心に残るキャッチコピーを作ることができると、それだけで消費者の心に印象付けられ、「この仕事なら〇〇社」と選ばれるようになります。
簡単な言葉でわかりやすいフレーズなので、容易に作れそうと思う人もいるかもしれないと思いがちです。しかし実際に作ってみると、キャッチコピーの奥深さに悩まされてしまうことは少なくありません。
テレビCMやWebサイトなどを見ていると、必ず見かけると言って良いのがキャッチコピーなのですが、次のような悩みを抱えている人が多いです。
- 新商品やサービスのキャッチコピーが思いつかない
- 消費者の心に刺さるキャッチコピーにはどんな特徴がある?
- そもそもキャッチコピーの作り方がわからない
名作キャッチコピーを作るには、たくさんの事例から学ぶ必要があります。
そこでこの記事では、キャッチコピーの特徴を解説し、名作と言われるキャッチコピーを紹介していきます。
キャッチコピーとは?
キャッチコピーとは、企業や商品などの宣伝をするために作られるフレーズのことです。
画像や動画だけでは、魅力や意図が伝わりづらくても、企業や商品のイメージにピッタリなキャッチコピーがあるだけで、お客様に正しく素早く伝えることが可能となります。
キャッチコピーは、企業や商品のイメージに直結することもしばしばあり、売り上げにも関わる重要なパートで、さらに「名作」と言われるものは何十年も語り継がれるものとなっていきますので、しっかりと作り上げましょう。
経営において、集客を成功させ売上を増やすキャッチコピーの洗練が欠かせません。
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名作キャッチコピーの3つの要点
名作と言われるキャッチコピーには、どのような要点があるのでしょうか。
たった数秒程度見ただけで心に残るキャッチコピーには、共通した要点があります。
これから説明する3つの要点をすべて網羅できるようなキャッチコピーを考えてみましょう。
1. 短く簡単な言葉で構成する
キャッチコピーは限りなく短い文章で構成されています。
長い方が企業や商品の良さを細かく伝えられますが、すべて読むのに時間がかかってしまいます。
キャッチコピーを見た瞬間に理解できないと、お客様は違う他社商品に興味を移してしまいます。
だからこそ、誰もが知っている簡単な言葉で、簡潔に伝えることで、注目を集めることができるのです。
キリンホールディングス株式会社の「おいしさを笑顔に」は、キリンが販売するおいしいドリンクで笑顔になれることを、たった8文字で言い表したキャッチコピーです。
2. 見た人の心に刺さる
キャッチコピーは、印象に残らなければすぐに忘れられてしまいます。
韻を踏んでリズムが良いキャッチコピーや、擬音語・擬態語を使用し、情景が思い浮かぶものは、長く見聞きしているのではないでしょうか。
そのキャッチコピーを見ただけで、CMや企業・商品が思い出せ、何度でも口ずさめるものは名作と言われるキャッチコピーとなっています。
タワーレコードの「NO MUSIC NO LIFE」も「NO」で韻を踏み、リズム感が良いキャッチフレーズです。
3. 言葉と企業・商品イメージに一貫性がある
どんなに素敵なキャッチコピーを作っても企業や商品の特長を押さえられておらず、イメージとかけ離れていれば使うことができません。
キャッチコピーで興味を持っても、実際の企業や商品が印象と違えば、お客様は離れていってしまいます。
例えば、日本航空株式会社のキャッチコピーである「明日の空へ、日本の翼」に使われている「空」と「翼」で飛行機をイメージする人が多いことでしょう。
言葉で企業や商品が思い浮かぶほどに昇華したものが、良いキャッチコピーだとされています。
企業の名作キャッチコピー19選
名作と言われている企業のキャッチコピーは、使われなくなったとしても人の記憶に残り続けています。
何年も前に作られたキャッチコピーがいまだに忘れ去られないのは、企業のブランドイメージの定着に大きな影響を与えていると言えるでしょう。
名作と言っても様々なキャッチコピーがあるので、以下の3つのテーマに分けて19のキャッチコピーを紹介します。
- 英語のキャッチコピー
- 企業名が入ったキャッチコピー
- 商品のキャチコピー
英語のキャッチコピー一覧
トヨタ自動車株式会社 | Drive Your Dreams. |
キヤノン株式会社 | make it possible with canon |
株式会社東芝 | Leading Innovation |
株式会社日立製作所 | Inspire the Next |
本田技研工業株式会社 | The Power of Dreams |
タワーレコード | NO MUSIC, NO LIFE. |
グローバル企業では、英語のキャッチコピーが多いです。
英語のキャッチコピーは、日本人にとって意味がわかりづらい部分もありますが、世界中どの国でも同じイメージを与えることができ、日本人が見てもシャープでカッコいい印象を感じてもらいやすいとされています。
また、「わかりやすさ」を追求したキャッチコピーで、使っている単語自体は簡単なものが多いので、日本人でもなんとなくの意味がわかり、かっこいいと思ってもらえる効果もあります。
Drive Your Dreams.(トヨタ自動車株式会社)
「Drive Your Dreams.」は、2011年までトヨタ自動車株式会社が使っていたキャッチコピーです。
「Drive」と「Dreams」の「Dr」の音が頭韻を踏み、心地よい言葉の流れがあります。
「Drive」は車を運転するという意味で、すぐに自動車をイメージできる言葉ですが、実は推進する、活発にするという意味もあり、「Drive Your Dreams.」で「あなたの夢を加速させよう」というキャッチコピーとなっています。
make it possible with canon(キヤノン株式会社)
「make it possible with canon」の直訳は「キャノンでそれを可能にする」です。
キャノンはカメラやプリンターなどのメーカーなので、「自分たちの商品で今まで不便に思っていたことや難しいことをできるようにする」という前向きなイメージがわきます。
社名までもすべて小文字ですが、頭文字が大文字の固有名詞は、使われ続けて一般化すると小文字の一般名詞となります。
つまり、キャノン製品を使い続けていると、それが一般的なものとなるという企業の想いも表しているキャッチコピーと言えるでしょう。
Leading Innovation(株式会社東芝)
「Leading Innovation」を直訳すると、「技術革新を導いている」です。
2006年に発表された東芝のブランディングステートメントには、以下のような言葉があります。
私たち、東芝の使命は、お客さまに、まだ見ぬ感動や驚きを、次々とお届けしていくこと。(中略)そのために私たちは、技術・商品開発、生産、営業活動に次々とイノベーションの波を起こし、新しい価値を創造し続けます。
音元出版Webサイト「PHILE WEB」より引用
「Leading Innovation」は、東芝の技術を持って、お客さまを感動や驚きへ導いていくという企業価値を端的に表した言葉だとわかります。
Inspire the Next(株式会社日立製作所)
「Inspire the Next」の直訳は、「次の世代にひらめきを与えよう」です。
このキャッチコピーは、2015年に実施された「心に残る企業メッセージ」のアンケートで1位になりました。(日経BPコンサルティングWebサイト「CCL」参照)
新しい技術や製品を活用し、未来へ前向きに進むイメージを感じるキャッチコピーです。
The Power of Dreams(本田技研工業株式会社)
「The Power of Dreams」は夢の力という意味です。
Honda公式ホームページの会社案内には、このキャッチフレーズの意味がつづられています。
(前略)
夢をかなえるために、今日も一人ひとりが、チャレンジを続けています。
そして、夢を手にした人々の笑顔が、私たちに次のチャレンジに向かう情熱と勇気を届けてくれる。
The Power of Dreams
Hondaは夢がくれる力を通して、お客様、そして社会と喜びを分かち合っていきます。
Honda公式ホームページ「会社案内」より引用
夢を叶えるためにチャレンジする力がお客様とHondaを循環し、より良い社会を作っていくというような決意を感じるキャッチフレーズになっています。
NO MUSIC, NO LIFE.(タワーレコード)
タワーレコードでは「音楽があることで気持ちや生活が豊かになる」ということを体現するため、「NO MUSIC, NO LIFE.」をテーマとしています。
また、「NO MUSIC, NO LIFE.」には、タワーレコードが音楽そのものを応援したいという気持ちも含まれています。
企業名が入ったキャッチコピー一覧
ライオン株式会社 | 今日を愛するLION |
シャープ株式会社 | 目のつけどころがシャープでしょ。 |
株式会社ファミリーマート | あなたと、コンビに、ファミリーマート |
株式会社セブン‐イレブン・ジャパン | セブンイレブン、いい気分 |
インテル株式会社 | インテル入ってる |
Pairs | マイペースに、マイペアーズ |
企業名が入ったキャッチコピーは、ブランディングの強化や、お客様へのメッセージを拡散する役割があります。
何年も前のキャッチコピーが今でも口ずさまれるのは、それだけ企業イメージが拡散されたからだと言えるでしょう。
今日を愛する(ライオン株式会社)
「今日を愛する」という言葉に込められた想いが、公式ウェブサイトで伝えられています。
LIONは、130年以上にわたり人々の暮らしと共に歩んでまいりました。
そこで学んだことは、人の一生は、“今日”という一日一日を積み重ねたものであり、
毎日を、前向きに、充実して生きることこそが、幸せの本質だということです。
“今日”を大切にすることは、一生を大切にすることです。価値ある未来に向かって、めぐりくる“今日”という一日一日を、
この瞬間を、いとおしみながら、ていねいに、前向きに生きていくこと、
そんな一人ひとりの「今日を愛する。」に役立っていくことが、私たちLIONの使命であると決意し、
この想いをコーポレートメッセージに込めました。
ライオン株式会社「会社紹介」より引用
自分たちが作った歯ブラシ・歯磨き粉や洗剤などで、お客様に寄り添っていく姿勢が「愛」という言葉で表現された、美しいキャッチコピーだと言えます。
目のつけどころがシャープでしょ。(シャープ株式会社)
「目のつけどころがシャープでしょ。」は、1990年から20年間使われたキャッチフレーズです。
「~でしょ。」と疑問形で終わっているのも親近感を生んでいて、長く親しまれていました。
鋭いという意味の「シャープ」と社名を掛け合わせ、シャープ製品の良さである斬新さを端的に言い表しています。
あなたと、コンビに、ファミリーマート(株式会社ファミリーマート)
「あなたと、コンビに、ファミリーマート」は、1989年に制定され、2017年には、サウンドロゴとして音商標登録もされました。
「コンビに」は、「お客様と一緒(コンビ)」という意味と、「便利(コンビニエンス)な存在」という意味が掛け合わされています。
ファミリーマートの基本理念である「地域に寄り添う」「お客様一人ひとりに」「家族のように」を「コンビに」に込めたキャッチフレーズです。
セブンイレブン、いい気分(株式会社セブン‐イレブン・ジャパン)
「セブンイレブン、いい気分」は、「ブン」と韻を踏んで口ずさみやすいのが特徴です。
もともとは英語の「Thank Heaven, Seven-Eleven」というキャッチコピーがあり、意訳をしたものが日本のセブンイレブンのキャッチコピーとなりました。
どちらも「ブン」の韻を踏んでいるのが秀逸です。
また、「いい気分」にも「Thank Heaven」にも、「遅くまで開いていて良かった」という意味が感じ取れます。
インテル入ってる(インテル株式会社)
「インテル入ってる」も、「てる」で韻を踏んでいます。チャーム音が鳴れば、自動的にこのキャッチコピーが浮かぶ人もいるでしょう。
英語では「Intel Inside」と訳されています。やはり「In」で韻を踏んでおり、意訳が素晴らしいです。
多くの人がインテル製のCPUが入ったパソコンを使っていることを、簡潔に言い表したキャッチコピーと言えます。
マイペースに、マイペアーズ(Pairs)
マッチングアプリのPairs(ペアーズ)は、マイペースとペアーズを掛けて、ユーザーそれぞれがマイペースに自分に合った恋愛ができることを上手にPRしています。
また、男女それぞれの写真や性格をビジュアルに使用することで、「それぞれの価値観やライフスタイルで恋愛を楽しむ」という現代に合った恋愛のスタイルを提案しています。
商品のキャッチコピー一覧
カルビーかっぱえびせん | やめられないとまらない、カルビーかっぱえびせん |
JR東海 京都キャンペーン | そうだ京都、いこう。 |
キューサイの青汁 | まずい!もう一杯! |
小学館1年生 | ピッカピカの1年生 |
日清チキンラーメン | すぐおいしい、すごくおいしい |
サッポロビール | 乾杯をもっとおいしく。 |
ニトリ | お、ねだん以上。 |
商品のキャッチコピーは、商品の特長を伝えて消費者に興味を持ってもらい、購入に繋げる目的で作られます。
今回紹介する5つの商品キャッチコピーは、CMで繰り返し放送されています。
キャッチコピーを見聞きするだけで、CMが浮かんだり、商品が浮かんだりするのではないでしょうか。
やめられないとまらない、カルビーかっぱえびせん(カルビーかっぱえびせん)
かっぱえびせんを食べるときに、つい歌ってしまうキャッチコピーが「やめられないとまらない、カルビーかっぱえびせん」です。
ずっと食べ続けられるおいしさをうまく言い表しており、このキャッチフレーズを真似て、やめられないくらい好きなことに対しても使われるようになっています。
そうだ京都、いこう。(JR東海 京都キャンペーン)
「そうだ京都、いこう。」は、1993年から首都圏などのJR東海沿線の町から京都へ観光客を誘致するために実施されているキャンペーンのキャッチコピーです。
四季折々の京都の風景とともに、「そうだ京都、行こう」を見せるCMの演出は、京都に行きたい気持ちにさせます。
CMの舞台となった名所は、訪れる人が増えるなどの良い反響があり、人の行動に影響を与えるキャッチコピーの代表例と言えるでしょう。
まずい!もう一杯!(キューサイの青汁)
悪役として人気のある八名信夫さんを起用したCMで、一躍有名になったキャッチコピーが「まずい!もう一杯!」です。
このフレーズは、撮影のため八名信夫さんが飲んだ青汁が本当にまずかったらしく、その「まずい!」という感想と、健康に良いから飲みたいという気持ちを込めた「もう一杯!」が組み合わされました。
逆の言葉を組み合わせることで、消費者からの興味をひくことに成功しています。
ピッカピカの1年生(小学館1年生)
本物の新一年生が登場するCMの最後に表示されるのが、「ピッカピカの1年生」というキャッチコピーです。
「新」という言葉を「ピッカピカの」と表現しているのが、初めて小学校に上がる子供たちのワクワク感にリンクしています。
新しいランドセル、筆箱、鉛筆、教科書、ノートなど、すべてがピッカピカで、未来も輝いているイメージを持つ人も多いでしょう。
すぐおいしい、すごくおいしい(日清チキンラーメン)
チキンラーメンの特徴を端的に言い表したキャッチコピーが「すぐおいしい、すごくおいしい」です。
チキンラーメンは、世界初のインスタントラーメンで、昔から味がほとんど変わっていません。
お湯を注いで3分待つだけで食べられるという手軽さと、何度でも食べたくなるおいしさに対する自信が表現されています。
乾杯をもっとおいしく。(サッポロビール)
商品名を出さなくても「乾杯」という一言でビールだけでなく、それぞれのユーザーが思い描く乾杯シーンを連想させる秀逸なキャッチコピーです。
また、サッポロビールがあることで乾杯シーンがより良いものになることや、そのためにサッポロビールが努力していくことも伝わります。
お、ねだん以上。(ニトリ)
「お値段以上」と「お、値段以上」を掛けているニトリのキャッチコピーは、CMの効果もあり、思わず口ずさみたくなる見事なフレーズです。
短いフレーズでニトリの商品が「値段以上の価値がある=コスパがいい、品質がいい」ということを消費者にわかりやすくアピールしています。
キャッチコピーの名作から学び、作成の際の参考にしましょう
この記事では、良いキャッチコピーの特徴と、名作と言われるキャッチコピーを紹介しました。
簡単で短いフレーズほど、作るのは難しく感じますが、人の心を打つ言葉はたいてい簡単で短いものです。
気に入ったキャッチコピーがあれば、なぜ好きなのか、なぜ感動したのかを掘り下げて考えてみましょう。
その中に、キャッチコピーとつながるキャッチフレーズを作るヒントが隠れています。
自社のイメージアップのため、ぜひ心に残るキャッチコピー、キャッチフレーズを作ってみてください。