- よく耳にするリスクヘッジはどんな場面で使うのか知りたい
- リスクヘッジとリスクマネジメントの違いは何?
- リスクヘッジ能力の高め方が知りたい
このように、「リスク」というキーワードが含まれた言葉を耳にする機会が増えてきています。
というのも、時代が急速に変化するなか、将来的なリスクやトラブルを防止するための対策が重要視されているからです。
本記事ではリスクヘッジと混同されやすいリスクマネジメントなどの言葉の違いをわかりやすく解説します。
「リスクヘッジ」と混同されやすい言葉
リスクヘッジと同様に「リスク」に対する用語は多数あります。
なかでもリスクヘッジと混同されやすい3つの言葉との違いや特徴をわかりやすく解説します。
目的 | 行うこと | |
リスクヘッジ | 将来的なリスクの防止 | リスクの分析将来的なリスクの防止策考案 |
リスクマネジメント | 将来的なリスクの防止顕在化したリスクへの対処 | リスクの分析リスク防止策の考案リスク防止策・リスク対策の実施リスク対策への評価・改善 |
リスクアセスメント | 作業者の安全確保 | リスクの特定危険性・有害性ごとの対策リスクの低減策の実施リスク対策への評価・改善 |
リスクテイク | 大きなリターンを得るため | 目的や目標のためにリスクを受け入れる |
そもそもリスクヘッジとは
リスクヘッジとは英語の「risk(危険)」「hedge(防止策)」という意味で、将来的に想定されるリスクを回避するための防止策としてビジネスシーンで使われるようになりました。
もともと投資など不確実性が高い分野において、株の暴落をはじめとしたリスクを危惧して一点投資ではなく分散投資するなどのリスクヘッジを行うのが一般的でした。
しかし近年では、新規事業の展開や新商品・サービスのリリース、業務の変更やシステムの導入など、新しい取り組みを行う際に想定されるリスクを回避するためにリスクヘッジに取り組むのが一般的となっています。
リスクヘッジとリスクマネジメントの違い
リスクヘッジと混同されやすい言葉が「リスクマネジメント」です。
将来想定されるリスクを回避・軽減を目的としている点では共通していますが、リスクヘッジはリスクに対する防止策であるのに対し、リスクマネジメントはリスクの管理までを指します。
リスクの防止策を考案するだけでなく、リスクの防止策を実施して評価したり、発生しているリスクに対処して評価・改善を行うまでのプロセスがリスクマネジメントです。
つまり、リスクヘッジもリスクマネジメントの一部に含まれます。
リスクヘッジとリスクアセスメントの違い
リスクヘッジは将来的なリスクへの防止策を指しますが、リスクアセスメントは作業における安全を確保するため、想定されるリスクを特定し、リスクの除去または低減するための取り組みを指します。
リスクを管理するという点ではリスクマネジメントと共通していますが、リスクアセスメントは作業に限定されます。
生産工程の多様化・複雑化が進んだことにより、最新設備や化学物質が使用されるケースも多くなりました。
作業環境が変化し新たな危険性も危惧されるなかで、作業者の安全を確保するためのリスクアセスメントは作業現場において必須の取り組みとなっています。
リスクヘッジとリスクテイクの違い
リスクテイクとはリスクを目的や目標のためにリスクを受け入れて行動することを指します。
リスクヘッジとは違い、リスクを回避するのではなく、リスクを把握した上で受け入れるため、リスクヘッジとリスクテイクはまったく別の言葉と言えます。
ビジネスにおいてリスクをすべて回避していると、失敗はしにくいかもしれませんが成功を収めるのも難しいでしょう。
たとえば100%成功するビジネスが存在しないように、何事にもリスクは存在します。
大きなリターンを得るためにあえてリスクを取るのがリスクテイクです。
リスクを受け入れるもののリスク低減のために対処は行うので、リスクテイクもリスクマネジメントの一部であると言われています。
リスクヘッジの重要性
リスクヘッジが重要視されるようになった背景として、新型コロナウイルス感染症の大流行や大きな自然災害の発生などが大きな要因と考えられています。
感染症や自然災害は予測できるものではありませんが、ビジネスを継続させるためには、あらゆるリスクを想定して防止策を講じていく必要があります。
急速に変化する時代において、リスクヘッジ能力の高さが経営の手腕に直結すると言っても過言ではありません。
そのため、ビジネスにおいて企業はもちろん個人のリスクヘッジが重要視されているのです。
時代を先読みする力を身につけたい人は、こちらの記事でビジネスの周期を学んでおくのもおすすめです。
ビジネスシーンで使えるリスクヘッジの例文
「リスクヘッジ」はビジネスシーンでとくに多用されるため、正しい使い方を覚えておくと齟齬が生じにくいでしょう。
リスクヘッジの例文を3種類紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
リスクヘッジする
「リスクヘッジする」はビジネスシーンにおいて、よく使われる言い回しです。
- リスクヘッジすることによって着実な利益獲得につながります
- トラブルを避けるためにもリスクヘッジは重要な取り組みです
このように、リスク回避の重要性をアピールするために活用できます。
リスクヘッジのために
「リスクヘッジのために」といった表現も、ビジネスシーンにおいてよく使われます。
- リスクヘッジのためにツールの導入部署を複数に分けました
- リスクヘッジのために余裕を持ってサポート人員を確保しました
このように、リスクを回避するために行う施策の理由として使われることもあります。
リスクヘッジができていない・不十分
会議や評価の際に「リスクヘッジができていない」「リスクヘッジが不十分」という表現が使われるケースも多いです。
- イベントの規模に対して、リスクヘッジが不十分です
- 顧客対応におけるリスクヘッジができていません
このように、行われる業務やプロジェクトに関してリスクへの配慮が足りていないときに使われます。
ビジネスシーンにおけるリスクヘッジの使い方
安定的な経営や業績を向上させるために、リスクヘッジは欠かせません。
ビジネスシーンではおもに次のようなリスクヘッジが有効と言われています。
ミスやトラブルに対するリスクヘッジ
業務にミスやトラブルは付き物ですが、できるだけミスやトラブルを減らせるよう、事前に行うことができるリスクヘッジはたくさんあります。
たとえば次のようなリスクヘッジは、日常の業務を円滑にこなすために役に立つでしょう。
- 資料の提出やメール送信を行う前にダブルチェックをする
- 会議やプレゼンの資料はデータのバックアップを取ったり部数を多く印刷したりする
- スケジュールやタスクを見逃さないようにリマインドをかけておく
- イベントを開催するときは予備の人員を確保したり天候に応じて会場を複数検討したりする
情報漏洩などのコンプライアンス違反に対するリスクヘッジ
情報漏洩などのコンプライアンス違反は、自社の資産を失うだけでなく、信用問題に発展すると多大な損害が出ることも予測されます。
そのため、セキュリティ面の強化はもちろん、日頃から社内でコンプライアンスに対する意識を高める取り組みを行うのがおすすめです。
たとえば、コンプライアンス違反に対するリスクヘッジには、次のようなものが挙げられます。
- パソコンの持ち出しやUSBの使用を禁止する
- セキュリティ講習を実施する
- データをクラウド上で管理するときは一部の人員のみ権限変更できるようにする
- パスワードやスクリーンセーバーなどの設定を徹底する
- 社外にデータを共有したりファイルをコピーする際は必ず上司に確認を取る
- ローカルへのデータ保存をしないように徹底する
人材の損失に対するリスクヘッジ
優秀な人材が離職することは社内の資産の損失です。
離職率を下げるためには、従業員が働きやすい環境の整備や、モチベーションを保つための取り組みを行うのがおすすめです。
たとえば人材の損失に対するリスクヘッジには、次のようなものが挙げられます。
- ハラスメントの講習会を実施したり相談窓口を設けたりする
- 社内の業務のマニュアル化や業務効率化ツールを導入して業務の属人化を防ぐ
- 有給休暇や育児休暇、介護休暇などを取りやすい制度を作る
- 短時間業務や在宅勤務など家庭の状況に応じて柔軟に働ける環境を作る
- オフィス内に休憩スペースや仮眠スペースなどを設ける
リスクヘッジ能力を高める方法
予想できるリスクは事前に回避するのが無難です。
そのため、日頃からリスクヘッジ能力を高めて、1つでも多くのリスクを回避できるように取り組んでみてください。
ロジカルシンキングを心がける
将来的なリスクを的確に判断するためには、直感的に物事を判断するのではなく、物事の筋道を立ててリスクになり得る要因を判断する必要があります。
論理的思考であるロジカルシンキングを心がけると、リスクを回避するための防止策が浮かびやすくなるほか、表面化したリスクやトラブルの原因を追求するのに役立ちます。
ロジカルシンキングを行うコツは、日頃から抽象的な出来事や思考を言葉にしたり、物事の本質を考えたりする習慣をつけるのがおすすめです。
ロジカルシンキングはコミュニケーション能力を高めるためにも有効と言われています。
具体的なトレーニング方法はこちらの記事を参考にしてみてください。
多面的思考能力を鍛える
一つの方面だけでなく、多方面から物事を判断する多面的思考能力を鍛えるのも、リスクヘッジ能力を高めるために有効と言われています。
たとえば企業と個人に起こりうるリスクは同じとは限りません。
網羅的にリスクを予測して対策するためにも、視点を変えてリスクを分析するのがおすすめです。
多面的思考能力を鍛えるためには、俯瞰して分析したり、具体化して分析したりなど、さまざまな角度から物事を見る習慣をつけるのが効果的です。
また、自分の考え方のクセを理解し、思考が偏らないよう、周囲の意見を柔軟に取り入れるのも多面的思考能力を鍛えるのに役立つでしょう。
幅広い業務を経験する
ロジカルシンキングや多面的思考など物事の見方を変えることも大切ですが、経験の幅が広がると判断材料が増えるので、リスクを察知しやすくなります。
専門外の分野のリスクを判断しても、現場の状況や業務フローを理解できていないと、机上の空論になってしまう可能性もゼロではありません。
実際に業務を経験することによって現場レベルで起こり得るリスクを判断できるほか、防止策も浮かびやすくなります。
従業員のリスクヘッジ能力を高めるなら、部署移動の希望を柔軟に実現したり、ジョブローテーションを導入したりなどの対策が有効です。
PDCAを習慣にする
リスクヘッジは日頃からブラッシュアップすることによって精度が高まります。
そのため、行った行動を常に評価して改善するPDCAの習慣をつけるのがおすすめです。
「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(効果測定)」「Action(改善)」という4つのステップからなるPDCAは、このサイクルを回していくことで目標達成や課題解決を目指すことができます。
リスクに対して適切な対処をスピーディーに行うためにも、PDCAを習慣にしてください。
PDCAサイクルについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。
ITツールで業務効率化を図る
人が関わる業務が多いほどミスが増えたり、ダブルチェックなどの手間が増えたりなど、リスクが増えるのは事実です。
そのため、自動化できる部分はITツールを導入して業務効率化を図るのも社内のリスクヘッジ能力を高めるために有効と言えます。
ITツールのなかにはリスクヘッジに対応できるものもあります。
自社の事業や業務フローを分析し、課題や問題のあぶり出しを行ったら、最適なITツールを選択して導入を検討してみましょう。
ITツールの導入を検討する時は費用対効果を予測するのはもちろん、従業員にとって使いやすいものを選ぶようにするのがポイントです。
まとめ
急速に時代が変化していくなかで、リスクの防止策であるリスクヘッジが重要視されています。
経営者に限らず、従業員一人一人がリスクヘッジ能力を高めることで、トラブルに冷静に対処できたり、損害を最小限に抑えることができるでしょう。
リスクヘッジ能力は日頃の心がけで鍛えられるので、ぜひ習慣に取り入れてみてください。
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