- 中古市場が現状どうなっているのかが分かるデータはないだろうか?
- 今後、中古市場がどうなっていく可能性が高いのか?
- 日本と国外では中古市場にどのような違いがあるのだろう?
上記のような疑問を抱えていませんか?
今回は、中古市場の現状と今後の見通しを知る上で手がかりになる統計データを紹介します。
中古市場で事業に携わっている方、中古市場への参入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
市場規模に関する統計データ
はじめに、中古市場全体の市場規模について見ていきましょう。
フリマアプリの浸透や物価高などを背景に、急拡大しつつあるといわれているのが中古市場です。
実際、市場規模はどのように変化しているのでしょうか。
中古市場の経年変化と予測
国内の中古市場は2020年時点で2兆4,169億円に達しています。
2兆円規模というのは、インポートブランドの小売市場規模全体とほぼ同等の市場規模です。
2009年の段階では1兆円強だった市場規模は、10年足らずの間に2倍以上に成長を遂げました。
2025年には中古市場規模は3兆5,000億円に達すると予測されており、今後も伸びていくことが見込まれています。
全体としては需要の縮小が見込まれている国内市場において、着実な成長が期待できる市場といえるでしょう。
業態別の市場規模
業態別に見た場合の市場規模は次の通りです。
・BtoC(店舗):9,928億円(36.8%)
・BtoC(ネット):4,963億円(18.4%)
リサイクル通信「リユース業界の市場規模推計2022(2021年版)」より
上記の通り、中古市場の4割以上はCtoCが占めているのが実情です。
フリマアプリをはじめ、個人間での中古品取引が広く浸透しつつある実態が窺えます。
BtoC市場においても3分の1をオンラインでの取引が占めていることから、中古市場の主戦場はECと捉えてよいでしょう。
中古市場で販路を拡大したい事業者の方や、中古市場に今後参入する予定の事業者の方にとって、ECの活用は不可欠といえます。
CtoCであれば事業者側で在庫の保管が不要のため、ECと組み合わせることで幅広い商材を取り扱える可能性を秘めているのです。
品目別の市場規模
品目別に見ると、市場規模は下記の通りとなっています。
・ブランド品:2,947億円
・家具・家電:2,518億円
・バイク・原付:1,990億円
・玩具・模型:1,803億円
・スポーツ・レジャー用品:1,172億円
・ゲーム・メディア:1,041億円
・パソコン:1,023億円
・書籍・994億円
・日用品・生活雑貨:754億円
・カメラ:686億円
・自転車:658億円
・カー用品:638億円
・携帯・スマホ:590億円
・ベビー・子供用品:375億円
リサイクル通信「リユース業界の市場規模推計2022(2021年版)」より
群を抜いて市場規模が大きいのが衣料品・服飾品となっているほか、家具や家電など身近な商品が取引されていることが分かります。
玩具・模型やレジャー用品のように、娯楽要素の高い商品の取引がさかんに行われているのも大きな特徴です。
書籍は昔から中古品の取引がよく行われてきたジャンルですが、すでに市場としては小規模な部類に入りつつあります。
中古品の取引は特定の分野に限らず多岐にわたって行われており、私たちにとって身近な取引形態の1つとなっているのです。
購入単価・購入者数に関する統計データ
次に、中古品の購入単価と購入者数に関するデータを紹介します。
中古品を購入する消費者は、どういった商品にどの程度の金額を支払っているのでしょうか。
商品別の購入単価
下のグラフは、中古市場における商品別購入単価を示しています。
最も購入単価が高いのはバイク・原付で、18万円台に達していることが分かります。
次いでブランド品、カメラ、家具・家電、パソコンの購入単価が高く、2〜3万円台という結果です。
一般的な新品の価格帯から推察すると、中古品として購入する際には価格がある程度下がったものを購入していると考えられます。
一方、スポーツ・レジャー用品や玩具・模型はいずれも1万円台となっており、購入額が極端に低いわけではありません。
趣味・娯楽が目的の品目に関しては、中古品であっても「安ければよい」という受け止め方ではないことが見て取れます。
商品別購入者数(推定)
商品別の推定購入者数を見ると、中古品取引の別の側面を垣間見ることができます。
購入者が最も多いと推定されるのは衣料・服飾品であり、次いで多いのは書籍という結果が出ています。
多くの消費者にとって中古品売買に馴染みがあるのは、衣料・服飾品や書籍といった品目なのです。
消費者の視点から見た場合、より親しみやすいのは衣料・服飾品や書籍が取引されている中古ECサイトということになるでしょう。
サービスを設計する際には、取引額だけでなく顧客数も加味した上で取り扱う商材を決定していくことが大切です。
※環境省「令和3年度 リユース市場規模調査報告書」より
事業者に関する統計データ
中古市場には現状どのくらいの事業者数が存在し、売上高はどの程度になっているのでしょうか。
市場規模の拡大に伴って事業者の状況も変化していますので、ぜひ把握しておいてください。
年間売上高と1社あたり売上高
2017年時点での中古品の売上高は、業界全体で4,000億円に達しています。
2010年時点での売上高と比較すると208.7%も増加しているのです。
一方、1企業あたりの売上高は2017年時点で約200億円となっています。
2010年時点と比較すると69.7%の増加に留まっているのは何が要因だったのでしょうか。
考えられる要因として、中古市場に参入する企業が増加したことが挙げられます。
実際、上図の調査対象企業数は2010年時点で11社だったのに対して、2017年時点では20社に増加していました。
業界内でのパイの奪い合いが徐々に激化しつつある様子がうかがえます。
※環境省「令和3年度 リユース市場規模調査報告書」より
店舗数と1店舗あたり売上高
中古品を扱う店舗数と1店舗あたりの売上高はどのように変化したのでしょうか。
2017年時点で中古品を扱う直営店・FC店の合計数は4,952店です。
2010年と比較すると、店舗数は211.1%増加していることが分かります。
1店舗あたりの売上高は2017年時点で8,172億円と、過去最大だった2012年と比較すると11.5%減少しています。
1店舗あたりの売上高が減少した理由として、取り扱い商品の多様化が挙げられます。
かつてはブランド品やカメラなど、高価格帯の商品を中心に中古品を扱うのが中古市場のスタンダードでした。
近年では日用品をはじめ、衣料・服飾品など手頃な価格帯の商品にも中古品の取引が拡大しています。
結果として中古品を扱う店舗数は増加した一方で、店舗あたり売上高は微減したと捉えてよいでしょう。
※環境省「令和3年度 リユース市場規模調査報告書」より
直営店・FC店の内訳と保有店舗数
中古品を扱うFC店は、2013年以降ほとんど店舗数が増えていません。
一方、直営店は2013年から2017年にかけて126.6%増加しており、中古市場の活況を直営店が牽引していることが分かります。
1企業あたりの保有店舗数に関しては、2010年から100店舗以上増加していることから好調な企業が多いと推察できるといえます。
この情報を踏まえると、過去数年間の傾向として小型直営店の新規参入が相次いだ実態が浮かび上がってきます。
中古市場では大手企業の寡占状態が揺らいでおり、スモールビジネスも成立しやすい状況になりつつあるといえるでしょう。
以上のことから、中古市場は新規参入の余地がまだ十分に残されており、参入予定の企業にとってチャンスの豊富な業界といえます。
※環境省「令和3年度 リユース市場規模調査報告書」より
日米の比較に関する統計データ
日米の中古市場を比較すると、市場性や消費者の志向が大きく異なっていることが分かります。
アメリカの情勢が数年遅れて日本に渡来する現象はよく知られているため、今後の動きを見通す上で把握しておきたい情報です。
日米で事業を展開するメルカリの決算資料を元に、両国の市場の違いを確認しておきましょう。
※以下、数値は「株式会社メルカリ2023年第2四半期決算資料」より抜粋
日本におけるCtoC人気ジャンル
フリマアプリ「メルカリ」を通じて取引された商品のうち、日本国内で人気が高いのは下記のカテゴリーです。
・エンタメホビー(26%)
・レディース(19%)
・メンズ(16%)
・家電(9%)
・スポーツレジャー(7%)
日本国内では、エンタメホビー関連の中古品がフリマアプリを通じて多く取引されていることが分かります。
新品の販売が終了している商品や、コレクションで漏れている商品など、趣味・嗜好性の高い商品に人気が集まっているのです。
ファッション領域においては、メンズはレディースよりもやや割合が低いものの、性別を問わず多く利用されています。
アメリカにおけるCtoC人気ジャンル
次に、アメリカの中古市場でCtoC取引の多いカテゴリーを見ていきましょう。
メルカリUSで取引された商品のうち、アメリカ国内で人気が高いのは下記のカテゴリーです。
・レディース(25%)
・エンタメホビー(20%)
・家電(16%)
・メンズ(11%)
・インテリア(7%)
全体の4分の1をレディースカテゴリーが占めており、女性の利用者が多いことが窺えます。
日本国内ではメンズ・レディースが拮抗しているのに対して、アメリカではメンズカテゴリーの割合が低いのが特徴です。
家電が占める割合も日本と比べて高いことから、中古の家電を購入する習慣が日本よりも浸透しつつあると考えられます。
以上の傾向から、レディース・家電カテゴリーは日本においても今後さらに伸びる可能性を秘めているといえるでしょう。
アメリカのオンライン・リユース市場の現状と今後の見通し
アメリカの中古市場は2020年時点で560億ドルに達しており、2015年の250億ドルから2倍以上に拡大しています。
2030年には1,960億ドルと、日本国内の市場規模をはるかに凌ぐ規模に成長すると予測されているのです。
国内の中古市場は拡大しつつあるとはいえ、アメリカの中古市場が持つポテンシャルは桁違いといえるでしょう。
アパレルや家電のように、日本国内の市場で人気を博しているカテゴリーがとくに伸びていくとも予測されています。
今後、中古市場への参入を検討している事業者の方は、米国市場も視野に入れて事業モデルを構想していくのも1つの方法です。
※Mercari US「The Reuse Report」より
まとめ
中古市場の統計データから、次の傾向を読み解くことができます。
- 市場規模は国内外ともに今後伸びていくことが予想される
- ECによるCtoCが市場の4割以上を占めており、主戦場となっている
- 取り扱い商品が多様化し、中古品が消費者にとってより身近な選択肢となった
- 直営店の増加と多店舗化が進んでおり、小規模事業者にもチャンスが多い
- アメリカにおける中古市場の動向から、アパレル・家電は今後さらなる伸びが期待される
急拡大を続ける中古市場は、今後もビジネスチャンスの宝庫であり続けるでしょう。
今回紹介した統計データを参考に、ぜひ中古市場への参入や事業の拡大を検討してみてください。
中古品の売買を手がけている事業者の方はもちろんのこと、新規参入を検討中の方にとっても有益なヒントが見つかるはずです。
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