ウィンウィンの関係とは、「自分が勝ち相手も勝つ関係のこと」を指します。
- ウィンウィンという言葉を正しく理解できているのだろうか?
- 反対にウィンウィンでない関係とはどのような状態を指すのか?
- ウィンウィンの関係を実現するには、どんなことを意識すればいい?
上記のような疑問を抱えていませんか?
今回は「ウィンウィンの関係」について、語源や関わりの深い言葉について紹介します。
ウィンウィンの関係を実現するために心がけておきたいポイントにも触れていますので、ぜひ参考にしてください。
ウィンウィンの関係とは
ウィンウィン(Win-Win)とは、自分が勝ち相手も勝つことをいいます。
「勝つ」という言葉の響きから、ウィンウィンの関係はしばしば誤解されがちです。
はじめに、ウィンウィンの関係について本来の意味と起源への理解を深めましょう。
双方が良い思いをする関係のあり方
ウィンウィンの関係における「勝つ」とは、お互いが良い思いをする関係のあり方を指しています。
「勝つ」という言葉の対義語は「負ける」のため、どちらかが勝つならもう片方が負けるものと捉えてしまいがちです。
一方で、「持ちつ持たれつ」や「相互利益」「ギブアンドテイク」「共存共栄」と言い換えた場合はどうでしょうか。
双方にとってメリットを得られるイメージがよりすっきりと掴みやすくなるでしょう。
ウィンウィンは必ずしも「勝ち負け」に限らず、双方が良い思いをする関係のあり方全般を指しているのです。
ウィンウィンの起源
ウィンウィンという言葉が広く知られるようになったきっかけは、スティーブン・R・コヴィー著『7つの習慣』にあります。
良い人間関係を築く上で必要な習慣として『7つの習慣」で提唱された習慣の1つが「Win-WInを考える」です。
長期的に有意義な関係性を築き、双方が力を合わせてより良い結果を目指していくことを表しています。
スティーブン・R・コヴィー氏が提唱するウィンウィンの定義は以下の通りです。
(Franklin Plannner「第四の習慣:Win-Winを考える」より引用)
ビジネスに限らず人間関係全体に焦点が当てられていることは、ウィンウィンの関係を考える上で重要なポイントといえます。
ウィンウィンとは異なる関係性の例
ウィンウィンの関係が重要とされている背景として、ウィンウィンとは相反する関係性がはびこっている状況が挙げられます。
ビジネスの取引から日頃の人間関係に至るまで、ウィンウィンとは相反する考え方の癖がついていないでしょうか。
ウィンウィンの関係とは異なる関係性の例を見ていきましょう。
例1:Win-Lose
Win-Loseとは、自分だけが勝って相手は負けるという関係性のことです。
利益を得るには犠牲は避けられないという考えのもと、相手を蹴落としてでも自分が勝つことを優先します。
これは客のポケットにある金を自分のポケットに入れるゲームだ。
(映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』より)
顧客が損をしようと、自分たちが利益を上げさえすればよい、という考え方の典型といえるでしょう。
一時的に勝つことができたとしても、中長期的に勝ち続けるのは困難な状況に陥りやすい傾向があります。
相手もまた、チャンスがあればWin-Loseの関係に持ち込もうと隙を狙うようになるからです。
例2:Lose-Win
Lose-Winとは、自分が負けて相手が勝つという関係性のことです。
他者と関わる中で、次のような考え方をする傾向があるようなら、Lose-Win寄りの思考に偏りかけているのかもしれません。
- 自分が踏み台になれば、相手は喜んでくれるだろう
- 相手が成功できるなら、自分は利用されても構わない
- 衝突や摩擦を避けられるなら、多少みじめな思いをしてもいい
Lose-Winの関係性では、自分自身は卑屈な姿勢に終始することになります。
我を通さず一歩身を引いて関係性を築いていくことは、一見すると日本的な「遠慮」や「奥ゆかしさ」として映るかもしれません。
実際のところ、我慢の上に関係性が成り立っている(ように見える)ことが、Lose-Winの大きな問題点といえるでしょう。
例3:Lose-Lose
Lose-Loseとは、自分も負けて相手も負ける関係性のことを指しています。
痛み分け・共倒れと言い換えてもいいでしょう。
本来、はじめからLose-Loseの関係を目指そうとする人はほとんどいません。
一方で、Win-Loseを偏重するあまり「どうせ勝てないのなら、相手を勝たせたくない」と考える可能性は十分にあります。
他人の足を引っ張ったり、成功を妨害したりするのは、Win-LoseがLose-Loseへと変化した結果と考えられるのです。
当然ながら誰も得をしない考え方であるため、自分自身も周囲も不幸になっていく恐れがあります。
例4:Win
Winとは、自分だけが勝つことを目指す考え方です。
Win-Loseが相手との関係性の中で自身を捉えている一方で、Winは自分のことしか頭にない状態といえます。
他者をないがしろにする姿勢は、周囲から「身勝手」「思いやりに欠ける」と捉えられてしまうでしょう。
身の回りに協力者や支持者がいなくなり、1人で達成できる以上の成果が得られなくなる傾向があります。
勝つことだけに執着した結果、勝てるチャンスが徐々に失われていくという矛盾した状況に陥りがちです。
ウィンウィンと関わりの深い言葉
ウィンウィンと共に押さえておきたい言葉を紹介します。
ウィンウィンの関係への理解を深める上で役立ててください。
ウィンウィンorノーディール
Win-Winの関係を築ける見込みがない、あるいは双方が合意できない場合、取引自体を取りやめることを指します。
たとえば、商談において次のような場面に遭遇した時のことをイメージしてみてください。
- 見積を提示したところ、取引先が難色を示した
- 15%値下げすることを条件に取引に応じると言われた
- 値下げすると利益がほとんど出なくなってしまう
- 取引自体を白紙にしたくない思いから、値引きに応じてしまった
一見すると取引が無事に成立したように感じるかもしれません。
利益がほとんど出ないことが分かっていながら取引に応じたのであれば、ウィンウィンの関係とはいえないでしょう。
自社にとって不利な条件の取引が常態化すると業績の悪化を招き、事業の継続自体が難しくなってしまうかもしれません。
Lose-Winの関係に妥協してしまったために、結果として双方にとって良くない結果を招いてしまいます。
持続的に良い関係を維持していくには、Win-Winの関係が築けないことが明白であれば取引を取りやめるのも1つの考え方です。
ゼロサム
ゼロサムとは、合計するとゼロになるという意味を表す言葉です。
片方が利益を独占することによって他方が多大な損失を被り、全体としてプラスマイナスゼロになってしまうことを指します。
Win-LoseもしくはLose-Winの極端な例といえるでしょう。
競合他社との関係においては、ゼロサムに陥るリスクを抱えています。
- A社は自社のシェアを伸ばすために強引な値下げに踏み切った
- 競合関係にあるB社・C社は価格競争に負け、A社が市場を独占した
- A社の売上は一時的に伸びたが、生産が追い付かない事態に陥った
- 製品の供給を維持するために、A社の従業員は長時間労働を余儀なくされた
- A社製品に不具合が頻発し、「質が悪い」というイメージが定着した
- 結果として業界全体のイメージ悪化を招いてしまった
上の例では、A社は一時的に売上を伸ばしたものの、トータルで見た場合にメリットを享受できていません。
業界全体で見るとむしろ状況は悪化しており、誰も得をしていないことが分かります。
1社単独での業績だけでなく、業界全体として長期的に繁栄していく視点を持つ必要があります。
三方よし
三方よしとは「売り手よし・買い手よし・世間よし」が実現し、良い相乗効果が生み出されることを指します。
自社と取引先の関係だけなく、世間にとって良いことかどうかを視野に入れている点が大きな特徴です。
三方よしの源流は、江戸時代に栄えた近江商人の思想にあります。
ウィンウィンの関係を体現するための思想が、日本には古くから根づいていたのです。
三方よしを意識して事業を営むことにより、地域や社会全体が豊かになっていきます。
生み出された利益や築かれた信用は巡り巡って自社に還元され、共存共栄のサイクルが形成されていくでしょう。
ウィンウィンの関係を実現するために
ウィンウィンの関係を実現するには、どのような点を意識していく必要があるのでしょうか。
とくに重要な3つのポイントを押さえておきましょう。
相手を上回る努力を前提に考える
ウィンウィンの関係を実現するには、常に相手よりも努力することが当たり前と捉える必要があります。
ウィンウィンは「相手の貢献度に合わせて自分も貢献すること」を表しているのではありません。
相手よりも努力するのは損と捉える考え方は、むしろWin-Loseに近いといえるでしょう。
相手を上回る努力を前提に考えることで、相手の期待を上回るメリットを提供できます。
結果として相手も自分のことを大切にしてくれるようになり、お互いを尊重し合う関係が成立するのです。
異なる価値観を認め合う
ウィンウィンの関係を築くには、異なる価値観を持つ相手とも共存していく必要があります。
価値観が完全に一致している人や組織に出会う確率は決して高くありません。
一定の共通認識が形成されている相手であっても、細部においては価値観が微妙に異なるケースもあるでしょう。
自分にとっての「Win」と、相手にとっての「Win」が異なることも十分に想定されます。
「自分がこれだけのことをしたのだから、相手にも同じだけ貢献してほしい」といったように、価値観を押しつけてはいけません。
相手とは価値観が異なる面もあることを理解し、お互いを認め合う関係を築いていくことが大切です。
交渉に駆け引きを持ち込まない
ウィンウィンの関係を醸成する上で、障壁となりやすいのが「損得勘定」です。
損得に重きを置いた時点で、Win-LoseまたはLose-Winの関係になってしまいます。
自分にとって損か得かではなく、相手のために行動するスタンスを貫くことが大切です。
相手への貢献によってどのような見返りがあるのか、事前に予測することはできません。
交渉の際には、まず相手に勝ってもらうことを念頭に置いて尽力しましょう。
駆け引きではない本心からの貢献が相手に伝わることで、ウィンウィンの関係でありたいと双方が感じるようになるのです。
まとめ
ウィンウィンの関係は「痛み分け」や「損得」ではなく、「共存関係」「三方よし」を目指すための考え方といえます。
真に対等な関係でいるためには、相互に認め合い、信頼し合える関係を築いていくことが重要です。
ビジネスに留まらず人間関係全般でウィンウィンの関係を意識することは、生きやすい社会を目指すための第一歩かもしれません。
今回紹介したポイントを参考に、ぜひウィンウィンの関係を築く行動や考え方を心がけてみてください。
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