- 社会心理学とはどのような学問なの…?
- 社会心理学でどのようなことが学べる…?
社会心理学とは、社会や集団における個人の心の動きを追求する学問です。
社会心理学について知れば、社会生活の中での人々の行動や心理を把握して予想できるようになります。これらは、ビジネスを円滑に進めたり人々の心をつかむ事業展開ができたりすることにつながるのです。
今回は、社会心理学の概要や学ぶメリット、「傍観者効果」や「バンドワゴン効果」といった具体的な例を紹介します。
この記事を読めば、社会心理学の基礎的な概要が分かります。また、ビジネスでどのように活かすことができるかまで明らかにすることが可能です。
社会心理学とは?
社会心理学とは、心理学と社会学の融合によって確立された学問です。具体的には、集団内の活動のなかでの個人の心理のあり方や集団の中の個人同士で与え合う相互の影響について追及します。
ここで、心理学と社会学の内容についても触れておきましょう。
どちらも統計や実験などといった科学的手法に基づいて、仮説を解明したり学問を追求したりします。
心理学とは、人の心理を明らかにすることです。社会学は、社会現象やそれが引き起こされる原因を科学的手法に基づいて明らかにします。
また、社会心理学は「心理学的社会心理学」と「社会学的社会心理学」の二つに分類が可能です。
それぞれの詳しい概要について見ていきましょう。
心理学的社会心理学
心理学的社会心理学とは、個人の心理に焦点を当てます。
社会の中での個人の心の動きを実験などを通じて追及するものです。
社会学的社会心理学
社会学的社会心理学とは、社会的条件に焦点を当てたものです。
社会問題や社会現象が個人にどのような行動をもたらすかを追究します。
社会心理学の発見者
社会心理学の開発者は、アメリカの社会学者であるロスと、イギリスの心理学者であるマクドゥーガルです。
両者はおよそ同時期に、社会心理学に関する書籍を出版したことで知られています。
ロスは、1908年に『社会心理学』を世に公表しました。
マクドゥーガルは、1908年に『社会心理学入門』、1920年に『集団心』を出版します。
また、その後アメリカの心理学者ゴードン・オールポートは、社会心理学の起源を1908年であると述べたのが起源の始まりです。『社会心理学ハンドブック』においてそれらに言及しています。
社会心理学を学ぶメリット
次に、社会心理学を学ぶメリットについて見ていきましょう。
私たちは、常に社会のなかでの個人として行動しています。
社会の中で個人同士が関わり合う中での心理状態や、集団の中の個人の心の動きを知ることによるメリットを確認します。
具体的なメリットは、以下の通りです。
- 集団行動で陥りやすいバイアスを把握できる
- 社会生活の中での個人の心理の動きが分かり、適切な行動をとれる
- 社会現象によって引き起こされる人々のニーズをいち早くキャッチできる
各項目の詳細を解説します。
集団行動で陥りやすいバイアスを把握できる
一つ目は、個人が集団内で行動をするなかで陥りやすいバイアスを把握できることです。
時として私たちは集団で何かを行うときとそれを単独で行う場合とは、心理状態が変化します。集団で決定される事柄は、それが波及して社会現象や大きな問題を引き起こすことがあるのです。
社会心理学を学ぶことで、集団の中での個人の心理の動きによって、陥りやすいバイアスを把握できます。よって、集団内で行動したり意思決定したりする際に把握すべきリスクをおさえながら活動することが可能です。
私たちが無意識に行動してしまう領域になるため、この原理を知ることでバイアスに惑わされない判断や行動が可能となります。
個人の心理の動きが分かり状況に応じて適切に行動できる
二つ目は、自己理解が進んでその場の状況に適した行動がとれることです。
社会生活で起こる個人の心の動きが分かるため、自分自身をより俯瞰的な目線で見ることができるようになります。
これらはさまざまな状況下での個人に引き起こされる感情を理解できるため、様々な事態に適切に対処できるようになるのです。
社会現象によって引き起こされる人々のニーズをいち早くキャッチできる
三つ目は、社会現象によって引き起こされる人々のニーズをいち早くキャッチできることです。
社会心理学を学ぶことで世の中で起きた社会現象によって引き起こされる人々の心理や行動が予想できるようになります。
人々の潜在的なニーズやトレンドをいち早く察知して、事業展開をしたり適切に顧客の需要に応えたりするのに役立つのです。
時代が変化しても、社会現象などから受ける人々の心の動きは変わりません。
そのため、先行きが読めず不透明な時代にも社会心理学のスキルは多いに活用できます。
社会心理学のビジネスで役立つ具体的効果
次に社会心理学の領域で、ビジネスに役立つ効果の種類を紹介します。
ご紹介する項目は、以下の通りです。
- 傍観者効果
- バンドワゴン効果
- フレーミング効果
- 認知的不協和
- 噴水効果・シャワー効果
効果の意味とビジネスで役立てるための具体例を解説しますので、参考にしていただければ幸いです。
傍観者効果
「傍観者効果」とは、行動を取るべき事象が起きたとしても他の多くの人がそれを目にしている場合に誰も行動しなくなることです。
その場にいる全員が傍観者になってしまい、悪い状況を見過ごしてしまいます。
傍観者効果が起こる原因は、「責任の分散」「評価懸念」「多元的無知」にあると言われています。
この効果が発見されたきっかけは、キティ・ジェノヴィーズ事件でした。
この事件は、1964年にアメリカのニューヨーク州で発生した殺人事件として知られています。38人の近隣住民が目撃していたのに関わらず、誰も警察に通報することはありませんでした。
傍観者効果について知ることで、集団がときに誤った判断をしてしまうことを理解するのに役立ちます。
傍観者効果のビジネスでの役立て方
ビジネスでは、傍観者効果の理解によって集団内のバイアスに惑わされずに一人一人が客観的な判断を行うことに役立ちます。
例えばビジネスにおいて、ある企業内でコンプライアンスに違反している事象が見つかったとしましょう。
そのとき、皆がそれを知った状況であっても傍観者効果が働くことで、全員がそれを黙認してしまう危険性があるのです。
傍観者効果について知っていれば、客観的にすぐに対処すべき事象であると判断して、早急に問題を解決できます。
こちらの記事では『影響力の武器』の内容を要約して紹介しています。社会心理学についてさらに理解を深めたい方はあわせてご覧ください。
バンドワゴン効果
「バンドワゴン効果」とは、ある物事に対する支持者が多いとそれに比例して賛同する人が多くなることを指すものです。
由来は行列先頭の楽隊車の意味を持つ「バンドワゴン」から来ています。バンドワゴンに乗ることを「勝ち馬に乗る」と表したとされています。
開発者はアメリカの経済学者のハーヴェイ・ライベンシュタインで、1950年に発表した論文でその効果が明らかになりました。
バンドワゴン効果のビジネスでの役立て方
ビジネスではマーケティングや営業で活用することができます。
例えば、バンドワゴン効果はSNSでよく見られる現象です。具体的には投稿に対する他者の反応が多いほど、さらにそれに対して反応する人の数が増加します。
これを利用してSNSのインフルエンサーに商品を紹介してもらうことで、反応率を上げて商品への興味を促すことが可能です。
他にも、広告を用いて販売した個数の多さを訴求する際、個数が多くなるほどそれを買いたいと思って購入する人が増えます。販売実績を積極的に提示することでさらに顧客の興味を引くことが可能です。
さまざまな方法を用いてバンドワゴン効果を行うことができます。
フレーミング効果
「フレーミング効果」とは、同じ対象物であったとしても表現の仕方を変えることで認識にバイアスが生まれることです。
1986年に以下の2人の人物によって提唱されました。
- ダニエル・カーネマン(アメリカの経済学者)
- エイモス・トベルスキー(イスラエル出身の心理学者)
フレーミング効果のビジネスでの役立て方
ビジネスでは、フレーミング効果によって人々に効果的に情報を伝えたい場合に使用されます。
主に広告やメディアでの宣伝などです。
例えば、ある商品について短時間で何かを実現できることを訴求したいとします。「130分で完了」「2時間10分で完了」という二つの表示があれば、前者の方がよりかかる時間が少なく感じるのです。
他にも、何かの物事に対して、相手に上手くいく確率を提示したいとしましょう。そのとき「90%の割合で成功する」「10%の割合で失敗する」という二つの表現をしたら、誰もが前者の方に良いイメージをいだくのです。
ある事実を表現する際は様々な表現を用いてより消費者にポジティブなイメージを提供できないか考えてみてください。
認知的不協和
「認知的不協和」とは、ある物事について自分の認知とは矛盾する認知を抱えた際に感じる不快さを表します。
アメリカの心理学者であるレオン・フェスティンガーによって発見されました。
人間には矛盾を割けるために自分の考え方や行動を変えてしまうことが特徴としてあるのです。
例えば、人気があり行列に並んで買った商品に対して、その使用感に満足できなかったとしましょう。しかし、長い時間をかけて買ったという事実があることで、認知に矛盾が生じて商品にも満足感を覚えることがあるのです。
このように、ときに私たちの脳は、認知的な矛盾を解消するために客観的な面を無視して事実をゆがめることがあります。
認知的不協和のビジネスでの役立て方
ビジネスでは、認知的不協和を使って購買行動を促すことができます。
例えば、商品を購入したことが正解だったのか悩んでいるお客様にこの理論を適用できます。
このような方へ、疑問点の解消など商品の相談を積極的に受け入れたり、購入後の支援を行ったりとアフターフォローを行うことができます。
商品を購入したことに納得感を持ってもらうことにつながるのです。
噴水効果・シャワー効果
「噴水効果」とは、複数階に渡る商業施設において地下や入口近くの店舗を充実させてその施設の上階へと顧客を引き込むことです。
また「シャワー効果」は、噴水効果と反対の意味があります。
「シャワー効果」とは複数階に渡る商業施設において最上階に魅力のあるイベントを充実させることで、下層へと顧客を引き込むことです。
この二つの効果は、ビジネスにおいてデパート、駅ビル、百貨店などのマーケティング手法として多く使用されます。
店舗型ビジネスを行っている方はこちらの効果も方法として試してみてください。
まとめ
今回は、社会心理学の概要や、学ぶメリット、具体的な実験を紹介しました。
社会心理学は、心理学を社会学が融合したものであり社会における個人の心理の動きを解明する学問です。また、その中でも社会心理学は、心理学的社会心理学と社会学的社会心理学の2種類に分類されました。
下記に社会心理学を学ぶ主なメリットをまとめますのでご覧ください。
- 集団行動で陥りやすいバイアスを把握できる
- 個人の心理の動きが分かり状況に応じて適切に行動できる
- 社会現象によって引き起こされる人々のニーズをいち早くキャッチできる
また、以下のような具体的な効果を紹介しました。
- 傍観者効果
- バンドワゴン効果
- フレーミング効果
- 認知的不協和
- 噴水効果・シャワー効果
社会心理学を学ぶメリットを把握して、さまざまな効果をビジネスに応用していただけば幸いです。
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