フローという概念は心理学で生まれた言葉で、フローという概念をよく理解して意識することができるようになるだけで、仕事の能率が上がるとされています。
「心理学でフローという言葉を聞いたことがあるけれどよくわからない」
「フローって、具体的にはどんな状態なの?」
「仕事の中でフローに入るコツはあるの?」
このような疑問がある方にオススメの記事となっています。
フローに入れるようになれば、毎日を楽しく過ごせるだけでなく、集中力が上がる、など多くのメリットを享受できます。
心理学のフローに関するこの記事を読めば、以下のことが分かります。
- フローという概念について説明できるようになる
- フローの提唱者や背景が分かる
- フローに入ると起こるメリットが分かる
- フローに入りやすい日々の過ごし方が分かる
- フローに入るための個人と組織のポイントが分かる
- 心理学のフローについて解説したおすすめ本が分かる
フロー状態とは?
心理学分野から誕生したフローという概念は、一般社会でもよく聞かれる言葉となりました。
フロー状態とは、時間を忘れて、目の前の物事に没頭している状態です。
たとえば次のようなものです。
- スポーツ/運動
- 読書
- 仕事
- 勉強
これらは皆、フロー状態に入りやすい行動です。
「いつの間にかとても時間が経っていた。」
「その物事をやっている時間が永遠のように長く感じる。」
「知らない間に、我を忘れてその物事のことだけに取り組んでいた。」
このような経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
すべてフロー状態のときに感じられる事項です。
加えて、フロー状態に入っていると幸福感を感じやすくなると言われています。
休みの日や、平日など意識してフローに入ることをおこなうことで、毎日を楽しく過ごせるでしょう。
フロー状態が誕生した背景
心理学分野のフロー状態は、心理学者のM.チクセントミハイ博士が提唱しました。
フロー状態を提唱したきっかけは、学生のレポートの課題だったといいます。
ある学生が大人の遊びについて研究していました。
大人が趣味や熱中することに取り組む現象について、多くの人にインタビューを行ったのが始まりです。
そして、フローの誕生につながるひとつの事実を発見しました。
どの事例においても、取り上げられた人々は、たくさんのエネルギーや時間を投入する活動をしている時には、しなければならないことが明確で、目標が具体的ではっきりしていると感じたのである。(省略)
フロー体験入門 楽しみと創造の心理学(著:M.チクセントミハイ 監訳:大森弘)p2.3
つまるところ、人が行動の機会-チャレンジ―があると感じるこれらの活動は、人の行動の能力-スキル―におおよそ釣り合っていたのである。
これらの条件が存在する時、つまり目標が明確で、迅速なフィードバックがあり、そしてスキル【技能】とチャレンジ【挑戦】のバランスが取れたぎりぎりのところで活動している時、われわれの意識は変わり始める。
そこでは、集中が焦点を結び、散漫さは消滅し、時の経過と自我の感覚を失う。その代わり、われわれは行動をコントロールできている感覚を得、世界に全面的に一体化していると感じる。われわれは、この体験の特別な状態を「フロー」と呼ぶことにした。
自らが心から熱中する趣味や仕事をしているとき、フロー状態を感じる人も多いのではないでしょうか。
フロー状態に入っている間は、自分の意識は外に出されて幸せを感じます。
フロー状態に入るメリット
フロー状態に入ると時の感覚を忘れて、その物事を味わえるのみでなく、精神的または身体的にもさまざまなメリットがあります。
フロー状態に入ると得られる感覚は以下の通りです。
- 人間関係がスムーズになる
- 充実した日々を過ごせる
- 日々が楽しいと感じる
- 幸せに感じることが多くなる
- 自己充足感を感じる
- 達成感を感じる
フロー状態に入るデメリット
前述した通り、フロー状態に入ると時間を忘れて目の前のことに没頭するようになります。メリットが多い一方で、以下のようなデメリットもあります。
フロー状態のデメリットは以下の通りです。
- 周囲からの刺激に気づかない
- 他の作業へのモチベーションが下がる
- ゴールが明確でない作業を避けてしまう
たとえば、仕事ではコミュニケーションや気遣いが求められます。
しかし、フロー状態に入っていると、周囲が困っていることに気づかず、気遣いができない印象を与えてしまうでしょう。
また、目の前の仕事に没頭するあまり、他の作業に注力できないこともあります。
さらに、フロー状態に入りやすい確実性のある作業(=ゴールが明確な作業)ばかりを好み、不確実性のある作業を避けるデメリットも考えられます。
フロー状態に入っているときの特徴とは?
M.チクセントミハイ博士による著書「フロー体験とグッドビジネス」によると、フロー状態に入っているときの特徴は8つあると言います。
- 目標が明確である
- 素早いフィードバックがある
- 能力と機会(チャレンジ)のバランス
- とても集中している
- 現在に重要さを感じる
- 自己コントロールができている
- 自我の喪失(無我夢中)になる
それではフロー状態に入っているときの特徴について見ていきましょう。
目標が明確である
フローに入っているときは、物事の目標が明確になります。
私たちは、さまざまな物事において結果を重視しますが、過程があってその積み重ねで結果が生まれます。
もし、人生において、幸せになることに重きをおくなら、その成功は成果ではなくてその過程にあると述べています。
素早いフィードバックがある
素早いフィードバックがある状態では、フロー状態を生み出しやすいです。
例えば、読書は良い例だといいます。
小説や読書は、目で文章を追いかけますが、読みだすと止まらなくなった経験のある方も多いでしょう。
読書は、気になる展開に対して次の文ですぐに答え合わせができます。
迅速なフィードバックがあるため、フロー状態に入りやすくなるでしょう。
能力と機会(チャレンジ)のバランス
能力とチャレンジの二つが均衡している場合に、フロー状態が生み出されます。
たとえば、自分のスキル的には難しいけれど、頑張りしだいで達成できそうな物事を行っているとします。
このとき、人は課題が簡単すぎると退屈さを感じ、難しすぎると不安感を覚えるといいます。
自分のスキルと、その機会がうまく釣り合っている時にフローを感じます。
とても集中している
フローに入ると、集中力がとてつもなく高くなります。
ある作業をおこなっていると、自分がその作業に没頭し、その作業と一体化しているような感覚になるそうです。
現在に重要さを感じる
フロー状態は、未来や過去のことを考える余裕がないほど没頭している状態をいいます。
今の作業や課題だけにフォーカスし、現在に重要さを感じる状態です。
人は暇になったり、やることがなくなったりすると、不安や怖れを感じやすくなるそう。
反対に、フロー状態であることは、課題に対して前向きに取り組み、現在にとても重要さを感じていることとなります。
自己コントロールができている
フロー状態では、自己をコントロールしているという感覚が強くなります。
人は自分では物事をコントロールできていないと感じてしまうことはあるでしょう。
たとえば、人からせかされる時間制限のある業務などです。
自己で物事をコントロールすることは大切です。
時間感覚が変化する
フロー状態に入ると、時間感覚が変化します。
ある物事に没頭していたら、時間が一瞬に過ぎてしまった、あるいは時間が停止しているほど物事に没頭したという感覚を感じる人は多いのではないでしょうか。
とくに読書やスポーツ、勉強をしているときに多く感じるでしょう。
自我の喪失(無我夢中)になる
フロー状態に入ると、その作業に無我夢中になり、自我を喪失するかのような感覚になるようです。
なぜこのような感覚になるのかは、目の前でおこなっている作業や課題以外が意識の外に追いやられてしまうからであると言います。
自我を喪失することで、無我夢中になるのです。
また、心理学のフローは生産性のアップに貢献します。
社員の生産性をアップさせる、その他の方法について知りたい方はぜひこちらもご覧ください。
個人単位でのフロー状態の入り方のポイント
実際にフロー状態になるためには、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。
フロー状態に入るための、以下2つのポイントについて紹介します。
- 成長を感じられる機会を設ける
- 趣味は受動的ではなく能動的に楽しむ
成長を感じられる機会を設ける
趣味や仕事でも成長を感じられる機会を設けましょう。
たとえば、仕事ではそれぞれの社員のスキルにあった成長を感じられるような少し難しい課題に挑戦させるとよいです。
スキルに対して、簡単すぎると思うものに対しては退屈さを感じ、難しすぎるものには、不安を感じやすくなりますので注意しましょう。
趣味は受動的ではなく能動的に楽しむ
休日の趣味は、受動的ではなく能動的に楽しむことが大切です。
たとえば、アメリカのティーンエイジャーはテレビを見ている時間のうちの約一三パーセント、趣味のことをしている時間のうちの約三四パーセント、スポーツやゲームに没頭している時間のうちの約四四パーセントをフロー(省略)として体験している。(省略)
フロー体験入門 楽しみと創造の心理学(著:M.チクセントミハイ 監訳:大森弘)p93
これは、趣味はテレビよりも約二.五倍、高められた楽しみの状態を生み出しやすく、活動的なゲームやスポーツは約三倍以上であるということを示す。
テレビやスマートフォンなどは手を伸ばせばすぐに見られます。手軽なためなんとなくそこに時間を使ってしまう人も多いでしょう。
しかし、主体的に趣味をおこなえば、フロー状態を生み出せます。
経営者の方は社員の方にぜひ、休日の過ごし方を大切さを共有してみてください。
組織単位でのフロー状態の入り方のポイント
フロー状態に入るために組織で実施できるポイントについて見ていきましょう。
ここでは、以下の2つについて紹介します。
- 組織の猛評を明確にすること
- 裁量のある仕事を任せる
組織の目標を明確にすること
組織単位の目標を明確にしましょう。
ホテルチェーンのリッツカールトンはよい例です。
従業員は、企業の信念が書かれたクレドカードを携帯して、お客様に接します。
クレドカードを使用して、従業員の自発的な行動を促し、またお客様に最高のもてなしをするという取り組みに成功しました。
従業員の成長機会や自己充足感を促し、組織的にフローを実現した例とも言えるでしょう。
リッツカールトンのクレドについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
裁量のある仕事を任せる
組織の中で各々がフローに入るためには、自己が仕事をコントロールしている感覚が大切。
自分の行動次第で結果が変わることを感じてもらいましょう。
たとえば、以下の職場では自己コントロールを感じにくいです。
- 業務で決まっている点が細かすぎるため、自分のペースで仕事をすすめられない
- または、仕事をせかされるなど周りのペースにあわせて仕事をおこなうのが難しい
業務の提案をしやすい環境や、それぞれの仕事に各々が決定権のあるコントロール感をもてる仕事を割り当てましょう。
フロー状態に入るための心理学のおすすめ本
心理学では、フローの概念について詳しく書かれた本をご紹介します。
以下の3冊の本をご紹介しますのでご覧ください。
- フロー体験入門 楽しみと創造の心理学
- フロー体験とグッドビジネス 仕事と生きがい
- 「第二の脳」のつくり方 すべてが上手くまわり出す「フロー理論」
フロー体験入門 楽しみと創造の心理学
フローという概念がよく分かります。
私たちが一日に過ごす時間の構成の見直しから始まります。
そして、仕事やレジャーでのフロー体験で私たちが抱きがちな固定観念へと進み、フローをいだきやすい条件について述べています。
フローという概念を一から、丁寧に学んでいきたい方にはおすすめ。
最初から読んで最後の章まで順に読むことで、一見難しそうなフローの概念を理解できます。
『フロー体験入門 楽しみと創造の心理学』は、以下の方におすすめします。
- 「フロー」という概念を一から学びたい方
- フローとはどんな状態なのか、フローに入ったことがないと思われる方
- フローに入りやすい仕事へのマインドや、余暇の過ごし方を知りたい方
フロー体験とグッドビジネス 仕事と生きがい
フロー体験入門を読んだら、次のステップにこの本を読みましょう。
フローに入ることと仕事との関係について分かりやすく表現しています。
また、一般的には、幸福感を味わいづらいと言われている仕事で幸せに働くコツをご紹介しています。
フローを感じている人は、より幸福感を得られやすいことを述べています。
『フロー体験とグッドビジネス 仕事と生きがい』は、以下の方におすすめします。
- フローに入ると起こる具体的なメリットを詳細に知りたい方
- フローに入るメカニズムを知りたい方
- フローに入りやすくなり、ライフワークを行いたい方
「第二の脳」のつくり方 すべてが上手くまわり出す「フロー理論」
スポーツドクターの辻秀一さんが、組織と個人のフローへ入る方法について書いた本。
フローの概念を理解した後、フローに入るための準備編、次いで実践編となっており、図を用いて分かりやすく書かれています。
フロー体験入門を読んで分かりにくいと思った方も、簡単に説明されているので理解しやすいです。
『「第二の脳」のつくり方 すべてが上手くまわり出す「フロー理論」』は、以下の方におすすめします。
- スポーツの観点からフローに入る状態を知りたい方
- 組織全体をフロー化する手法を知りたい方
まとめ
フローとは、目の前のことに没頭している状態を言います。
フローに入るためには、目標が明確なこと、迅速なフィードバックがあることを始め、8つの項目がありました。
フローに入ると、仕事や日々の生活に、さらに充実感を得られると思います。
ぜひ、個人や企業単位でも実践してみてください。
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