トキ消費が消費者の満足度を向上させる|ビジネスの成功事例を紹介

最終更新日: 2024/05/29 公開日: 2024/05/29

トキ消費は、博報堂生活総合研究所が提唱した概念であり「その時間・その場所でしか体験できない価値に対してお金を払う消費」のことを指します。

時代や価値観の変化により、消費者の消費行動も変化しています。

昔はモノへの欲求から購入していました。しかし、現代はモノがあふれ価値観が多様化しているため、モノそのものとは別の価値を求めるようになりました。

この記事では消費行動の変遷とともにトキ消費の特徴やビジネス活用のポイントなどを説明します。

ぜひトキ消費を生かしたマーケティング戦略立案の参考にしてください。

消費行動6種類の変遷

人の価値観の変化によって消費行動も変化します。日本では第二次世界大戦後から現在にかけて6種類の消費行動が提唱されています。

モノ消費1950年代~
コト消費1990年代~
トキ消費2000年代後半~
イミ消費2011年頃~
エモ消費2010年代後半~
ヒト消費2020年頃~

それぞれ人はどのような価値観で消費しているのか特徴を説明します。

1. モノ消費

モノ消費は商品を買って自分のものにすることへの欲求に対する消費行動です。高度経済成長期にはより良い暮らしを求めて、商品の機能や性能に対してお金を払っていました。

1950年代の三種の神器と言われた洗濯機・冷蔵庫・白黒テレビや、1960年代の3Cと呼ばれる自動車(Car)・カラーテレビ(Color Television)・クーラー(Cooler)は、人々の便利な暮らしへの憧れと一家に一台保有する欲求が戦後の日本人の消費行動へとつながりました。

バブル期にはブランドものに身を包んでステータスを誇示する風潮が現れます。高級なモノを持つことに価値を見出したのです。

2. コト消費

コト消費は体験を重視する消費行動です。1990年代後半から似たような商品・サービスが市場に溢れて機能的価値で差別化をしづらくなったため、商品を購入して体験することで差別化が図られるようになりました。

コト消費は主に消費者がその場所に行って体験する商品・サービスが多く、以下のようなものがあります。

  • 旅行
  • エステ
  • スポーツ観戦
  • グルメ
  • 水族館・動物園など

1999年の日産「セレナ」のキャッチコピー「モノより思い出。」は思い出に残るコトをしたいという欲求を言い表しています。

3. トキ消費

トキ消費は博報堂生活総合研究所が提唱した消費行動です。消費者はイベントなどに参加して、ほかの参加者と一緒に盛り上がって楽しむ体験に価値を感じます。

スマートフォンやSNSの普及により、多くの人が自分の体験をSNSに投稿するようになりました。その結果、リア充アピールや「いいね」の数を気にすることに疲れてしまい、自分の興味関心のあることに参加するトキ消費へと変化していったのです。

  • アイドル総選挙
  • 聖地巡礼
  • コラボカフェ
  • ポップアップストア
  • ハロウィンの仮装
  • FIFAワールドカップ観戦など

コト消費では同じ体験を繰り返すことができますが、トキ消費はその時間・その場所でしか体験できない価値に対してお金を払うという特徴があります。

4. イミ消費

イミ消費は社会貢献や環境への配慮など、消費に意味を持たせることを重視した消費行動です。2011年に発生した東日本大震災の被災地支援をきっかけに広がりました。

  • 被災地の店から商品を購入して支援する
  • 発注間違いで大量購入してしまった店の商品を購入する
  • 台風で落ちたリンゴを購入するなど

イミ消費はZ世代を中心に広まっています。Z世代は不景気やパンデミックなどを経験しており、社会問題に敏感です。先行き不透明の時代に生きているからこそ、誰かの役に立つための消費行動が増えています。

5. エモ消費

エモ消費は共感や幸せな感情を得るための消費行動です。面倒な操作や機能的に欠落があっても、感情の高ぶりを感じられる商品・サービスが好まれます。

  • フィルムカメラで写真を撮る
  • 擦り切れた古着のジーンズを買う
  • スマホケースを自分でカスタマイズする

新しい商品が次々と発売され買い替えが簡単にできる世の中だからこそ、効率が悪いものや古いものなどの価値が見直され、Z世代からエモいものだと認識されるようになりました。

6. ヒト消費

ヒト消費はモノの価値ではなく好きな人物やキャラクターなどに消費する行動のことです。推し活やインフルエンサーマーケティングもヒト消費です。

  • 好きなアーティストのグッズを買う
  • インフルエンサーが紹介していたコスメを買う
  • キャラクターグッズを手作りする

パンデミックによる自宅待機で、オンラインで推しを応援するようになったことからヒト消費が広まったと見られています。

トキ消費の3つの特徴

トキ消費の特徴は、非再現性・参加性・貢献性の3点です。3つの要素が揃うことで、トキ消費に対して大きな価値を感じます。それぞれ詳しく説明します。

1. 非再現性

トキ消費は特定の時間・場所のみで消費できるもののため、いつでもどこでも体験できるものではありません。その時間や場所を逃してしまうと、二度と同じ体験をすることができないのです。

好きなアイドルとの握手会や海外の映画俳優が登壇するコミコンなどは、その日のチケットを購入しなければ交流することができません。トキ消費では唯一無二の体験を味わうことを重視しています。

2. 参加性

トキ消費ではイベントに参加して多くの人と盛り上がることに価値を感じます。同じ時間に同じ場所にいて同じ体験をすることで感動を共有できるのです。

新しいiPhoneの発売日に開店と同時にハイタッチで入店したり、好きなプリンセスのコスプレをしてディズニーで写真を撮ったりすることもトキ消費の一つです。

3. 貢献性

イベントなどに参加して自分が盛り上がりに貢献していると感じることもトキ消費のポイントです。

スタジアムでスポーツ観戦するとき、ほかの観客と一緒になってウェーブを起こして応援することや、コンサートでほかのファンと一緒に同じ色のサイリウムを照らすことなども、その場の盛り上がりに貢献していると言えます。

トキ消費をビジネスに活用する際のポイント

トキ消費をビジネスに活用するには、以下の3つのポイントが大事です。

  1. 消費者が参加するための目的を作る
  2. モノ消費・コト消費をトキ消費に変換する
  3. 消費者の満足度を測る

AKB48のマーケティング戦略を例にして説明します。

1. 消費者が参加するための目的を作る

トキ消費では自分が参加して盛り上がりを感じることに価値を感じます。

従来は立ち位置などが決められている完成されたアイドル像が受け入れられていました。AKB48はアイドルがセンターに立つために競うところをファンに見せることで、ファンが推しを育てるという目的が作られました。

このように参加するための目的がトキ消費には必要です。

2. モノ消費・コト消費をトキ消費に変換する

モノ消費は商品やサービスを保有することに価値を感じ、コト消費では経験することに価値を感じます。それぞれの価値にトキ消費の要素を加えることで、商品に新たな価値を生み出せます。

AKB48がCDの中に握手会参加券や選抜総選挙投票券を封入し、ファンが自分の推しを応援するために一人で何枚もCDを購入したことは、モノ消費とトキ消費の組み合わせです。

コト消費とトキ消費の組み合わせでは、AKB48のコンサートでメンバーの卒業などをサプライズで発表されていることが挙げられます。

定期的に行われるコンサートはコト消費ですが、サプライズ発表はその会場にいなければ聞くことができないトキ消費です。ファンは今回は何が発表されるのかワクワクしながらコンサートに足を運べます。

3. 消費者の満足度を測る

トキ消費を拡大させていくためには、アンケートなどで消費者の満足度を適宜測る必要があります。

AKB48はファンとの距離が近いアイドルのため、ファンの声がよく反映されています。選抜されるメンバーの固定化などの批判がファンから起こり、選抜総選挙や選抜じゃんけん大会が始まりました。

トキ消費の事例7選

ここではトキ消費の事例を7種類紹介します。

  1. ユニバーサル・スタジオ・ジャパン
  2. フレッシュネスバーガー
  3. 『この世界の片隅に』
  4. カワサキ ハロウィン
  5. マクドナルド
  6. JR九州
  7. 『ONE PIECE FILM RED』

非再現性・参加性・貢献性の3つの要素がどのように含まれているかに注目してみてください。

1. ユニバーサル・スタジオ・ジャパン

ユニバーサル・スタジオ・ジャパンには、トキ消費のイベントやアトラクションが多いです。

夏休み期間中のイベントは、パレード中にフロートから水が発射されてゲストがびしょ濡れになるというものです。パーク内で「ウォーター・シューター」と呼ばれる水鉄砲を購入すれば、ゲストもスタッフに水をかけられます。

指定の時間に開催場所に行き、自分も水鉄砲で水をかけて盛り上げられるというトキ消費にマッチしたイベントです。

2. フレッシュネスバーガー

2017年8月にフレッシュネスバーガーは「スパムバーガー生き残りキャンペーン」を実施しました。

スパムバーガーは当時スタッフに最も人気がありましたが、売り上げ数が最下位でした。期間中の売り上げ数ランキングで8位以上にならなければ販売終了というゲーム的要素のあるキャンペーンです。

8位以上になれば感謝祭として期間限定でスパムバーガーの割引販売も企画されました。その結果、スパムバーガーは4位にランクインし販売継続が決まりました。

スパムバーガーファンを二度と食べられなくなるかもしれないと考えた人が、スパムバーガーを注文して生き残りに貢献したというトキ消費の要素が入っています。

3. 『この世界の片隅に』

映画『この世界の片隅に』はクラウドファンディングで制作資金の一部を集めました。目標金額2,000万円に対して3,900万円以上の資金が集まり、映画は大ヒットしています。

マスメディアでの宣伝ではなく、クラウドファンディングで寄付をした人々が映画を見た感想をSNSに投稿して拡散されたことがヒットにつながりました。

クラウドファンディングに参加した人々が、公開までの制作過程を毎週メルマガ送信されていたことで自分も制作に参加している気持ちになり、応援の熱が冷めなかったことがヒットの理由の1つと考えられています。

4. カワサキ ハロウィン

1997年に川崎市で始まった「カワサキ ハロウィン」は10月の1か月間、仮装コンテストや仮装パレードなどの様々なイベントが行われるフェスティバルです。

今では多くの人がハロウィンに仮装をするようになりましたが、その火付け役となったイベントです。「カワサキ ハロウィン」は仮装初心者、経験者関係なく仮装を楽しめイベントに参加できました。

ハロウィンは10月のみの開催である限定性と、仮装して参加でき一緒に盛り上がれる貢献性が揃ったトキ消費の要素が強いイベントだと言えます。

5. マクドナルド

マクドナルドの「マックアドベンチャー」は、店舗のキッチンでハンバーガー・ポテト・ドリンクを作れる子供向け教育支援プログラムです。クルーの制服を着て自分が作ったハンバーガーなどをお客様役の両親にカウンターで手渡すまでの体験ができます。

子供にとってはその時にしか体験できないイベントであり、親にとってはその時にしか見られない子供の特別な姿を見られます。参加することで働くことの大切さが学べるトキ消費です。

6. JR九州

JR九州では2011年九州新幹線が全線開通する際にCM撮影のため『九州縦断イベント』を行いました。7色に塗装された新幹線が試運転するときに、通過に合わせて沿線の市民がパフォーマンスやウェーブをするというイベントです。

撮影当日には事前申し込みの人以外にも有志参加者が数多く集まり、CM撮影を盛り上げました。撮影日に参加しないと味わえない沿線の雰囲気を体験でき、後日自分がどのように映っているかをCMで確認する楽しみもありました。

全線開通日が2011年3月12日だったため、東日本大震災の影響を大きく受けCMの放送回数が激減しましたが、その後DVDや写真集が期間限定で販売されすべて完売しています。

7. 『ONE PIECE FILM RED』

2023年10月から行われた『ONE PIECE FILM RED』の再上映で、声出しOKの応援上映「ウタLIVE in 映画館」が実施されました。

映画館では周囲に迷惑をかけないよう黙って鑑賞するのが通常ですが「ウタLIVE in 映画館」は声を出して一緒に歌ったりサイリウムを振ったりできます。

1か月間限定の再上映という非再現性、応援して会場を盛り上げる参加性・貢献性のトキ消費3要素が揃っており、再上映1週目で週末興行ランキング1位を獲得しました。

トキ消費と他の消費を組み合わせて消費者に訴求しましょう

この記事では、消費行動の変遷とトキ消費の特徴や事例などについて説明しました。

現代ではSNSで個人が発信・受信の両方をできることが当たり前になりました。オンラインライブなどができる環境が整ったことから、SNSで自分の趣味嗜好と合う人と出会い一緒にイベントなどに参加して盛り上がれるようにもなりました。

トキ消費は限定された時間・場所でしか味わえないため、人は高い価値を感じます。今後も今でしか味わえない体験に消費する人は増えると考えられるため、トキ消費に合わせたマーケティング戦略が必要となるでしょう。

セミナーズ通信

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最終更新日: 2024/05/29 公開日: 2024/05/29