神話の法則とは?12の構成とビジネスに活用するメリット

最終更新日: 2022/08/11 公開日: 2022/08/11

ビジネスにおいて自社や商品を消費者にアピールする際、しばしばストーリーの重要性が指摘されます。

感動的なストーリーを通じて顧客を惹きつけ、ファン化していくことはブランディングにおいても欠かせない戦略の1つです。

しかしながら、次のような点に悩んでいる経営者の方は多いのではないでしょうか。

  • 自社のストーリーを伝えるイメージがなかなか湧かない
  • 魅力的なストーリーを作る方法を教えてほしい
  • 心をつかめる可能性の高いストーリーテリングの手法を知りたい

今回は、感動的なストーリーに共通する「神話の法則」について解説します。

ストーリーの構成やビジネスに活用するメリットに関しても触れていますので、ぜひ参考にしてください。

神話の法則とは

はじめに、神話の法則とはどのようなものか、なぜビジネスで活用されているのかを整理しておきましょう。

神話の法則についてすでに知っている方も、今いちど知識を確認しておくことをおすすめします。

神話の法則が生まれた歴史的経緯

1949年、神話学者ジョーゼフ・キャンベルは『千の顔をもつ英雄』を発表しました。

キャンベルは、世界各国で語り継がれる神話には一定のパターンがあることを発見したのです。

ストーリー・コンサルタントの第一人者であるクリストファー・ボグラーもまた、キャンベルの理論に影響を受けた一人でした。

ボグラーはキャンベルの理論をより発展させ、ハリウッド映画の物語性の型となるメソッドを提唱。

「神話の法則(ヒーローズ・ジャーニー)」と称されるボグラーのメソッドは、別名「ボグラーモデル」とも呼ばれています。

なぜビジネスで活用されているのか?

神話の法則が画期的だったのは、「人々を惹きつける魅力的なストーリー」の原型を示した点にあります。

映画などのエンターテイメント領域はもちろんのこと、あらゆる分野で有効なストーリーテリングのメソッドといえるのです。

現代においては、モノやサービスはすでに飽和状態に達しつつあるといえます。

商品そのものでは競合他社との差別化が難しくなっている今、必要とされるのは「ストーリーの力」です。

神話の法則は、自社や商品をストーリーとして語り、効果的に伝える上で重要な役割を担っています。

ビジネス領域においても、ブランディングや広告戦略を考える際に神話の法則が活用されるようになっていったのです。

神話の法則の基本となる12の構成

神話の法則は、12の構成から成り立っています。

人々を惹きつけるストーリーの多くが神話の法則の構成に即しており、ストーリーの黄金律とも称されています。

実際にどのような構成になっているのか、具体的に見ていきましょう。

日常・現実の世界

誰もが当たり前に過ごしている日常の暮らしから、ストーリーは始まります。

物語の主人公は平凡な人物を描いていることが多いです。

何らかの問題を抱えていたり、毎日幸せに過ごしているなど、物語によって設定はさまざまです。

ストーリーを目にした読者(消費者)と変わらない、ありふれた生活を送っていることが多いです。

例1:主人公はどこにでもいる少年で、ごく普通の暮らしをしている。
例2:営業担当者は契約が取れたり取れなかったり、ごく普通に仕事をこなしている。

冒険へのいざない

主人公の暮らしに、重大なアクシデントが起こります。

目の前の問題に対処するべきか避けるべきか、主人公は判断しなくてはなりません。

ストーリーが発展していく最初のきっかけであり、読者(消費者)は物語に引き込まれていきます。

例1:主人公が暮らす町に、古文書に記されている魔物が襲ってきた。
例2:営業活動中に飲食店オーナーの募集チラシを見かけた。

冒険の拒否

突然到来した冒険へのいざないに、主人公は当惑します。

即座に「よし、冒険の旅に出よう」と決断するのではなく、迷いが伴うことで物語にリアリティがもたらされるのです。

読者(消費者)は、自分自身と主人公を重ね合わせて「自分だったらどう行動するか」と自分事として捉え始めます

例1:主人公は家族を残して冒険の旅に出ることをためらう。
例2:飲食店オーナーなど自分には無理だと思い、いったん諦めかける。

賢者との出会い

変化を受け入れるべきかどうか迷っている主人公のもとに、物語のキーパーソンとなる人物が現れます。

主人公の心境に変化をもたらし、冒険の旅へと向かわせるきっかけを与える重要な人物です。

困難な状況を打開してくれる予感から、読者(消費者)は主人公を応援したいと感じるようになります

例1:主人公は賢者に出会ったことで冒険の旅に出ることを決意する。
例2:飲食店経営を成功に導くメソッドに出会い、開業を決意する。

戸口の通過

日常の世界から冒険の世界へと切り替わる、物語の重要なフェーズです。

洞窟の入り口や異世界へと通じる穴などを提示し、「ここを通ったら元の世界に後戻りはできない」と伝えます。

ビジネスであれば、目的を達成するまで諦めるわけにはいかない状況に追い込まれるということです。

例1:魔界へと通じる洞窟を抜け、いよいよ冒険が始まる。
例2:開業資金を調達し、FC加盟手続きを終える。

試練・仲間・敵対者

冒険が始まると、主人公にはさまざまな試練が訪れます。

1つ1つの試練を乗り越える中で仲間が増えたり、より強力な敵対者に遭遇したりと、数多の経験を重ねていくのです。

困難を乗り切るごとに主人公は成長し、自身の力を実感し始めます

例1:何度も魔物に出会いながらも、旅の途中で出会った仲間とともに敵を倒して前に進んでいく。
例2:開業したものの集客に苦戦する時期を経て、少しずつ経営が軌道に乗り始める。

最も危険な場所への接近

冒険を終結させるには、これまで経験したことのない危険を乗り越えなければならないことが判明します。

物語が佳境へと向かうこと強く意識させると同時に、乗り越えた後に主人公が見るであろう世界も予感させるのがポイントです。

ビジネスであれば強力な競合店が現れるなど、死活問題になりかねない重大な岐路に立たされます

例1:魔界を支配する強大な魔物が棲む島へと向かう。
例2:他社の大手FCが自店のすぐ近くに出店し、顧客を奪われる。

最大の試練

物語中でかつて経験したことのない、過酷な状況が訪れます。

主人公は死の淵に立たされる目に遭いながらも、最大の試練を乗り越えて勝利を手にするのです。

ストーリー内で得た経験を総動員し、重大な局面を乗り越えていく姿に読者(消費者)は心を動かされます。

例1:魔界を支配する魔物と闘い、ついに勝利する。
例2:競合店にはない独自の戦略で、ファンの獲得に成功する。

報酬

試練を乗り越えた結果、主人公は報酬を手にします。

報酬はモノや財宝の場合もあれば、救い出したかった人が無事に生還する場合もあるでしょう。

共通しているのは、手にする報酬が負ってきたリスクの対価を上回っていることです。

十分な報酬を手にすることで、リスクを取る選択が正しかったと証明されます

例1:魔物を倒した結果、勇者にのみ与えられる剣を手に入れた。
例2:ファンの支持が広がり、地域で随一の飲食店へと成長した。

帰路

主人公は物語の冒頭とは見違えるように成長し、帰路につきます。

しかし、物語はまだ終わりではありません。

故郷の町が無事であることは確認されていないなど、気を抜くことができない展開が続きます。

ビジネスであれば次なる課題に向けて講じるべき施策が見えてくるなど、途上であることを提示する場面です。

例1:主人公は故郷の町の人々が無事であることを願いつつ、帰路を急ぐ。
例2:顧客との関係構築に改善の余地があるなど、より高みを目指すための課題が見つかる。

復活・再生

アクシデントが解決し、命を落としたように見えた仲間が蘇ったり、荒廃した世界が元の輝きを取り戻したりします。

冒険を通じて経験したことの全てが、結果的により良い未来へと繋がっていることが提示されたり、物語の続編へとつながる布石が示されたりします。

ビジネスにたとえるなら、リスクを負ったことで得られたリターンが予想を上回っていたことが明白になります

例1:命を落とした仲間が息を吹き返し、勇者となった主人公に感謝の言葉を贈る。
例2:地域の方々との繋がりやQOLの改善など、ビジネスに取り組んだことで得られた副次的な効果を伝える。

宝を持っての帰還

主人公は手にした宝を携えて帰還し、英雄として讃えられます。

単に元の世界に戻るだけでなく、より良い未来が描かれる点がポイントです。

ビジネスであれば、今後のビジョンや事業のさらなる拡大など、未来に向けた言葉がふさわしいでしょう。

例1:故郷の町に平穏な日々が戻り、町の人々との絆がいっそう深まる。
例2:複数店舗の展開や新たな事業構想など、今後のビジョンが語られる。

神話の法則をビジネスに活用するメリット

神話の法則の基本的な構成と、ビジネスに活用する場合の例について見てきました。

では、神話の法則をビジネスで活用するとどのようなメリットを得られるのでしょうか。

具体的には、次の3点が挙げられます。

自社や商品のストーリーを生み出す際の指針になる

神話の法則は、自社や商品にまつわるストーリーを生み出す際の指針となります。

物語のテンプレートとして利用できるため、ストーリーの基本的な流れに沿って作成しやすくなるからです。

具体的には、神話の法則12の構成をストーリーの骨組みとして利用するとよいでしょう。

骨組みに肉付けをするように、自社や自社商品に当てはめながらストーリーを作り上げていくのです。

完全に何もない状態からストーリーを作成する場合と比べて、より早く確実に魅力的なストーリーを生み出せるでしょう。

共感を得られるストーリーになる確率が高まる

神話の法則は、人の心を惹きつけることがすでに実証されているメソッドです。

共感を得られる「型」に沿ってストーリーを作成することにより、多くの人の心を捉える確率が高まります。

経営者の方にとっては、たとえばマーケティングチームが提案する施策の成功率を推し量る際に活用することも可能でしょう。

ストーリー全体が神話の法則に当てはまっているかをチェックすれば良いからです。

施策の精度を高め、成功率を押し上げていくためにも、神話の法則を活用することが重要なカギを握っています。

ファン層の形成に寄与する

神話の法則は、自社や自社商品のファン層を形成することにも寄与します。

魅力的なストーリーを発信することにより、多くの人の共感を呼びファン層を形成することに繋がるからです。

ストーリーに共感した顧客は、自らの意思で企業や商品について身近な人に語り、情報を拡散してくれます

また、共感を軸に企業や商品のファンになった顧客は、容易に他社への乗り換えを検討しません。

長期間にわたりリピート購入してくれるファンが増えれば、LTV(顧客生涯価値)の向上にも寄与するでしょう。

まとめ

古くから語り継がれてきた神話に隠された「人を惹きつける物語」のメソッド。

神話の法則をビジネスに活用することで、多くの人の心を捉えファンを形成することに繋がります。

神話の法則に沿った具体的なストーリーの作り方については、以下の記事で詳しく解説しています。

ぜひこちらの記事も参考にしながら、神話の法則を取り入れた自社の感動ストーリーを生み出してください。

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