- ロジカルシンキング・クリティカルシンキングとは何を意味している?
- なぜ2種類の思考法が必要とされているのだろう?
- ロジカルシンキングとクリティカルシンキングはどう使い分ければいい?
上記のような疑問を感じたことはありませんか?
今回は、ロジカルシンキングとクリティカルシンキングの違いや使い分け方についてわかりやすく解説します。
2種類の思考法が必要とされる理由にも触れていますので、ぜひ参考にしてください。
ロジカルシンキングとは
はじめに、ロジカルシンキングについて定義や目的、取り入れるメリットを整理しておきましょう。
ロジカルシンキングはビジネスシーンに広く浸透しているものの、目的やメリットを正確に説明するのは容易ではありません。
具体的にどのような思考を指すのか、改めて確認しておくことが大切です。
ロジカルシンキングの定義
ロジカンルシンキングは「論理的思考」とも呼ばれており、筋道を立てて矛盾なく考える思考法のことをいいます。
原因と結果、結論と根拠といったように、物事の因果関係を重視する考え方といえるでしょう。
ロジカルシンキングの代表例として、「演繹法」「帰納法」「弁証法」の3種類が挙げられます。
- 演繹法:1つ1つの事象を一般論に当てはめて結論を導き出す方法。
- 帰納法:複数の事実に見られる共通項から結論を導き出す方法。
- 弁証法:対立・矛盾する命題を解決する統合案を導き出す方法。
・緑黄色野菜は栄養素を豊富に含んでいる(一般論)
・カボチャは緑黄色野菜の一種である(事象)
・カボチャは栄養素が豊富な食材である(結論)
一方、帰納法では複数の事実や事例の共通点に着目する点が特徴です。
・カボチャは栄養素が豊富な食材である(事象1)
・ニンジンも栄養素が豊富な食材である(事象2)
・ホウレンソウも栄養素が豊富な食材である(事象3)
・カボチャ・ニンジン・ホウレンソウは緑黄色野菜である(共通項)
・緑黄色野菜は栄養素が豊富な野菜といえる(結論)
弁証法は、対立する状況が生じている場合に活用される思考法です。
・パンだけを食べる→タンパク質が不足する
・肉だけを食べる→炭水化物が不足する
・ハンバーガーを食べる→両方の欠点を補える
いずれも筋道や順序を重視した考え方といえます。
ロジカルシンキングは論理の抜け漏れや矛盾が生じることのないよう、状況や原因を整理する際に役立つ思考法です。
ロジカルシンキングを取り入れる目的
ビジネスシーンでは、社内外を問わずさまざまな価値観の人と関わり合っていくことになります。
家族などごく親しい間柄であれば「阿吽の呼吸」で伝わることでも、ビジネスの関係者には伝わらない可能性は十分にあるでしょう。
企業と顧客、人材を募集する企業と応募者といった関係性においても同様のことがいえます。
伝えるべきメッセージを正確かつ矛盾なく伝えるにはロジカルシンキングが不可欠です。
物事の順序や筋道をきちんと整理して考え、正確に伝えることがロジカルシンキングを活用する主な目的と捉えてください。
ロジカルシンキングを向上させるメリット
ロジカルシンキングを向上させることにより、結果的に次の能力を改善・進歩させることができます。
- 問題解決能力:問題の本質を見極め、合理的な解決手段を導きやすくなる
- 分析力:因果関係が明確になることで、適切かつ迅速な分析が可能になる
- 提案力:論理の骨組みが強固になり、説得力のある提案をしやすくなる
- コミュニケーション能力:お互いの意見の共通点や相違点が明確になり、適切なコミュニケーションが図りやすくなる
ロジカルシンキングは、筋道を立てて物事を考えるためのベースとなる思考法です。
インプット・アウトプットの両面において、ロジカルシンキングを取り入れることが生産性の向上につながっていくでしょう。
クリティカルシンキングとは
次に、クリティカルシンキングとは何かを確認していきましょう。
クリティカルシンキングの定義や目的、向上させるメリットについて、ロジカルシンキングと区別しておくことが大切です。
クリティカルシンキングの定義
クリティカルシンキングは「批判的思考」と訳されます。
批判的といっても、物事をむやみに否定したり拒否したりするのではありません。
思考の前提となっている理論やデータ、背景となる情報について、信憑性を客観的に検証する思考のことを指します。
そもそも思考のスタート地点に誤りや先入観が含まれていないか、根本的に問う思考プロセスと捉えてください。
誤った根拠にもとづいていないか、感情的に判断していないか、過度に単純化していないか、などを検証する際に用いられます。
クリティカルシンキングを取り入れる目的
ビジネスシーンでは、さまざまな立場の相手とコミュニケーションを図るケースが少なくありません。
物事の前提や背景を踏まえて伝えなければ、行き違いやトラブルに発展する恐れがあります。
次に挙げるのは、当人同士の思い込みによって重大なトラブルを招いた事例です。
庭師は依頼された通りに木を伐採し、切り株もきれいに取り除いた。
依頼者は「きれいに剪定してほしい」と頼んだつもりだった。
依頼者が帰宅すると、あるはずの木がなくなっており愕然とした。
「木を切る」という言葉には、「伐採する」という意味と「きれいに剪定しておく」という2つの意味があります。
受け取り手がどう解釈するかを踏まえて依頼しなかったために、根本的な解釈の部分で重大な行き違いが生じてしまったのです。
前提や背景を十分に検討した上でロジックを組み立てることが、クリティカルシンキングを取り入れる目的といえます。
クリティカルシンキングを身につけるメリット
クリティカルシンキングを向上させることにより、結果的に次の能力を改善・進歩させることができます。
- 本質を見極める力:思考の前提を根本的に問うことで、より本質的に物事を考えられる
- 問題解決プロセスの精度:一見成立している論理の欠如や矛盾を見つけ出すことで、プロセスの精度向上を図ることができる
- 多面的な発想力:対応策や解決策が複数ある可能性を探ることにより、新たな視点を得られる場合がある
どのような思考法やメソッドも、決して万能ではありません。
思考法やメソッドを駆使する前提となるデータや解釈が、先入観によって部分的に切り取られていることもあり得ます。
クリティカルシンキングの向上を図ることによって、思考をより根本的・本質的に問い直すことができるのです。
ロジカルシンキングとクリティカルシンキングの違い
ロジカルシンキングとクリティカルシンキングの特徴について、それぞれ理解が深まったでしょうか。
次に、両者の違いについて整理していきます。
ロジカルシンキングとクリティカルシンキングは根本的に異なる思考法のため、相違点を押さえておくことが大切です。
要素の細分化と論理の積み上げ=ロジカルシンキング
ロジカルシンキングは、物事を構成する要素を細分化して論理を積み上げていく思考法です。
因果関係や相関関係が明確になるため、情報がすっきりと整理され、物事の筋道が分かりやすくなります。
たとえるなら、思考を「交通整理する」ことがロジカルシンキングの役割といえるでしょう。
交通整理をする際には、不必要に回り道をさせたり、余計な情報を運転車や歩行者に与えてはなりません。
思考においても同様に、根拠から結論まで論理がまっすぐにつながっていることを重視する思考法といえるでしょう。
客観的な視点による検証・本質の見極め=クリティカルシンキング
クリティカルシンキングは、物事の前提条件に誤りがないか、見落としや不必要な制限が見られないかを検証する思考法です。
思考の根本的な部分を検証することになるため信憑性が増し、論理が正しいことが裏付けられます。
たとえるなら、思考の「健康診断を行う」ことがクリティカルシンキングの役割といえるでしょう。
健康診断を受けることによって、健康と思い込んでいた状態でも病気の兆候が見つかるケースは少なくありません。
クリティカルシンキングも同様に、根拠や前提がそもそも間違っていないかをチェックするための思考法といえます。
なぜロジカルシンキングとクリティカルシンキングの両方が必要なのか
ロジカルシンキングとクリティカルシンキングは、どちらがより優れた思考法かを問うべきものではありません。
どちらの思考法にも一長一短があり、互いに補い合うことで思考の幅が広がり、論理の確実性が増すのです。
ロジカルシンキングとクリティカルシンキングの両方が必要とされる3つの理由を押さえておきましょう。
ロジカルシンキングは万能ではないため
ロジカルシンキングによって整理された情報は、一見すると理路整然としており、抜け目なく論理が構築されているように映ります。
一方で、どのような思考法も決して万能ではなく、見落としや不完全な箇所が必ず残されているのです。
思考の前提となっているデータや状況が誤っていたり、バイアスが混在していたりする可能性も否定できません。
論理がすっきりとまとまっているように見えるからこそ、根本的な誤りが潜んでいないかチェックする必要があります。
ロジカルシンキングの弱点を補うには、クリティカルシンキングを併用していく必要があるのです。
価値観が多様化しているため
昨今は価値観が多様化しており、ビジネスにおける「正解」は1つだけとは限らなくなっています。
過去の成功体験や長年通用してきたメソッドに依存していては、状況を正しく判断できない恐れがあるのです。
ロジカルシンキングによって構築された論理が、実は先入観や古い慣習にもとづいている可能性もゼロではありません。
物事の本質を捉え、多面的な視点を持ち続けるためにも、批判的思考が必要とされる場面が増えているのです。
未来の予測が困難になっているため
現代社会はVUCA時代に入っているとされており、未来の予測が困難な状況にあります。
Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)のこと。
めまぐるしく変転する予測困難な状況を表す。
わずか数年後の状況さえ正確に見通すのは容易でなくなっている今、特定の思考に囚われてしまうことはリスクとなり得ます。
論理的に成立していることかどうかだけでなく、論理の出発点がそもそも誤っていないか注視する必要に迫られているのです。
前例や慣習にこだわりすぎず、今まさに必要とされている視点を見出していかなくてはなりません。
論理性と批判眼を併せ持つことは、未来の予測が困難になっている時代にこそ求められているスタンスといえるでしょう。
ロジカルシンキングとクリティカルシンキングの使い分け方
ロジカルシンキングとクリティカルシンキングを効果的に使い分けるコツを紹介します。
双方の強みを上手に活かし、偏りのないバランスの取れたロジックを組み上げていきましょう。
1. クリティカルシンキングで前提や目的を検証する
物事を考える際、はじめにクリティカルシンキングを駆使することで前提や目的が正しいか検証することができます。
そもそもの出発点が間違っていれば、ロジックが積み上げられるほど誤った方向へと進んでしまいかねません。
要素の細分化に取りかかる前に、考えるべきテーマや問題を俯瞰して全体像を把握しておきましょう。
テーマや問題を多角的に捉えることによって、根本的な見落としや思い込みが潜んでいないかチェックしておくことが大切です。
2. ロジカルシンキングで論理を組み上げる
前提や方向性に誤りがないことが確認できたら、ロジカルシンキングを駆使して論理を組み上げていきます。
要素を細分化していく中で、当初は気づいていなかった問題の詳細が明らかになるケースもあるでしょう。
前提条件の検証は、ロジカルシンキングの途上でも繰り返し行うことが大切です。
根本的な見落としや思い込みが混在していないか、再度クリティカルシンキングを用いて検証を行う必要があります。
ロジカルシンキングとクリティカルシンキングを交互に行き来しながら、思考の精度を高めていきましょう。
3. 完成したロジックをクリティカルシンキングで検証する
ロジック全体が完成したら、全体像がそもそも奇異な方向へと進んでいないか検証しましょう。
実際、1つ1つの論理は正しいように見えても、得られた結論が奇異なものとして映るケースは少なくありません。
ロジックが正しい=結論も正しい、とは限らないことを念頭に置き、再びクリティカルシンキングで全体像をチェックします。
そもそもの前提を疑う勇気を持ち、固定観念に囚われることのないよう思考の自由度を意識的に高めていくことが大切です。
4. 結論と実行方法をロジカルシンキングで整理する
積み上げたロジックから得られた最終的な結論と実行方法について、ロジカルシンキングを用いて整理していきます。
特にプレゼンテーションなどで一連のロジックを説明する必要がある場合は、伝え方を論理的に考えておくことが重要です。
自分の中では論理がつながっていたとしても、聞き手にとって理解しがたい飛躍がないか、入念にチェックしておく必要があります。
根拠から結論に至る筋道がきちんとつながっていることを確認した上で、人に伝えていくのがポイントです。
まとめ
ロジカルシンキングとクリティカルシンキングは根本的に異なる思考法であると同時に、互いが補完し合う関係にあります。
どちらかが欠けると論理の穴や前提の見落としが生じやすくなるため、両者をバランスよく活用していくことが大切です。
今回紹介したポイントを参考に、ぜひロジカルシンキングとクリティカルシンキングを適切に使い分けてください。
2つの思考法を効果的に使い分けることで、論理的かつ本質的な判断や意思決定を下す際の思考を強化できるはずです。
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