解説意思決定や思考整理ができる「シックスハット法」の手順を解説

最終更新日: 2024/08/05 公開日: 2024/01/30

シックスハット法とは、思考を6つの種類に分けて整理することです。これにより、よりよい意思決定や既成概念にとらわれないアイディアを出すことができます。

今回は、シックスハット法の概要やメリット、6つの帽子の種類の詳細や実施方法を紹介します。

  • シックスハット法を行うとどのようなメリットがあるの…?
  • シックスハット法を行う具体的な手順を知りたい…!

このような、思考がまとまらず良いアイディアが思いつかない、短時間でよりよいアイディアを生み出したい方はシックスハット法の実践が有効です。

より多くのアイディアを出して、自分や企業にとってベストな意思決定をしたい方はこの記事を読んでみてください。

シックスハット法とは?

シックスハット法とは、アイディア出しと意思決定を行う際に使用できるフレームワークのことです。

マルタの医師であり心理学者のエドワード・デ・ボノ氏が開発しました。1999年に出版された書籍『Six Thinking Hats』で、その思考法が初めて提唱されたのが始まりです。

シックスハット法は、頭の中の混乱な思考を明瞭にするために意図的なロールプレイングを行います。具体的には、頭の中で生み出されるさまざまな思考の種類を6色帽子を用いた思考の種類に振り分けるのです。

シックスハット法を行うメリット

シックスハット法を行うと、思考がさまざまな観点から整理されて、対象を俯瞰的にみられるようになります。

次に、シックスハット法を行う具体的なメリットについて確認していきましょう。

混乱していた思考が整理される

一つ目は、頭の中で混乱していた思考が整理されることです。

企業や個人が利用すると、明確な思考が促され最善の意思決定、独創的なアイディアの創出につながります。

エドワード・デ・ボノ氏は、シックスハット法の著書の中で以下のような言葉を残します。

 とかく私たちは、多くのことを一度に考えようとする。たとえば、「感情」「情報」「論理」「期待」「創造性」などで頭がいっぱいになってしまう。ところが、本書が言っていることは、実に簡単な概念である。ものを考えるときには、一度に1つのことだけを考えるようにするのである。そうすれば、「論理」と「感情」を分けて考えることもできるし、さまざまな「情報」と「創造性」とを区別して考えることもできる。これこそが「6つの帽子」の考え方である。「6つの帽子」をかぶることで、各帽子で考えるべきことが1つに決まる。

 amazon「6つの帽子思考法 ──視点を変えると会議も変わる」より引用

頭の中が様々な思考で溢れている時も、シックスハット法を用いれば考えを組み分けしてクリアにすることができるのです。

水平思考を身につけられる

二つ目に「水平思考」を身につけられます。「水平思考」は、同じくエドワード・デ・ボノ氏が提唱した概念です。

既存の概念や常識にとらわれず物事をフラットな視点で見ることができる思考のことです。別名ラテラルシンキングとも呼ばれます。

水平思考とは結論が複数にわたることもある点で、結論を一つに絞るロジカルシンキングとは区別される思考法です。

シックスハット法の肝である水平思考を取り入れている企業

水平思考をアイディア出しに活用している企業は多くあります。

例えば、以下の企業です。

  • NASA
  • IBM
  • デュポン
  • 任天堂

独創的なアイディアや工夫がテクノロジーで具体的に実現できる現代社会では、シックスハット法は大いに役立ちます。

ぜひ概要や方法を把握して活用してみましょう。

出典:Amazon「6つの帽子思考法 ──視点を変えると会議も変わる (フェニックスシリーズ) 」
https://www.amazon.co.jp/dp/4775941496 (参照 2023-08-21)

一人でも複数人でもアイディアをまとめられる

 三つ目は、一人でも複数人でもアイディアをうまくまとめられることです。

一人でのアイディア出しにはシックスハット法を活用することで、6つの異なる視点から物事を考えられ、多角的な視点から思考を整理できます。

多面的に物事を考えることで、普段の思考パターンから抜け出し、より良いアイディアを生み出せるのです。

例えば、物事のポジティブな情報だけを集め楽観的に思考するパターンのある人は、シックスハット法によって批判的な視点についても考えられます。

早い段階からリスクに気づき、バランスの取れたアイディアを生み出せるのです。

さらに、複数人での会議でもシックスハット法を使うことで会議をスムーズに進められます。

参加者全員が共通の視点で議論を進められるため、意見がまとまりやすくなるからです。

特定の視点から逸れることなく集中して議論できるため、短い時間で密度を濃く議題について話し合い意見をまとめられます。

シックスハット法の特徴

ここでは、シックスハット法の特徴について解説します。

シックスハット法では、思考の種類を表す6色の帽子にそってアイディアや考えをあてはめることが可能です。

具体的な思考の種類は以下の通りです。

  • 白色(中立性・客観性)
  • 赤色(感情性・直観性)
  • 黒色(批判性・消極性)
  • 黄色(積極性・希望性)
  • 緑色(創造力・革新性)
  • 青色(俯瞰・総括)

一つずつ詳細を確認していきましょう。

白色(中立性・客観性)

白色の帽子は、中立性・客観性を表しています。

ここでは仮説を提示したり根拠のない話をしたりせず、事実とデータのみを用いてください。また、不足している情報を補うことは問題ありません。

赤色(感情性・直観性)

赤色の帽子は、感情性・直観性を表します。ここでは、理屈や論理的なものではなく個人が心のままに感じた感情を話しましょう。

押さえておくべき重要な点は「その議題に賛成である」などといった議題を前に進めるための意見でなく率直な印象を語ることです。

具体的には、「怖い」「面白い」「ワクワクする」「スリリング」などがあります。その議題に対する好意や嫌悪の感情を表すことは問題ありません。

黒色(批判性・消極性)

黒色の帽子は、批判性・消極性を表します。ここでは、議題に対する警戒すべき否定的な面を整理します。

感情的な否定面は赤色と同義になるため、黒色では、論理的な否定面を話してください。

黒色で整理できる論理的な否定面では、例えば、議題の矛盾点や、潜むリスクなどがあります。

例えば、「怖い」「嫌い」は赤色、「機能的に問題がある」「整合性が合わない」などといったものは黒色に区別されます。

黄色(積極性・希望性)

黄色の帽子は、積極性・希望性を表します。ここでは、議題に対する肯定的な面を論理的に整理しましょう。黄色は、否定的な黒色と対極をなす部分です。

ここでアイディアを出すポイントは、少々大げさでも構わないので積極的にポジティブな面を見つけて発信することです。

穴を見つけるのは得意でも、ポジティブな面を探すのは苦手という人もいるかもしれません。6色ハットの黄色は、そういった困難を乗り越えるために役立ちます。この部分を行うことで、楽観的視点を手に入れてください。

緑色(創造力・革新性)

緑色の帽子は、創造力・革新性を表します。ここでは、議題に対する今までの既存のデータや概念にとらわれない新しい発想や考えを発信して整理しましょう。

黒色に対する困難を新たな視点で解決する方法や今までに出た既存のアイディアを用いて新たな独創的なアイディアを探ります。

この部分は、新たなアイディアを出すための重要な部分となりますので、個々で考える時間を長く設けるのもよいです。

青色(俯瞰・結論)

青色の帽子は、俯瞰・結論を表します。

議題に対する今までの5色から話し合ったアイディアや話をまとめて、俯瞰的な視点で見ながら議題の結論を出しましょう。ここでは、冷静的で俯瞰的な視点で見ることが重要です。

最後に結論をだすときの他、議論の視点を切り替えたいとき他の色の間に挟むこともできます。

シックスハット法を行う具体的手順

次に、シックスハット法を行う具体的手順について紹介します。

シックスハット法は、一人で考えをまとめたいときやアイディア出しはもちろん、複数人での会議など人数を問わずに使用できるものです。

具体的な手順は以下の通りです。

  • 実施のための事前準備
  • 各帽子の事項の整理
  • 帽子の事項をまとめて結論を出す

各手順の詳細を見ていきましょう。

実施のための事前準備

シックスハット法を実施するためには、まず事前準備を行いましょう。

6色の帽子に沿って円滑な議論を進めるためには、ファシリテーターの存在が必要不可欠です。

時間管理の他、対話やアイディアの創出を促す役割をするため、ファシリテーターの能力によって会議が有意義になるものかは変容します。

またチームで話し合う際に、テーブルの真ん中にはそのとき話しているテーマを把握するために6色の色分けされたものを置きます。

紙や事務用品など、色が分かればどのようなものでも良いです。

色分けをすることで視覚的にテーマの切り替わりを把握できるため、話し合いがスムーズに進むメリットがあります。

次に、分析するテーマを確認します。そのテーマが決まった際の課題感やゴールを確認してください。

各帽子の事項の整理

次に、6色の論点それぞれについて話し合いを進めていきます。

各色の論点について話す時間には、制限を設けますがそれぞれ3~5分程度が目安です。また、色の話す順番は白・赤・黒・黄・緑・青が一般的ですが、テーマや状況に応じて順番を変更しても構いません。

一方で、その時に指定された色以外の論点を発言することは他メンバーの思考が妨げられてしまいます。そのときの論点に沿った話が停滞してしまうためつつしむようにしましょう。

その他、話し合いを行うメンバーの性格特性を配慮して、それぞれの色の論点を話す長さを調整することもできます。例えば、消極的・批判的な特性を持っている場合は、黄色の積極性・希望性について話す時間を長くすることが可能です。

最後に青色の帽子で結論を出す

最後に、青色である冷静的・俯瞰的な目線でテーマについて話し合います。

今までの各色の話し合いが進むにつれて、より内容に磨きをかけられるのが理想です。

青色で今までの内容を振り返り、新しい可能性やアイディアを探り、議論をまとめるために話し合いましょう。

シックスハット法が活用できる場面

シックスハット法で思考を6種類の帽子に分けて、よりよい意思決定やアイディア出しを行う方法を紹介しました。

では、この思考法は具体的にどのような場面で活用できるのでしょうか。シックスハット法が活用できる主な場面は、以下の通りです。

  • 会議が前に進まないとき
  • 話し合いの時間を短縮したいとき
  • 一面的でなく多角的な視点で物事を考えたいとき

一つずつ解説していきます。

会議が前に進まないとき

会議が前に進まず結論が出ないときに使用できます。

会議が前に進まないのはメンバーの思考が堂々巡りしてまとまっていないことが理由であり、混乱した思考を整理して解消できます。

6つの観点から客観的に話し合うことで、以前では見つけることのできなかった新たな視点を発見することができるはずです。

また、その時間で結論をだしてしまいたいときには、6つの論点を使って簡単に議論を行えば、話し合いをまとめることができます。

話し合いの時間を短縮したいとき

二つ目は、限られた時間で独創的なアイディアや画期的な考えを創出したいときです。

アイディア出しには、十分な時間を捻出したいけれど他のやるべき業務に圧迫され思うように時間がとれないことがあると思います。

例えば事業拡大が急速に進んでいるけれど、業務量が人数に対して追いつかないなどの場面です。このような場面で、できる限り早く結論を出して意思決定したいときに向いています。

複数人でなく、一人でも早急にアイディア出しをしたいときにも使用が可能です。

一面的でなく多角的な視点で物事を考えたいとき

三つ目は、一面的でなく多角的な視点で物事を考えたいときです。

特に一人で何かのアイディアを考える際は、どうしても物事の思考が偏りやすくなるため、シックスハット法の使用が向いています。

6つの観点から考える機会を持つことができるため、思いがけないアイディアを思いついたり創造性を発揮したりすることが可能です。

まとめ

今回は、シックスハット法の概要や行うメリット、具体的な実施方法を紹介しました。

シックスハット法は、思考を6つの枠組みに整理することで考えを明瞭に整理することができる思考法です。よりよい意思決定や革新的なアイディアの創出につながります。

シックスハットを構成する6つの感情の帽子の種類は以下の通りです。

  • 白色(中立性・客観性)
  • 赤色(感情性・直観性)
  • 黒色(批判性・消極性)
  • 黄色(積極性・希望性)
  • 緑色(創造力・革新性)
  • 青色(俯瞰・結論)

一例として、以下の手順でシックスハット法を実践することができます。

  • 実施のための事前準備
  • 分析するテーマの課題設定とゴールを確認する
  • 最後に青色の帽子で結論を出す

また、シックスハット法は以下のような場面で活用することが可能です。

  • 会議が前に進まないとき
  • 話し合いの時間を短縮したいとき
  • 一面的でなく多角的な視点で物事を考えたいとき

シックスハット法を使用して、今までにない画期的なアイディアを思い浮かばせたり、多角的な視点を手に入れたりしてみてください。この記事がよりよい意思決定をするための役立つ情報となれば幸いです。

セミナーズ通信

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