三方よしとは?売り手良し、買い手良し、世間良しの事業事例を紹介

最終更新日: 2024/01/16 公開日: 2022/07/04

「三方よしを実際に実現して成功している企業事例を知りたい!」
「自社でも三方よしを取り入れるポイントを知りたい!」


三方よしからなる絆徳経営のスタイルは、今後の時代に必要になる企業経営の考え方です。

江戸時代の近江商人から現代まで続く三方よしの概念は、これまでに数えきれないほど多くの企業を救ってきました。

三方よしの経営とは

三方よしの経営とは、「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」の3つを意識することで、それぞれが良い相乗効果を生み出すことです。

「三方よし」とは?
  • 売り手よし…利益を出せること、従業員にやりがいがあること
  • 買い手よし…お客様によいサービス・商品を提供すること
  • 世間よし…社会のためになる事業をおこなうこと
  • →これら三方向へのよいことをおこなうことで、それぞれが互いに良い相乗効果を生み出すこと(Win-Winになる仕組みのこと)

    三方よしの誕生は、江戸時代に栄えた近江商人の思想が原点です。

    三方よしが浸透した理由や、それぞれの大切にするべき考え方をご紹介しましょう。

    近江商人の思想が浸透した理由

    三方よしとは、現在の滋賀県発祥の「近江商人」が大事にしていたとされる思想です。

    江戸時代から明治時代にかけて、日本には3大商人と呼ばれる、3つの商人がいました

  • 近江商人
  • 大阪商人
  • 伊勢商人
  • 近江商人は、地元の特産品を全国各地に売ることで、発展していきました。織田信長による「楽市楽座」をきっかけに大きく発展し、日本中で知られる商人となったのです。

    しかし、近江商人が有名になったのは、単に幕府の政策によるおかげのみではありません。独自に実践していた三方よしのおかげでもありました。

    近江商人の三方よしの基礎は、中村治兵衛が孫に向けて残したとされる書置きの言葉がもととなっていると言われています。

    その原典は江戸時代中期の近江商人である中村治兵衛が孫に残した書置にあるとされ、そこには、「たとへ他国へ商内に参り候ても、この商内物、この国の人一切の人々、心よく着申され候ようにと、自分の事に思わず、皆人よき様にと思い」とあり、自分の事よりもお客の事を考え、みんなの事を大切にして商売をすべき、という風に書かれています。

    三方よしを世界に広める会(http://sanpoyoshi.net/)

    売り手よし、買い手よし、世間よしの事業活動

    三方のそれぞれに取り組み、サイクルを回していくことが大切です。

    近江商人は、具体的には以下の三方よしを実践していました。

    STEP1売り手の利益を優先することなく、買いに来てくれたお客さんにまず喜んでもらえるような商品を提供する。(=買い手よし
    STEP2その後得た利益で、学校や橋といった社会が求めているものを建設する。(=世間よし
    STEP3そのサイクルを繰り返すことで、お客さんが買って嬉しい(=買い手よし)、社会が嬉しい(=世間よし)が繰り返される。
    STEP4企業自体の信用が増え、買い手が増えることで企業成長につながるとともに、従業員のやりがいにもつながる(=売り手よし
    近江商人の三方よし
    • 自分の利益のみを優先させず、買い手に誠実に対応する
    • 利益を社会に還元することで、やがて信用を得る
    • 信用が、売り手の企業成長や従業員自身のやりがいにもつながる

    というサイクルをおこない、成長させていきました。

    従業員の物心の豊かさが支えとなる

    「売り手よし」に関しては、「従業員の精神的な豊かさ、利他の心」が三方よしの経営を支えることとなります。

    「お客様に心からこの商品を喜んでもらいたい」
    「自分の事業でやっていることで社会のためになりたい、喜んでもらいたい」

    という従業員の物心の豊かさが、絆徳経営の支えとなるのです。

    企業でお金を稼ぐことや、自分の利益だけを追求していると、短期的には成功しても長期的に成功し続けることは不可能でしょう。

    なぜなら、お客様や社会の支えがあり、商売が成り立っているからです。

    売り手よしを実現するためには、利益のみを追い求めるのではなく、従業員の物心の芽生えを大切にすることです。

    例えば、従業員一人一人の物心の豊かさを支えとするためには、経営者の方には何ができるでしょうか。

    まずは、経営者がさまざまなものに対して、感謝の気持ちを持ち続け、それを社員にきちんと伝えていくことができるでしょう。

    ポイントは、感謝は「する」ものではなく「伝える」ものだということです。心のなかで感謝するだけでなく、口に出して「ありがとう」と伝えましょう。そうすれば、相手との絆はさらに強くなります。(省略)感謝をしている、だけではなく、実際に「感謝を言葉にして伝える」ことを意識してみてください。

    絆徳経営のすゝめ(著者:清水 康一朗)P63より引用

    三方よしからなる絆徳経営について知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

    誠意をもってお客さまに向き合う

    「買い手よし」を実現するためには、経営者のみでなく従業員の担当者の一人一人が誠意をもってお客様に向き合うことが大切です。

    従業員一人一人がお客様が本当に求めていることは何だろうか?と、お客様視点に立って考えてみてください。

    絆徳経営のすゝめ P85によると、「その人はどんな人で、何を求めているのか?」がすべての出発点であると言います。

    その買い手の出発点をよく考え、ニーズを満たし、相手にとって信頼のおけるサービスや商品を届けること。

    買い手にとって「よいこと」をおこなうという、買い手よしの観点で相手のニーズを満たすことを考えましょう。

    人の幸せに貢献する事業構築

    「世間よし」を実現するために、私たちは人の幸せに貢献する事業構築を考えましょう。

    人の幸せに構築する事業構築とは、時には、大きな利益にならないこともあります。

    しかし、買い手があっての商売です。得た利益を買い手の総意である、世間に還元することで、恩返しをしていく、感謝を形で伝えることが大切です。

    ぜひ、自分たちのおこなっている事業で社会に恩返しできることがないか考えてみてください。

    次の企業事例では、三方よしの考えに基づいた社会貢献の事例をご紹介します。

    三方よし経営の浸透に成功した企業5選

    三方よしの経営を実践の浸透に成功した5つの企業をご紹介します。

    • 伊藤忠商事
    • ツカキグループ
    • 無印良品
    • 異動スーパー「とくし丸」
    • ラーニングエッジ

    伊藤忠商事

    https://www.itochu.co.jp/ja/

    伊藤忠商事の企業理念は、ずばり「三方よし」。1858年の創業から現代に至るまで、この理念を掲げ商売をおこなってきました。

    伊藤忠商事の創業者、伊藤忠兵衛も三方よしを実践した一人です、

    伊藤忠兵衛は、関西から麻布を関東をはじめとした全国各地で販売する「持ち下り」をおこなうことから商売を始めました。

    滋賀大学宇佐美名誉教授によれば、そのルーツは初代伊藤忠兵衛が近江商人の先達に対する尊敬の思いを込めて発した『商売は菩薩の業(行)、商売道の尊さは、売り買い何れをも益し、世の不足をうずめ、御仏の心にかなうもの』という言葉にあると考えられる。」とのことである。

    伊藤忠商事 近江商人と三方よし
    (https://www.itochu.co.jp/ja/about/history/oumi.html)

    ツカキグループ

    https://www.tsukaki.com/

    1867年創業のツカキグループは、企業理念を近江商人の「三方よし」売り手よし、買い手よし、世間によしを掲げています。

    きものやジュエリーを取り扱い、古きよいものを残しながら、既成概念にとらわれない新しいことにも果敢に取り組むツカキグループ。

    三方よしの実践としては以下のことに取り組んでいます。

    • 文化事業や文化的施設の保存・再生(社会や地域に育てられた、自社の感謝のかたちを伝えるため=世間よし)
    • やりがいのある社内環境(若手が積極的にチャレンジする機会をつくる、社内の活性化、モチベーションの向上→お客様の信頼と評価を得る、商品のご提供につながる=売り手よし、買い手よし)

    無印良品

    https://ryohin-keikaku.jp/

    無印良品の企業理念は、「人と自然とモノの望ましい関係と心豊かな人間社会」を考えた商品、サービス、店舗、活動を通じて「感じ良い暮らしと社会」の実現に貢献する。というものです。

    その中で無印良品は、2018年2月に地域活性化をめざす「ソーシャルグッド事業部」を展開しました。

    この事業部は、例えば以下のことをおこなっています。

  • 2020年7月に新潟県の上越市に「無印良品 直江津」をオープン。(新幹線の幹線道路沿いでなく、市街地に置くことで、街自体の活性化を目指しました。)
  • 2021年2月に山形県酒田市に「無印良品 酒田POP-UP STORE」をオープン。(シャッター通りの店舗を利用した小型店舗。空き店舗を減少させること、地域への観光客の増加を目指しました。)
  • 移動スーパー「とくし丸」

    https://www.tokushimaru.jp/

    とくし丸は、日常的に食品や日用品の買い物に行くことに不自由している高齢者に向けて、トラックでの移動式スーパーマーケットを運営しています。

    高齢者が喜ぶおこない(=買い手よし)のほかに、以下の三方よしも実践しています。

  • 一人一人対面販売をすることにより、地域の高齢者の見守りや安全確認としての役割も担う(=世間よし)
  • 個人商店との共存とのために、半径300メートルでは売ることをしない(=世間よし)
  • 販売パートナーが仕事をしやすい環境を作る、提供する(=売り手よし)
  • ラーニングエッジ

    https://learningedge.jp/

    ラーニングエッジでは、経営理念を、「全従業員の物心両面の豊かさを追求すると共に教育を通じた社会の成長発展に貢献します」としています。

    ビジネススクールや、ビジネス教材販売などの事業をおこない、三方よしを原点とした絆徳経営をおこなっています。

    ラーニングエッジが実践している三方よしは以下の通りです。

  • 社員の定着と活躍を推進する教育と評価制度の実践(=売り手よし)
  • 売り上げから一定の割合で、寄付や寄進、その他ボランティア活動をおこなう(=世間よし)
  • 絆徳の哲学を広げるセミナー「MBSシリーズ」

    https://learningedge.jp/mbs-service/

    絆徳の哲学を広げる「MBSシリーズ」は、三方よしの理念と利益を共存させる方を学び実現するためのセミナーです。

    • お客様に適切にアプローチする方法の基礎
    • 企業に利益をもたらすための具体的手法
    • リーダーシップの高め方
    • 部下の育成
    • 絆徳経営の深い学び

    など幅広い項目でラーニングエッジ独自のノウハウを学べます。

    学んだことを実践していただき、絆徳の経営をぜひ実現していただければと思います。

    全部で5つのフェーズがあり、1単位からでも受講可能です。
  • MBS1:絆徳の経営【言語化】絆徳のマーケティング 基礎編
  • MBS2:絆徳の経営【最適化】絆徳のマネジメント 基礎編
  • MBS3:絆徳の経営【最大化】絆徳のリーダーシップ 基礎編
  • MBS4:絆徳の経営【組織化】絆徳のリーダーシップ 実践編
  • MBS5:絆徳の経営【自動化】絆徳のマネジメント 実践編
  • 未来に繋がる事業を創ろう

    売り手・買い手のみでなく、世間よしの三方よしを構築することで、未来につながる事業を展開していきましょう。

    現代社会では、自然環境の破壊や、日本の人口減少などさまざまな問題があります。

    現代の私たちが未来に向けて積極的に、持続可能な社会をつくっていくことが求められています。

    三方よしを進めれば、社会貢献につながるのみでなく、売り手買い手との絆ができ、長期的で持続可能な経営を行うことが可能です。

    「よいこと」が伝わっていくビジネス構築

    従業員、購入する人、社会のすべてにとって「よいこと」が伝わっていくビジネスつくりをしてください。

    「あなたがよいことをするから、ずっと一緒にいられる関係」を「絆徳」と言います。

    絆でつながる絆徳経営をラーニングエッジでは大切にしています。

    買い手や売り手と社会との絆づくりを意識して、三方よしを実現させてください。

    セミナーズ通信

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    最終更新日: 2024/01/16 公開日: 2022/07/04