フロイトの夢分析(夢判断)とは?|無意識を分析する方法

最終更新日: 2024/11/06 公開日: 2024/04/01

無意識の部分が大きく反映される夢を分析すれば、トラウマや抱えている問題の原因を紐解くことができるといわれています。

  • フロイトが提唱した夢分析で何がわかる?
  • 夢分析の方法や具体的な手順が知りたい

本記事では、フロイトが提唱した夢分析の特徴や規則、夢分析のやり方について解説します。

フロイトが提唱した夢分析(夢判断)とは

オーストリアの精神科医であるジークムント・フロイトは、人間の心は意識だけでなく無意識が反映されると考えました。

そして、無意識の状態で見る夢もまた、精神状態が反映されていると考えたのです。

では、夢分析を生み出したフロイトの人物像と、夢分析(夢判断)について解説します。

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夢分析(夢判断)を生み出したフロイトとは

夢分析(夢判断)を生み出したジークムント・フロイトは、19世紀から20世紀にかけて活躍した精神科医です。

脳性麻痺や失語症の研究の論文を発表したり、ヒステリーの研究を行ったりなど、精神に関する研究に精力的に取り組みました。

フロイトのもっとも大きな功績ともいわれているのが、「無意識」の発見です。

人間には自分では認識できていない「無意識」があり、PTSDやトラウマの原因は無意識の記憶にあると提唱しました。

そのため、精神科医でありながらも「心理学の巨匠」と呼ばれるなど、現代の心理学に多大な影響を与えた人物といわれています。

夢分析(夢判断)とは

フロイトは睡眠時に見る夢には無意識が関連していると考え、夢の内容をもとに無意識下の感情を分析する「夢診断」を考案しました。

睡眠時の体はとても無防備な状態です。

そのため、無意識下の願望や感情が夢として現れていると考えたのです。

フロイトの夢分析(夢判断)は、夢で見たことを自由に発言する「自由連想法」を使います。

フロイトとユングの夢分析(夢判断)の違い

フロイトが提唱した「無意識」という考え方に賛同し、一時はフロイトと近い関係にあったのが心理学者のユングです。

フロイトとユングの考え方の大きな違いは「無意識」の範囲といわれています。

夢分析(夢判断)においても、そういった考え方の違いが顕著に現れています。

「夢の解釈は無意識の知識への王道です」というフロイトの名言にあるように、フロイトは夢が無意識下に抑圧された感情や記憶を理解するために重要な要素だと考えました。

人間は無意識下に押し込めた欲求を、夢で実現しようとしていると考えたのです。

その一方で、ユングは意識と無意識が相互的に作用し、夢に現れると考えました。

つまり、意識の状態を知ったうえで分析するのが大事だと考えたのです。

起こった出来事や考えごとの内容、そのときの感情などをヒアリングした上で、夢と無意識領域との関連性を判断するのがユングの夢分析の特徴です。

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フロイトが考える夢分析(夢判断)の規則について

犬が空を飛んでいたり、家で寝ているかと思ったら街を走っていたりなど、夢の内容は一見すると突飛で関連性がないように思えます。

しかし、フロイトは夢分析には次のような規則が適用されると提唱しました。

圧縮化

夢は願望や無意識下の感情、記憶が圧縮されたものであると、フロイトは考えました。

たとえば、見覚えのない迷路のようなスーパーで買い物をしている夢を見たとします。

一見、自分の現状とはまったく関係ないように感じるかもしれませんが、次のような無意識下の欲求や感情が圧縮されている可能性があります。

  • 買い物に行く=買い物をしてストレスを発散したい
  • 買い物がうまくいかない=現状がうまくいっていない
  • 迷路のようなスーパー=答えが見つからない
  • 見覚えのないスーパー=不安

なかには、まったく関係のない感情や記憶が1つの夢に圧縮されることもあります。

たとえば、交流のなかった中学の同級生と付き合っている夢を見た場合、「恋人がほしい」という無意識下の欲求と、中学時代の記憶が圧縮されて夢に現れた可能性があります。

しかし、ほとんどの場合は無意識下の欲求が圧縮されて夢に現れるといわれています。

移動

夢のなかでは、現実世界の人間関係がまったく変わっていたり、現実において重要なことを軽く扱ったりなど、「すり替え」や「はぐらかし」といった現象が発生するといわれています。

たとえば、好きな人に告白して失恋したときに、相手の悪い部分を探して失恋の痛みを軽減させたり、衝動買いでお金を使いすぎたときに、自分へのご褒美だと正当化したりすることもあるでしょう。

このように、夢の中でも無意識下の抑圧された感情や記憶が、何かにすり替わって現れることがあります。

視覚化と象徴化

潜在意識にある抽象的な表現は、夢では視覚化されたり、象徴的なものとして現れたりするといわれています。

たとえば無意識下に「自由になりたい」という欲求が存在する場合、「空を飛ぶ」「全力で気持ちよく走る」といったように視覚化されて夢に現れることがあります。

不安な感情は「遅刻」、恐怖は「追いかけられる」「落ちる」といったように視覚化されることが多いです。

また、「愛されたい」「美人(イケメン)だと思われたい」という欲求は、外見が服に置き換えられ、出かけるときの服がなかなか決まらない夢として現れるケースもあります。

第二次加工(劇化)

圧縮化や移動、視覚化と象徴化された夢のパーツはどれも統一性がなく、バラバラな状態です。

このパーツをつなぎ合わせて第二次加工することによって、1つのストーリーとして夢が完成するといわれています。

たとえば「学校」と「遊園地」はまったく関係ないパーツですが、「教室のドアを開けたら、メリーゴーランドがあった」というように、関連性のないパーツを結び付けて物語にするのが第二次加工です。

夢分析(夢判断)のやり方・手順

夢分析(夢判断)はおもに次の5ステップで行います。

  1. 夢を記録する
  2. 自由連想を行う
  3. 夢を解釈する
  4. 分析を行う
  5. 患者との共同作業

夢を解釈する方法や分析の方法も解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

1.夢を記録する

フロイトは夢分析の要素をできるだけ増やすために、夢を詳細に記録することを進めています。

というのも、夢を見たばかりのときは夢を覚えていても、時間の経過とともに夢の内容や詳細を忘れてしまうケースが少なくないからです。

夢の記録は覚えている部分を断片的に書いてもいいですが、登場人物や場所、起こったことなどを具体的に記録するのが望ましいでしょう。

2.自由連想を行う

無防備な状態で頭に浮かんだ言葉を書き出し、さらに連想する言葉を書き出していく自由連想により、夢に隠された無意識下の欲求の解釈や分析が行いやすくなるとフロイトは述べています。

自由連想は夢に関することだけでなく、浮かんできた言葉を自由に書き出していきます。

恥ずかしいという気持ちや言いにくいと感じることも、躊躇せずに書き出すことで、思ってもみなかった無意識下の欲求が浮かび上がってくるかもしれません。

3.夢を解釈する

夢の記録や自由連想で書き出した言葉をもとに、夢の解釈を行います。

先述した夢分析の規則などをもとに、圧縮化されている欲求を解釈してみましょう。

夢の解釈によって心理状態がわかるとフロイトは述べています。

夢の解釈を行うために、フロイトは夢工作といって、夢の内容からさらに自由に連想する方法を用いたといわれています。

夢工作

夢工作は、夢のなかで覚えている内容をくわしく説明してもらい、夢に登場した人物や出来事について自由に発言してもらうという手法です。

夢工作を行うことによって、夢の内容はもちろん患者自身が心理状態や無意識の欲求を自覚しやすくなるといわれています。

4.分析を行う

夢の解釈を行ったあとは、視覚化・象徴化されている欲求を分析します。

夢の分析を行うことによって、現状や現在の心理状態をはじめ、無意識下の深い部分に存在するトラウマを解明できるといわれています。

夢の分析を行うときは、次の2つの夢の種類を参考にしてみてください。

不安夢・懲罰夢

フロイトの夢理論によると、不安夢や懲罰夢は、意識の部分にある自我と無意識の対立によって見る夢と考えられています。

2つの夢のおもな特徴と役割は次のとおりです。

  • 不安夢:現実の恐怖や不安から逃げるために見る夢。自我が抑圧した感情や欲求を夢の中で開放することによって安心感を得ていると考えられている。
  • 懲罰夢:自我が社会的なルールやマナーに従っていないときに、罰を受ける夢を見ることがある。社会的に認められない感情や欲求を自我が抑圧したときに懲罰夢となって現れやすい。

このような夢を分析することによって、抑圧された感情や欲求を表面化させることができると、フロイトは考えます。

外傷夢

幼少期に経験した心的外傷が成人期の夢に現れるものをフロイトは外傷夢と呼んでいます。

外傷夢はおもに幼少期に経験した出来事が夢の中で再現されることが多く、無意識領域である夢の中で過去のトラウマを克服しようとするために見る夢といわれています。

フロイトはトラウマの原因となる過去の出来事を再び振り返って解釈することによって、解決方法が見つかると考えました。

治療の過程で無意識領域にアクセスし、効果的なアプローチを試みることで、トラウマのコントロールが可能になるといわれています。

5.患者との共同作業

夢分析は患者とカウンセラー(精神分析家)との共同作業であると、フロイトは言います。

カウンセラー(精神分析家)が解釈と呼ばれるクエスチョンを患者に投げかけ、患者が無意識下の欲求と向き合うことで、トラウマやPTSDの克服につながります。

個人で夢分析を行うときは、夢の記録を客観的に捉えることを忘れないようにしてください。

まとめ

無意識の欲求が現れるといわれる夢を分析することは、日常生活で抑圧された感情や欲求を探るために役立ちます。

夢の内容によっては過去のトラウマや、人格を形成する要素を発見することもできるので、夢の記録をつけて無意識領域と向き合うのも一つの方法です。

ただし、無意識と向き合うことは抑圧した負の感情や嫌な出来事と向き合わなくてはいけないので、自身のメンタルを整えた上で行ってみてください。

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最終更新日: 2024/11/06 公開日: 2024/04/01