- ヒューリスティックによって引き起こされるバイアスの種類について知りたい…!
- ヒューリスティックと認知バイアス、確証バイアスの意味の違いとは…?
この記事は上記の項目について知りたい方におすすめします。
ヒューリスティックとは、正解を導き出すために、簡略的で直感的に物事を考えることを指します。
私たちは、なるべく複雑な思考をすることを避けるため、過去の経験や学びから直感的に答えを導き出そうとします。
一方で、時に過去の経験や周囲の状況によってバイアスがかかり、誤った判断をしてしまうことがあるため注意が必要です。
今回の記事では、ヒューリスティックの意味と引き起こされる原因や認知バイアス、確証バイアスなどの類似用語との違いについて解説します。
また、ヒューリスティックの5つの種類やその具体例、マーケティングに活かす方法もご紹介しますのでぜひ最後までご覧ください。
ヒューリスティックとは?
ヒューリスティックとは、「正解に辿り着くために複雑に緻密な思考をするのではなく、簡略化して答えを導き出すこと」です。
ヒューリスティックを引き起こす原因は、過去の知識や経験から身につけた思考のバイアスにより短絡的に答えを導き出そうとするからです。
脳にはなるべく複雑な考えを巡らすことを避けるため、過去の経験から直観的に物事を判断し答えを出そうとする性質があります。
ヒューリスティックが起こる身近な例
例えば、私たちが普段行き慣れた場所に出かける際の行動について考えてみましょう。
そのとき、交通量の多い道路を徒歩で移動すると考えてください。
私たちは道路を走る車の動きや脇道を通る自転車や歩行者の動きを予測しながら、無意識的に目的地まで歩きます。
これは過去の経験から学び、直観的に周囲の動きを予測することができているからです。
もしヒューリスティックが働いていなければ、私たちは常に周囲がどのような動きをするか複雑に思考しなければなりません。目的地に着くのに膨大な時間がかかってしまうでしょう。
ヒューリスティックは過去の経験から直感的に未来の行動を導き出すことにより、私たちの行動をスムーズに動かします。
一方で、時には複雑に考えて合理的な判断をするべき場面でさえ直観で短絡的に判断してしまうことがあるため注意が必要です。
ヒューリスティックが起きる理由
ヒューリスティックが起きる原因は脳の働きを最小限に抑えるためです。
私たちが一日に考えて決断できる量には限りがあるために、脳はなるべく思考することを避けてエネルギーを充電しようと考えます。
そのため、目の前で起こる出来事について、まずは過去の経験や知識から直感的に判断することで脳の思考を抑えるのです。
そして、直観で判断できず答えを導き出せなかったことについては、複雑に思考して考えるようになります。
脳の働きは2種類に分けられる
脳の直感的で簡易的な判断と、答えを出すためにじっくりと考えて答えをだす思考は別物です。
この脳の働きを行動経済学では「ファスト」と「スロー」思考と呼びます。
「ファスト思考」は、過去の経験からこれから起こることを考えて直感的に判断する思考のことです。脳は本人の自覚なしに無意識で自動的に物事を判断するため能動的に脳が動くことはありません。これはいわゆるヒューリスティックが起こっています。
一方で「スロー思考」は、ファスト思考で処理できなかった問題を受けてじっくりと考えて答えを出すものです。意識的に考えて能動的に脳を働かせます。
私たちは目の前で起こった出来事について、まずは「ファスト思考」で考えて解決できない問題を「スロー思考」で考えます。
ヒューリスティックと類似用語との違い
ここで、ヒューリスティックと混同しやすい用語の意味について解説します。
認知バイアスとの違い
「認知バイアス」とは、ヒューリスティックの枠組みの中で起こる現象のことです。過去の経験や知識または周囲の状況によって、直観的に非合理的な判断をしてしまうことを指します。
認知バイアスについて、身近な例を見てみましょう。
例えば行列の飲食店に魅力を感じるのは、私たちが「混んでいるからきっと美味しいお店に違いない」と直観的に判断するからです。
実際には、行列であるからお店の料理は美味しいと判断するのは非合理的でしょう。これは、集団の決定が個人よりも正確であると考えてしまう「バンドワゴン効果」という認知バイアスが働いています。
認知バイアスは100種類以上もあると言われ、ヒューリスティックの概念を土台として考えることができます。
確証バイアスとの違い
「確証バイアス」とは、過去の経験や知識から得た価値観から自分にとって都合の良い情報のみを集めて信じることです。反対に、自分の考え方とは異なる情報は無意識的に見ないようにしてしまいます。
確証バイアスについて、身近な例を見てみましょう。例えば、ある商品を複数の知人が持っていて勧められたことで購入を検討しているとします。
このときあらかじめその商品に対して良い印象をいだいていれば、高評価のレビューだけを集めてその商品の購入に至るでしょう。このとき、低評価がついたレビューは無意識的に軽視するのです。
確証バイアスは、ヒューリスティックの機能の一つである「認知バイアス」の一種です。つまり、ヒューリスティックに包括されます。
アルゴリズムとの違い
「アルゴリズム」とは、明確な答えがある問いに対して、解答を出すための方法や手順のことを指します。
ヒューリスティックは、過去の経験や知識から直感的に簡易的に導き出そうとするものであり客観性が低いです。一方で、決まった答えがない問いに対しても、何かしらの答えを導き出すことができます。
反対にアルゴリズムは、明確な答えがあるものに対して客観的に論理的な手順を用いて答えを導くものです。一方で、今までに出会ったことがない答えがない問いに対しては答えを導き出すことができません。
代表的なヒューリスティックの種類
ここでは、ヒューリスティックの代表的な5つの種類について紹介します。
- 代表性ヒューリスティック
- 感情ヒューリスティック
- 利用可能性ヒューリスティック(想起ヒューリスティック)
- 固着性ヒューリスティック(係留と調整ヒューリスティック)
- シミュレーションヒューリスティック
それぞれの内容と具体例を解説しますのでご覧ください。
代表性ヒューリスティック
「代表性ヒューリスティック」とは、物事を判断する際により代表的・典型的な例と比較して意思決定をすることです。
例えばAとBの事象があるとすれば、よりステレオタイプに近い方が起こる確率が高くなると思ってしまうことを指します。
代表性ヒューリスティックとしてよく知られている例が、サイコロが出る目の確率についてです。
たとえば、サイコロを3回振ったとします。そのとき同じ数字が続けて3回出る確率と、3回とも違う数字が出る確率のどちらが高いでしょうか。
答えはどちらも同じ確率なのですが、私たちは3回とも異なる数字が出る方が確率が高いと思ってしまうのです。
代表性ヒューリスティックに陥らないためには、自分の考え方が固定観念に囚われていないかよく確認してみてください。
感情ヒューリスティック
「感情ヒューリスティック」は、感情が強く揺れ動くかまたは好き嫌いを基準に意思決定を行うことです。
例えばAとBの事象があるとすれば、より好意的な感情を感じた方、または感情が強く揺り動かされた方を選択しようとします。
身近な例で確認しましょう。ある二つの商品の購入を検討していて、どちらか一つを選びたいと考えました。
このとき、一つの商品はそのブランドのCMを頻繁に見かけていたとします。応援している人物がそのCMに出演していたことで、その企業に好感を持っていました。
このときその企業に愛着を感じていたため、最終的にはその商品を購入することに決めました。
感情ヒューリスティックに陥らないためには、決断を一旦保留にすると良いです。後でそれを選択するメリット・デメリットなどを洗い出して客観的に比較するようにしましょう。
利用可能性ヒューリスティック(想起ヒューリスティック)
「利用可能性ヒューリスティック(想起ヒューリスティック)」は、即時的に思い浮かんだものや情報の想起が簡単な方を選び取り意思決定をするものです。
例えば、ニュースで見たことが自分の身近でも起こるのではないかと考えることです。飛行機によるテロや事故のニュースを見た際に、自分の身にも起こるかもしれないと考えます。
これは利用可能性ヒューリスティックにより、すぐに思い出せる情報を切り取っているに過ぎません。
利用可能性ヒューリスティックに陥っているかもしれないと感じたときは、それが起こる確率を数値に置き換えてみてください。
固着性ヒューリスティック(係留と調整ヒューリスティック)
「固着性ヒューリスティック(係留と調整ヒューリスティック)」とは、事前に得た情報に認知が引っ張られ、その後の意思決定に影響を及ぼすことです。
身近な例を確認していきましょう。
もしも今、AとBの商品選択で購入を迷っているとすれば、よりお得感の高い方に価値を感じる可能性があります。
キャンペーンにより定価10,000円の商品が5,000円になっている商品があると考えてください。その隣にあった定価5,000円の商品と比べてどちらに価値を感じるでしょうか。
おそらく、前者を選択したくなるのではないでしょうか。前者は、本来10,000円の価値のものが安くなっている点で、後者より性能や機能が良いと考えるかもしれません。事前情報に引っ張られて、その後の意思決定に影響を及ぼしているに過ぎません。
固着性ヒューリスティックに陥らないためには、意思決定に影響しそうな前後にある項目を排除して考えてみてください。
シミュレーションヒューリスティック
「シミュレーションヒューリスティック」とは、過去に取り入れた知識や経験、先入観から意思決定をすることです。
例えば、目の前で起きた物事に対して、過去の経験を頭の中でシミュレーションをして誤った因果関係を疑うことがあります。
また、未来の事象に対しても今までの経験や先入観を基にしたシミュレーションを行い、主観的な意思決定をすることがあるのです。
例えば、過去に営業で上手く顧客に商品の良さを伝えられず、失注してしまったことがあったとしましょう。
大きな金額を扱う商談を任された場合、過去の経験を思い出して、また失敗するのではないかと考えてしまうかもしれません。
客観的に見れば、過去と同じ未来が起こることはあり得ません。本人は、過去の経験を未来にあてはめて誤った先入観をいだいてしまっているのです。
シミュレーションヒューリスティックに陥らないためには、自分の思考が過去の経験や先入観にとらわれていないか常に疑うようにしてみてください。
ヒューリスティックをマーケティングに取り入れる方法
ヒューリスティックは、マーケティングに取り入れることが可能です。
例えば、次のような項目を実践することができます。
- 商品PRの際は、より感情を揺さぶるインパクトのあるキャッチコピーを考える
- 商品の値引きをした場合、定価と値引き後の金額を明示する
- 購入は「お1人様3個まで」などと購入できる個数を指定することで、顧客の購買意欲を高めて最大限の個数を購入してもらう
- 企業宣伝を繰り返し行うことで、取り出しやすい情報として消費者の頭の中に残してもらう
- 影響力の高いインフルエンサーに商品を宣伝してもらう
ヒューリスティックの種類と詳しい意味について知ることで、ビジネスの中にも上手く取り入れることができます。
まとめ
今回は、ヒューリスティックの概要や、起こる原因や種類、認知バイアスや確証バイアスなどとの意味の違いについて解説しました。
ヒューリスティックとは、正解を導き出すために複雑な思考をするのではなく、直観的で簡易的に考えることです。
脳には難しく考えることを避けるために、過去の経験や知識に基づき直観的に物事を処理する性質がありました。そして、直感的に答えが出せない事柄は、複雑に考えるように思考が切り替わるのです。
ヒューリスティックスは、認知バイアスによって非合理な選択をする場合があるため、注意が必要です。
また、代表的なヒューリスティックの種類には、次の5種類がありました。
- 代表性ヒューリスティック
- 感情ヒューリスティック
- 利用可能性ヒューリスティック(想起ヒューリスティック)
- 固着性ヒューリスティック(係留と調整ヒューリスティック)
- シミュレーションヒューリスティック
これらの内容を把握することで、客観的に物事を見る目を養いましょう。また、必要に応じてビジネスに応用する方法について考えてみてください。
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