ユング心理学をマーケティングに応用するコツ3選|おすすめ書籍も紹介

最終更新日: 2023/04/28 公開日: 2023/05/08

心理学に影響を与えたと言われるのがユングです。

精神分析に大きく貢献したユングは、アドラーやフロイトと並び、心理学の巨匠として現代にも名をとどろかせています。

本記事では、ユング心理学やユングの考え方、アドラー心理学との違い、ユングの思想を学べる本を紹介します。

ユング心理学はビジネスシーンでも応用できるので、ぜひ参考にして日常に取り入れてみてください。

ユング心理学とは

ユングはフロイトが提唱した「無意識」の存在を独自の思想で確立し、心理学に大きな影響を与えました。

ユングが提唱した無意識についての理論と、フロイトとの関係性を解説します。

「個人的無意識」と「集合的無意識」を提唱した

ユングもフロイトと同様に、無意識の存在を認識していました。

なかでも無意識は「個人的無意識」「集合的無意識」の2つに分けられると考えています。。

  • 個人的無意識:これまでに見たものや経験した記憶に基づいて作られる無意識
  • 集合的無意識:育った環境や価値観に関わらず、人間が先天的に生まれ持っているイメージや概念

集合的無意識は個人的無意識よりも、さらに深い部分に位置すると言われています。

ユングはこの2つの無意識のバランスによって心は保たれており、バランスが崩れると精神疾患が生じると考えていました。

ユングとフロイトの関係性

ユングはかつてフロイトの弟子でした。

一時期はフロイトが創立した「国際精神分析学会」の初代会長にユングを就任させるほど2人は密接な関係にありましたが、結果的に決別してしまいます。

原因として「無意識」の認識について、次のような違いがあったためと言われています。

  • フロイト:
    人間の心は「無意識(人間的な欲求)」「自我(幼少期の教育に基づく自我)」「超自我(幼少期の道徳に基づく自我)」の3つに分けられる
  • ユング:
    人間の心は「意識(自我)」「個人的無意識」「集合的無意識」に分けられる

ユングとフロイトは自我が無意識下の記憶や感情をコントロールしており、無意識の力が人間の感情にあらゆる影響を及ぼしているという点では同じ考えでした。

しかし、無意識は人間的欲求だと位置付けるフロイトに比べて、ユングは無意識は人間的欲求だけでなく先天的なイメージなども影響すると考えたのです。

ユングとフロイトの関係性をより深く知りたい人は、こちらの記事も参考にしてみてください。

マーケティングに応用できるユング心理学

ユングが唱えた心理学の理論は、マーケティング施策の立案構築やビジネスに活用しやすいとされています。

現在も積極的に取り入れられている、ユング心理学を活用したテクニックを3つ紹介します。

ペルソナの設定

ペルソナは日本語に直訳すると「仮面」という意味です。

ユングは人間が時と場所に応じてさまざまな顔を持っていると考えていました。

現在では、マーケティングのターゲット設定としてペルソナが使われています。

たとえば、年齢層や性別など、自社の商品やサービスのターゲットを具体化するのがペルソナです。

ペルソナを検討するときは、性格や趣向を持っているのかはもちろん、職種やライフスタイルまで想定します。

ペルソナを設定すると、新商品やサービスの開発、広報活動などの方向性を決めるのに役立ちます。

タイプ論

ユングのタイプ論は、職場でのコミュニケーションや営業活動など、相手を見極めて対応する場面で役立ちます。

ユングは人間の気質が次の2つに別れると考えていました。

  • 外向型タイプ:意識(心のエネルギー)が外側に向いており、積極的に他者と関わったりチャレンジしたりできる
  • 内向型タイプ:意識(心のエネルギー)が内側に向いており、内省したり、慎重に物事を考えるのが得意

外向型タイプは、社交的で流行やまわりの意見に流されやすい一面があると言われています。

内向型タイプは、自己主張が苦手で一人の時間を好む傾向があると言われています。

上司や部下、顧客が外向型か内向型かを見極めて対応すると、コミュニケーションが円滑になるでしょう。

影(シャドウ)

ユングは無意識下に潜む感情には「影(シャドウ)」が存在すると考えていました。

たとえばシャドウが潜む考え方には、次のようなケースがあります。

  • 人は信用できない
  • 信頼はいつか裏切られる
  • 人は嘘をつく生き物だ

信用についてのシャドウを持っている人は、人間関係のトラブルを経験している可能性が高いでしょう。

シャドウにはその人が抱く願望が潜んでいるケースがほとんどです。

本心では「信頼できる人に出会いたい」「信頼関係を築きたい」などの願望が潜んでいる可能性があるので、顧客の発言やクレームから本当のニーズを汲み取るときに活用できます。

ユング心理学とアドラー心理学の違い

ユングやフロイトと並び、心理学に多大な影響を与えた人物の一人がアドラーです。

アドラーもフロイトのもとで活動していた過去がありますが、ユングと同様にフロイトのもとを離れています。

ではユングとアドラーの思想の違いはどのような点なのか、詳しく見ていきましょう。

アドラー心理学とは

アドラーは人間はまず行動を起こし、起こした行動について過去に理由を求めると考えました。

たとえば、赤面症が理由で人とコミュニケーションを取るのが苦手な人がいるとします。

こういったケースに対し、アドラー心理学では「人とコミュニケーションを取りたくないから赤面症を理由にしている」と考えます。

もしも赤面症が治ってしまったらコミュニケーションが苦手なのは、自分のパーソナリティに原因があると認めなければいけません。

このように、理由を持って行動するのではなく、行動に理由を後付けしていると考えるのがアドラー心理学です。

まったく新しい考え方に共感する人は多く、アドラー心理学をもとにした書籍「嫌われる勇気」「幸せになる勇気」はベストセラーとなりました。

アドラー心理学について詳しく知りたい人は、こちらの記事も参考にしてみてください。

学ぶならどちらがおすすめ?

ユング心理学はおもに自己分析に役立ちますが、アドラー心理学は生きていくための方向性や行動を決定するのに役立ちます。

心と向き合うユング心理学に対して、アドラー心理学はより実践的な心理学と言えるでしょう。

自分自身と向き合ったり、コミュニケーションを円滑に取る方法が知りたい人はユング心理学が、毎日の習慣や行動を変えたいという人はアドラー心理学を学ぶのがおすすめです。

ユング心理学とMBTI診断の関係性

アメリカで生まれた「MBTI診断」は、自分の心の方向性や性質と向き合うために役立つと言われ、現在では日本でもスタンダードな分析法となっています。

ユングと深い関わりがあると言われるMBTI診断はどんなものなのか、また、ユングとどのような関係性があるのかを見ていきましょう。

スタンダードになりつつあるMBTI診断とは

日本でも徐々に馴染み深くなりつつある「MBTI診断」は、ユングが開発したと認識している人も多いでしょう。

しかし実は、MBTI診断はアメリカ人の親子がMBTI診断はユングの著書「心理学的類型」をベースに開発しました。

MBTI診断は、質問に対する回答結果をもとに外向型や内向型をはじめ、感覚型・直観型・思考型・感情型・判断型・認知型などのタイプに分けます。

MBTI診断は単なる性格診断ではなく、自分への理解を深め、強みを活かしていくためのツールとしての役割を果たすと言われています。

日本では2000年頃からMBTI診断が正式に導入され始め、現在では自分を知るため、自分の気質や強みを相手に伝えるための手段として多くの人が診断を実践しています。

ユング心理学を学ぶことでMBTIが深堀りできる

MBTI診断はユング心理学をもとにして作られているため、ユング心理学を学ぶことによって、診断結果や強みの活かし方をより深く理解できると言われています。

役に立つツールを持っていても、使い方が間違っていると強みを発揮できないのと同じです。MBTI診断も使い方次第で人生の方向性を決めたり、スピーディーに目標達成したりするために役立ちます。

自分の性格や特徴を正確に把握しているつもりでも、気づかないうちに考え方にバイアスがかかっていることもあるでしょう。

ユング心理学は無意識の領域を細かく分けたり、夢から深層心理を分析したりなど、日常生活や考え方に影響している原因を見つけ出します。

そのため、ユング心理学を学んでからMBTI診断をすることで、自分の本質をより客観視できるでしょう。

ユング心理学を学ぶためにおすすめの本5選

ユングが提唱した心理学を学ぶのに役立つおすすめの本を5冊紹介します。

それぞれに特徴があってどれも興味深いので、まずは一冊手に取ってみてはいかがでしょうか。

ユング心理学入門

引用元:amazon

ユング心理学を心理療法士の観点からわかりやすく解釈した一冊です。

ユング心理学は解釈が複雑なため、難しいと言われることも多いですが、誰が読んでも理解できるようにユーモラスに噛み砕いて解説している良書です。

ユング心理学に触れたことがない人も、心理学を専攻している人にとってもユング心理学の基礎や本質をバランス良く知ることができるのでおすすめです。

ユング 心の地図 新装版

引用元:amazon

ユングは自分のことを心の探検家であり地図製作者であると認識していました。

ユングが描いた壮大な世界を一貫性を持ってわかりやすく解説しているのが、ユング派の分析家「マレイ・スタイン」の著書です。

世界的に有名なK-POPアイドル「BTS」のアルバムのテーマにもなったと言われており、再び注目が集まっている一冊です。

心のトリセツ「ユング心理学」がよくわかる本

引用元:amazon

「日本人にはアドラー心理学よりもユング心理学の方がしっくりくる」と語る著者が、難解なユング心理学をわかりやすく解説した一冊です。

コンプレックスや心の病に向き合い、夢分析する方法など実践的な内容も盛り込まれています。

ユング心理学を全く知らない人やこれから学びたい人にとっても、抵抗なくスラスラ読めるのでユング心理学を知るための一冊目におすすめです。

ユング 夢分析論

引用元:amazon

夢分析を提唱したフロイトは「夢とは欲求の現れである」と考えたのに対し、ユングは夢とはあるがままの姿が反映されると考えました。

「ユング 夢分析論」は、ユングが考える夢分析についてわかりやすく解説しています。

夢分析に限らず、無意識領域への考え方や、ユングの基本的な思想も学べる良書です。

昔話の深層 ユング心理学とグリム童話

引用元:amazon

有名なグリム童話をユング心理学の視点で分析した、ユーモラス溢れる一冊です。

難しい内容が苦手な人でもユング心理学の考え方が理解しやすいので、入門書や読み物としておすすめです。

世界的に親しまれているグリム童話の登場人物は、一体心にどんな闇を抱えていたのか、物語への印象や理解度も変わってきます。

心理学をわかりやすくマンガで学びたい人は、こちらの記事でおすすめの本を紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。

まとめ

心理学界の巨匠であるユングは、フロイトが提唱した無意識領域をさらに深掘りして人間の背景にスポットライトを当てた人物。

ペルソナやタイプ論など、ユング心理学は現代でも日常生活やマーケティング活動に役立てられています。

ユング心理学は幅広く難解と言われていますが、ユングの思想をわかりやすく解説した書籍も多数あるので、まずは一冊手に取ってみてはいかがでしょうか。

ユング心理学を学んで、コミュニケーションの活性化や人生の指針を決めるために役立ててみてください。

セミナーズ通信

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最終更新日: 2023/04/28 公開日: 2023/05/08