「部下にイライラしてしまう管理職」が講じるべき対策7選

最終更新日: 2024/11/06 公開日: 2024/04/19

部下の仕事ぶりや態度を見ていてイライラしてしまったり、その気持ちが抑えられず爆発してしまうことや、指導やアドバイスをどう伝えたらいいか悩んでしまうことは、経営者・管理職の方に多い悩みです。

今回は、部下に対してイライラしてしまう管理職の方々が講じるべき対策について解説します。

部下に対してイライラする主な原因や、イライラすることで被るデメリットにも触れていますので、ぜひ参考にしてください。

部下に対してイライラする主な原因

そもそも上司はなぜ部下に対してイライラしてしまうのでしょうか。

想定される3つの原因をまとめました。

部下が思うように動いてくれないから

イライラする原因としてよくあるのは「部下が思うように動いてくれない」ことです。

次に挙げるような場面に遭遇することが多いと感じていないでしょうか。

  • 部下が言われたことしかしない
  • 仕事を自分事として捉えていないように見える
  • 部下のパフォーマンスが低く、成果が出ていない
  • 協調性に欠けており、自己中心的に思える
  • 上司である自分への態度が反抗的だと感じる

いずれも「想定していた行動を部下が取っていない」ことによって生じている不満と考えられます

わかりやすく表現するなら「扱いづらい部下」と捉えている、ということです。

上長であるあなたは、どうすれば部下が変わってくれるのか、何をすれば改善できるのか思い悩んできたことでしょう。

想定とは異なる状況に接し続けていることで、ストレスを感じるのは決して不自然なことではありません。

見方を変えると、部下が変わってくれない限りイライラの根本的な原因は解消されないことになります。

自分自身が仕事に追われているから

管理職自身が常に自分の仕事に追われており、余裕がないことも部下に対してイライラする原因の1つです。

例えば、過去に次のような場面に遭遇したことはないでしょうか。

  • 部下が事前に報告・相談しなかったためにトラブルが発生した
  • 分からなければ聞いてほしいと伝えても質問してこない
  • すぐ近くにいるにもかかわらずメールやチャットで連絡してくる

上司が常に忙しそうにしていると、部下は話しかけづらいと感じるものです。

部下の立場から見ると「相談すべきタイミングがわからない」「話しかけては悪いような気がする」と映っているのかもしれません

上司は部下の業務を把握していても、部下には上司が抱えている仕事の全体像が見えていないことがほとんどです。

結果としてコミュニケーション不足に陥ってしまい、感情がもつれる原因となっている可能性があります。

部下への期待値が高いから

部下に対する期待の大きさが、イライラする感情の引き金になっている可能性もあります。

人は「期待外れだった」と感じると、相手や状況に対して失望しやすくなるものです。

特に自分自身がプレイヤーとして優れた成果を収めてきたタイプの人は注意する必要があります

部下がかつての自分と同じように成果を出せる、または良い結果を残せている部下がおり比較をしてしまうと、がっかりしてしまうものです。

例えば、日頃から部下の様子を見ていて次のように感じていないでしょうか。

  • なぜこんなに簡単なことができないのだろう?
  • もっと〇〇すれば、うまくいくのではないか?
  • 彼/彼女と同じ年齢の時、自分はもっとできていた。

部下と自分は別の人間だと頭では理解していても、無意識のうちに比較対象にしているケースは少なくありません。

部下のパフォーマンス面に対してイライラする傾向が見られる場合には要注意です。

上司がイライラしていることで被るデメリット

管理職がイライラしている状態が続くと、さまざまな面でデメリットが生じます。

顕著に表れやすい3つのデメリットは次のとおりです。

職場の雰囲気が悪化する

職場で常にイライラしている人がいると、職場全体の雰囲気が悪くなっていきます。

特に上司がイライラしていることを、部下はすぐに察知するものです。

「触らぬ神に祟りなし」という言葉があるように、多くの人はイライラしている相手と関わるのをできるだけ避けようとします。

結果的に上司とコミュニケーションを図る機会が減っていき、相互理解がますます困難になってしまうでしょう

部下もまたストレスを抱えやすくなり、人間関係のトラブルが発生しやすい状況が生まれてしまうのです。

部下の萎縮や反発を招く

上司が常にイライラしていると、部下が萎縮・反発しやすいという点も大きなデメリットです。

不機嫌な上司をいっそう怒らせることがないよう、部下は気を遣うようになります。

本来は必要な報告・連絡・相談をする場面でさえも、「上司の逆鱗に触れないようにすること」が目的化してしまうのです

部下の立場から見た場合、イライラしている上司には次のように対応する可能性があります。

  • できるだけ当たり障りのない報告をする
  • 必要最小限のことしか連絡・相談しない
  • 緊急度・重要度よりも上司に伝えるタイミングに気を配る
  • 理不尽に怒られていると感じて反発する
  • 人間的に尊敬できないと感じ、距離を置きたがる

業務上必要なコミュニケーションが不足すれば、部署全体の業務効率や生産性が低下するのは避けられません。

部下の萎縮や反発を招くことにより、業績にも大きく影響しかねないのです。

自分自身の評価が下がる

部下に対してイライラする感情が押さえられないと、上司自身の評価が下がるおそれがあります。

管理職にとって、部下の育成は重要な職務の1つです。

相手が思うように動いてくれないと感じている状態は、言い換えれば「部下に振り回されている状態」に他なりません

マネジメント能力や部下の育成能力を疑われたとしても、決して不思議なことではないでしょう。

部下との関係が良好でないことが明らかであれば、部署やチーム全体のパフォーマンスも低下していく可能性があります。

部署・チームとして成果が出せなければ、責任者である管理職の手腕が問われるのは当然の成り行きです。

部下へのイライラを解消するための対策を講じる必要があります。

部下へのイライラを解消するための対策7選

部下に対するイライラした感情を解消するには、どうすればよいのでしょうか。

具体的な対策7選を紹介します。

対策1:自分の感情を整理する

1つ目の対策は「感情の整理」です。

「イライラする」という感情を細分化して、より具体的に「何に」「なぜ」イライラしているのか考えてみましょう。

例えば、部下が思うように動いてくれないと感じた時の具体的な状況と、自分自身の捉え方を振り返ってみるのです。

重要なポイントとして、振り返る際にはできるだけ主観を交えず事実のみを列挙してください

【例】
・商談前にヒアリングシートを全項目埋めておくよう部下に伝えた
・商談時、部下は記入漏れが目立つヒアリングシートを持参した
・ヒアリングは途中から雑談に近いものになった
・結果、商談は流れてしまった

上記の例では、事前にヒアリングシートを埋めておくという指示を部下が守っていません。

商談が流れてしまった原因は、部下が自分の指示に従わなかったからだと捉えていることがわかります。

一方で、商談がうまくいかなかった原因は必ずしもヒアリングシートが不完全だったことだけとは限りません。

感情を整理することにより、自分自身の思い込みや決め付けに気づくことが大切です。

対策2:確証バイアスを疑う

部下に対して感じるイライラを解消するには「確証バイアス」を疑ってみるのも効果的な方法です。

確証バイアスとは、、自分の思い込みや願望を肯定する情報にばかり目が向いてしまうことを指します

例えば、部下が「仕事を自分事として捉えていないように見える」と感じているケースを考えてみましょう。

実際には、部下は自分の担当業務に精一杯取り組んでいる時もあるのかもしれません。

たまたま人任せにしている素振りが見られた時に「やはりそうか」と確信を強めている可能性があります。

部下の悪い面ばかりに注目していないか、一度冷静に振り返ってみてください。

対策3:イライラすることで被るデメリットを再確認する

合理的に物事を考える傾向がある方には、「イライラしてもメリットは1つもない」ことを再確認する方法がおすすめです。

部下に対してイライラしていても、メリットを得られないばかりかデメリットばかり被ってしまいます。

部署やチームの雰囲気が悪くなり、他のメンバーのモチベーションも低下してしまうかもしれません。

イライラした感情を抱えているだけでは、部下を効果的に育成できないでしょう。

結果として、上司である自分自身もマネジメントの手腕に疑念の目を向けられてしまうおそれがあります。

イライラしても良いことはないと改めて認識することは、部下への接し方を変えるきっかけの1つとなるでしょう

対策4:部下も困っているという前提で考える

部下が反抗的に見えたり、部署やチームに対して非協力的に映ったりするようなら、部下自身も困っているのかもしれません。

部下が上司に対して反感を抱いたり、失望したりする状況として次の例が挙げられます。

  • 「何でも聞いて」「自分で考えて」など、矛盾した指示を出している
  • 状況やタイミングによって言うことが変わる
  • 部下によって対応や口調が異なる
  • 自分が出した指示を忘れている
  • 部下を守ろうとせず、保身に徹しているように見える

上司が信頼できそうにないと感じると、部下は自分自身の課題を1人で抱え込むようになりがちです。

困った挙げ句、反抗的な態度や非協力な振る舞いを通じて助けを求めているのではないでしょうか。

上司である自分がストレスを抱えているからには、部下も同様にストレスを感じていると捉える視点を持ちましょう

対策5:部下との1on1を実施する

イライラする感情を抱いている部下と、思い切って1on1を実施するのもおすすめの方法です。

1on1を実施するメリットとして、実務を離れて部下と向き合える点が挙げられます。

業務時間中とプライベートでは、大きく印象が異なる人も少なくありません。

仕事中に見ている部下の姿と、日常生活における部下の姿は異なるかもしれないのです

休日の過ごし方や趣味の話など、部下と打ち解けて話せる話題が1つでも見つかれば、相互理解も深まります。

上司と部下という関係を一度離れて、1人の人間として部下と向き合ってみてはいかがでしょうか。

対策6:あえて特別な頼み事をする

苦手なタイプの部下に、あえて特別な頼み事をするという方法もあります。

人の心理として、自分が助けた相手に対して好意を感じるようになる場合があるからです。

労力をかけて助けた相手に敵意を感じにくくなることを「フランクリン効果」といいます。

部署全体の今後に関わる重要なテーマについて考えてもらい、自身で解決を図ってもらうといった方法が考えられるでしょう。

具体的な成果がすぐに出なくても、努力している様子が見られたら必ず部下に感謝の気持ちを伝えてください。

上司から信頼されていると部下が感じることにより、関係性が良い方向に変化していく可能性があります

対策7:自分自身の課題に置き換える

部下が変わってほしいと願うのではなく、自分自身が変わることを選ぶのもおすすめの方法です。

部下とはいえ、あくまでも他人である以上、自分の思いどおりにコントロールできるとは限りません。

反対に、自分自身の考え方や行動は自分しだいで変えられます。

部下の課題を自分自身の課題に置き換え、相手に過剰な期待を寄せないことが大切です

すべての行動は自分自身で決められるという考え方を、アドラー心理学では「自己決定性」といいます。

上司の対応や話し方が変わったと感じることによって、部下の反応も変化していくことは十分に考えられるのです。

まとめ

部下に対してイライラするという経験は、役職に就いている人であれば誰にでもあるはずです。

イライラした気持ちを部下にぶつけてしまうことのないよう、早めに対策を講じておく必要があります。

今回紹介した7つの対策を参考に、ぜひご自身に合ったイライラへの対処法を見つけてください。

また、無料でダウンロードいただける下記の資料「マーケティングに強い組織作りの秘訣」は、部下との接し方や育て方、関わり方などを深く解説しているものとなっています。

もし解決策が見えない、仲間や部下との関わり方に困っているという方は、ぜひお受け取りください。

#人間関係 #イライラ

最終更新日: 2024/11/06 公開日: 2024/04/19