- 他社商品の販売価格が安すぎて、価格面で自社が不利になってしまう
- 競合が大手企業のため価格競争に勝てそうにない
- 価格競争に勝てない場合、どのような対策を講じるべきか?
上記のような悩みや疑問を抱えていませんか?
今回は、価格競争で競合に勝てない場合に有効な対策・考え方について解説します。
価格競争について、より多面的な捉え方ができるようになるでしょう。
ぜひ参考にしてください。
価格競争で勝てない=「負け」ではない
価格競争とは、価格の安さで競合他社と顧客獲得を争うことを指します。
一般的に、特徴や機能などが似通っている商品であれば、価格が高いほうが不利になると思われがちです。
実は、価格競争で勝てないからといって「負け」が確定したわけではありません。
価格競争で勝てない=「負け」ではない理由を解説します。
消費者の判断基準は「価格」とは限らない
消費者が商品を選ぶ際、価格が重要な判断基準の1つであることに間違いないでしょう。
同じような商品であれば、少しでも安い商品を選びたいと考えるのは自然なことです。
一方で、消費者は必ずしも「価格」を最優先して商品を選んでいるとは限りません。
仮に消費者が「価格」のみを基準に商品を選んでいるとすれば、価格が高い高級車や高級ブランド品は売れないはずです。
実際には、消費者は価格以外の要素も加味して商品を選んでいます。
消費者の判断基準が「価格」とは限らないことは、非常に重要なポイントの1つです。
過度な価格競争は避けるべき
価格競争への突入は、本来できるだけ避けるべきことです。
価格が安いという優位性は模倣されやすく、一時的に競合他社より優位に立てたとしても長続きしないことが想定されます。
結果として値引き合戦のような状態に陥り、消耗戦になりがちです。
競合他社よりも商品を安く提供するという戦略は、必ずしも得策ではありません。
過度な価格競争に突入するのを避けるためにも、価格競争で勝てない=「負け」という発想から脱却する必要があります。
価格競争に巻き込まれるデメリット
価格競争は自社から仕掛けて突入する場合もありますが、否応なく巻き込まれてしまう場合もあります。
価格競争に巻き込まれることによって被るデメリットは次の通りです。
利益が少なくなる
商品の販売価格を下げたとしても、製造コストや人件費といったコストを大きく削減するのは難しいでしょう。
一商品あたりの利益率が下がることで、企業全体の収益が悪化する原因となります。
利益が少なくなれば、薄利多売に走らざるを得なくなるでしょう。
結果として、商品を販売するために常に活動しているにも関わらず、利益がなかなか増えていかない状況に陥ります。
資金繰りが悪化すれば先行投資もしづらくなるため、事業の成長を妨げる原因になりかねません。
リピーターを獲得しにくくなる
価格が安いことを理由に商品を選んだ消費者は、より安い商品が登場すれば簡単に他社へと流れてしまいがちです。
商品に対して価格面以外の魅力を感じていない限り、リピート購入が期待できるとは言いがたいでしょう。
価格を安く設定することで一時的に顧客を確保できたとしても、長い目で見ると顧客が離れていく可能性があります。
一般的に、新規顧客の獲得には既存顧客を維持する場合の5倍のコストがかかるとされています(1:5の法則)。
リピーターを獲得しにくくなることは、中長期的な視点に立つと収益の悪化につながる原因にもなるのです。
値下げ後の価格が定着してしまう
価格を安く設定した直後は、消費者にお得感を与えることができるでしょう。
時間が経つにつれて、消費者は値下げ後の価格が通常価格であるかのように認識し始めます。
価格が安いことが商品を選ぶ理由ではなくなるばかりか、適正価格で販売されている商品が「高い」と思われるようになるのです。
値下げに踏み切るのは簡単でも、値段を上げる(元に戻す)のは難しいといわれています。
値段が下げ止まった時点で客離れが生じかねません。
値下げ後の価格が定着しやすいことは、価格競争を避けるべき理由の1つといえます。
大企業が有利になる
価格競争によって各社の値下げが相次ぐと、大企業にとって有利な状況になりがちです。
大企業は多数の事業を展開していることが多いため、一部門で利益が少なくなったとしても別事業で補填できます。
一方、中小企業は大企業と比べて展開している事業数が少ないケースが大半のため、収益の悪化は死活問題となりかねません。
値下げ競争に突入することは、中小企業にとって不利な状況に向かいつつあることを意味します。
中小企業にとって、価格競争に巻き込まれないよう注意を払うことは事業を継続させるためにも重要な戦略といえるでしょう。
価格競争で勝てない場合の対策7選
価格競争で勝てない場合は、別の方法で対策を講じる視点を持つことが大切です。
価格以外の要素で競争優位性を獲得するための対策として、次の7点が挙げられます。
ブランディングを強化する
商品や企業のブランド価値を消費者が認知すれば、価格が多少高くても「選ばれる」商品であり続けることができます。
ブランディングを強化するには、次の点を十分に検討しておく必要があるでしょう。
- 自社の強み・弱みは何か?
- 業界における自社のポジションはどうなっているか?
- 自社が提供できる価値は何か?自社の存在意義は何か?
- 商品に込められた理念や背景にあるストーリーは何か?
- ブランドイメージをどのよう認知してもらうべきか?
ブランドの理念や世界観、ストーリーに共感した消費者にとって、商品を選ぶ際の基準として価格は「二の次」になります。
安易な値下げに走ったり、意図せず価格競争に巻き込まれたりしないためにも、ブランディングを強化しつづける姿勢は常にもつようにしておきましょう。
付加価値を高めて差別化を図る
差別化のポイントとなる要素は価格だけではありません。
商品の価値は付随するサービスなども含めて、あらゆる付加価値を包括して形成されるからです。
商品自体が良質でも梱包や配送が粗雑では価値が低下してしまうように、付加価値を含めた差別化戦略が求められています。
今すぐに商品の機能やデザインを大幅に改善するのは難しくても、顧客体験の向上を図る方法はあるはずです。
顧客の体験・経験に関する価値向上を図り、商品の総合的な価値を高めていきましょう。
ターゲットを変更する
訴求するターゲットの変更も、価格競争から脱却するための有効な対策の1つです。
一例として、ビールのターゲットについて考えてみましょう。
従来、「飲みやすさ」や「価格の安さ」を重視して商品を打ち出してきたとします。
ビールを好む消費者の中には、苦みやコクが強く感じられるビールなら価格が多少高くても購入したいと感じる人もいるはずです。
ビール本来の味を好む消費者にターゲットを移すことで、高めの価格設定でも購入してもらえる商品になるでしょう。
ポイントは、「安さ」以外の要素を求める顧客をターゲットにすることです。
価格競争とは無縁の市場を開拓できる可能性があります。
比較対象を変える
自社の商品と比較されやすい商品の対象を変えてしまうのも1つの方法です。
たとえば、代謝を高める効果があるとされる「L-システイン」を含有した医薬品のケースを考えてみましょう。
肌荒れやシミなどのトラブルを改善する医薬品であれば、他社商品の比較対象は必然的に肌関連の医薬品やサプリメントとなります。
一方、L-システインには肝臓の解毒作用をサポートする効果もあるため、二日酔い予防にも活用可能です。
二日酔い対策に役立つ商品として打ち出すことで、必ずしも肌トラブル関連商品とは比較されない商品となります。
比較対象を変えることで、新たな商品価値を打ち出せるのです。
顧客満足度を高める
商品を購入するまでの過程だけでなく、購入後のフォローに力を入れることも重要なポイントです。
初回購入者がリピーターになり、リピーターがファンになるかどうかは顧客満足度にかかっています。
アフターフォローに注力することにより、総合的な顧客満足度の向上を図ることが大切です。
購入後も定期的にコンタクトを取ったり、商品の使い方や便利な活用方法について情報提供を行うなどの施策が想定されます。
故障などのトラブル発生時に適切な対応が取れるよう、チャットボットやQ&Aを設置するのも効果的な対策です。
顧客満足度の向上を図ることにより、結果として商品の総合的な価値を高めることができます。
流通戦略を見直す
競合他社とは異なる独自の販路を開拓することで、価格競争を脱却できる場合があります。
コーラといえばコカ・コーラを連想する人が多いのは、コカ・コーラを見かける機会が多いからです。
コカ・コーラは主要なファストフード店のドリンクメニューに組み込まれているため、必然的に多くの消費者の目に触れます。
スーパーマーケットや自動販売機で販売するだけでなく「ファストフード店に卸す」という選択をしたことが功を奏した事例です。
流通経路を見直し、新たな販路を開拓することによって、独自のポジションを築くチャンスを手にできるでしょう。
横展開を検討する
自社の開発・製造・マーケティング等のノウハウを活かし、商品の横展開を図るのも有効な方法です。
作業服の販売で知られる「ワークマン」は女性向けの商品ラインナップとして「ワークマン女子」を打ち出し、成功を収めました。
丈夫で汚れにくい素材や保温性の高い素材で作られた機能的な普段着が、子育て世代の女性を中心にヒットしたのです。
作業服の開発・販売で培ったノウハウを、見事に横展開した事例といえるでしょう。
横展開することで、無理なく商品ラインナップを増強し、ターゲットの裾野を広げられる可能性があります。
限られた商品で価格競争に突入するリスクを抑えるためにも、検討しておきたい戦略の1つです。
価格競争に勝てない場合に注意すべきこと
価格競争に勝てないと感じた場合、注意しておくべき点がいくつかあります。
事業方針を誤った方向へと導かないためにも、次の3点を必ず押さえておきましょう。
現状の価格設定が適正か確認しておく
現状の価格設定がそもそも適正かどうか、十分に見極めておく必要があります。
顧客への価格調査を元にPSM分析を行い、次の価格を明らかにしておくことが大切です。
- 下限価格(最低品質保証価格):品質を維持するための最低価格
- 上限価格(最高価格):それ以上高くなると売れなくなる価格
- 理想価格(最適価格):顧客にとって理想的とされる価格
- 妥当価格(妥協価格):顧客が「仕方なく購入する」価格
注意点として、PSM分析を通して明らかになる上記の価格は、いずれも顧客から見た場合の価格に過ぎません。
顧客は製造原価や販売原価を考慮していないことから、実態に即した価格になっているか確認しておく必要があります。
自社にとっての適正価格と顧客にとっての理想価格が近いほど、無理なく売れる商品と考えてよいでしょう。
安易に値引きに走らない
価格競争の脅威に晒された際、最もありがちな判断ミスは「安易に値下げに走ってしまうこと」です。
値下げを敢行すれば、一時的に商品の売れ行きが回復するかもしれません。
顧客にとっての「お得感」は一過性のため、しばらく経つと値下げ後の価格が通常価格として認識されるようになります。
結果として、際限なく値下げを続けなければならない状況に陥りがちです。
価格競争に勝てないと感じた際には安易に値下げに走るのではなく、他の方法で売上を確保するための対策を講じることが先決です。
コスト削減による品質・サービスの低下に注意
価格競争に対応するために、やむを得ず価格に踏み切るケースもあるでしょう。
販売価格を下げるにあたり、製造コストや販売コストを下げなければならないこともあるはずです。
注意が必要な点として、コスト削減によって品質やサービスが低下するのは避けてください。
コストが下がったとしても、肝心な品質やサービスが低下してしまえば顧客離れを引き起こす原因となります。
結果的により売れ行きが厳しくなり、さらなる値下げに踏み切らざるを得なくなる可能性も否定できません。
コスト削減を図る際には、品質・サービスの低下を招く恐れがないか十分に精査してください。
まとめ
価格競争で勝てないことは、即座に「負け」を意味するわけではありません。
価格以外の面で競争優位性を確保できるよう、さまざまな対策を講じることが大切です。
今回紹介したポイントを参考に、ぜひ価格競争から脱却する方法を検討してみてください。
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