CXとは?顧客体験価値が重要視される理由と成功事例をご紹介

最終更新日: 2022/12/12 公開日: 2021/10/28

現代では、インターネットやテクノロジーの発展により顧客接点が増えたため購買行動が分散しています。また、優秀な商品やサービスが増えているなか物理的価値だけでは差別化が難しくなってきています。

そこで、重要視されているのは「CX(カスタマーエクスペリエンス)」です。顧客体験価値を向上させ、満足感・充実感を経験してもらうことがポイントです。

要は、「物理的価値」に「感情的価値」を上乗せすることが成功するための鍵です。今回の記事では、CXが重要視される理由を知ることができ、CXの取り組みに成功した企業事例をご紹介します。

CX(カスタマーエクスペリエンス)とは?

CXとは、Customer Experience(カスタマーエクスペリエンス)の略語で「顧客体験価値」「顧客経験価値」といわれることもあります。

商品やサービスに対して「機能」「値段」「性能」といった物理的な価値だけではなく、顧客接点(購入から使用する過程、アフターフォローまで)を通して顧客が感じる「満足感」「喜び」といった【感情的価値】のことを指す概念です。

顧客が商品やサービスを利用し「もう一度使いたい」「もう一度買いたい」と思われるような満足感・充実感が経験から得られたかという点を重要視します。

顧客体験の例をあげますと、

  • HPを訪れたときの分かりやすさ、印象がいい
  • 店舗のBGM、提供スピードの速さ
  • 広告を初めて見たときの印象
  • サービス購入後のカスタマーサービスの対応
  • 購入後のサプライズクーポンを貰ったとき
  • 営業マンの振る舞い、印象、知識豊富により信頼ができた

など、数々の接点において顧客が感じる「好感度」のことです。購入後の対応、webページ分かりやすさ・広告の印象、全てを通してCXを高めることは収益に大きく影響していきます。

経験価値の5つの要素

上記で解説したように、現代では競合が多く物理的な価値だけで顧客の購買意欲を向上させることは難しくなっています。

感情的価値を考慮して、顧客体験価値を高めることが重要ということになります。では、「感情的価値」は具体的にどのような意図で向上するのか解説していきます。

総合的な顧客価値の提供を図るマーケティング手法「経験価値マーケティング」を提唱したアメリカの経営学者バーンド・H・シュミット教授は、経験価値を5つの要素に分類しています。

SENSE(感覚的経験価値)

顧客の五感「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」を通して経験する価値のことをいいます。企業のブランドイメージにあう外装や内装、BGMや雰囲気などから得られる価値です。

FEEL(情緒的経験価値)

顧客の内面の感情に訴求することをいいます。要は、顧客の好奇心を掻き立てます。例えば、一流のホテルでは丁寧で心地いい接客、ホスピタリティー(おもてなし)のあるサービスにより信頼、安心を提供することです。

THINK(創造的・認知的経験価値)

顧客が商品やサービスに対して、「使ってみたい」「もっと知りたい」などといった知的欲求に訴求することをいいます。購入した際に、未来を想像し高揚感を感じてもらう価値です。

ACT(身体行動、ライフスタイルに関わる経験価値)

普段の生活やライフスタイルで感じたことのない経験を提供することをいいます。例えば、美容系の商品の場合。一瞬で自分の見た目が変化する体験をしてもらうと価値を実感してもらいやすくなる、といったことを「ACT」と言います。

RELATE(集団への帰属経験価値)

顧客の同じサービスやコミュニティに参加してもらい「仲間」という意識を持たせることで親近感、所属欲求などに訴求することです。顧客限定のパーティーやイベントを開催し企業ブランドに愛着があるコミュニティ作りが例になります。

上記の5つの要素で経験価値が生まれさらに活かすことで、単純にニーズを満たすだけではなく、過程で得られる価値を提供することが感情的価値を高めるための重要ポイントです。

重要視される理由

ここからは、顧客体験価値が重要視される理由をさらに詳しく解説していきます。

物理的な価値だけでは差別化が難しい

重要視される理由は、多くの業種に共通する“コモディティ化されやすいこと”です。要は、物理的な価値だけでは差別化が難しい状況になっているためです。

ポイントは画像のように、CXを上乗せすることで顧客受容価値が高まり差別化を図ります。間違ったCXを行なってしまうと左のグラフのように商品やサービス自体の価値が下がってしまい顧客受容価値も下がってしまいます。

先程の「経験価値の5つの要素」を用いて再考察し、まずは顧客受容価値を向上させ顧客体験価値を高めていきましょう。

「所有」から「利用」への変化

重要視される2つ目の理由は、顧客行動がモノを「所有」から「利用」に変化しているからです。これは、モノよりも「体験」「サービス(コト)」へ価値を置く顧客が増えているということです。

そもそも「モノを買えなくなった」という現代の若者世代では、厳しい経済状況や環境、非正規労働者の増加や正規労働者でさえ収入が上がりにくくなっているのも原因でしょう。

また、少子高齢化社会問題や老後の不安により生活防衛意識が高まっていることも原因とされています。

テクノロジー時代が進みミニマリストやお金を使わなくても生活が楽しめるといった風潮のなかで、サブスクリプション等に見られる消費のデジタル化が進んでいます。

企業側は、モノを作るだけではなく、顧客にとって豊かな経験が可能になるモノを生み出すことが現代では求められています。

顧客との接点の場が増加

顧客体験価値が重要視される3つ目の理由は、企業側と顧客側の接点が増えたことです。

これは、インターネット普及や誰もがスマートフォンやPC、タブレット等を手軽に入手が可能なため、いつでもどこでも簡単に情報を収集できます。

従来では店舗での購入、営業担当者などが顧客接点でしたが現代では、WEBサイトやSNS、専用アプリ、メールでのやり取りといった新しい接点が増加しています。

企業側は、広告や宣伝において顧客の位置情報などからターゲットを絞り訴求が可能になったなど大きなメリットは沢山あります。しかし、そのぶん購買行動が分散し複雑化しています。

このことから、いかに顧客体験価値を突き詰めて考察し、数々の接点のなかで満足感を得られる商品やサービスを提供できるかが重要ポイントとなります。

成功事例

ここからは、CXに取り組んで成功している企業をご紹介します。

スターバックス

引用:スターバックスHP

コーヒーチェーン店の大手「スターバックス」では、コーヒーという商品の提供だけではなく、“ひとりひとりのお客様に誠実に向き合う”そしてひとつのコミュニティであるというミッションを掲げ、顧客体験価値を向上させています。

  • 店内雰囲気、心地のいいBGM
  • 店舗に訪れたお客様に「いらっしゃいませ」ではなく「こんにちは」
  • 接客スキル(紙コップにメッセージ、カスタムメニュー等)
  • パッケージ等のデザイン性や季節限定商品

デザイン性なども含め他店と比べると大きな差別化になっています。

このようなサービスを提供することで顧客側は感動し「また来たい!」「なんだかとても良い気分」といったSENSE(感覚的経験価値)FEEL(情緒的経験価値)に訴求し成功しています。

ソニー損保

引用:ソニー損保
引用:ソニー損保

自動車保険会社で大手のソニー損保では、経営活動において重要課題の1つは【CXの向上】が挙げられていました。

カスタマーサービス、事故対応サービス、インターネットサービス全てにおいて自社が提供する顧客体験を確認し、改善やレベル向上を図りました。

  • 専用コミュニケーションサイト実施
  • お客様の不満・ご意見→どのように改善したか公開
    • 「検討します」「申し訳ございません」などのカテゴリーを制作し不可能な対応も丁寧に公開説明
  • 質問箱
  • サービス満足度を四半期ごとに更新・公開
  • 保険の知恵袋

上記のように、CXの向上を図るために「お客様の声」に対する取り組みを実施。画像のようなご意見などをアンケート等で集め、真撃に耳を傾け積極的に企業活動に活かしました。

お客様とのコミュニケーションを図り、「お客様の声」に対する自社の姿勢を公開する特別コミュニケーションサイトまで運営しています。

ソニー損保のように、CXの向上の取り組みを行うことで顧客にとって、より一層快適かつ価値のある顧客体験やサービスが提供できます。

また、自動車保険市場14年1位という結果につながったのは、ダイレクト保険会社の特長を活かして顧客との信頼関係の構築、サービスの改善活動を行なったからでしょう。

株式会社メルカリ

画像:メルカリ

株式会社メルカリは、日本のフリマアプリ「メルカリ」を運営しています。

個人間の売買がインターネットで全て完結できるため誰でも出品や購入が手軽にできることが便利といわれています。

しかし、商品の包装・発送において手間がかかるオフラインでの作業がどうしても発生していまいます。そのため、利用者が増えない時期がありました。

ここでメルカリは、オフラインもCXの一部分と捉え、包装資材を一式揃えて「つつメルスポット」を郵便局などに設置するといった改善策を実施しました。

このように、オンライン・オフライン全てにおいてCXの一部と捉え改善・対策したことでアプリダウンロード数が3,500万ダウンロードを突破し多くのお客様に利用されるようになりました。

まとめ

CXとは、Customer Experience(カスタマーエクスペリエンス)の略語で「顧客体験価値」「顧客経験価値」といわれており顧客接点で顧客自身が感じる「満足感」「喜び」といった【感情的価値】のことを指す概念です。

感情的価値を考慮して、顧客体験価値を高めることが最重要であり経験価値の5つの要素を理解し、どれに訴求していくのか戦略を見直していきましょう。

現代では「所有」から「利用」の変化、また顧客接点が増えていくなかで、物理的な価値だけではなく、顧客体験価値を向上させ差別化を図ることが成功していくためには必要でしょう。

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最終更新日: 2022/12/12 公開日: 2021/10/28