社員が仕事に対するやる気やモチベーションがわかず、困っているという経営者の方に取り入れていただきたい概念が「パーパス」です。
欧米では、パーパスを導入すると皆のやる気が断然高まり大きな変化を生むとして広く導入されています。
一方で、ビジョンやミッションとの違いが分からないと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
その違いは、目指すべき到達点に着目すると分かりやすいです。
この記事ではパーパスの意味や、ミッション・ビジョンといった類似用語との違いを整理して解説します。
パーパスとは
パーパスは、直訳すると「目的」という意味を持ちます。
パーパスと混同しやすい言葉に「ミッション」があります。ミッションは、会社の役割使命と言われますが、パーパスはミッションを超えた存在です。
では、パーパスとは具体的に何を指すのでしょうか。
ずばりパーパスとは、「何のために会社を経営するのか」「存在する理由」のこと。
イメージが湧きにくい方は、以下の問いについて答えてみてください。
- この会社が達成したい目的は何ですか?
- あなたの会社が存在する理由は何ですか?
パーパス経営とは、会社の存在する理由を明確にして社員に共有し、全員で共通認識をもって仕事に取り組むことを言います。
何のために会社が存在しているのかということを言葉にして共有することがパーパス経営であると考えていただければ十分です。
パーパスを策定するメリット
パーパスを策定すると従業員や顧客、取引先などにポジティブな影響を与え、企業の発展にもつながります。
パーパスを策定する具体的なメリットは、以下の通りです。
- 企業のブランド価値が向上する
- 従業員のモチベーションが向上する
- 意思決定のスピードが上がる
一つずつ解説していきます。
企業のブランド価値が向上する
パーパスを策定することで、企業は社会における存在意義を明確にできます。
顧客、取引先、投資家など、あらゆるステークホルダーにその内容を伝えることができることで、企業のブランド価値が向上します。
具体的には、企業がどのように社会に貢献するのかが明確になることで、顧客は自らの消費行動が社会貢献につながると感じ、より強い共感を抱くようになります。
また、取引先や投資家にとっても、その企業と関わることで社会的な価値を共創できるというメリットが増し、より深い関係性を築くことができるのです。
従業員のモチベーションが向上する
パーパスを策定することで、従業員は自分たちの仕事が社会にどのように貢献しているのかを深く理解できるようになります。
結果、仕事へのモチベーションが向上します。
心理学者のティム・カッサーとリチャード・ライアンの研究によると、内的な目標、つまり組織や社会に貢献したいという目標を持つ人は、外的な目標、例えば名声やお金を多く得るといった目標を持つ人よりも幸福度が高い傾向にあるそうです。
企業がパーパスを明確にして従業員に共有することで、社員は仕事に内的な意味を見出しやすくなります。
つまり、自分の仕事が社会にどのような価値をもたらしているのかを意識することでより大きなやりがいを感じ、高いモチベーションを維持できるのです。
意思決定のスピードが上がる
パーパスを策定することで、組織が目指すべきゴールが分かり、常にその目的達成に向けて今どのような決断を下すべきかが明確になります。
そのため、意思決定のスピードが向上します。
また、最終的な目的が明確であることで、意思決定は常に一貫性を保つことができるでしょう。
意思決定が迅速かつ的確にできるため、社員はあまった時間をパーパスを達成するための別の創造的な業務などに時間が割けるようになります。目標達成までの業務遂行もスムーズになるのです。
パーパスとMVV(ミッション、ビジョン、バリュー)との違い
パーパスのほかにも、ミッションやストラテジーなど理念に関するさまざまな用語がありますが、その意味や違いをはっきりと理解している人は少ないのではないでしょうか。
ここでは、パーパスとともにMVV(ミッション、ビジョン、バリュー)、ストラテジーといった混在しやすい用語について整理します。
パーパスと類似した用語の位置づけについては、ボストンコンサルティンググループが、分かりやすい解説をおこなっています。
ボストンコンサルティンググループは、アメリカに本社を置く経営コンサルティングファームで、企業のビジョンやミッションの違いを明確にするための解説を行っています。
今回はこのグループの解説を参考に、さらに要点をまとめてかみ砕き説明します。
パーパス(目的)│北極星
会社が存在する理由であるパーパスは、例えるならば、夜空に輝く北極星です。
この北極星を見れば、自分たちが進んでいく道が分かります。常にこの北極星を見ていると行く道を間違わなくて済むのです。
我々はこの目的のために存在しているから、このために日々業務に取り組んでいるといえます。
例えば、パーパスには以下のようなものがあります。
- お客様を笑顔にすること
- 周りにいる人たちを幸せにする
- 社会の環境保全に働きかけること
- 人々を健康にすること
いつもよりどころになっている目的が北極星であり、パーパスは存在意義です。
ビジョン(目標・未来像)│山の頂上
パーパスがまず北極星だとしたら、ビジョンやミッションと何が違うのか気になる人は多いことでしょう。
パーパスが北極星だとしたら、ビジョンは山の頂上の部分であるといえます。
ビジョンは目標であり辿り着きたい具体的な未来像です。ビジョンはパーパスより具体的な取り組みであると言えます。
例えば、ビジョンには以下のものがあげられます。
- ○○店舗まで開業する
- 社員数を○○名まで増やす
- フランチャイズを○○店舗まで実施する
つまり、どこに向かうかについての具体的な目標です。
このビジョンを歩んでいくとき、例えば何店舗を開店させ、何の目的であるのかという北極星を見ながらでないと、経営の方向性は間違ってしまいます。
利益拡大をビジョンに掲げていても、パーパスがなければ達成のためのやり方は問わないとなってしまうでしょう。
何のため、笑顔にするため、健康にするためなど、北極星があれば、道を誤らずに正しくゴールに辿り着くことができるのです。
ミッション(使命・社会的役割)│山全体
ミッションとは、使命であり登る山全体のことを言います。つまりは、社会的役割です。
たとえば、明確な数字や目標のビジョンに対して、何をやるのかと行うことを示す、登る山全体を表すのがミッションです。
パーパスとミッションの意味の違いについて疑問に感じる人は多いでしょう。
ミッションは、現在において取り組むべきことであり、パーパスは達成したい目的(企業の存在意義)であるといえます。
ミッションを果たす上で、ガイドラインとなるのがパーパスとなります。パーパスを達成するために、常に今やるべきこと(ミッション)を掲げてこなす必要があるのです。
ストラテジー(戦略)
ストラテジー(戦略)は、具体的にパーパス・ビジョン・ミッションをどのように達成するのか考えることという意味があります。いわゆるHow To Doの部分です。
ストラテジーの具体例には、以下のものがあります。
- 人々を健康にするために、○○店舗まで開業したい。そのために、マーケティングやセミナーを通じて集客を目指す
- 人々を笑顔にするために、社員を○○名まで増やしたい。そのために、
- 説明会やセミナーを通じて利益拡大を目指す
バリュー(価値観)
バリュー(価値観)いわゆるマインドセットは、それをどのようなあり方でおこなっていくのかという意味があります。いわゆるHow To Beの部分です。
バリューの具体例には、以下のものがあります。
- 信頼をベースに業務をおこなう
- 物事の意思決定を速くして、スピードを重視した業務遂行をする
パーパス・ビジョン・ミッションの例
ここで、パーパス・ビジョン・ミッションの関係性を具体例をもちいて整理しておきましょう。
人材コンサルティング会社を例にあげます。パーパス(目的)が、「人を笑顔にする、笑顔で働く人を増やす」というものであったとします。
そうすると、ミッション(目標・未来像)はパーパスを達成するための日々の具体的な取り組みを考えることとなります。
「コンサルティングサービスを通じて、評価制度や人事制度などの採用を含めたお客様への導きをする」などということができます。つまり「人材制度の導入のサポートをすること」であると言えます。
そしてビジョンとは、ミッションの人材制度の導入のサポートをするために、より具体性をもたせた目標を掲げます。
たとえば、「1000社のサポートをおこなう」といったようにです。
このようにパーパス・ミッション・ビジョンの三つの違いを理解することで、理念を社員に分かりやすく伝えることができます。社員もパーパスに向かって、具体的な行動を起こしやすくなるでしょう。
また、経営理念を明確にして、長期的に利益を上げ続ける企業の意味を持つ「ビジョナリーカンパニー」について知ることもパーパス経営の参考となるでしょう。
以下の記事もあわせてご覧いただけると、企業理念について深く考えることの必要性が分かります。
パーパスやミッション、ビジョン、バリューの違いを知ろう
パーパスの意味や、ミッション、ビジョン、バリューなどとの違いや、位置づけの理解の方法をご紹介しました。
会社の経営理念やビジョンを考えるときのヒントとなれば幸いです。
何よりも目指すべき存在のパーパスの北極星があることが重要です。これを明らかにすることで、進む道が正しいことを再確認できたり、目的達成に向けてのモチベーションを向上できたりします。
また、何よりも経営者やリーダー自身の考えがぶれずに、経営・業務を進められることがメリットです。ぜひ、会社の存在の意味や理由を深堀りしていただき、パーパス経営を自社に取り入れてみてください。
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