企業の信頼を獲得して長期的に安定した経営を目指すためにも、パーパス経営は大きな効果が期待できます。
本記事では、パーパス経営が注目を集める理由やパーパス経営の要件、パーパス経営を実施する方法をわかりやすく解説しています。
注目を集めるパーパス経営を取り入れたいと考えている人からは、次のような声があがっています。
- よく耳にする「パーパス経営」の意味が知りたい
- パーパス経営が注目を集める背景や理由が知りたい
- パーパス経営はどのように行えばいいのか手法が知りたい
パーパス経営の重要性や5つの要件を踏まえ、長期的に安定した経営を目指していきましょう。
パーパス経営とは
時代の流れや環境の変化によって「パーパス経営」への注目が高まっています。
企業としての信頼や社会における位置付けに大きな影響を与える「パーパス経営」について、わかりやすく解説します。
社会において企業の目指すべき姿を決めて経営を行うこと
パーパス経営の「パーパス(purpose)」とは、英語で「目的」や「目標」という意味です。
近年では企業が社会への貢献目標を決定し、社会における企業の存在意義を持ちながら事業を進めることを「パーパス経営」と呼ばれるようになりました。
たとえば「売上の◯%を環境支援団体に寄付する」「レンタルサービスのサブスクリプションでゴミの排出を減らす」など、自社のビジネスを通して社会・顧客へ貢献していくのがパーパス経営です。
パーパスについてさらに具体的に知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
パーパスとMVVとの違い
パーパスと混同されやすいのが「Mission(ミッション)」「Vision(ヴィジョン)」「Value(バリュー)」の頭文字を取った言葉である「MVV」です。
MVVはそれぞれ次のような意味があります。
- Mission(ミッション):企業が持つ使命
- Vision(ヴィジョン):企業が目指す将来像
- Value(バリュー):企業の価値観や行動の指針
ミッション(使命)とパーパス(目的)の言葉の意味が似ているため、混同されることがあります。
ミッションは環境や社会に囚われず幅広い方向性があるのに対して、パーパスは社会貢献の目標であるため対社会といった方向性に限定されます。
パーパス経営はいつから始まった?
2019年にアメリカの経済団体「ビジネス・ラウンドテーブル」が、「企業のパーパスに関する声明」を発表したことによって、欧米を中心にパーパス経営に取り組む企業が増え始めたと言われています。
この声明が発表される前の欧米では、株主の利益優先の「株主至上主義」が横行していました。
そこで注目を集めたのが、ビジネスで社会貢献・環境保全活動などを実現し、企業の社会的な地位を明確にすることによって長期的な経営を実現するパーパス経営です。
欧米で広がりを見せたパーパス経営の影響を受け、日本でもパーパス経営を実施する企業が増えています。
パーパス経営が注目を集める理由とは
近年、耳にする機会が急激に増えたパーパス経営ですが、なぜここまでパーパス経営に取り組む企業が急速に増えたのでしょうか。
パーパス経営が注目を集めるようになった背景には、複数の理由が存在しています。
SDGsの採択
2015年に国連サミットで「SDGs(持続可能な開発目標)」が採択されると、世界各国に周知されました。
SDGsは環境保護をはじめ、雇用環境の改善や再生への取り組みなど、サスティナビリティな社会を目指すための17の目標です。
SDGsの採択を受け、ビジネスにおいてもサスティナビリティが重要視されるようになりました。
利益を追求するだけでなく、環境や社会において長期的に共存できるビジネスが求められるようになったのです。
そこで注目を浴びるようになったのが、サスティナビリティな「パーパス経営」であると言われています。
ESG投資の増加
ESG投資とは、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)を重視して投資することです。
これまでの投資では、投資先を判断する基準として利益率などの財務情報が大きな要素とされていました。
しかし、急速に変化する時代において、長期的に生き残っていく企業になるためには環境や社会、ガバナンスを意識して経営を進める必要があります。
そのため、将来性のある投資先を決めるときにパーパス経営を行っている企業を選ぶ「ESG投資」が増えているのです。
急速な時代の変化
環境問題の悪化や世界的に流行した新型感染症、大規模な自然災害などを受け、将来の予測が難しい時代と言われています。
このように外部環境を的確に分析できない場合、企業が存続していくためには明確な目標を持って社会における企業の存在価値を高めていく必要があります。
「企業が一致団結する」「社会的価値を高めていく」という点において、パーパス経営は大きなメリットがあると言えるでしょう。
DX化の促進
IT化が進んだことや新型コロナウイルス感染症によりテレワークが急速に進んだ影響もあり、DX化が促進されたのもパーパス経営が注目を集めた理由の一つです。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタルツールを導入して業務効率化や生産性工場を目指す取り組みです。
DX化を進めるには単にツールを導入するだけでなく、業務フローや経営の見直しが必要となります。
そこで顧客のニーズやステークホルダーの意思を確認し、自社の社会における位置付けを確立するためのパーパスを策定する企業は増えたと言われています。
パーパス経営のメリットとデメリット
パーパス経営は実現を目指して活動することによって、さまざまなメリットが期待できます。しかし、その反面、パーパスを設定したからといって、効果が実感できるとは限らないので、気をつけましょう。
パーパス経営のメリットとデメリットを把握して、現実的なパーパス経営を進めてみてください。
パーパス経営のメリット
パーパス経営のおもなメリットは、次の3つです。
- 株主や顧客、取引先といったステークホルダーから支持を得られる
- 従業員の「やりがい」につながる
- 帰属意識や一体感が生まれる
ビジネスを通して社会に貢献している企業は、株主や取引先、顧客といったステークホルダーから信頼が得られやすくなります。パーパス経営が認知されると、ビジネスの拡大、売上向上につながるでしょう。
また、従業員が自社の経営を理解し、実行することで、やりがいが生まれたり、帰属意識が高まったりするメリットが期待できます。
パーパス経営のデメリット
パーパス経営のおもなデメリットは、次の2つです。
- パーパスが必ずしも実現されるとは限らない
- すぐに効果が出るわけではない
パーパスを策定すると、自社の経営方針が世間に幅広く知られることになります。そのため、従業員をはじめ、会社全体でパーパスの実現に取り組まないと、「パーパスを実行していない会社」というレッテルを貼られるリスクがあります。
また、パーパスをステークホルダーに浸透させたり、社内で体制を整えてパーパスの実現を目指したりするには時間も手間もかかります。すぐに効果が得られるわけではないので、長期的な視点でパーパス経営に取り組みましょう。
パーパス経営の5つの要件
パーパス経営には次の5つの要件があると言われています。
- 社会の課題を解決する
- 自社の利益につながる
- 自社のビジネスとの親和性が高い
- 自社のリソースで実現できる
- 従業員のモチベーションアップにつながる
この5つの要件を満たしていないとどこかで不和が生じてしまい、パーパス経営が失敗に終わるケースも少なくありません。
企業や従業員、社会のどの方面にとってもメリットのある経営を目指すため、5つの要件を満たすパーパス経営を実現していきましょう。
社会の課題を解決する
社会の課題を解決することは、パーパス経営のもっとも根幹の部分とも言えます。
自社のビジネスを通じて解決できる社会問題や課題はないか、SDGsなどを参考に検討するとサスティナブルな目標を設定しやすいでしょう。
人権問題やジェンダーの問題は採用人材の見直しや労働環境の再構築などによって実現可能な課題です。
そのほか、環境問題や福祉における課題など、社内で一丸となって目指せる社会貢献目標を設定してみてください。
自社の利益につながる
パーパス経営はSDGsなど環境保全に繋がるビジネスモデルと関係も深いことから、社会貢献に重きを置くことが多いですが、奉仕活動ではありません。
パーパス経営の目標は社会と自社の両方にメリットを生むものでなければいけません。
とくにわかりやすい指標として利益の確保が挙げられます。
どんなに価値がある活動でも、予算やリソースを社会貢献活動に割きすぎてはビジネスとして成立しません。
もちろん従業員や株主、取引先からの不満も増えてしまうでしょう。
社会貢献活動にコストや人材をかけるときは、費用対効果が期待できるのか長期的な目線で検討するのがおすすめです。
自社のビジネスとの親和性が高い
自社のビジネスとまったく関係のない目標を決定すると、自社のブランディングにつながりにくいほか、自社の利益につながらない可能性があるので注意しましょう。
たとえばITツールを販売している企業が介護福祉に向けた活動を行う場合、社会貢献にはつながるものの、自社のビジネスへの相乗効果はあまり期待できません。
パーパス経営を実施するときは、自社のビジネスのターゲット層や事業内容から親和性の高い目標や活動を策定してください。
自社のリソースで実現できる
パーパスを策定するときは自社のリソースで実現可能であることが重要です。
他業種や他社と共同でパーパス経営に取り組むことは、新たなビジネスが展開できるというメリットがあるものの、目標が大きすぎて実現までに時間がかかる可能性があります。
社会における自社の位置付けが曖昧になる懸念もあるため、自社の持つリソースで実現できるパーパスを策定するのが得策です。
また、自社においてもパーパスのためにどのくらいリソースを割くのか、慎重に検討し、定期的に効果検証を行う必要があるでしょう。
従業員のモチベーションアップにつながる
従業員にとってやりがいやメリットのないパーパスを策定しても、賛同を得るのは難しいでしょう。
パーパス経営は自社の事業を通じて社会貢献を行うため、活動の大部分に従業員が関わっていることを忘れてはいけません。
従業員1人1人が「自分の行っている業務で社会に貢献しているんだ」と実感できるような、モチベーションを高く持てるパーパスを策定するように心がけましょう。
パーパス経営を実施する方法
パーパス経営を実施するためには次の4つのステップをもとに進めるのがおすすめです。
- 外部環境や内部環境の調査を行う
- パーパスを定義して社内に浸透させる
- パーパスをもとに経営や業務に落とし込む
- パーパスを実践し顧客の共感獲得に努める
社会貢献というパーパスに偏りすぎないよう、手順を踏んで長期的なパーパス経営を目指していきましょう。
パーパス経営と同様にサスティナブル経営として注目を集めている「三方よし」について知りたい人は、こちらの記事も参考にしてみてください。
外部環境や内部環境の分析を行う
ステークホルダーをはじめ、社内からの共感が得られるパーパスを策定するためには、世界情勢や市場、競合の調査などの外部環境の調査とあわせて、社内の業績や部門ごとの業務フローなどの内部環境調査を行う必要があります。
調査は自社で行うのはもちろん、外部機関に依頼して客観的な調査データを取得するのも一つの方法です。
また、顧客管理システムを活用すれば、顧客のニーズや単価などのデータを収集できます。
外部環境や内部環境はフレームワークを使うと多方面から分析ができるので、次のようなフレームワークを活用してみてください。
- 3C分析
- SWOT分析
- コンピテンシー分析
- ケイパビリティ分析
ビジネスシーンで活用できるフレームワークをさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
パーパスを定義して社内に浸透させる
外部環境や内部環境の分析が終わったら、社会における自社の位置付けを決定し、具体的なパーパスを策定します。
自社のビジネスを通して、会社全体が一丸となって策定したパーパスの実現に取り組まなければいけません。
従業員や取引先などのステークホルダーの理解が得られるよう、パーパスに込めた想いや具体的な実現方法を社内外に浸透させる取り組みを行いましょう。
パーパスをもとに経営や業務に落とし込む
パーパスはいわばKGIに過ぎず、KGIを達成するためには、達成までのステップを細分化し、KPIやKDIを設定する必要があります。
いつまでに何を達成すべきなのか、期間と数値を決定すると現実的なパーパス経営が実現します。
また、パーパスを経営や業務レベルまで落とし込み、マニュアルやタスクに反映させるのも重要です。
パーパスを実践し顧客の共感獲得に努める
行動レベルまでパーパスを落とし込んだら、パーパスを実現させるために社内で実施していきましょう。
自社の社会における位置付けを明確化するためにも、自社のパーパスや行っている活動はホームページやSNSで発信するのがおすすめです。
この時、定期的に結果を評価するのも忘れてはいけません。
評価を行う際は策定したパーパスを基準にし、行っている活動にズレがないか、パーパス実現に向けてどのくらい役に立っているかなど、方向性がブレないように確認してください。
パーパスとのズレが生じたり、効果があまり見られない場合は改善策を立てて実施し、評価するというPDCAサイクルを繰り返してみてください。
まとめ
環境問題や人権問題、未曾有の災害など、現代を取り巻く環境は急速に変化しています。
そんななか、企業は自社の利益だけでなく、社会における位置付けの明確化や社会への貢献度が重要視されています。
事業を通して社会貢献を実現するパーパス経営は、自社のブランディングや信頼性の向上など、長期的な視点で見ればたくさんのメリットが期待できます。
社内のヒアリングや分析をしっかりと行い、要件を満たす最適なパーパスを策定してみてください。
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