- 営業活動の進め方が担当者任せになってしまっている
- 担当者によって営業成績に差が開いていて埋まらない
- 再現性のある営業手法を確立して社内で共有したい
上記のような課題や悩みを抱えていませんか?
今回は、セールスプロセスの分析と改善に役立つ「セールスファネル」について解説します。
セールスファネルを活用するメリットや具体的な作り方にも触れていますので、ぜひ参考にしてください。
セールスファネルとは
はじめに、セールスファネルとは何かを確認しておきましょう。
「ファネル(漏斗)」と呼ばれている理由を知っておくことが大切です。
潜在顧客が顧客化するまでの過程を段階分けしたもの
セールスファネルとは、潜在顧客が顧客化するまでの過程を段階分けして示したものです。
自社の商品やサービスに初めて触れた人が、どのような経緯をたどって購入や契約へと至るのかを示したモデルと捉えてください。
「営業ファネル」「マーケティングファネル」などと呼ばれることもありますが、基本的には同じ意味です。
一例として、自社Webサイトを訪問してから実際に契約するまでの過程を考えてみましょう。
- Webサイト訪問
- 問い合わせ
- 商談
- クロージング
- 契約
最初にWebサイトを訪問してから契約に至るまでには、いくつかの段階を踏んでいることがわかります。
各段階において「どうすれば次の段階に進めるのか」「なぜ離脱したのか」を分析するためのモデルがセールスファネルです。
なぜ「ファネル(漏斗)」と呼ばれているのか
ファネルとは「漏斗(ろうと・じょうご)」のことです。
一般的に、セールスプロセスは契約に近づくほど顧客化できるターゲットが絞り込まれていきます。
人数が絞り込まれていく様子をたとえているのが「ファネル」という表現です。
前述の例に当てはめて考えてみましょう。
- Webサイト訪問:500人
- 問い合わせ:25人
- 商談:10人
- クロージング:5人
- 契約:2人
Webサイトを訪問し、自社や商品について認知したターゲットが500人いたケースを想定しています。
一方、問い合わせの段階で一挙に25人までターゲットが減少していることから、離脱率が最も高いのは問い合わせの段階です。
反対に商談を設定したターゲットのうち、20%は成約していることがわかります。
以上の傾向から、セールスファネルで最も改善が必要とされるのは「問い合わせにつながる導線」だと判断できるのです。
セールスファネルの基本
セールスファネルの基本形は次の3段階です。
- トップ・オブ・ザ・ファネル
- ミドル・オブ・ザ・ファネル
- ボトム・オブ・ザ・ファネル
それぞれの段階が示している意味を確認しておきましょう。
トップ・オブ・ザ・ファネル(Top of the Funnel:TOFU)
トップ・オブ・ザ・ファネルとは、セールスファネルの入口となるスタート地点のことです。
スタート地点では、ターゲットはまだ自社や自社商品を認知していません。
まずは自社商品・サービスについて知ってもらう機会を設け、興味がある・ないに関わらず認知してもらう必要があります。
例えば、Web広告やSNS、動画、ホワイトペーパーといったチャネルを通じて、存在を知ってもらうことが大切です。
トップ・オブ・ザ・ファネルは「潜在顧客の段階」と捉えてください。
ミドル・オブ・ザ・ファネル(Middle of the Funnel:MOFU)
ミドル・オブ・ザ・ファネルとは、潜在顧客から見込み顧客になった段階のことです。
自社商品・サービスについてすでに認知しているものの、実際に問い合わせるべきか迷っている段階と捉えてください。
見込み顧客に対するアプローチで重要なポイントとなるのが「いかに購買意欲を高めていくか」という点です。
営業担当者による訪問やステップメール、体験会などを通じた商品情報の提供などを通じて購買意欲を高めていく必要があります。
見込み顧客の背中を押し、購買へと向かわせることが求められる段階といえるでしょう。
ボトム・オブ・ザ・ファネル(Bottom of the Funnel:BOFU)
ボトム・オブ・ザ・ファネルとは、購入・契約に至るまでの最終段階のことを指します。
ターゲットは積極的に情報収集を進めたり、他社商品と比べたりしながら、購入・契約を検討している段階と捉えてください。
商談においては、クロージングに向けて阻害要因を解消するとともに、特典や割引などを提示して購入・契約へと向かわせます。
単に購入・契約してもらうことをゴールとするのではなく、継続顧客になってもらうための働きかけが重要です。
信頼を獲得できるよう、見込み顧客の不安を解消するきめ細かな対応が求められます。
セールスファネルを活用するメリット
セールスファネルを活用することによって、具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。
主なメリット3点は次のとおりです。
顧客の段階に合った目標や戦略が明確になる
セールスファネルは潜在顧客が顧客化するまでの過程を段階的に示しているため、顧客視点に立った目標や戦略の策定に役立ちます。
例えば、トップ・オブ・ザ・ファネルの段階であれば、まずは潜在顧客の認知度を高めるための施策に注力することが重要です。
ターゲットが自社商品を認知していない段階で「成約率を〇%に引き上げる」といった目標を掲げるのは効果的とはいえません。
顧客がどの段階にあるのかを明確にすることで、より現実的で無理のない目標や戦略を策定しやすくなるでしょう。
成約率が向上する
セールスファネルを活用することで見込み顧客の段階に合わせたアプローチがしやすくなり、成約率の向上に寄与します。
すでに具体的な検討段階に入っているターゲットに対しては、購買意欲を高めるためのアプローチが必要です。
相手が置かれている状況が把握できていないと、購買意欲が十分に高まっていない段階で商談を設定しかねません。
結果として商談の「空振り」が増えてしまい、営業活動の効率が悪くなりがちです。
成約率の向上は、営業担当者の生産性が高まっていることを意味します。
セールスファネルの活用は、効率的な営業活動を実現する上でも重要な試みの1つといえるでしょう。
リソースを適切に配分しやすくなる
セールスファネルの活用は、組織のリソースを適切に配分する際にも効果を発揮します。
営業担当者が抱えている各案件がどの段階にあるのかが可視化されることにより、活動量や業務量が見えるようになるからです。
例として、次に挙げる2人の営業担当者の状況を考えてみましょう。
- 担当者A:担当顧客15社
- 担当者B:担当顧客8社
一見すると担当顧客数が多いのは担当者Aのため、業務量に関してもBよりAのほうが多いと錯覚しがちです。
実際のところ、担当者Aが抱えている顧客の大半はトップ・オブ・ザ・ファネルに集中しているかもしれません。
反対に担当者Bが抱えている顧客の中に、あと一息で成約につながるターゲットが複数含まれていたとします。
商談に向けた準備で忙しいのが担当者Bであることは、セールスファネルが可視化されているからこそ判断できることです。
セールスファネルの作り方
セールスファネルの基本的な作り方について解説します。
顧客の段階を的確に可視化したセールスファネルを作成するには、次の手順に沿って進めていくことが大切です。
1. 見込み顧客が購入・契約に至る過程を可視化する
第一にやるべきことは、自社の見込み顧客が商品を認知してから購入・契約に至るまでの過程を可視化することです。
一例として、BtoB営業とECサイトのケースを考えてみましょう。
- BtoB営業:Webサイト経由での問い合わせ→商談→クロージング→契約
- ECサイト:ECサイトを認知→商品を閲覧→商品説明を読む→商品をカートに追加→購入
ビジネス形態が異なれば、商品・サービスを購入してもらうまでの過程も大きく異なることがわかります。
自社にとって最適なセールスファネルを作成するためにも、まずは自社のセールスプロセスを明確にしておくことが重要です。
2. ターゲットへの理解を深める
次に、ターゲットがどのような行動や思考にもとづいて商品やサービスを購入・契約するのかを深掘りしていく必要があります。
ターゲットへの理解を深め、「誰に売ろうとしているのか」を明確にしていくことが重要です。
ターゲットを具体的にイメージする際には「ペルソナ」を設定する手法がよく用いられます。
ペルソナとは、実在する1人の人物としてターゲットを具体化した偶像のことです。
実在する人物として設定することにより、ターゲットの興味関心や認知のプロセスを深く理解することが大切です。
3. 各段階で具体的に何をするのかを決める
セールスファネルの各段階において、ペルソナに対してどのようにアプローチするのかを決めていきます。
アプローチに活用するツールを明確にするとともに、どのような状態になったら次の段階に進むのかを明らかにすることが大切です。
各段階での施策を具体化する際には、カスタマージャーニーMapを作成しておくことをおすすめします。
カスタマージャーニーマップは、顧客が商品を認知してから購入するまでに何を考え、どう行動するかを具体化したものです。
ターゲットの心理状態に合わせて発信する情報を使い分けることで、セールスファネルを次の段階へと進めやすくなります。
4. ツールを導入する
セールスファネルを適切に運用するには、ボトルネックとなっている段階を検証することが大切です。
潜在顧客、見込み顧客、アプローチ中のターゲット、商談中のターゲット、成約した顧客に関するデータを収集する必要があります。
CRMやSFA、MAといったツールを活用し、アプローチの成功事例・失敗事例を蓄積・共有していくのがポイントです。
- CRM:顧客関係管理ツール
- SFA:営業支援ツール
- MA:マーケティングオートメーション
セールスファネルのどの段階でどのツールの数値を参照するのかを明確にすることで、データにもとづいた判断が可能になります。
営業担当者の勘や経験則に頼らない、データドリブンの営業活動を実現していくことが重要です。
5. 課題を検証して改善を図る
セールスファネルの運用において重要なポイントとなるのが「PDCAサイクルを回していくこと」です。
ボトルネックとなっている段階を特定し、アプローチ方法や認知拡大のための施策を見直していく必要があります。
最適な改善策を見極めにくい場合には、A/Bテストを実施して施策の有効性を判断するとよいでしょう。
セールスファネルは作成したまま放置するのではなく、営業活動の課題や問題点の把握に役立てていくことが大切です。
まとめ
セールスファネルは、営業活動の課題分析と改善に役立つモデルといえます。
裏を返せば、はじめから狙いどおりの成果をもたらす営業戦略を策定するのは困難と言わざるを得ません。
現状の営業プロセスのどこに問題があるのか、分析して改善していくことにセールスファネルの存在意義があります。
今回紹介したセールスファネルの基本的な考え方や作り方を参考に、ぜひ自社の営業活動の強化を図ってください。
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