時代はコト消費?モノ消費から変化した理由・次のニーズとは

最終更新日: 2022/12/07 公開日: 2022/01/14

「コト消費、モノ消費って何?」
「商品の売上が上がらない」
「思うように来客数が増えない」

このようなお悩みを抱えていませんか?

コト消費、モノ消費とは、消費者がお金を遣う行動の理由です。人々の消費スタイルは、ニーズに合わせて変化し続けています。

この記事ではコト消費、モノ消費の違い、消費スタイルが変化した理由を解説。新たな消費スタイルのトキ消費を生み出すポイントに加え、イミ消費、エモ消費にも触れています。

ぜひこの記事を最後まで読んで消費スタイルを知り、売上アップのヒントにしてくださいね。

「コト消費」と「モノ消費」の違い|人の消費スタイル

コト消費、モノ消費という言葉は、消費者がお金を費やすスタイルを指します。

モノ消費は商品を所有することに対する価値を重視して消費することです。一方でコト消費は体験、経験などの目には見えないことに価値を見出して消費を促します。

モノ消費とは「商品・サービスそのものに見出す価値」

モノ消費とは、消費者が商品の購入、サービスの利用を目的にお金を使うときに価値を見出す消費スタイルのことです。

モノ消費の対象はおもに形があるモノです。たとえば、以下のモノが挙げられます。

  • 家電
  • 衣類
  • 日用品
  • 飲食店のメニュー

消費者は商品に備わっている機能、品質を重視して消費します。つまり商品自体に価値を見出し、買い足しや買い換えによって欲求を満たす消費するスタイルがモノ消費です。

コト消費とは「体験・経験に対する価値」

コト消費とは、モノを所有することでは得られない体験、経験によって得られる価値を重視する消費スタイルのことです。

コト消費の対象は、たとえば旅行やイベント、コミュニティなどの形のない体験や経験による消費です。

旅行の場合は、以下のようなコト消費があるでしょう。

  • 宿泊施設の利用
  • 伝統工芸品などのもの作り体験
  • ラフティング・パラグライダーなどのアクティビティ

このようにコト消費は、企業が提供する商品自体が体験となることが主体です。消費者の「自慢したい」「楽しみたい」という欲求を満たすことで発生します。

また体験を通じてその場限定の商品を販売し、モノ消費につなげるケースもあるでしょう。

モノ消費からコト消費へ|消費スタイルが変化した理由

人々の消費スタイルがコト消費からモノ消費へと転じた理由は、消費者のライフスタイル、価値観が変化したからです。

モノがあふれている現代の消費者は、生活に必要なモノ、便利なモノがすでに揃えている傾向があります。手元の商品に満足した消費者が次に求めるものは、目に見えない価値。つまり経験、体験です。

また多様性が尊重される時代になったことも、消費スタイルが変化した理由として考えられます。

現代はモノがあふれている

モノが少なかった時代は、商品そのものに対する価値が人々に求められていました。

テレビでたとえると、わかりやすいかもしれませんね。

白黒、カラー、ハイビションなどの各テレビが発売された頃は、商品のスペックを求めるモノ消費の時代です。充実した機能のテレビを所有することに価値を感じる人が購入していました。

しかしテレビが普及し、所有が当たり前になると消費者のニーズが変化。次第に「高画質のテレビでオリンピックが観たい」というような目に見えないコトに価値を感じるようになりました。

つまり「テレビ(モノ)が欲しい」という欲求から、「欲求を満たす(コト)ためにテレビが欲しい」というニーズに転換したのです。

現代は経済成長や技術革新によって、モノがあふれる時代。ショッピングはネット通販が中心です。いつでも手軽に、高品質のモノが入手できるようになりました。

これにより消費者は手元のモノ(商品)に満足し、所有することに魅力を感じなくなっている傾向があります。

商品の機能に対する価値よりも、商品を購入するだけでは手に入らない体験に対する消費意欲が高まったのです。

多様性が尊重されるようになった

現代は多様なライフスタイルが認められ、1人ひとりのアイデンティティーが尊重される時代です。年齢や性別、国籍、価値観にとらわれず、個人を尊重する考え方が認める取り組みが広がっています。

たとえばダイバーシティの推進。ダイバーシティ(Diversity)とは、さまざまな属性を持つ人が集まった状態のことです。ビジネスの場ではおもに雇用形態を示す際に使われ、多様な人材が活躍する機会を得られることを指します。

このような時代の流れから、消費者には多様性への理解、関心を深めたい欲求が生じるでしょう。その体験を求めるニーズが、コト消費につながるのです。

近年注目を浴びるトキ消費|限定された価値

近年はネットの普及によってコト消費のニーズが満たせるようになり、消費者は目には見えない価値を求める傾向があります。

とくにコロナ禍によって価値観とライフスタイルが変化したことも、トキ消費が注目を浴びる理由の1つです。

モノよりコトを重視した消費者の欲求を満たすものは、心に残る体験。商品自体のスペックではなく、自慢できる経験などの刺激です。

そこで注目されている新たな消費スタイルがトキ消費。トキ消費とは博報堂生活総合研究所が提唱した言葉です。

トキ消費はその時間、その場所、その人と一緒でなければ満たすことができないことに価値を感じ、消費するスタイル。つまり限定された価値です。

さっそくトキ消費の特徴、消費を生み出すポイントを見ていきましょう。

トキ消費の特徴|非再現性・貢献性・参加性

消費者が限定的な価値を見出すトキ消費の特徴は、以下の3つです。

  • 非再現性
  • 貢献性
  • 参加性

非再現性は、二度と同じ体験ができない感動を指します。時間、場所を限定することで、消費者はその瞬間、その場所でしか味わえない体験のために消費するでしょう。

また貢献性は、誰かに貢献していると実感することで満たされる要素です。イベントにたとえると、消費者が「その場の雰囲気づくり、盛り上がりに貢献している」と深く感じることが消費につながるのです。

トキ消費は、参加することそのものが目的となります。消費者が主体的に参加することで、一緒に過ごす人と感動や体験を共にできるという目的があるからこそ、消費が発生します。

つまり消費者自身が参加することで、貢献できたことを実感同じ体験ができないことがトキ消費を生み出すのです。

トキ消費を生み出すポイント|ニーズを循環させる

トキ消費を生み出すポイントは、モノ消費やコト消費と分断せず、循環させる考え方を取り入れることです。各消費スタイルがそれぞれ役割を果たすことで、消費を促す仕組みができあがります。

画像引用元:博報堂WEBマガジンセンタードット

ミュージシャンのライブツアーイベントを例に挙げてみましょう。

  • モノ消費:グッズの販売
  • コト消費:参加することで得られる体験
  • トキ消費:その場でなければ味わえない限定性

このようにライブイベントという1つの商品には、3つのニーズがあるのです。

モノ、コト、トキを分けて考えるのではなく、1つのサイクルとして機能させることを意識してみてはいかがでしょう?

トキ消費を生み出した事例

ここではトキ消費を生み出した旅館と飲食店の事例を紹介します。

前述したトキ消費の特徴である非再現性、貢献性、参加性を組み込んだ事例をヒントに、消費へとつなげましょう。

神戸みなと温泉 蓮|世代を越えたナイトプール

2018年、旅館「神戸みなと温泉 蓮」で実施された事例です。同旅館では若者に偏りがちなナイトプールを、シニア世代にも楽しんでもらうためのアイデアを取り入れました。

シニア世代が集まりやすい時間帯のBGMには、ジャズ演奏やゴスペルを投入。懐メロも流し、世代を越えてナイトプールの雰囲気を味わえる工夫を施しました。

また「若者に人気の場所で、水着姿になるのは気が引ける」という中高年層の声を聞き、洋服のまま入場できるようにしたそうです。

若者で賑わうナイトプールのイメージ転換を図るような試みですね。

フレッシュネスバーガー|商品の生き残りをかけた投票

2017年におこなわれたハンバーガーチェーン店の事例です。

スタッフから高い人気を集めながらも、売上数に伸び悩むメニューがありました。

そこで「生き残りキャンペーン」と銘打ち、「期間内にランキング上位に入らなければ、販売を終了する」というルールを決めたのです。

さらにSNSによって売上状況をリアルタイムで配信し、参加型ならではのワクワク感を演出しました。

結果、メニュー存続を望む消費者が店舗を訪れ、該当する商品の売上が増加。集客効果も発揮したのです。

トキ消費を生み出したのは「今後食べられなくなる」という非再現性。加えて「自分の1票がメニューの存続を左右する」という貢献性、参加性が消費活動のカギとなったのです。

次のニーズ?イミ消費とエモ消費|消費者の貢献感を満たす

紹介したモノ消費、コト消費、トキ消費の他にも、新たな消費スタイルの言葉があります。それはイミ消費エモ消費

トキ消費の紹介の中で触れたように、消費者は自分以外の誰かに貢献することで満たされる傾向があります。

これから紹介するイミ消費とエモ消費は、いずれもトキ消費の特徴の1つとして挙げた、貢献感を満たす消費スタイルです。

イミ消費|社会・環境に貢献する価値

イミ消費とは商品の機能だけでなく、その商品に付帯する社会・環境に貢献する価値に共感して消費すること。その特徴は、消費行動そのものに対する貢献感や満足感です。

近年の消費者は人に貢献すること、環境に優しいことを重視する傾向があります。商品を通じて社会、環境に貢献するという付加価値が消費行動につながるのです。

たとえば飲食業界であれば、以下のエコな取り組みが挙げられます。

  • 自然災害が起こった地域の食材
  • 再生資材のテイクアウト容器
  • プラスチックカトラリーの廃止

このような地域や環境に配慮した飲食店を選ぶことで、消費者には「社会的に貢献している」という気持ちが芽生えるでしょう。

消費者は自分自身のためではなく、他者に貢献できることに意義を感じ、価値を見出して消費するのです。

エモ消費|精神的な充実感

「エモい」という言葉を聞いたことはありませんか?

エモ消費は感情を意味するEmotional(エモーショナル)の略語「エモ」という言葉を使った消費スタイル。「言葉では説明できないけれど満たされる」ような、精神的な充実感を指す言葉です。

つまりエモ消費とは、説明しがたい感情的な満足感のことです。モノ、コトは手段の1つと考え、人々は「エモい」という感情によって消費を生むとされています。

たとえばオンラインサロン。会員1人ひとりが自分の役割を果たしていると実感することが消費につながるでしょう。またクラウドファンディングなら、寄付によって何かを作り上げることに貢献している実感がともないます。

このように感情的なつながりによって消費を生むスタイルがエモ消費です。

イミ消費と同様に、消費者の貢献感を満たすという点がトキ消費に通じますね。

消費者が求めるものは付加価値!感情に注目しよう

これまでの消費者は、提供されるモノや体験できるコトに満たされてきました。しかし近年は、体験の中で得られる他者への貢献感に価値を感じる傾向があります。

市場のニーズは、今後も社会の風向きによって変化し続けるでしょう。

消費を生み出すポイントは、消費者が求めているものを突きとめること。市場ニーズのトレンドを追うだけでなく、消費者が何に価値を感じるのか適切に見極めることが大切です。

SNSによる受発信、デジタル技術を取り入れながら消費者の変化に対応し、柔軟にニーズを汲み取りましょう。

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最終更新日: 2022/12/07 公開日: 2022/01/14