『影響力の武器 戦略編』の要約を紹介!人を動かす3つの方法

最終更新日: 2024/09/06 公開日: 2024/07/31

『影響力の武器 戦略編』は、科学的に証明された人を説得する50以上の技術が紹介されている本です。

「交渉や販売に強くなり、売り上げを伸ばしたい」「チームを引っ張り社員のモチベーションを上げたい」と考えている方に特におすすめします。

本記事では『影響力の武器 戦略編』の概要や本の内容を経営者の方向けに要約して紹介します。影響力を持って人を動かす技術を知りたい方は、ぜひご覧ください。

『影響力の武器 戦略編』とは

出典:Amazon

『影響力の武器 戦略編』は、人を説得する技術や他人に影響を与える方法について学べる本です。

日常生活やビジネスの場面で使える人を動かす50以上の具体的なテクニックが紹介されています。読むだけですぐに実践できる知識が満載です。

各章は5ページ前後で構成され、5〜10分程度で読了できます。忙しい中でも隙間時間を利用して読み進められるのが特徴です。

著者について

本書は、アメリカの心理学者であるロバート・B・チャルディーニ(以下、チャルディーニ)を中心に執筆されました。チャルディーニはアリゾナ州立大学やスタンフォード大学で心理学を教えた実績があり、人の心を動かす技術を研究しています。

チャルディーニが教える説得の方法は、推測や個人の感想ではなく実際の科学的研究に基づいたものです。

本書では、説得に関する豊富な研究をもとに小さな工夫で大きな成果を上げることができると教えてくれます。誰でも簡単に人の心を動かすことができると語っているのです。

実践的に役立つ知識が具体例とともに紹介されているため、実際のビジネスや日常生活でもすぐに応用できるでしょう。

『影響力の武器』シリーズについて

『影響力の武器 戦略編』は、『影響力の武器ーなぜ人は動かされるのか』『影響力の武器 実践編ー「イエス!」を引き出す50の秘訣』に続くシリーズの3部目です。

シリーズ1作目の『影響力の武器ーなぜ人は動かされるのか』は、チャルディー二自身が行った3年の実地調査の結果をもとに人を説得する6つの原理が記載されています。

世界中で大ベストセラーとなり、発行から数年たった今でも経営者やビジネスパーソンに幅広く指示されている本です。

影響力の武器』のシリーズを一冊目から順に読むと、本書の内容をより深く理解できるでしょう。

心理学には認知心理学、社会心理学、行動経済学など様々な種類があります。

これらの科学は、日々進化しており新しい事実が次々と発見されています。

本書では、時代を経て明らかになる最新の影響力や説得力についての知見を解説しているのが特徴です。

『影響力の武器 戦略編』はどのような経営者におすすめ?

『影響力の武器 戦略編』は、様々な人と協力し、交渉をしながらビジネスを進める経営者にとても役立つ本です。

具体的には次の目標をかなえたい経営者におすすめします。

チームのモチベーションを高めたい経営者

本書には社員のやる気を引き出し、生産性を向上させるための具体的なテクニックが紹介されています。

チームの士気を高めて効率的な働き方を促進したい経営者にとって、実践的な学びが得られるでしょう。

顧客やパートナーを説得したい経営者

本書は人を説得する科学的な方法に基づいており、ビジネスの交渉や販売戦略において有効なテクニックが満載です。

自社の製品やサービスを顧客に効果的に伝え、購買決定に導きたい経営者にも役立ちます。

より効果的にコミュニケーションを取りたい経営者

本書は人間関係の構築や改善に焦点を当てています。より良いコミュニケーションスキルを習得し、社員や顧客との関係を深めたい経営者におすすめです。

相手の心を開かせ、信頼関係を築く方法を学べます。

『影響力の武器 戦略編』の要約を紹介

『影響力の武器 戦略編』の内容を要約して一部紹介します。

人に影響力を与えるために前提として覚えておきたい項目を紹介した後、以下の3つのテクニックを紹介します。

  • 社員のやる気を高める方法|他人への影響を伝える
  • 顧客やパートナーを説得する方法|相手がどう思うかを重視
  • ネットでの説得力を高める方法|レビューに一工夫をする

各項目について経営者が社員にできる実施例を紹介しますので、ご覧ください。

【前提】情報を与えるだけでは相手を説得できない

多くの人は相手を説得するために、漏れのない情報と論理的に正しい理由や根拠をきちんと説明すればいいと思っています。

しかし、相手を説得して行動を変えるには「情報を伝えるだけ」ではうまくいかないことが多いです。

大事なのは情報を伝えるだけでなく「情報の提供方法を工夫すること」です。

なぜなら現代社会は情報があふれていて、すべての情報について吟味する時間がありません。

そのため伝える内容よりも「その情報がどのような状況で伝えられるか」が相手の決断に大きく関わるのです。

相手に影響を与えるには「何を伝えるか」も大切ですが、「どのように伝えるか」がより重要となります。

例えば、メッセージの伝え方や送付するタイミング、状況を変えるだけで相手の反応は大きく変化するのです。

相手を動かすには伝え方を工夫することが、説得力を大きく上げるために重要となります。

社員のやる気を高める方法|他人への影響を伝える

チームのモチベーションを高めたい経営者に向けて、社員のやる気を上げる方法を紹介します。

社員のモチベーションを向上させるには、仕事の重要性と意義を思い出してもらいましょう。

ただ単に仕事をする理由を再認識させるだけではなく、その努力がどのように他者の役に立っているかを示すのです。

自分の仕事で生み出した価値や成果が、他者にどのような良い影響を与えるかを理解してもらいましょう。

人は自分の行動が他人にポジティブな影響を与えていると感じると、より一層のやる気と満足感を得られます。

実験例

仕事の重要性と意義を感じたことで社員の生産性が上がった実験の例を紹介します。

ある大学のコールセンターでは、社員を次の3つのグループに分けて次のアクションをしました。

  1. 他の職員が書いた、金銭的援助や仕事で得られたスキル・知識を得たという内容の作文を読んでもらう
  2. 学生が書いた、大学が行った募金活動から奨学金を受け取って夢や目標を達成するきっかけとなったという内容の作文を読んでもらう
  3. 何もしない

このようなアクションを行う前の一週間と次の一か月での寄付の件数と金額を調べました。

結果として2つ目のグループは他のグループと比べて、1週間に取り付けた寄付の件数と金額が2倍以上になっていたのです。

変化が起きた理由は、自分の仕事が他人の人生に良い影響を与えていることを実感し仕事への取り組み方が変わったからでした。

私たちは自分の仕事の価値を理解して、他者にどのような恩恵を与えているかを感じることでより充実した仕事ができます。

経営者が社員にできる実施例

チームのモチベーションを上げるために、本書に書かれている仕事の重要性と意義を伝える実践例を紹介します。

  • 顧客からの嬉しい言葉や感謝の手紙、報告書を集める
  • 自社の商品やサービスがお客様にどんな良い効果をもたらしたかについての話を集める
  • 集めた良い話はオフィスの中で目につく場所に掲示して、働く人たちが簡単に読めるようにする

他にも経営者は良い話を直接社員に伝えることで、社内の士気を高めましょう。

社員自身が良い話をピックアップして、仲間内で共有する機会を作るのもおすすめです。

顧客やパートナーを説得する方法|相手がどう思うかを重視

顧客やパートナーを説得したい経営者に向けて、説得で大事なポイントを紹介します。

相手を説得する際に大事なことは、メッセージの内容よりもそのメッセージが受け手にどう受け止められるかを大切にすることです。


これはアンソニー・グリーンワルドが発見した「認知反応モデル」という考え方に基づいています。

実際に相手がメッセージをどのように捉え、それに対してどのような思考を巡らせるかが説得の成否を左右するのです。

メッセージを送る際は相手がその情報をどのように感じ取り、どう思考するかに重点を置くことが大切です。

自分がどのように話すかではなく受け手がどう感じるかを考えることで、相手の注意を引き説得が成功する確率が高まります。

実験例 

グリーンワルドが行った実験では、あるトピックに対する聴衆の態度の変化を調べました。

本実験で分かったことは、聴衆の態度が変わる要素です。説得のメッセージの内容よりも、トピックを聞いた際の自分の反応をどれだけ覚えているかに左右されたといいます。

言い換えればメッセージの内容よりも相手がメッセージに対してどう感じ、どう考えたかが態度を変えるのです。

経営者が社員にできる実施例

顧客やパートナーを説得するには、受け手がメッセージに対して肯定的な反応を引き出せる要素を組み込みましょう。

否定的なセルフトークをさせないようにすることが重要です。

これらを意識すると顧客やパートナーを説得する際は、以下の取り組みができます。

  • 受け手の興味やニーズに合わせて話の内容を変えることで、受け手が自分事として関心を持ちやすくなるようにする
  • メッセージに物語を組み込むことで受け手の感情に訴えかけ、メッセージの記憶に残りやすくなるようにする
  • 話の中で、受け手が自分自身を投影できるキャラクターや状況を描いてポジティブな共感を促す

ネットでの説得力を高める方法|レビューに一工夫をする

商品を購入したり店舗を利用したりする前に、ネットのレビューを参考にする人は多いでしょう。

商品やサービスに関するレビューは、購入者の意思決定に大きな影響を与えます。

あるアメリカの調査によると、アメリカ人の10人に7人が商品を購入する前にネットのレビューを見ているそうです。

また、ネガティブなレビューはポジティブなレビューより顧客の心に残りやすいといいます。

企業は顧客に商品を利用してもらうために、ポジティブなレビューをどのように信頼してもらうかが大切なポイントです。

そこで有効なのが、ポジティブなレビューが実際の体験に基づいていることを強調することです。

Z・チェンとN・ル―リーが行ったマーケティングの研究では、レビューが実際に体験された日に書かれたものであることを明記することが、それを読む人々に大きな信頼を与えることが分かっています。


日付の情報があることでレビューが真実であることが分かるため、信頼性が高いと判断されるのです。

実験例

ある研究で参加者を4グループに分け、2つのレストランのレビューを見せました。

2グループには日付の記載なしの肯定的または批判的なレビューを提示します。残りの2グループには日付を記載した同様のレビューを見せました。

結果、訪問日に書かれた肯定的なレビューを読んだ全員がそのレストランを選んだといいます。レビューがいつ書かれたかが顧客の選択に大きく影響することが明らかになりました。

この実験は、タイムリーで好意的なレビューが消費者の意思決定に影響を与えることを示しています。

経営者が社員にできる実施例

レビューを投稿する際には、その経験がいつ行われたかを明確にすることでレビューの信頼性を高められます。

例えば対面のサービス業であれば、顧客に来店後顧客に利用した日にちとともにすぐにレビューを書いてもらうよう促しましょう。

オンラインショップであれば、注文確認メールを送る際に、購入した日にちとともにレビューを書いてもらうよう促すと効果的です。

『影響力の武器 戦略編』の内容を活用しよう

今回は、経営者に向けて『影響力の武器 戦略編』の内容を一部紹介しました。本書は、相手を説得する50以上の方法が解説されている本です。

日々社員や顧客、取引先と忙しく関わる経営者は、本書を読むことでよりビジネスで成果を上げ、豊かな人間関係を築けます。

詳しい内容を知りたい方は、ぜひ本書を手に取ってみてください。

出典:『影響力の武器 戦略編: 小さな工夫が生み出す大きな効果』(著者:スティーブ・J. マーティン, ノア・J. ゴールドスタイン, ロバート・B. チャルディーニ 翻訳:安藤 清志,曽根 寛樹,2016年7月,誠信書房)
- 社員のやる気を高める方法|他人への影響を伝える 部分(P.62~66)
- 顧客やパートナーを説得する方法|相手がどう思うかを重視 部分(P.125~129)
- ネットでの説得力を高める方法|レビューに一工夫をする 部分(P.259~263)

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最終更新日: 2024/09/06 公開日: 2024/07/31