場合、高齢者向けに販売するのと若者向けに販売するのとでは戦略が大きく異なります。
あえてインスタントカメラに馴染みのないZ世代をターゲットとしたことにより、大ヒットした商品が「チェキ」です。
同じ商品を売る場合にも、訴求する対象によって戦略も成果も大きく異なることがイメージできるのではないでしょうか。
ターゲティングはマーケティングの出発点
ターゲティングはマーケティング戦略の中でも出発点に当たるプロセスといわれています。
「誰に訴求するか」によって、商品のデザインやパッケージ、価格設定、プロモーション方法なども大きく異なるからです。
ターゲティングがマーケティングの出発点であることを、顕著に示している例を紹介します。
・もともとサーファーを中心に20〜30代の男性がターゲットだった
・海へ出かける若者が減少したことに伴い、ターゲティングを変更
・10代女性をターゲットにしたことにより、売上が大きく伸びた
上記の例では、20〜30代男性と10代女性の行動範囲や行動パターンが大きく異なるのは明らかです。
ターゲットの変更に伴って、コンビニやドラッグストアチェーンなどに商品を陳列することにしました。
若い世代に人気のアーティストをTVCMに起用するなど、独自の世界観を打ち出したことが功を奏しています。
「誰に訴求するか」が変われば売り方も大きく変わることから、ターゲティングはマーケティングの出発点といわれているのです。
ターゲティングの要素例
ターゲティングを検討する際には、顧客層をさまざまな属性によってグループ分けする必要があります。
下記はターゲティングに用いられる要素の一例です。
- 年齢
- 性別
- 居住地
- 家族構成
- 職業
- 収入
- ライフスタイル
- 価値観
10代の若者と80代の高齢者の価値観が全く同じケースが稀であるように、属性に分けることでニーズを把握しやすくなります。
見込み顧客を属性ごとにグループ分け(セグメンテーション)することは、ターゲティングの重要な準備段階の1つです。
ターゲティングとペルソナ設定の関係
ターゲティングと混同されやすい用語として「ペルソナ設定」が挙げられます。
ペルソナは「仮面」という意味を表すラテン語です。
マーケティング領域では、あたかも実在する個人であるかのようにリアルな顧客像を設定することを指します。
ターゲティングとペルソナ設定の大きな違いは、設定する顧客像の具体性です。
- ターゲティングの例:
東京都内在住の30代男性・一人暮らし・年収400〜600万円 - ペルソナ設定の例:
東京都杉並区に在住の(氏名)・35歳・年収550万円
ターゲティングされた顧客層には数多くの人が含まれるのに対して、ペルソナは特定の1人が想定されています。
手順としては、まずは顧客層をターゲティングによって「面」で捉えるのが一般的です。
次にターゲットの中の1人を想定し、ペルソナを設定することでターゲットをイメージしやすくする効果が期待できます。
ターゲティングはなぜ重要視されている?
ターゲティングが重要視される理由を理解するには、ターゲティングの目的を押さえる必要があります。
マーケティング戦略におけるターゲティングの位置づけを確認しておきましょう。
ターゲティングの目的
ターゲティングは「STP分析」のうちの一要素です。
STP分析は、フィリップ・コトラーが提唱したマーケティング戦略のフレームワークとして知られています。
STP分析を構成する要素は下記の通りです。
- Segmentation(セグメンテーション):市場の細分化
- Targeting(ターゲティング):狙うべき市場の決定
- Positioning(ポジショニング):市場における自社の立ち位置
自社がどの市場で闘うのかを決定することが、STP分析を行う主な目的です。
ターゲティングをSTP分析の一環と捉えることで、「誰に売るか」を決める必要性を理解しやすくなります。
ターゲティングを見誤った場合に起きること
ターゲティングを見誤ったまま商品やサービスを販売した場合、次のような事態が想定されます。
- 商品自体が良いものでも売れない
- 多くの広告費を投じた割には効果が出ない
- 商品・サービスの存在が認知されない
- 競合する他社商品に勝てない
- 営業・販売担当者ごとに訴求する対象者が大きく異なる
必然的に営業・販売活動の費用対効果が著しく低下し、売上も伸びない状況に陥る可能性が高いと考えられます。
ターゲティングは「売れる仕組み」を構築する上で、土台となる重要なプロセスとして捉える必要があるでしょう。
ターゲットを設定に活用する「6R」
ターゲティングの際には「6R」と呼ばれるフレームワークが用いられます。
6Rとは、下記の6要素の頭文字を取ったものです。
- Realistic Scale(有効な市場規模)
- Rival(競合)
- Rate of Growth(市場の成長率)
- Ripple Effect(連鎖反応)
- Reach(到達可能性)
- Response(測定可能性)
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. Realistic Scale(有効な市場規模)
Realistic Scale(有効な市場規模)は、対象となる市場がどの程度の規模であるかを表しています。
市場規模が十分に大きければ、事業として成立する可能性は十分にあるでしょう。
市場規模が小さすぎるのは望ましくないものの、市場規模が大きくない=事業が成立しない、とは限りません。
ニッチな市場であっても、後述する「競合」や「市場の成長率」などの条件しだいでは十分な顧客数を確保できるからです。
事業に投じるコストが適切であるか判断するには、市場規模を把握しておく必要があります。
2. Rival(競合)
Rival(競合)とは、競合他社の存在や他社商品の存在有無のことです。
一般的に、次のような条件下では競争が熾烈なものになりやすい傾向があります。
- 競合商品が多く、市場が飽和している(レッドオーシャン)
- 突出して強力な他社商品が存在する
- 強力なブランド力をもつ他社が市場を独占している
競合が存在していたとしても、自社の強みを活かして他社とは異なるアプローチをすれば市場に入り込める可能性があります。
反対に競合が全く存在しない状況であれば、そもそもニーズが存在しない可能性があるため注意が必要です。
3. Rate of Growth(市場の成長性)
Rate of Growth(市場の成長性)は、今後どの程度市場が成長する見込みがあるかを表しています。
現状では十分な市場規模であっても、市場全体が衰退傾向にあるようなら近い将来顧客の奪い合いに突入しかねません。
反対に現状は市場規模が小さくても、急速に成長することが期待されている市場であれば、参入する意義は十分にあるでしょう。
4. Ripple Effect(波及効果)
Ripple Effect(波及効果)は、市場の裾野が広がる見込みがどの程度あるかを示す指標です。
例えば、若年層の顧客が中心だった商品が、しだいにより高い年齢層の顧客へと浸透していくケースは少なくありません。
結果としてシェアが拡大すれば、市場規模そのものも拡大していくことが期待できます。
売り方しだいでターゲットを拡大できる見込みがある商品・サービスは、波及効果のポテンシャルが高いといえるでしょう。
5. Reach(到達可能性)
Reach(到達可能性)は、ターゲットに自社商品を認知してもらい、実際に販売できる可能性があるかどうかを指しています。
一例として、富裕層を対象とした商品を販売する場合、富裕層とのタッチポイントが皆無であれば商品を認知してもらえません。
到達可能性の低いアプローチの方法に多くの広告宣伝費を投入しても、高い効果は見込めないでしょう。
現実的にアプローチ可能なターゲットであるか、十分に検討しておく必要があります。
6. Response(測定可能性)
Response(測定可能性)は、マーケティング施策の効果を測定する手段の有無を表しています。
顧客の傾向や反応を測定できるかどうかによって、施策の改善に役立つ情報量に大きな差が生まれるからです。
例えばECモールに商品を出品した場合、購入した顧客の情報が確認できるリストにアクセスできません。
一方、自社で構築したECサイトであれば、販売時に簡単なアンケートに答えてもらうといった方法で顧客の属性を調査できます。
測定可能性という観点からターゲットや販売方法を検討しておくことは、PDCAサイクルを回す上で重要なポイントの1つです。
ターゲティングを成功させるためのポイント
ターゲティングを成功させる上で必要なポイントを押さえておきましょう。
適切なターゲットを見極め、効果的に販売していくには次に挙げる3つの取り組みが欠かせません。
自社の強みを活かせる領域で勝負する
ターゲットのニーズを満たす上で、自社の強みを活かせるかどうかは十分に検討しておくべき点といえます。
自社が得意とする分野や領域で顧客ニーズに応えられれば、強力なブランド価値となる可能性があるからです。
例えば「高価格であるものの、性能や品質に定評があるメーカー」の場合を考えてみましょう。
仮に低価格の製品ラインナップを市場に投入した場合、既存のブランドイメージを毀損する原因にもなりかねません。
自社の強みを活かせる領域で勝負することは、ブランド価値の形成という意味においても重要なポイントの1つです。
常に顧客視点に立ち返る
徹底して顧客視点に立つスタンスを貫くことは、ターゲティングにおいても重要なポイントといえます。
競合分析の結果、競争優位性を確保するために「価格を下げる」という判断を下したとしましょう。
実際には、顧客が求めているものは「安さ」よりも「安心感」や「信頼性」である可能性も否定できません。
顧客が何を求めているのかを徹底して分析し、ニーズに応えることを軸に戦略を練っていく必要があります。
ターゲティングやペルソナ設定が、自社にとって都合よく検討されていないか注意深く振り返っておくことが大切です。
外的要因についても考慮する
ターゲティングを検討する際には、外的要因についても考慮しておく必要があります。
外的要因とは、自社ではコントロールできない事柄のことです。
例えば、法改正に伴い従来の販売方法を続けられなくなるようなパターンは、外的要因の影響を受けている典型例といえます。
どのような外的要因が自社の事業に影響を与える可能性があるのか、慎重に調査・検討しておくことが重要です。
まとめ
ターゲティングはマーケティング戦略の出発点とされているだけに、ターゲティングを誤ると施策全体が失敗しかねません。
6RやSTP分析といったフレームワークを活用し、漏れなく調査・分析を実施しておく必要があります。
ターゲティングの目的や意義を理解した上で、自社の強みを活かした施策を構築していくことが大切です。
今回紹介したポイントを参考に、ターゲティングの精度を高めてください。
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