BCPとは?リスクに備えた計画で安定的な事業の継続を

最終更新日: 2022/08/01 公開日: 2022/08/01

自社でBCPを策定しておりますか?

BCPとは、緊急事態発生時の被害を最小限に抑えて、早期に事業を復旧するための計画です。

政府や地方自治体もBCPの策定を呼び掛けていますが、経営者の中には二の足を踏んでいる人もいるのではないでしょうか。

「BCPは必要だと思うが、どのように策定すればよいかわからない」

「BCPを策定するとコストがかかりすぎて、自社で策定するのは難しい」

「自社でも準備するべきなのか悩んでいる」

このように考える人のために、BCP策定の手順と、BCPのメリット・デメリットを解説していきます。

BCP(事業継続計画)とは?

BCPとは、「Business Continuity Plan」の頭文字をとった言葉です。

自然災害の発生や感染症の流行、システム障害などの緊急事態が起きた時でも、被害を最小限に抑えて、できる限り早く復旧できるようにするための事業継続計画を指しています。

日本では、東日本大震災をきっかけにBCPを策定する企業が増えました。

ですが、2019年5月に出された帝国データバンクの「特別企画:事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査」では、9,555社のうち68.5%が未導入という結果となっています。(参考:事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2019年)

BCPとBCMの違い

BCPと似た言葉には、「BCM」があります。

BCMは「Business Continuity Management」の頭文字をとった略語で、事業継続マネージメントの意味です。

事業継続マネージメントは、計画、実行、確認、改善の4つのパートで構成されています。

つまり、事業継続のための運用全体をBCMと言い、その中の計画の部分がBCP(事業継続計画)となります。

社会情勢や気候変動などで刻々と状況が変わっているため、定期的に自社の事業内容に合わせて、事業継続マネージメントを改善すると良いでしょう。

BCP策定の手順

BCP策定には、以下のように6ステップがあります。

  1. BCPの基本方針を決める
  2. 事業の優先順位を決める
  3. 発生しうるリスクに優先順位をつける
  4. 具体的な戦略を練り計画書を作成する
  5. 社内にBCPを浸透させる
  6. BCPを環境・状況に合わせて改善、見直しをする

BCPの策定は、PDCAサイクルを回すように、定期的に「計画・行動・確認・改善」を繰り返す必要があります。

BCP策定の手順を詳しく見ていきましょう。

1. BCPの基本方針を決める

BCP策定担当者は、自社の事業内容や経営理念、周囲の環境をよく理解している必要があります。

一般的にBCPには以下のような事柄が含まれています。

  • いかに自社に対する損失やダメージを減らせるか
  • 従業員やその家族にどのような支援をするのか
  • 取引先や株主、社会へどのように責任を果たすのか
  • 業界での自社の地位をいかに保持していくのか
  • 二次災害をどのように防止するのか

BCPの基本方針とは、何が自社にとって重要であるのかを明確にし、自社がどのように事業を継続していくのかを示すことです。

2. 事業の優先順位を決める

基本方針を決めると、緊急事態発生時に優先すべき事業をピックアップします。

災害が発生すれば、すべての業務を遂行することは難しくなるため、自社存続のために重要な事業や業務はどれか、優先順位を決めることになります。

そこで重要なのは、事業影響度分析(BIA:Business Impact Analysis)です。

事業影響度とは、災害の発生が自社の事業に与える影響の度合いのことを言います。

災害発生時に事業を中断することで、どのような影響が出るのかを分析することが事業影響度分析です。

自社のすべての事業が停止すれば、どの事業がどれくらいの影響を与えるかを分析し、事業の優先順位を決めましょう。

緊急事態発生時に優先する事業を中核事業と言い、中核事業が自社の「ヒト・モノ・カネ」などのリソースが低下したことによる影響度を考えます。

具体的には、以下のような項目が、中核事業にどう影響を与えるかを確認する作業となります。

  • 利益・売上
  • 顧客への影響
  • 取引先への影響
  • 従業員の雇用の継続
  • 社会的な信用度・福祉への影響
  • 法令や契約の遵守

企業がBCPを策定する際、災害時でも重要な業務を選ぶために、各部署の意見を集めようとすることがよくあります。

しかし、現場の業務を担当する従業員にとって、最も重要な業務は自分の担当業務と考えることが多いため、被災時に早く復旧させたい重要な業務を選ぶには、経営者自身が俯瞰することが重要です。

3. 発生しうるリスクに優先順位をつける

事業影響度分析では、すべてのリスクに対しての事業影響度を分析しますが、実際には様々なリスクがあり、すべてに完ぺきに対応することは不可能に近いです。

特に、日本は自然災害が多く、一言で自然災害と言っても、地震、洪水、火災、津波、竜巻、台風、豪雨など、種類が多く、規模も発生の度に変わるでしょう。

他にも、感染症の流行や交通マヒ、事件、事故、インターネットウイルスなどもリスクとなりえます。

そのため、以下の項目を分析し、リスクに優先順位をつけます。

  • リスクの種類
  • リスクの発生頻度
  • リスクの深刻度(損失の度合い)

自社に最大の損失を与えるリスクに対してBCPを策定することになりますが、BCMを定期的に改善し、様々なリスクに対して幅広く対応できるものを目指していきましょう。

4. 具体的な戦略を練り計画書を作成する

リスクを分析した後は、復旧時間の目標を設定し、達成するための具体的な戦略を練ります。

  • 非常時の指揮系統の整備
  • 重要業務の代行や権限移譲
  • サービスや商品の復旧
  • 情報管理システムの保護と維持
  • 臨時資金の確保

実際に災害が起きた時に、被害をどのように防ぐ・減らすのか、災害からどのように復旧をしていくのかを具体的な道筋に示します。

また、自社の被害が甚大な時の代替手段の確保も必要です。

具体的に戦略を立てることで、災害が起きても初動を早くすることができ、早期の復旧や二次災害の防止に繋がります。

また、BCPを策定した後は、計画書を作成しておきましょう。

文書にすることで、社内の全員がBCPの内容を見ることができ、担当者が変わった場合にも、間違いなく引継ぎをすることができます。

5. 社内にBCPを浸透させる

BCPは、文書にして終わりではありません。

文書にしても読まない従業員が、少なからずいるのではないでしょうか。

そのため、BCPを説明する社内セミナーや、BCPに沿った動きをリハーサルするような訓練を開催することにより、従業員全員にBCPを浸透させましょう。

BCPの教育や訓練は、非常時に社内で混乱を引き起こさないように行うためのものではありますが、BCPを浸透させることで自社の理念や戦略を定着させることもできます。

6. BCPを環境・状況に合わせて改善、見直しをする

BCPは刻一刻と変わる環境の変化、状況に合わせて改善や見直しをしなければなりません。

洪水などを発生させて甚大な被害となる豪雨災害は、ここ数年間で毎年のように起きるようになりました。

災害以外には、サイバー攻撃を受ける頻度も高くなってきています。

そのような環境、状況に合わせて、定期的にBCPを見直していきましょう。

BCP策定のメリット

BCPの策定には、様々なメリットがあります。

  1. 災害時などに発生する被害を最小限にとどめられる
  2. 取引先や株主からの信用を高められる
  3. 従業員が安心して業務を遂行できる
  4. 自社の強み・弱みがわかる
  5. 経営戦略の見直しができる

1~3は、緊急事態時の直接的なメリットとなり、4と5はBCP策定の際に生まれるメリットとなります。

それぞれ詳しく解説していきます。

1. 災害時などに発生する被害を最小限にとどめられる

2011年に発生し、甚大な被害をもたらした東日本大震災では、多数の経営資産「ヒト・モノ・カネ」が失われ、事業が立ち行かず廃業する企業や、雇用解雇・事業の縮小をする企業が多数現れました。

東京商工リサーチが2019年11月に調査したところ、東日本大震災関連では1,933件もの企業が倒産しています。(参考:“震災から8年”「東日本大震災」関連倒産状況(2月28日現在)

このような大きな災害でなくても、企業のリスクを分析し、事業を継続できるようにするためにBCPは策定します。

BCPを策定することで、非常事態が発生したときに、早期に復旧し事業を継続させられるため、廃業や事業縮小を防ぐことができます。

2. 取引先や株主からの信用を高められる

災害などが起きても、BCPを策定し自社の底力を貯めることで、早期の復旧と事業継続ができれば、自社に関わる人々から信頼を得られます。

取引先については、企業が倒産、事業縮小することで取引先の売り上げも減り、共倒れしてしまう可能性もあります。

取引をする際にもBCPを策定していれば、突発的なリスクが起きてもずっと取引を継続できそうだと信用のものさしになるでしょう。

株主に対しても、BCPを策定することで損失を最小限にできると示せれば、災害時でも企業の価値を維持・向上できるとアピールできます。

3. 従業員が安心して業務を遂行できる

東日本大震災では、企業の倒産や雇用削減により、多くの人が仕事を辞めざるを得なくなりました。

BCPを策定した企業は、被災したときに一時的には操業率が落ちてしまいますが、その後早期に復旧することで、従業員の雇用を守ることができます。

社内セミナーや訓練の開催で、従業員もBCPの内容を理解しているので、緊急事態が起こっても大丈夫という安心感につながり、責任を持った行動をとることができるでしょう。

4. 自社の強み・弱みがわかる

BCPを策定するときには、自社のすべての業務を洗い出します。

自社の中核となる事業を明確にする過程で、事業が止まってしまった際に自社の業務のどの部分に影響が出るかも洗い出すことができます。

影響が出てしまう部分は自社の弱みとなる部分です。逆に、事業が止まっても影響なく業務を進められ、強みとなる部署もあるでしょう。

BCPを策定することで、日常業務を見直すことができ、常日頃からのリスク対応も可能となります。

5. 経営戦略の見直しができる

BCPを策定する際に、自社の中核事業を決めます。どの事業を最優先に復旧させるのかを話し合うことで、経営戦略と実際の事業とのずれが見つかることもあります。

自社の事業を明確にしていくことで、自社の状態や周囲の環境などを把握することができます。

BCP策定をきっかけにして、現実に即した経営戦略へと見直せるチャンスとなるでしょう。

また、経営戦略の見直しをするなら、こちらの記事もおすすめです。

BCP策定のデメリット

ここまでメリットを説明してきましたが、デメリットもあります。

それは、BCP策定やリスク分散などにコストがかかるということです。

コストとは経済的コストだけでなく、人的、時間的コストのことも言います。

BCP策定を自社だけでできなければ、他者のコンサルティングサービスを利用すれば、そのための費用がかかります。

自社だけで行う場合でも、担当者の人件費と時間がコストとなります。

BCPを策定した後も、従業員への教育に時間や費用が必要でしょう。

また、非常時に重要なデータの流出を防ぐために、外部のデータセンターに管理を依頼すれば、大きな出費となります。

人的、時間的、経済的コストがかかるため、中小企業ではなかなかBCPの策定が進まないのかもしれません。

それでも、緊急事態が起きた時に発生する損失と比べると、コストは微々たるものではないでしょうか。

BCPを策定し、自社の損失を最小限に抑えましょう

国内でBCPを策定した企業は、まだ多くありません。

それはデメリットで挙げたコスト面を不安視している企業が多いと考えられます。

しかし、ひとたび緊急事態が発生したときにBCPを策定していなければ、損失は多大なものとなり、事業が立ち行かなくなる危険性もあります。

日本は災害大国と言われるくらい災害の多い国です。

今は大丈夫でも、将来の危険を見越した経営が必要ではないでしょうか。

今後発生しうるリスクに備えるためにもBCPを策定し、強固な基盤をもとに、自社を安定的に発展させていきましょう。

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最終更新日: 2022/08/01 公開日: 2022/08/01
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