リブランディングとは、変化する市場ニーズに適合させるために自社ブランドを再構築することです。新しいターゲット層の獲得や他社との差別化のためにも今後必要となる時期が来るでしょう。
しかし、リブランディングをロゴや見た目を変えるだけと思っている人もいるようです。
リブランディングで何をすれば良いのかわからないという経営者やマーケティング担当者のために、この記事では以下の内容を解説します。
- リブランディングの意味
- リブランディングに適切な時期と方法
- リブランディングの事例
- リブランディングを成功させるポイント
自社でリブランディングをする際の参考となりますので、ぜひ最後までお読みください。
リブランディングとは
リブランディングとは、ブランドの再構築という意味です。
時代や顧客ニーズの変化により、ブランドの価値が低くなる可能性があります。リブランディングを実施することでブランドの価値を向上させ、自社のイメージをより良く保つことが可能です。
何十年と続く老舗やロングセラー商品などは流行やニーズの変化に対応するため、細かくリブランディングして今に至ります。自社ブランドを守る点でもリブランディングは重要です。
リブランディングの適切な時期
リブランディングには適切な時期があります。リブランディングをすることで効果が期待されるタイミングは主に以下の3点です。
- 経営者が交代するとき
- 市場やトレンドが変わったとき
- 顧客が持つブランドイメージとブランディングが乖離しているとき
リブランディングは適切な時期に行わなければ顧客は混乱してしまい、売り上げが減少してしまう可能性もあるため、慎重にタイミングを見極めることが必要です。
1. 経営者が交代するとき
経営の仕方は人それぞれです。同じ会社でも経営者が代わって組織体制やマーケティング戦略が変わることがあります。それは経営者によって思い描く会社像が異なるからです。
先代の経営者が培ってきたブランドを継承しつつリブランディングをすることで、新しい経営者が時代に合ったマーケティング戦略を打ち出せます。
2. 市場やトレンドが変わったとき
顧客のニーズや興味関心、技術の発展などにより常に市場は変化しています。強い競合他社が現れると自社ブランドの価値が下がってしまう可能性があります。
このような市場の変化に合わせてブランドを少しずつ変化させていくことで、自社ブランドが生き残るのです。リブランディングによって競合他社との差別化を図ったり、ブランドのマンネリ化を防いだりできます。
3. 顧客が持つブランドイメージとブランディングが乖離しているとき
自社が意図したブランディングと顧客が抱いているブランドイメージがずれていると、正しい訴求ができません。
例えば、クオリティの良さを売り出していたのに、顧客は見た目の映えで購入していれば訴求ポイントがずれてしまいます。
自社と顧客でブランドイメージが乖離している場合は、リブランディングでイメージをリセットして作り直すことができます。
リブランディングの方法3ステップ
リブランディングは主に分析・戦略策定・周知の3段階で進めていきます。
- 自社の分析をする
- リブランド戦略を策定する
- リブランディングを周知する
客観的なデータなどを用いてリブランディングを実施することが重要で「顧客はこう思っているはず」というような思い込みを捨てる必要があります。
1. 自社ブランドの分析をする
自社ブランドが現在どのような評価を受け、顧客がどのようなイメージを持っているのかを具体的に確認し、現状の分析をします。従業員や顧客から取ったアンケートやマーケティングデータ、口コミなどが参考になります。
現在の状況がわからないままでは、リブランディングが必要なのかがわかりません。
顧客が持つブランドイメージと自社が想定しているブランディングに大きな差がない場合は、リブランディングをする必要がないでしょう。
もし必要がないのにリブランディングをしてしまうと、顧客離れや売り上げの減少が引き起こされる可能性があります。
2. リブランド戦略を策定する
分析をした結果リブランディングが必要であれば、新しいブランディングの方向性や戦略を検討します。既存ブランドで残すべきものは残し、変更しなければならないものを大胆に変えていくことが必要です。
誰にどのようなイメージを持ってもらいたいのかを戦略に盛り込むには、ポジショニングマップやSWOT分析などのフレームワークが役に立ちます。
ポジショニングマップとは、市場における自社および競合他社ブランドのポジションをマトリクスにしたものです。KBF(購買決定要因)を明確にすることで、自社ブランドの差別化がどこにあるかがわかります。
SWOT分析は自社の内部要因である強みと弱み、外部要因の機会と脅威を可視化するものです。自社ブランドの改善点やリスクが浮き彫りになるため、リブランディング戦略を立てやすくなります。
3. リブランディングを周知する
リブランディングの周知は社内から始めます。従業員が新しいブランドについて無知では説得力がありません。リブランディングの意義や具体的な施策などをすべての従業員が説明できるように共有することが大切です。
その後、プレスリリースして顧客や取引先に周知します。リブランディングは長く続いていたブランドの場合大きく報じられることもあり、効果の高い宣伝となります。SNSでキャンペーンを打つことも周知に効果があるでしょう。
リブランディングを成功させた企業事例7選
ここではリブランディングに成功した企業を7社紹介します。
- 株式会社タニタ
- ヤンマーホールディングス株式会社
- 祇園辻利
- 株式会社資生堂
- レッドブル・ジャパン株式会社
- 株式会社湖池屋
- 株式会社メニコン
どの企業も自社の社会における役割や立ち位置とブランドを組み合わせ、目的を持ったリブランディングを実施しています。
1. 株式会社タニタ
株式会社タニタは体重計や血圧計などの健康にかかわる測定機器の開発・販売をしている会社でしたが「健康をつくる」サービスに事業を拡大し「健康をはかる」からのリブランディングに成功しました。
測定機器などのプロダクト分野だけでなく、健康的な食事を提供する「タニタ食堂」や女性向けのフィットネスジムの「フィッツミー」などを展開し、「Healthy Habits for Happiness」というスローガンを掲げて健康習慣を継続する価値を提供しています。
2. ヤンマーホールディングス株式会社
ヤンマーホールディングス株式会社は、2012年に創業100周年を迎えたのを機にリブランディングに着手しました。
日本の顧客が持つヤンマーのイメージは農業機械メーカーでしたが、欧米ではヤンマーは船舶エンジンのメーカーとして知られており、地域によってブランドイメージが異なることが課題でした。
「ヤン坊マー坊天気予報」の記憶から知名度はありましたが、何の会社かわからず古臭いイメージを持つ人がいたため、ロゴや商品などをスタイリッシュなデザインにリブランディングしています。
3. 祇園辻利
祇園辻利は江戸時代から続く老舗茶舗です。日本茶はお金を払って飲むのではなく当たり前に出てくるものというイメージがありましたが、祇園辻利では喫茶店で日本茶や抹茶パフェなどを提供し日本茶の販売増加に成功しました。
祇園辻利が運営する喫茶店「茶寮都路里」では、祇園で働く舞妓にチケットを渡して店内で飲食してもらうことで「舞妓が来る喫茶店」として人気を博しています。
お茶菓子のパッケージには折り紙をモチーフにした統一感のあるデザインを採用し、2011年にグッドデザイン賞を受賞しました。過剰包装を減らしたパッケージでSDGsにも取り組んでいます。
4. 株式会社資生堂
株式会社資生堂は様々な商品に「SHISEIDO」という文字を入れていました。リブランディングするにあたって「マキアージュ」や「エリクシール」などのブランドから「SHISEIDO」を外し、中核ブランドとしての「SHISEIDO」に刷新しています。
女性からの共感をキーワードに、店頭カウンターはどの方向からでも入店できるような配置にして、顧客が気軽に商品を試せるソーシャルテーブルを設置し、化粧品全色を手に取れるように設計しています。
5. レッドブル・ジャパン株式会社
エナジードリンクのレッドブルは、現在「翼を授ける」というキャッチコピーで人気の清涼飲料となっています。しかし、日本に進出した当時はエナジードリンクといえば中年男性が疲労回復のために飲むものというイメージがありました。
レッドブルはシルバーとブルーのスタイリッシュな缶デザインやアニメーションのCMイメージにより、若者にも飲まれるドリンクとなっています。
レッドブルの効能をまったく説明することなく「挑戦を応援する」というプロモーションを徹底した結果、他社との差別化に成功しました。
6. 株式会社湖池屋
株式会社湖池屋はポテトチップスののり塩味を発明し、日本で初めて量産化に成功した老舗菓子メーカーです。社長交代のタイミングでリブランディングを開始しました。
当時の菓子市場はアイスクリームやチョコレートなどに高級志向がありましたが、ポテトチップスは差別化がなくなり値下げ競争になっていたため「KOIKEYA PRIDE POTATO」を発売しました。
「KOIKEYA PRIDE POTATO」は本格派の老舗のような六角形のロゴがデザインされたパッケージで、じゃがいもや塩などの素材にもこだわりぬいて作られたポテトチップスです。
価格は業界内において少々高めですが、健康志向の人にも受け入れられ40億円を売り上げました。
7. 株式会社メニコン
株式会社メニコンは日本で初めて角膜コンタクトレンズを開発した企業です。2016年に創業65周年を迎えたのを機にNEWメニコンブランドへリブランディングを実施しました。
メニコンシリーズやPremiOなどの商品の特徴をアイコンで表現し、ホームページを一新し新ブランドの周知を図りました。販売店でバラバラだったユニフォームを統一し、リブランディングの徹底もされています。
リブランディング成功のための3ポイント
リブランディングを実施すると「今までの方が良かった」と反対する声が少なからず発生します。それでもリブランディングを成功させるためには、以下の3ポイントに注意しましょう。
- 既存のブランドを活かす
- 中長期的に戦略を立てる
- 中途半端な変更をしない
リブランディングに失敗すると売上が下がったりファンが離れてしまったりするため、戦略の改善や修正を繰り返し行うことが大事です。
1. 既存のブランドを活かす
リブランディングは既存のブランドを捨てることではありません。既存ブランドの良い部分は活用し、新ブランドへと再構築するものです。
既存ブランドにも顧客がいるため、既存ブランドのすべてを捨ててしまえば既存顧客が離れてしまう可能性があります。
ブランドを長く親しみ支えてくれている顧客を大切にしつつ、新たなターゲットの開拓や社会に合わせた改善を行うことが必要です。
2. 中長期的に戦略を立てる
リブランディングは社内での共有と顧客や取引先などステークホルダーへ周知し、ブランドが認められて成功と言えます。そのため、一朝一夕にリブランディングはできません。
リブランディングは変化を好まない社員や顧客に否定的に受け入れられることがありますが、新ブランドを中長期的に育てていくことで否定的な声が少なくなるでしょう。
リブランディングを実施するときは効果測定や分析を適宜行い、周知が進んでいるかを確認していくことが大事です。
3. 中途半端な変更をしない
中途半端なリブランディングは、ブランド価値を下げてしまう可能性があります。
ロゴやパッケージなどの見た目だけを変えることはリブランディングと言いません。なぜ変えるのか、変えて何を伝えたいのかといった目的が明確でなければ、新ブランドのコンセプトが伝わらず失敗してしまうでしょう。
リブランディングで自社の新しい価値を見出しましょう
この記事では、リブランディングをする適切な時期や方法、リブランディングの事例などを説明しました。
長くビジネスを続けていると変化についていけなくなる可能性がありますが、リブランディングをすることで市場の変化や顧客ニーズに合わせたブランドに再構築できます。
これからも市場で勝ち残っていくためには、自社ブランドと顧客の持つイメージとの乖離を見逃さず必要なタイミングを見極めることが大事です。
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