ビジネス心理学のミラーリング効果とは?信頼関係を深める実践方法3選

最終更新日: 2024/01/29 公開日: 2024/01/29
  • ビジネス心理学のミラーリング効果とは…?
  • ミラーリング効果はビジネスでどのように実践できる…?

ビジネス心理学におけるミラーリング効果とは、相手と同じような動作をしたり共通点を見つけたりすることで好感を与える効果のこと。

ミラーリング効果は使用の注意点を押さえることで相手との信頼関係を深め、人間関係を円滑に進めることができます。

今回はミラーリング効果の概要や使用するメリット、活用の仕方、注意点までを詳しく解説しましょう。

ミラーリング効果で相手に好感を持たれるメカニズムや具体的活用例を知って、ビジネスに応用してみてください。

ビジネス心理学のミラーリング効果とは?

ビジネス心理学のミラーリング効果とは、相手と同じ動作をすることによって好感を持ってもらう心理的な効果です。

人は、親しい相手や好感を抱いている相手に対して同じ動作をしようとする傾向があります。

鏡のように相手の動作を真似ることからその名がつき「同調効果」と呼ばれることもあるものです。

例えば、取引先との商談の場面を想定してみましょう。

自分が興味のあることがありその際に身を乗り出したり、声が大きくなったりしたとします。

そのとき、相手も同様に姿勢が前のめりになり声の調子が上がったら、互いに対して好感を持ち一体感を感じるはずです。

このようにミラーリング効果は、相手との一体感やつながりを感じることで互いに好感を得ることができます。

この現象が起こるメカニズムには、人間が持つ「類似性の法則」が働いています。類似性の法則とは、脳が自分と類似するものに好感を持つというものです。

次に具体的にミラーリング効果を起こさせるために、使用できる要因を確認しましょう。

ミラーリング効果が発揮される部分

ミラーリング効果が、効果をもたらすのは動作のみではありません。

見た目や趣味など相手との共通点が見つかったときに、相手に親近感を覚えるのもミラーリング効果が働いているといえます。

ここで、ミラーリング効果が発揮できる具体的部分をまとめますのでご覧ください。

  • 動作
  • 言葉
  • 姿勢
  • 身だしなみ・見た目(服装)
  • 趣味や嗜好、出身地などの共通点

相手との共通点が多いほど私たちは、相手に対して好感を持つのです。

次に、ミラーリング効果が発見されたルーツについて確認していきましょう。

ビジネス心理学のミラーリング効果の発見者と実験内容

ミラーリング効果は、1999年の実施実験により二人のアメリカの心理学者によって発見されました。

  • ターニャ・チャートランド
  • ジョン・バー

実験内容としては、二人組のペアを2組作ります。そして、その二組には以下のような違いをもたせました。

  • 実験者から何も指示をしていないペア
  • 二人のうち一人に相手の動きを真似るように指示したペア

この二つの違いで一定時間話をさせた結果、後者の方がよりお互いが相手に好感を持ちました。

具体的には、話が弾むとともに相手への好感度も高くなる結果が出たのです。

ビジネス心理学におけるミラーリング効果のメリット

次に、ビジネス心理学におけるミラーリング効果のメリットについて見ていきましょう。

ビジネスでのミラーリング効果は以下の通りです。

  • ラポールの形成に役立つ
  • 短時間で仲を深められる
  • 組織風土の活性化が進む

一つずつ解説していきます。

ラポールの形成に役立つ

一つ目は、ミラーリングを行うことで相手とのラポール形成に役立つことです。

ラポールとは、相手との間に生まれる信頼関係のことを指します。

ラポールを築くことは、コミュニケーションの活性化心理的安全性の確保を促すメリットがあるのです。

また社内で実践して信頼関係が深まれば、離職率の低下にもつながります。

ミラーリング効果は、互いが好印象を持つきっかけとなるために信頼関係の構築に役立つのです。

こちらの記事ではラポールの概要やメリット、ミラーリングも交えたさまざまなラポールを形成するテクニックを紹介しています。

相手とラポールを築きよりよい関係を構築する方法を知りたい方は以下の記事をご覧ください。

短時間で仲を深められる

二つ目は、短期間で仲を深められることです。

先述した実験結果から見られるように、初対面の人にミラーリングを行うことで互いに好感を持ち、話し合いがスムーズになります。

例えば、初対面の見込み顧客や取引先で初めて会う相手など短期間で信頼関係を築きたいと思う人に対して使用が可能です。

短期間で少しでも仲を深められれば、次回の商談や意見交換などもスムーズに行えるようになります。

また、コミュニケーションを取りやすくなり仕事が速やかに進めることができるのもメリットです。

組織風土の活性化が進む

三つ目は、組織風土の活性化です。

ミラーリング効果は、動作、姿勢、声など外面に表れるもののみでなく相手との内面の共通点を見つけ出すことにも効果があります。

相手との類似点を積極的に見つけ出すように組織全体で取り組めば、社内エンゲージメントの活性化につながります。

例えば、類似性の法則を人材配置に使用することです。出身地や嗜好などが似た人をチームメンバーに置くなどができるでしょう。

反対の考え方として、人材配置には多様性を重視することにより新しいアイデアが創出できる職場作りをする考え方もあります。

さまざまな知識を取り入れて人材配置に応用することは、組織風土の活性化を行うことにも役立ちます。

ビジネス心理学におけるミラーリングの実践方法

次に、ビジネス心理学におけるミラーリングの具体的な実践方法を解説します。

ご紹介するのは、以下の三つの軸からです。

  • 動作・外見(姿勢・相槌・身だしなみ)
  • 声・言葉(テンポ・話題・トーン)
  • 感情

それぞれの項目について、具体的なミラーリングの例をあげながら解説していきますのでご覧ください。

動作・外見に焦点を当てる

ミラーリングの実践方法の一つ目は、動作・外見を合わせることです。

ここでの動作・外見とは、具体的に姿勢や、相槌、身だしなみを合わせることがあります。

姿勢

ミラーリング効果は、相手との姿勢を合わせることに使用が可能です。

例えば、相手が身を乗り出したら同じ動きをすることで話への興味関心を示したり同調の気持ちを表したりできます。

あるいは、相手が肩をすくめて落ちこんだとしましょう。

このような際に心に寄り添いたいときには、同調した姿勢を取ることで同情の気持ちを表すことが可能です。

相槌

ミラーリング効果は、相手の相槌にも使用できます。

例えば、相手が相槌の動作を行ったら同様に相槌を打って同意を振る舞いからも示すことができます。

身だしなみ

ミラーリング効果は、身だしなみにも使用できます。

例えば、私たちは相手と似たような服装や身だしなみをしていると好感を持つのです。

実際に、英国のデイリー・メールでは、上司の約7割が自分と似た服装をした部下に好感を持つとの結果を報道しています。

この考え方を応用すると、例えば商談の際に相手企業に合わせた身だしなみをすることで好印象を与えられると考えられます。

声・言葉に関することに焦点を当てる

ミラーリングの実践方法の二つ目は、声に焦点を当てることです。

ここでは、声のテンポやトーン、話題などがあります。

テンポ

会話のテンポや話の間などを相手に合わすことができます。

例えば、会話の話題展開が早い人には相手のスピード感にそれに合わせましょう。

反対に、じっくりと考えてから話す人には、こちらもそのテンポ感に合わすことで一体感を生み出すことができます。

話題

相手が提供する話題について、ミラーリング効果を活用できます。

例えば、頻繁に話される単語や話題から、相手の価値観を知ることができるでしょう。

相手が興味のある話題を把握することができたら、その傾向に合わせて話題を展開してみてください。

相手との話が盛り上がり、それが信頼関係を生むきっかけとなります。

トーン

声色や声のトーンを相手に合わすことができます。

例えば、相手のトーンが高い場合は、同調することで相互で一体感をもたらすことができます。

反対に、相手の声色が低い場合は、こちらも合わせることが、相手とのスムーズな交流を手助けするでしょう。

相手の感情に焦点を当てる

相手の感情に同調することは、ミラーリングで最も効果があると言われています。

例えば、相手のしぐさや声の調子、表情などから、相手の感情を察することができます。

感情を読み取り相手に同調することで、好感を持ってもらいやすくなるでしょう。また、相手の緊張感をなくしてリラックスしてもらい、打ち解けやすくなるというメリットもあります。

ビジネス心理学のミラーリング効果を行う際の注意点

ミラーリング効果は互いに好感を持つ作用があり、積極的に使いたい手法ですが使用の際には留意すべき点もあります。

具体的な注意点は、以下の通りです。

  • 動作は時々織り交ぜるようにする
  • 相手に悟られると不信感を与える
  • その場の状況に応じて適切に行う

例を交えながら解説していきます。

動作は時々織り交ぜるようにする

ミラーリングを行う際は、相手と同じしぐさを時々織り交ぜることが大切です。

なぜなら、相手と同じようなしぐさを高頻度で行うようでは、相手がそれに気付いてしまうため効果は打ち消されます。


例えば、訪問営業を行う場面を想定してください。

初対面の相手と毎回共通点を探そうとして好感を持ってもらおうとしたら、相手はかえって気を悪くする可能性があります。

ミラーリング効果は行う頻度に比例して、効果があがるものではありません。

あくまで時々そのような効果を織り交ぜることを意識しましょう。

相手に悟られると不信感を与える

ミラーリングを行う際は、相手に悟られると不信感を与えてしまいます。

なぜなら、意識的にそれを行っているとすれば、相手はなぜそのようなことをするのか理解できず苦しむかもしれません。

また、心理学の知識がある人であると、ミラーリング効果をしていると悟られかえって悪印象を与えてしまう可能性があります。

実践する際は、あくまで相手に悟られないように実践するようにしてください。

その場の状況に応じて適切に行う

ミラーリングを行う際は、その場の状況に応じて適切な行動に対して行うことが重要です。

その場の状況で、好ましくない部分をミラーリングすることはその場に居合わせている人に悪印象や不信感を与える可能性があります。

例えば、相手があまりに過剰に感情的になっている場面を想定します。 ここで、あなたも同様に感情をあわせてしまえば、周囲に悪い印象を与えるかもしれません。

感情の同調はミラーリング効果では最も効果があるものでありますが、あくまでその場の状況に応じて使いわけましょう。

相手との今後の関係性を考えたり、場全体の状況を把握したりしながら、適切な選択をしていってください。

まとめ

今回は、ビジネス心理学のミラーリング効果の概要や、効果を形成できる部分、注意点や実践例について紹介しました。

ミラーリング効果は、相手と同じ動作をすることによって好感を持ってもらう心理的な効果であり類似性の法則に基づいています。

ビジネス心理学におけるミラーリング効果のメリットは以下の通りです。

  • ラポールの形成に役立つ
  • 短時間で仲を深められる
  • 組織風土の活性化が進む

また、ミラーリングを実施できるものは以下の通りです。

  • 動作・外見(姿勢・相槌・身だしなみ)
  • 声・言葉(テンポ・話題・トーン)
  • 感情

ミラーリングを行う際は、次の点に注意してください。

  • 動作は時々織り交ぜるようにする
  • 相手に悟られると不信感を与える
  • その場の状況に応じて適切に行う

ビジネス心理学のミラーリング効果を上手く活用して、あなたのビジネスの役に立つことができれば幸いです。

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最終更新日: 2024/01/29 公開日: 2024/01/29