近年経済産業省がデジタル化を推進し、多くの企業がデジタル化に舵を切っています。
しかし、デジタル化には特定のツールが必要なこともあり、なかなか自社でデジタル化を進められていないという経営者の方もいるのではないでしょうか。
「今のままでうまくいっているのでデジタル化は必要ないのではないか」
「デジタル化をしなければと思っているが、何をすれば良いかわからない」
「デジタル化をしてどんなメリットがあるのだろう」
このような悩みを持つ経営者の方のために、この記事では以下の内容を解説します。
- デジタル化の内容
- デジタル化のメリット・デメリット
- デジタル化が必要な理由
- デジタル化の取り組み方
デジタル化をしない企業は時代に取り残されてしまうかもしれません。ぜひこの記事を参考にしてください。
デジタル化とは
デジタル化とは、アナログで行っている業務をオンラインに変更したり、自動化したりすることです。
似た言葉にDX(デジタルトランスフォーメーション)があります。DXはデジタル化によって社会やライフスタイルが改革されることを指しています。デジタル化はDXをするために必要な施策です。
デジタル化にはデジタイゼーションとデジタライゼーションの2種類があります。
デジタイゼーション
デジタイゼーションは基本的なデジタル化で、アナログな業務をデジタル化し業務効率を向上することです。
例えば、以下のような業務のデジタル化がデジタイゼーションです。
- 納品書や請求書などをデータ化してやり取りする
- 電子印鑑を利用する
- オンライン会議を実施する
- 書類のペーパーレス化
- オンラインで社内コミュニケーションをとる
デジタライゼーション
デジタライゼーションはデジタル化でビジネスモデルに新しい価値を追加したり、新しい顧客体験を生んだりすることです。
デジタイゼーションを発展させ、自社商品やサービスのデジタル化を目指したものがデジタライゼーションです。
デジタライゼーションには、以下のようなものがあります。
- CDを販売するのではなくストリーミングサービスを提供
- 紙の書籍を販売するのではなく電子書籍を販売
- AIが文書作成するサービス
- 車を販売するのではなくカーシェアリングサービス
- 自宅の防犯をスマートフォンで確認できるサービス
デジタル化の5つのメリット
デジタル化を進めることで、企業には多くのメリットがあります。
- 業務効率化が図れる
- リモートワークが可能になる
- 業務の正確性が向上する
- 災害の発生時に備えられる
- 蓄積したデータを活用できる
企業の様々な業務にデジタル化の波が訪れているので、自社でメリットを感じられるかどうかを検討してみましょう。
1. 業務効率化が図れる
デジタル化により、煩雑な日常業務を自動化できれば業務の効率化が期待できます。
毎日のルーティン業務は必要なものではありますが、従業員が本来しなければならない業務を圧迫する可能性があります。単純なルーティン業務であれば、デジタル化することで従業員の負担を軽減できるでしょう。
デジタル化の結果、従業員は他の生産性の高い業務ができるようになります。自分の業務が成果を出していると実感できるため、従業員エンゲージメントが向上し離職率を下げる効果もあります。
2. リモートワークが可能になる
自宅でリモートワークをする場合、業務のデジタル化が必須です。書類をデータ化しクラウドで閲覧できるようにしたり、オンラインミーティングをしたりするには、デジタルツールが必要になります。
コロナ禍では、管理職が書類にはんこを押して承認しないと仕事が進まないと言って出勤するという問題が発生しました。電子印鑑を使うことで、どこにいてもオンライン上で承認が可能です。
紙上でしている作業をオンラインに変更することで、書類の作成から承認、保管、共有まで一貫して行えます。デジタル化すると、紙などの備品費用や出社のための交通費などの予算を削減できる利点もあります。
3. 業務の正確性が向上する
人が作業をすると、どんなに気を付けていてもミスが起きてしまう可能性がありますが、作業をデジタル化することで人的ミスを防げます。
ヒューマンエラーを起こさないためには、エラーが起きやすい環境を改善することが大事です。デジタル化することで人がミスをする環境をなくせます。
正確に業務が進むとステークホルダーからの信頼を得られやすく、業績の向上も期待できます。
4. 災害の発生時に備えられる
地震や台風などの災害や感染症のパンデミックなどの不測の事態が発生したときに、企業は被害を最小限に抑えてできる限り早く復旧しなければなりません。
どのように復旧していくか計画したものをBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)と言い、どの企業も策定する必要があるとされています。
企業は多くの情報を保管・管理していますが、紙ベースで管理していれば被災した場合、情報がすべてなくなってしまう恐れがあります。パンデミックが起こって外出自粛を命じられても、会社に取りにいかなければなりません。
情報をクラウド上で保存していれば、自社建物が被災しても情報が失われることがありません。自宅で情報を閲覧することも可能です。
5. 蓄積したデータを活用できる
デジタル化していれば、業務で得た情報を蓄積し取り出すことが簡単です。顧客情報があればマーケティングに活用できます。製品のテスト結果を比較できればクオリティの改善に役立つでしょう。
紙ベースで保管していると情報の整理が難しく活用しづらいですが、デジタル化していれば利便性は飛躍的に向上します。データの抽出や分析などが可能となり、ビジネス拡大の際に使えます。
デジタル化の4つのデメリット
デジタル化は企業の成長に必須とされるものですが、デメリットもあります。
- システム導入によるコストの増大
- セキュリティリスクへの脅威
- 突発的なトラブルの発生
- IT人材の確保が困難
特に大きな課題となるのがIT人材の不足です。リスキリングなどで人材不足を補う必要があると考えられます。
1. システム導入によるコストの増大
デジタル化を進めるために新しいシステムを導入する場合、金銭的コストがかかります。システムツールの購入や月額費用などのランニングコストが必要となります。
また、デジタル化を周知し、システムを使うための研修もしなければなりません。学ぶための研修費や時間的コストも必要です。
2. セキュリティリスクへの脅威
デジタル化を進めると、オンラインで個人情報などを管理することになります。紙ベースで管理するよりもオンラインはセキュリティを強化しなければなりません。
サイバー攻撃やウイルス感染、個人情報漏洩などの様々な危険が少しのミスで発生してしまい、自社に多大な損失を与えます。
2022年1月の日本公庫総研レポート『中小企業に求められるサイバーセキュリティ対策の強化』によると、アンケートに答えた1,030社のうち96.3%の企業がパソコンを使って業務をしているのに対し、すべてのパソコンにセキュリティソフトを入れている企業は73.6%でした。
同業の中小企業に比べて自社の情報セキュリティ対策が遅れている・やや遅れていると答えた企業は54.2%で、半数以上の企業がセキュリティ対策に不備があると感じています。
(参考:日本公庫総研レポート No.2022-1『中小企業に求められるサイバーセキュリティ対策の強化』)
3. 突発的なトラブルの発生
デジタル化を進めていると、突然システム障害が発生したり機器が故障したりすることがあります。業務に必要なものがすべてデジタル化されていると、データを確認できず仕事に支障が出てしまうでしょう。
突発的なトラブルが発生したときのために、データのバックアップを取っておくことが大事です。
また、自動化に慣れてしまうとアナログでの業務方法がわからなくなってしまうことがあるため、定期的にトラブル時の研修を実施することも必要です。
4. IT人材の確保が困難
経済産業省の『IT人材育成の状況等について』では、2030年にIT人材は40~80万人不足すると試算しています。
(参考:経済産業省 商務情報政策局 情報処理振興課『参考資料(IT人材育成の状況等について)』)
少子高齢化による人口減少とIT関連産業に従事する人の平均年齢の上昇による人材不足とともに、デジタル化やDX化が企業にとって急務となっているためによりIT人材の獲得が困難になっています。
情報処理推進機構の調査によると、2019年にDXに取り組んでいた企業は41.2%だったのに対し、2020年には53.2%に増えました。IT業界の企業だけでなくどの業種でもDX化に取り組んでいます。
(参考:情報処理推進機構『デジタル時代のスキル変革等に関する調査報告書』)
デジタル化が必要である4つの理由
デジタル化は今後も重要視される課題です。日本の国際競争力が落ちている今、変化のない仕事をしていても国際社会から取り残されてしまうでしょう。
- 2025年の崖
- 労働人口の減少
- デジタル競争力の弱体化
- コロナ禍での必要性
今後自社が生き残っていくためにも、デジタル化を進めていく必要があります。
1. 2025年の崖
2025年の崖は、経済産業省が2018年に出した『DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開』に書かれている言葉です。
企業が経営改革できずにDX化されなかった場合、2025年以降毎年12兆円の経済損失が生じると考えられています。DXを実現できないことは市場の変化に対応できないことを意味します。
旧態依然とした企業はマーケティングに必要な膨大なデータを扱いきれずにデジタル競争の敗者となるでしょう。DX化の第一歩がデジタル化です。スピード感を持って着実に既存のシステムを刷新する必要があります。
2. 労働人口の減少
少子高齢化による労働人口の減少はIT人材のみならず、すべての業界にかかわる課題です。少ない従業員でも生産性を高めるため、従業員がすべき仕事と自動化すべき仕事を分ける必要があります。
単純な業務は自動化し、従業員は自動化できないクリエイティブな業務に就くことが求められます。
3. デジタル競争力の弱体化
日本のデジタル競争力は年々衰退しています。2022年の世界デジタル競争力ランキングで日本は過去最低の29位でした。2021年の28位から1ランクダウンしています。
(参考:IMD『World Digital Competitiveness Ranking』)
世界デジタル競争ランキングを作成するための要素として、経営者や管理職への聞き取りがあります。日本の経営者たちが日本のデジタル競争力が弱いと思っていることの表れといえるでしょう。
4. コロナ禍での必要性
コロナ禍にリモートワークが広がりました。業務のデジタル化がされていないと、リモートワークができません。
書類のペーパーレス化によりどの場所からでも必要な情報を手に入れられ、ビジネスチャットツールやWeb会議システムを使用することで非接触型のコミュニケーションができます。
パンデミックの際の事業継続性の観点からもデジタル化が必要です。
デジタル化への取り組み方5ステップ
デジタル化に取り組む方法には、目的や課題を把握し適切なツールを選択することが大事です。
- デジタル化の目的を決める
- 現状の課題を洗い出す
- 社内で理解を得る
- 自社の課題解決に適したツールを選ぶ
- 導入後に効果を測定する
自社の全員がITリテラシーを高め、変化を厭わない意識を育てましょう。
1. デジタル化の目的を決める
目的もなしにデジタル化を進めても効果がありません。なぜデジタル化をする必要があるのかを明確にして、社内で共有しておくことが必要です。
ペーパーレス化などのアナログからの移行ではなく、その先目指すものは何があるのかを考えましょう。
- 業務の効率化
- コスト削減
- 働き方の多様化
- 人材不足の改善
- 売上アップ
- 顧客満足度の向上など
2. 現状の課題を洗い出す
現状自社にある課題を洗い出し、その中から優先すべきものを選びます。目的と現状に差異がある部分が課題です。
課題がデジタル化で解決できるものなのかを検討します。デジタル化することが目的ではなくデジタル化は課題解決の1つの手段です。他に良い解決方法があればデジタル化にこだわる必要はありません。
3. 社内で理解を得る
社内には保守的で今までのやり方にこだわる社員がいます。今までうまくいっているのに変える必要はないと思っている社員を説得しなければなりません。
デジタル化を進めようとしても、実際に使う社員が反発しているとうまくデジタル化は成功しません。経営者と現場が一丸となりデジタル化を推進するため、メリットなどを伝えて理解を得る必要があります。
4. 自社の課題解決に適したツールを選ぶ
デジタルツールは様々な種類が数多く提供されているので、デジタル化の目的と課題解決に適したツールを選ぶ必要があります。
コスト削減が目的の場合、デジタルツールに多額の導入費とランニングコストがかかってしまえば、コスト削減ができません。業務効率化のためにデジタルツールを導入しても使い方が複雑であれば使いこなせない人が出てくるでしょう。
自社の現状やビジネスモデルに合わせて、コストパフォーマンスが高いデジタルツールを選択することが課題解決につながります。
5. 導入後に効果を測定する
デジタルツールを導入した後は、課題解決に向かっているのか効果測定が必要です。
社員がツールを使いこなせているかのフィードバックを集めることで生の声を聞くことができます。操作が複雑すぎないか、不要な機能はないかなどを確認し、適切なデジタルツールであるかの判断をします。
自社にデジタルツールが合っていなければツールや業務体制の再検討を行いましょう。
企業にとってメリットの多いデジタル化は急務
この記事では、デジタル化のメリット・デメリットや取り組み方法などについて説明しました。
日本はデジタル化に遅れており、今後国際競争力を上げていくためにもデジタル化を推進することは急務です。
今までの業務方法からデジタル化へ転換するのは一朝一夕ではできませんが、長期的に見てメリットが多い施策です。
自社の成長を考えてもデジタル化は必要ですので、自社の課題とデジタル化の目的を考えデジタルツールを取り入れてみてください。
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