消費者が商品やサービスを購入するまでには、様々な心理状況になり、それぞれの心理状況に伴った行動を起こします。その行動プロセスは、時代の流れによって刻々と変化しています。
企業は消費者がどのように商品やサービスを購入するのかを理解することで、市場分析や経営戦略に役立てることができますね。
この記事では購買プロセスの1つであるVISASの法則を中心に解説するとともに、各時代ごとの購買プロセスを紹介します。
VISASの法則とは?
購買プロセスとは消費者が商品やサービスを購入する時にどのように行動するのかをモデリング(法則化)したものの1つです。
その中でもVISASの法則は、ソーシャルメディアを通じてどのように消費者に影響を与えるかをモデリングしたものです。
VISASの法則は以下の5つの単語の頭文字をとって名付けられました。
- 「Viral (口コミ)」
- 「Influence (影響)」
- 「Sympathy (共感)」
- 「Action (行動)」
- 「Share (共有)」
消費者の購買プロセスは以下のようになります。
- Viral:SNSの投稿や口コミによって商品を知る。
- Influence:口コミの影響を受ける。
- Sympathy:口コミの発信者に共感する。
- Action:商品やサービスを購入する。
- Share:購入した商品の口コミを書く。
VISASの法則に基づいたマーケティング施策
VISASの法則は個人がインフルエンサーと呼ばれ影響力を持つようになる仕組みがSNS上でできたことにより、その商品がほしいと言う気持ちに加えて、推薦した人に影響を受けて購買に至る行動モデルです。
口コミで商品やサービスを知り、共感を得て購入した後、また口コミを書くことによって共感を広めていくように共感が循環しつつ拡大していきます。
VISASの購買プロセスに基づいた施策をとるなら、以下のようなことが考えられます。
- 自社もSNSアカウントを取り、定期的に発信する。
- 新商品やサービスを発売する際はその業界のインフルエンサーを無料招待、もしくは試しに使ってもらうなどして感想をSNSに投稿してもらう。
ここでのポイントは芸能人などではなく、個人のインフルエンサーを起用することです。
芸能人も発信力や拡散力がありますが、VISASの法則では「消費者が共感する」から購入に至るので、芸能人よりも身近な存在の個人インフルエンサーの方が、発信内容に共感を得やすくなります。
時代の流れに合わせた消費者の購買プロセス
今回紹介したVISASの法則はソーシャルメディア時代の購買プロセスですが、時代によって購買プロセスは変化しています。
ここでは消費者の購買行動に合わせた法則を紹介していきます。
マスメディア時代の購買プロセス
マスメディアとは主に、
- 新聞
- 雑誌
- ラジオ
- テレビ
これら古くからあるメディアのことで、大多数の人に一方的に伝達する媒体のことを言います。
マスメディアを利用した広告は、現代でも強い宣伝力を持っています。消費者はマスメディアで情報を収集し、購買行動を起こしていましたが、これからの時代は大きく変わってきております。
ここではまず、以前からある購買行動モデルについてシェアさせていただきます。
AIDA(アイダ)の法則
AIDAの法則は4つの英単語の頭文字から名付けられました。
- 「Attention (注意・認知)」
- 「Interest (興味・関心)」
- 「Desire (欲求)」
- 「Action (行動)」
AIDAの法則での、消費者の購買プロセスは以下のようになります。
- テレビやラジオのCM、新聞や雑誌広告によって商品やサービスを知る。
- その商品やサービスに関心を持つ。
- その商品やサービスを欲しいと思う。
- その商品やサービスを購入する。
AIDAの法則は購買プロセスの最も基本的な理論です。
「Attention(注意・認知)」では大衆に向けて宣伝・発信しますが、「Interest (興味・関心)」ではターゲットとなる顧客にアピールします。
「Desire (欲求)」を高めるため、商品やサービスの価値などをさらに説明し、その結果「Action (行動)」につながり購入に至るというプロセスです。
AIDMA(アイドマ)の法則
AIDMAの法則は、以下の5つの英単語の頭文字をとって名付けられました。
- 「Attention (注意・認知)」
- 「Interest (興味・関心)」
- 「Desire (欲求)」
- 「Memory (記憶)」
- 「Action (行動)」
AIDMAの法則での、消費者の購買プロセスは以下のようになります。
- テレビやラジオのCM、新聞や雑誌広告によって商品やサービスを知る。
- その商品やサービスに関心を持つ。
- その商品やサービスを欲しいと思う。
- その商品やサービスを覚えておいたり、思い出したりする。
- その商品やサービスを購入する。
AIDMAの法則のポイントは、「Memory (記憶)」です。
商品やサービスを「欲しい」と強く思っても、しばらくすると忘れてしまう、もしくはあまり欲しいと思わなくなることは誰しも経験があることでしょう。
AIDMAの法則では、「欲しい」と思った商品やサービスを繰り返し思い出すことによって、購買行動につながります。
企業は消費者に購入してもらうため、記憶してもらい、思い出してもらう施策が必要になります。
次に、インターネッと時代における購買行動モデルとして、浸透し始めたものについてお伝えさせていただきます。
インターネット時代の購買プロセス
インターネットで情報収集をする場合は、マスメディアからの情報収集とは異なり、自ら情報を取りにいく人が増えていきます。
一方的に情報を与えられる購買プロセスではなく、能動的な行動がプロセスに入りますので、そういった人に対して購買行動を起こしてもらうためのモデルについてお伝えさせていただきます。
AISAS(アイサス)の法則
AISASの法則も以下の5文字の頭文字から名づけられています。
- 「Attention (注意・認知)」
- 「Interest (興味・関心)」
- 「Search (検索)」
- 「Action (行動)」
- 「Share (共有)」
AISASの法則での、消費者の購買プロセスは以下のようになります。
- さまざまな媒体から商品やサービスを知る。
- その商品やサービスに関心を持つ。
- その商品やサービスに関する情報を集める。
- その商品やサービスを購入する。
- その商品やサービスに関する口コミやレビューを投稿する。
AISASの法則では、消費者が商品やサービスに関心を持った後、購入前にインターネットで情報を集めて購入するかどうかを決めるプロセスがあります。
そのため、自社のLP(ランディングページ)やwebサイトの検索順位を上げておいたり、SNSでの発信を活発化しておくのが重要です。
また、消費者は購入した後、自らの購入体験を口コミやレビューに投稿します。そして、その投稿を他の消費者が見て購入に繋がるというように、購入プロセスが循環していきます。
AIDCAS(アイドカス)の法則
AIDCASの法則は6文字の英単語の頭文字から名づけられています。
- 「Attention (注意・認知)」
- 「Interest (興味・関心)」
- 「Desire (欲求)」
- 「Conviction (確信)」
- 「Action (行動)」
- 「Satisfaction (満足)」
AIDCASの法則での、消費者の購買プロセスは以下のようになります。
- さまざまな媒体から商品やサービスを知る。
- その商品やサービスに関心を持つ。
- その商品やサービスを欲しいと思う。
- その商品やサービスが自分に必要だと確信を持つ。
- その商品やサービスを購入する。
- その商品やサービスを購入したことに満足する。
AIDCASの法則のポイントは「Satisfaction (満足)」です。購入した後に、その商品やサービスに満足すれば、その顧客はリピーターやファンになります。
カスタマー・サティスファクション(顧客満足度)を上げることの重要性がAIDCASの法則にもあらわれています。
企業は消費者に満足をしてもらうため、カスタマーサポート体制を充実させるなどの取り組みが必要です。
AISCEAS(アイセアス)の法則
AISCEASの法則は7文字の英単語の頭文字から名づけられています。
- 「Attention (注意・認知)」
- 「Interest (興味・関心)」
- 「Search (検索)」
- 「Comparison (比較)」
- 「Examination (検討)」
- 「Action (行動)」
- 「Share (共有)」
AISCEASの法則での、消費者の購買プロセスは以下のようになります。
- さまざまな媒体から商品やサービスを知る。
- その商品やサービスに関心を持つ。
- その商品やサービスに関する情報を集める。
- その商品やサービスと他のものを比較する。
- 比較した商品やサービスのどれが自分に合うか検討する。
- その商品やサービスを購入する。
- その商品やサービスに関する口コミやレビューを投稿する。
AISCEASの法則は、AISASの法則に「Comparison (比較)」と「Examination (検討)」が加えられたものです。
車やパソコン、家などの高額商品を購入する際や、商品やサービスの知識がない場合の消費行動プロセスがAISCEASの法則です。
SNS(ソーシャルネットワーク)時代の購買プロセス
スマートフォンが普及したことにより、SNS(ソーシャルネットワーク)の利用が増えています。それに伴い、消費者の購買プロセスもインターネット検索からSNS中心の行動に変化しました。
前に挙げたVISASの法則以外のSNS時代の消費行動プロセスを紹介します。
SIPS(シップス)の法則
SIPSの法則は4文字の英単語の頭文字から名づけられています。
- 「Sympathize (共感)」
- 「Identify (確認)」
- 「Participate (参加)」
- 「Share & Spread (共有 & 拡散)」
SIPSの法則での、消費者の購買プロセスは以下のようになります。
- 企業や個人の発信に共感する。
- 共感した内容をインターネット検索や他の口コミなどで確認する。
- 「いいねボタン」を押したり、商品やサービスを購入したりすることで共感の意思表示をする。
- 自分の共感したことをSNS上で共有、拡散する。
SIPSの法則では、必ずしも商品やサービスを購入されるとは限りません。
購入しなくても、SNSの「いいね」などの拡散機能を利用して、多くの人が気軽に拡散することで、マーケットが広がるプロセスを表しています。
コンテンツマーケティング時代の購買プロセス
コンテンツマーケティング時代には、大多数に届ける一方的な広告ではなく、消費者の利益になるコンテンツを届け、消費者と企業が直接関係を結べるようになりました。
DECAX(デキャックス)の法則
DECAXの法則は5文字の英単語の頭文字から名づけられています。
- 「Discovery (発見)」
- 「Engage (関係)」
- 「Check (確認)」
- 「Action (行動)」
- 「Experience (経験共有)」
DECAXの法則での、消費者の購買プロセスは以下のようになります。
- インターネット検索やSNSでコンテンツを発見する。
- コンテンツを提供している企業と関係を深めていく。
- 企業が販売している商品やサービスを確認する。
- その商品やサービスを購入する。
- その商品やサービスの口コミやレビューを投稿する。
DECAXの法則では、最初に消費者がコンテンツを発見します。
それまでの購買プロセスでは企業側が消費者にアプローチして認知してもらっていました。
そして、SNSやYouTubeなどの発信をして興味を持ってもらい、メールマガジンやLINE公式アカウントなどのクローズドな場で関係を構築していきます。
信頼関係を築くことができれば、商品やサービスが売れやすくなり、良い口コミの投稿や経験談の拡散によって、他の消費者に発見してもらえるというサークルが出来上がります。
Dual AISAS(デュアル・アイサス)の法則
Dual AISASの法則は「広めたいA+ISAS」と「買いたいA+ISAS」という2つの行動プロセスで成り立っています。
「広めたいA+ISAS」の行動プロセス
- 「Activate (起動・活性化)」
- 「Interest (興味・関心)」
- 「Share (共有)」
- 「Accept (受容・共鳴)」
- 「Spread (拡散)」
- ブランド情報への興味・関心を商品やサービスへの興味・関心に転換する。
- ブランド情報に興味を持つ。
- ブランド情報に共感して、第三者と共有する。
- 第三者がブランド情報を受け取り、共鳴する。
- 第三者が拡散する。
「買いたいA+ISAS」
- 「Attention (注意・認知)」
- 「Interest (興味・関心)」
- 「Search (検索)」
- 「Action (行動)」
- 「Share (共有)」
- さまざまな媒体から商品やサービスを知る。
- その商品やサービスに興味・関心を持つ。
- その商品やサービスに関する情報を集める。
- その商品やサービスを購入する。
- その商品やサービスに関する口コミやレビューを投稿する。
AISASの法則では、商品やサービスを購入後、共有するという行動プロセスでした。
しかし、SNSの発達によって購入していなくても、良いと思ったものを共有する人が増えています。
Dual AISASの法則では、良いと思ったものを「広めたいA+ISAS」と、商品を「買いたいA+ISAS」の行動プロセスを分けて表しています。
VISASの法則を理解し、SNSマーケティングで事業拡大を狙おう
VISASの法則は、SNSを利用してセールスや宣伝を行うときには、覚えておくべき購買プロセスです。
レストランを予約する時に口コミやレビューを確認するように、第三者からの発信が商品購入の際に大きな影響を持つようになりました。
SNSでは個人も簡単に発信できるからこその購買プロセスでしょう。
ソーシャルメディアを利用したマーケティングを行う場合、個人の口コミや共感をどのように利用していくかがカギとなります。
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