カウンセリングで重要な傾聴とは?ビジネスシーンで活かす5つのメリット

最終更新日: 2024/04/11 公開日: 2024/04/11

カウンセリングでよく使われている傾聴は、コミュニケーション技法としてビジネスでも活用されています。

上司と部下や同僚、顧客との関係など様々な人間関係を構築するうえで傾聴は有効ですが、難しいと思っている人も多いのではないでしょうか。

「どうすれば傾聴ができるようになるのだろう」
「ビジネスでも傾聴を役立てたい」
「傾聴を身につけるためのコツを知りたい」

このように考えている人のために、この記事では以下の内容について説明します。

  • 傾聴の意味と種類
  • 傾聴の技術とコツ
  • 傾聴をビジネスに活かすメリット

この記事を参考にして、ぜひ傾聴に取り組んでみてください。

傾聴とは

傾聴はカウンセリングでよく使われているコミュニケーション技法です。相手の話している内容に耳を傾けて共感しながら、深く理解しようとする聴き方です。

ただ相手の話を聞くだけでは、興味がない話はうわべしか聞いていない状況も生まれてしまいます。

傾聴は自分の意見が真逆であっても相手の意見や考えを受け入れて理解しようと努めるため、話し手は聞き手の姿勢を見て「自分の話をちゃんと聞いてくれている」と感じるのです。

カウンセリングでは傾聴の技術を使って話し手との信頼関係を築き、話し手自身が悩みを解決できるように促しています。

3種類の傾聴

傾聴には「受動的傾聴」「反射的傾聴」「積極的傾聴」の3種類があります。

受動的傾聴が基本的な傾聴で、順番に発展させていったものが反射的傾聴、続いて積極的傾聴です。積極的傾聴はスキルや経験が必要とされています。

それぞれどのような傾聴か説明します。

1. 受動的傾聴

受動的傾聴とは、相手が話をしやすいようにしっかりと耳を傾けて聴くことです。話を聞いていると自分の意見を言いたくなるときがありますが、自分の話よりも相手が話すことを優先させることが大事です。

  • うなずく
  • 相槌を打つ
  • 目を合わせる
  • 話し手と向かい合う
  • 表情を話に合わせる

話を聞いている間は目を合わせたり相槌を打ったりして、ちゃんと聴いているという姿勢を示すと、話し手は安心して自分の気持ちを伝えてくれます。

2. 反射的傾聴

反射的傾聴は反映的傾聴とも言います。話を聞いている人がその話を繰り返すことで共感や理解をしていると示すことです。

  • 言葉を繰り返す
  • 同じ意味の言葉で言い換える
  • 話を要約する

受動的傾聴をしつつ反応も示すので、相手は自分の話を理解してくれていると感じます。

3. 積極的傾聴

積極的傾聴はアメリカの心理学者、カール・ロジャースによって提唱された傾聴技法です。カール・ロジャースがカウンセリングで見出した共通の要素は「共感的理解」「無条件の肯定的関心」「自己一致」の3つです。

共感的理解話し手の立場に立って、気持ちに共感しながら話を理解しようとする聴き方
無条件の肯定的関心自分の好き嫌いや善悪で判断せず、肯定的な関心を持つ聴き方
自己一致聴き手が率直に話し手と向き合い、真摯な態度で話を聴く姿勢

積極的傾聴は受動的傾聴・反射的傾聴の姿勢に加えて、話し手に質問したり言葉を添えたりすることで話し手が思考しやすいように導きます。

5種類の傾聴の技術

ここでは傾聴するための主な技術を5種類説明します。

  1. ペーシング
  2. オープンクエスチョン・クローズドクエスチョン
  3. 水平質問・垂直質問
  4. キャリブレーション
  5. 沈黙

傾聴ではなくても無意識にしているという人もいます。円滑な会話に必要なスキルとも言えるでしょう。

1. ペーシング

ペーシングは話す相手の要素を合わせることで、信頼してもらおうとする技術です。

人は自分と似ている人に親近感を抱きやすい性質があるため、話す姿勢などを合わすことで親近感を抱いてもらおうというコミュニケーションスキルです。

ペーシングには、「ミラーリング」「マッチング」「バックトラッキング」の3種類があります。

ミラーリング・表情
・顔の向き・傾き
・姿勢
・手振り身振り
・呼吸
マッチング・声の大きさ・高さ・声色
・話すスピード・テンポ
・話し言葉・口調
バックトラッキング・オウム返し
・別の言葉に言い換え
・話の要約
・YESセット

ミラーリングとは相手と同じような動きをすることで、マッチングは話し方を相手に合わせること、バックトラッキングは相手の言葉を繰り返すという技法です。

相手とまったく同じことをしてばかりでは不信感を持たれることもあるため、左右逆でミラーリングをしたり、ペーシングの頻度を調整したりする必要があります。

2. オープンクエスチョン・クローズドクエスチョン

オープンクエスチョンは「あなたはどう思いますか?」のように、相手が自由に答えられる質問です。相手から得られる情報が多い反面、答えるためにはある程度考えなければならず、相手に心理的な負担をかけてしまいます。

クローズドクエスチョンは「はい」「いいえ」で答えられる質問や選択式の質問です。答えが限定されているため相手は答えやすいですが、多用すると誘導尋問になりやすい側面があります。

どちらかだけに偏らずに、オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを使い分けて話を促していくことが大事です。

3. 水平質問・垂直質問

水平質問とは、1つの質問に対して「他には?」と複数の答えを出してもらうことです。垂直質問は1つの事柄に対して5W1Hで掘り下げていく質問です。

どちらも話し手が深く考えるきっかけを作れますが、水平質問をしすぎるとしつこく感じられ、垂直質問をしすぎると突っ込まれていると感じられやすいため、バランス良く質問する必要があります。

4. キャリブレーション

キャリブレーションとは、話し手の表情や動作などの言葉以外のサインに合わせて対応を変化させることです。話している内容だけでなく小さなサインにも気を付けることで、話し手の本心に近づけます。

傾聴では相手に話してもらうことが多くなりますが、自分の反応を相手がどう感じているかを言外から気づけます。

5. 沈黙

1対1で話をしていると、お互いに何も話さない時間に居心地が悪く感じて自分から話をしてしまいがちです。

話し手が黙ってしまったときでも焦らず、話し手が不安に思っていないか、考えがまとまりそうかなどを観察します。話し手は何を話そうかと考えていることが多いので、その時間を十分に取ることが大事です。

沈黙で話し手は深く問題を考えることができるため、沈黙の後には話し手が本音を言うことがよくあります。話し手が沈黙を居心地悪く感じている場合は、聴き手から話題を振って話を促しましょう。

上手く傾聴する5つのコツ

傾聴のテクニックを身につけても上手く傾聴できるとは限りません。ここでは傾聴のコツを5種類紹介します。

  1. 相手の話を最後まで聴く
  2. 相手の気持ちを理解する
  3. 適切なタイミングで言葉を発する
  4. 聴く姿勢や態度に気を付ける
  5. 相槌を意識する

どれも話し手がストレスなく話せるためのポイントです。傾聴の際は意識してみてください。

1. 相手の話を最後まで聴く

傾聴をする際は、焦って結論を求めたり話を遮ったりしてはいけません。話し手がリラックスして話せる場を提供する必要があります。話し手が話し終わるまで関心を持って聴く姿勢が重要です。

話し始めは考えがまとまっていない人もいますが、そこで質問を挟んでしまうと話し手がストレスを感じてしまい本音を飲み込んでしまう可能性があります。話し手のペースに合わせて聴く姿勢を持ちましょう。

2. 相手の気持ちを理解する

話し手は言葉だけではなく、声や表情、身振り手振りでも気持ちを表しています。聴き手は話し手の様子を観察し気持ちを理解することで深く聴くことができます。

傾聴をする際には、自分の善悪や好き嫌いで判断をしてはいけません。ただ相手の気持ちに共感することが大事です。

3. 適切なタイミングで言葉を発する

聴き手は話し手の邪魔にならないように、言葉を発する必要があります。話し手のことを理解していると示すためにオウム返しをしても、タイミングが悪ければ煩わしく感じさせてしまいます。

傾聴には聴き手が話をする場面もありますが、あくまでもメインで話すのは話し手であり、聴き手の話は補助的なものと考えましょう。話し手7割・聴き手3割で話をすると良いとされています。

4. 聴く姿勢や態度に気を付ける

聴き手が真摯な態度を見せないと、話し手はちゃんと聞いてくれないと感じて本音を語るのをやめてしまいます。傾聴の姿勢とは、以下のようなものです。

  • 話し手の正面を向く
  • 腕や足を組まない
  • 目をじっと閉じない
  • スマートフォンなどを触らない
  • 話に合った表情をつくる

部下が話しているときに上司が上を向きながら目をじっと閉じていることがあります。話をしっかり聞こうとしているのですが、話している部下にとっては上司の反応がわからず困ってしまうのです。

気持ちは態度に現れます。話を聴いている態度を示して相手に関心を持つことが大事です。

5. 相槌を意識する

相槌は「自分は話を聞いている」と相手に知らせるための行動です。相槌を打たないと、この話に興味がないと思われたり、自分のことが嫌いなのではと勘繰られたりするため、会話が盛り上がらなくなってしまいます。

会話は双方向で行うものです。相手が話している間相槌をすることで安心感を与えられます。普段の会話よりも相槌を多めにするのが傾聴のポイントです。

傾聴をビジネスシーンで活かす5つのメリット

傾聴はコミュニケーションスキルであるため、ビジネスシーンでも活用できます。ここではビジネスシーンにおける傾聴のメリットを5つ説明します。

  1. 相手と信頼関係を築ける
  2. 相手の本音をヒアリングできる
  3. 円滑に仕事を進められる
  4. 問題解決ができる
  5. 自己理解を深められる

チームメンバーとのコミュニケーションや上司と部下の面談、クライアントへのヒアリングなど、様々な場面で活用し本音に耳を傾けてみましょう。

1. 相手と信頼関係を築ける

傾聴は話し手を批判せず共感しながら話を聴くため、聴き手は話し手の立場に立って物事を考えやすくなります。話し手は自分の話を理解してくれていると感じ信頼関係を築きやすくなります。

信頼関係が築けている相手が営業先であれば自社の提案を受け入れてもらいやすく、チームメンバーであればフィードバックや指示を真剣に聞いてくれるでしょう。

信頼関係を築くことを「ラポール(橋を架ける)」と言います。傾聴することでラポールを形成でき強固な信頼を構築できると考えられます。ラポールについては以下の記事も参考にしてください。

2. 相手の価値観などを尊重できる

傾聴では話し手が本音を語り、聴き手はそれを否定や批判することはありません。会社には様々な考えや価値観の人がいるため、傾聴することでその人を理解し尊重できるようになるでしょう。

お互いを尊重できる環境になれば、社内でのコミュニケーションが活発化すると考えられます。

3. 円滑に仕事を進められる

傾聴により報連相や指示などのやり取りが的確にできるようになると、業務を円滑に進められます。悪い結果報告や悩み相談なども、リラックスに話せる雰囲気があるため言いやすいです。

何でも話し合える職場であれば、従業員はモチベーション高く仕事を進められるでしょう。

4. 問題解決ができる

ビジネスシーンでは立場や考え方の違いにより対立することがあります。多くの人が関わることが多いため、意見のぶつかり合いも起こりやすいです。

相手の気持ちを理解し話を聴くことで、話し手を落ち着かせて問題の本質を探ることができます。傾聴により話し手は自ら問題の解決方法を見つけられるようになるでしょう。

5. 自己理解を深められる

傾聴は話し手に対する理解を深めるためのものですが、傾聴することで自分の好き嫌いや善悪の判断を客観的に見つめられます。自分の価値観や考えなどを話し手と比較でき、自分の偏向性や癖などに気づけるでしょう。

傾聴によって相手と自分の理解を同時に深められるのです。

傾聴を身につけて社内・社外で信頼関係を築きましょう

この記事では傾聴の技術やコツ、ビジネスで活用するメリットなどについて説明しました。

傾聴は相手を理解し共感しながら深く聴くということです。傾聴によって相手の課題に気づき、解決方法を提案できるかもしれません。

傾聴のテクニックは様々にありますが、傾聴を身につけるなら普段のコミュニケーションでの聴く姿勢を意識することから始めてみましょう。

聞き上手な人の態度などを真似することも傾聴を習得するには有効です。

傾聴は信頼関係を築くために役立つスキルのため、ぜひ身につけてください。

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最終更新日: 2024/04/11 公開日: 2024/04/11