自社のマーケティング施策が功を奏しているのか、気になっていませんか?
今回は、マーケティング施策の成果を分析する方法について解説します。
- 自社のマーケティングがうまくいっているのか知りたい
- マーケティング施策の効果を客観的に分析したい
- 今後のマーケティング施策に向けて改善策を講じたい
上記のように考えている経営者の方は、ぜひ参考にしてください。
マーケティング・ミックスモデリングとは
マーケティング・ミックスモデリング(MMM)は、マーケティング施策の成果を定量的に分析するためのアプローチです。
従来、日本では消費者調査やログ分析といった手法が広く採用されてきました。
しかし、従来の手法はいくつかの問題を抱えています。
- マーケティング施策が成果に与えた影響を数値で把握できない
- 自社でコントロールできない要因(外部要因)を含めて分析するのは不可能
- 複数の施策がどのように影響し合っているのか(間接効果)を分析できない
上記の問題を解決しするための手法として、マーケティング・ミックスモデリングが注目されているのです。
マーケティング・ミックスモデリングの手順
マーケティング・ミックスモデリングを進めるには、いくつかの手順を踏む必要があります。
具体的な進め方について確認しましょう。
分析ロジックの選択
マーケティング・ミックスモデリングでは、パス解析、重回帰分析、共分散構造分析などのロジックが用いられます。
分析ロジック | 概要 |
パス解析 | 変数間の因果関係・相関関係を分析する |
重回帰分析 | 複数の説明変数が目的変数に与える影響を分析する |
共分散構造分析 | 変数間の因果関係の強さを分析する |
どの分析ロジックが優れているというものではなく、目的に合わせて使い分けることが重要です。
ここでは「パス解析」を選択したケースを想定して手順を説明します。
内部要因・外部要因の可視化
マーケティング施策の成果は「内部要因」と「外部要因」によって左右されます。
内部要因とは、社内で考案・実行してきたマーケティング施策のことです。
たとえば、ある製品を訴求するためのテレビCMや動画広告、イベントといった施策は内部要因に該当します。
自社で取り組んできた施策のため、広告の費用対効果(ROI)に関するデータ収集は比較的容易でしょう。
一方、外部要因とは自社のコントロールが及ばない不可抗力を含む要素を指します。
たとえば、競合他社の広告戦略や天候の変化などは、自社でコントロールできない外部要因です。
成果を大きく左右する可能性のある内部要因・外部要因を抽出し、可視化しておくことが重要です。
モデル化
顧客の購買行動を、パス分析によってモデル化しましょう。
下図では、内部要因・外部要因をそれぞれAIDMAに当てはめてモデル化を試みています。
AIDMAについては、以下の記事もぜひ参考にしてください。
モデル化を進める過程で、内部要因・外部要因に漏れがないか改めてチェックしておくことが大切です。
データ収集
過去に実行してきたマーケティング施策で得られたデータを収集します。
施策を実行する上でかかった費用や実際の出稿量、売上や販売数など得られた成果を収集しましょう。
分析したいスパンによって、日次・週次・月次データのうち適切な粒度のものを選ぶことが大切です。
データ分析
収集したデータをパス図と照らし合わせ、想定していた成果とのずれを確認します。
期待していた成果が得られていない施策を割り出し、広告予算の配分が適切であったかチェックしていくのです。
また、外部要因が成果を阻害していることが判明した場合は、外部要因を回避または解消する施策を講じる必要があるでしょう。
成果の阻害要因が不明確であれば、より粒度を細かくしたデータを収集し、分析結果の精度を高めていくことが求められます。
マーケティング・ミックスモデリングのメリット
マーケティング・ミックスモデリングを採用することで、どのようなメリットを得られるのでしょうか。
主なメリットとして次の2点が挙げられます。
マーケティング施策の成果全体を俯瞰できる
マーケティング・ミックスモデリングでは、施策同士の影響や外部要因を含めて包括的に分析を進めることができます。
従来の消費者調査やログ分析では困難とされてきた、俯瞰的な分析が可能となるのです。
複数のメディアを駆使したマーケティング施策が一般的になった今、施策単体の最適化だけでは十分とはいえません。
マーケティング施策全体を包括的に捉え、分析できるのはマーケティング・ミックスモデリングのメリットといえるでしょう。
顧客のプライバシーに関するデータを必要としない
マーケティング・ミックスモデリングは、内部要因と外部要因のデータにもとづいて分析が進められます。
データプライバシー保護が厳格化する中、顧客の行動データを必要としない分析手法として注目されつつあるのです。
消費者調査やログ分析では、顧客のプライバシーに関するデータが分析に不可欠でした。
2022年4月には改正個人情報保護法が施行され、デジタルマーケティングはCookieレス時代へと突入します。
顧客のプライバシーに関するデータを必要としないマーケティング・ミックスモデリングは、今後さらに活用されていくでしょう。
マーケティング・ミックスモデリングのデメリット
マーケティング・ミックスモデリングは優れたメリットを持つアプローチですが、デメリットとなり得る面も持ちあわせています。
次に挙げる2点に関しては、マーケティング・ミックスモデリングを採用する際に十分注意しておく必要があるでしょう。
小規模なマーケティング施策では有効性が低い
マーケティング・ミックスモデリングが有効に機能するには、一定以上の規模で広告が運用されている必要があります。
広告予算が少ない場合や、実行してきたマーケティング施策が限られている場合は効果が期待できない可能性があるのです。
小規模なマーケティング施策であれば、それぞれの施策の改善を個別に図ったほうが効果的な場合があります。
分析対象データが十分に確保されていない場合、マーケティング・ミックスモデリングは適したアプローチとはいえないでしょう。
参考にできる事例が少ない
マーケティング・ミックスモデリングに関する成功事例や実践事例は、現状ほとんど公開されていません。
なぜなら、マーケティング・ミックスモデリングがマーケティング施策の全体最適を図るための手法だからです。
自社のマーケティング施策の全体像が示されるため、競合他社に知られてはならない秘匿性の高い情報といえます。
モデルケースを参考にできない以上、自社でトライアンドエラーを繰り返しながら分析の精度を高めていくしかありません。
参考にできる公開事例が極めて少ないことは、マーケティング・ミックスモデリングのデメリットといえるでしょう。
まとめ
マーケティング・ミックスモデリングの概要と、具体的な進め方について解説してきました。
マーケティング施策が多様化しつつある中、施策の全体最適を図る手法として注目されています。
有効な分析手法を探していた経営者の方は、マーケティング・ミックスモデリングの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
見落としていた施策の改善点に気づき、より効果的にマーケティング戦略を打ち出せるはずです。
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